劉寒吉（りゅうかんきち）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

第17回

＝受賞者＝
石塚喜久三

Last Update●[H26]2014/6/20

	Ryu Kankichi
	このページの情報は「直木賞のすべて」内の「候補作家の群像　劉寒吉」と同じものです。
	生没年月日【注】	明治39年/1906年9月18日～昭和61年/1986年4月20日
	経歴	本名＝浜田陸一（ハマダ・リクイチ）。福岡県生まれ。小倉商業卒。
	受賞歴・候補歴	\|予選候補\| 第10回芥川賞（昭和14年/1939年下期）「人間競争」第3回九州文学賞（昭和18年/1943年）「山河の賊」 \|候補\| 第17回芥川賞（昭和18年/1943年上期）「翁」 \|候補\| 第18回直木賞（昭和18年/1943年下期）「十時大尉」 \|予選候補\| 第19回芥川賞（昭和19年/1944年上期）「古戦場」 \|候補\| 第33回直木賞（昭和30年/1955年上期）「風雪」

第10回予選候補

「人間競争(にんげんきょうそう)」（『九州文學』昭和14年/1939年9月号）

媒体・作品情報

誌名	「九州文學」別表記表紙・目次・裏表紙「九州文學」　奥付「第二期九州文學」
巻号	第2巻第9号/通12号別表記9月号/第12册
作品名別表記	「人間競爭」
印刷/発行年月日	印刷納本昭和14年/1939年9月5日　発行昭和14年/1939年9月10日
発行者等	発行兼編輯人山田弘　印刷人兒玉敬治　印刷所九州印刷株式会社（福岡市）
発行所	九州文學社（福岡市）
総ページ数	95	表記上の枚数	目次 110枚	基本の文字組（1ページ当り）	54字 ×22行 ×1段
本文ページ	1～39 （計39頁）	測定枚数	112枚

書誌

昭和60年/1985年12月・創元社刊『劉寒吉自選作品集』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　劉寒吉　33歳
選考委員		評価	行数	評言
瀧井孝作	45歳	―	0
久米正雄	48歳	―	0
室生犀星	50歳	―	0
小島政二郎	46歳	―	0
川端康成	40歳	―	0
佐佐木茂索	45歳	―	0
佐藤春夫	47歳	―	0
横光利一	41歳	―	0
宇野浩二	48歳	●	5	「（引用者注：「風塵」「肉体の秋」と共に）いうべき言葉を知らないから、読後の感想を書くことは止める。」
菊池寛	51歳	―
選評出典：『芥川賞全集　第二巻』昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和15年/1940年3月号）

第17回候補

「翁(おきな)」（『九州文學』昭和18年/1943年5月号）

媒体・作品情報

誌名	「九州文學」
巻号	通巻54号別表記5月号
作品名別表記	目次・本文「翁（おきな）」
印刷/発行年月日	印刷納本昭和18年/1943年4月25日　発行昭和18年/1943年5月1日
発行者等	発行兼編輯人秋山六郎兵衞　印刷人兒玉敬治　印刷所九州印刷株式会社（福岡市）　大売捌元日本出版配給株式会社
発行所	九州文學社（福岡市）
総ページ数	72	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×22行 ×2段
本文ページ	2～23 （計22頁）	測定枚数	58枚

上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字（主に正字など）

書誌

昭和21年/1946年☆月・燎原社刊『新文学選書　第1』所収

昭和60年/1985年12月・創元社刊『劉寒吉自選作品集』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　劉寒吉　36歳
選考委員		評価	行数	評言
横光利一	45歳	△	6	「考証に押し縮められた吐息が見えるが、難事な題材を破損少く耐え忍んで運んだ作者に敬意を表したい。この作者には一度小倉で会ったことがあるが、人物には種々な点で私は感服した。」
河上徹太郎	41歳	△	2	「年功を経た、手堅い作品」
川端康成	44歳	―	0
瀧井孝作	49歳	■	4	「なかなか読みごたえがあった。創作としては稍垢ぬけしない風で惜しかった。」
片岡鐵兵	49歳	□	2	「衆議によっては宜しかろうというのが私の意見であった。」
佐藤春夫	51歳	△	7	「三篇（引用者注：「翁」「吉野の春」「纏足の頃」）を最後まで残し、さてこのうちどの一篇を？　と選び迷うて気むずかしくなって困った。」「好もしいテーマをよく捉えているが最後がいい外はちと冗漫である。材料まけという惜しい作品。」
選評出典：『芥川賞全集　第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和18年/1943年9月号）

