第36回

第35回第37回

昭和31年/1956年下半期 昭和32年/1957年1月21日決定発表／『オール讀物』昭和32年/1957年4月号選評掲載

選考委員　 井伏鱒二 58歳 木々高太郎 59歳 永井龍男 52歳 村上元三 46歳 川口松太郎 57歳 吉川英治 64歳 大佛次郎 59歳 小島政二郎 62歳 選評総行数　 32 77 18 52 41 73 52 82 評 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 今東光　「お吟さま」 255枚 58歳 評 △ 3 ◎ 34 ● 8 ● 13 ◎ 41 ○ 41 ○ 10 □ 16 穂積驚　「勝烏」 128枚 44歳 評 ― 0 □ 11 ― 0 △ 12 ― 0 △ 14 ◎ 3 ◎ 42 村松喬　『異郷の女』 415枚 39歳 評 ◎ 13 □ 9 ― 0 ■ 15 ― 0 ○ 6 ○ 9 ― 0 赤江行夫　『長官』 584枚 38歳 評 ― 0 ● 10 ― 0 △ 4 ― 0 ● 6 △ 7 ― 0 木山捷平　「耳学問」 26枚 52歳 評 ◎ 15 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 3 △ 4 ― 0 熊王徳平　「山峽町議選誌」 49枚 50歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 池波正太郎　「恩田木工」 247枚 33歳 評 ― 0 ○ 8 ― 0 ● 8 ― 0 △ 14 ■ 8 □ 7 小沼丹　「二人の男」 38枚 38歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 石野径一郎　『沖縄の民』 662枚 47歳 評 ― 0 ● 8 ― 0 ― 0 ― 0 ● 7 ● 14 ○ 17 欠席 口頭回答   欠席 書面回答           年齢/枚数の説明   見方・注意点

井伏鱒二58歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題報告　総行数32　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 △ 3 「今東光氏はいつだって嚢中の錐ではないかと思った。」 穂積驚 44歳 全 ― 0   村松喬 39歳 全 ◎ 13 「なかんづくビルマ人を巧妙に書いている。思うに、これだけ人間を書けるとすれば将来性ある新人に違いない。」 赤江行夫 38歳 全 ― 0   木山捷平 52歳 全 ◎ 15 「文藝春秋に出たとき可成りの反響を呼んだ。」「衆目というものを一応は尊重したい。事実また、大きな動乱を泰然として書きこなしている手腕は相当なものだと思う。」 熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ― 0   小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ― 0	他の選考委員 木々高太郎 永井龍男 村上元三 川口松太郎 吉川英治 大佛次郎 小島政二郎

木々高太郎59歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題もう一つの問題　総行数77　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ◎ 34 「大衆文学に一新生命を拓いているとみるのは、推理や考証の結果、そのテーマがきまり、歴史上の疑問をはらんでいる作品が、大衆文学となるとは思っていなかったので、私は、そうみるのである。」 穂積驚 44歳 全 □ 11 「「勝烏」のよさも十分に認める。たゞ、あまり佐賀弁をつかいすぎて、読むのに苦労である。」 村松喬 39歳 全 □ 9 「すらすらと読ませるが、それだけのもので、いざとなると躊躇がある。」 赤江行夫 38歳 全 ● 10 「著者の意図がどこにあるかあいまいで、それはやはり近い事象なので著者が態度をはっきりさせるのを嫌ったものと考え、それである者はこの種のものではよくならないと思う。」 木山捷平 52歳 全 ― 0   熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ○ 8 「私は（引用者注：第二位とした池波、穂積、村松の）三つのうちでは比較的に「恩田木工」をとりたかった」 小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ● 8 「私は当分戦争ものは、図ぬけてよくなくてはとらぬと決心しているもので、