「十時(ととき)大尉(たいい)」（『文藝讀物』昭和18年/1943年10月号）

媒体・作品情報

誌名	「文藝讀物」別表記表紙「オール讀物　改題」併記
巻号	第13巻第10号別表記10月号
作品名別表記	本文ルビ有り「とときたいゐ」
印刷/発行年月日	印刷昭和18年/1943年9月20日　発行昭和18年/1943年10月1日
発行者等	発行人船田龍太郎　編輯兼印刷人鈴木俊秀　印刷所大日本印刷株式会社榎町工場（東京都）　配給元日本出版配給株式会社（東京都）
発行所	株式会社文藝春秋社（東京都）
装幀/装画等	畫三芳悌吉
総ページ数	118	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	20字 ×22行 ×3段
本文ページ	28～40 （計13頁）	測定枚数	37枚

直木賞 第18回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　劉寒吉　37歳
選考委員		評価	行数	評言
吉川英治	51歳	■	13	「男の文学を志向している点会心の至りであるが、唯、作品として渾然たる味に欠けている。」
獅子文六	50歳	―	0
中野実	42歳	―	0
濱本浩	52歳	●	10	「気魄をもった作品で、心をうたれたが、森氏の両作に比較して稍々稚拙の感あるは、材料の故であろうか。」
井伏鱒二	45歳	―	0
選評出典：『オール讀物』平成14年/2002年12月号再録（初出：『文藝春秋』昭和19年/1944年3月号）

文量
短篇
章立て
「一」～「六」
時代設定	場所設定
［同時代］	福岡県
登場人物
●十時（大尉、中学校の配属将校） ●雄太郎（十時の幼い息子）

第19回推薦候補

「古戦場(こせんじょう)」（『文學界』昭和19年/1944年2月号）

媒体・作品情報

誌名	「文學界」
巻号	第11巻第2号別表記2月号
作品名別表記	「古戰場」
印刷/発行年月日	印刷昭和19年/1944年1月22日　発行昭和19年/1944年2月1日
発行者等	編輯兼印刷人鷲尾洋三　発行人船田龍太郎　印刷所共同印刷株式会社（東京市）　配給元日本出版配給株式会社（東京市）
発行所	株式会社文藝春秋社（東京市）
総ページ数	112	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	27字 ×22行 ×2段
本文ページ	53～77 （計25頁）	測定枚数	70枚

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　劉寒吉　37歳
選考委員		評価	行数	評言
佐藤春夫	52歳	―	0
川端康成	45歳	―	0
横光利一	46歳	―	0
河上徹太郎	42歳	―	0
片岡鐵兵	50歳	―	0
瀧井孝作	50歳	―	0
選評出典：『芥川賞全集　第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和19年/1944年9月号）

「風雪(ふうせつ)」（『九州文學』昭和30年/1955年3月号、4月号）

媒体・作品情報

分載回数	全2回
誌名	「九州文學」別表記表紙・奥付「九州文学」　背・目次・扉「九州文學」　扉・奥付「第五期」併記
巻号	(1)第1巻第1号/通刊第134冊　(2)第1巻第2号/通刊第135冊別表記(1)3月号　(2)4月号
副題等	(2)目次・本文「（承前完結）」
印刷/発行年月日	(1)印刷昭和30年/1955年2月20日　発行昭和30年/1955年3月1日　(2)印刷昭和30年/1955年3月20日　発行昭和30年/1955年3月25日
発行者等	(1)編集原田種夫　(1)発行劉寒吉　(2)編集劉寒吉　(2)発行原田種夫　印刷所文林堂（福岡市）
発行所	九州文學社（福岡市）
総ページ数	(1)88　(2)61	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	29字 ×26行 ×2段
本文ページ	(1)4～24　(2)10～21 （計33頁）	測定枚数	117枚

書誌

昭和60年/1985年12月・創元社刊『劉寒吉自選作品集』所収

直木賞 第33回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　劉寒吉　48歳
選考委員		評価	行数	評言
川口松太郎	55歳	―	0
吉川英治	62歳	□	2	「（引用者注：鬼頭恭而に感じたものと）同様な思いを劉寒吉氏の「風雪」にも寄せる。」
永井龍男	51歳	―	0
井伏鱒二	57歳	―	0
小島政二郎	61歳	―	0
村上元三	45歳	●	5	「誰が書いても同じところへ入るキリシタン物の、底無し沼のようなものへ落ち込んでしまっている。」
大佛次郎	57歳	■	8	「切支丹小説として、あまり常道だった。才能もあり技法も身につけた人だけに、もっと思い切って型を破ってこの材料を振廻してくれたら、と感じた。」
木々高太郎	58歳	○	20	「とも角もよく調べてかいたもの」「どうして信仰に対する疑問、信仰と政治、信仰と欲望というような大問題を捉えて近代的に小説にすることが出来ないのだろう。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和30年/1955年10月号）

文量
短篇
章立て
「一」～「十」
時代設定	場所設定
明治初期	長崎～福岡～萩
登場人物
●アキ（浦上の住民、切支丹） ●シマ（アキの叔母、切支丹たちの精神的支柱） ●友太郎（アキの遠縁、部落の聞役） ●金助（元・切支丹、棄教者） ●福本治左衛門（萩の役人）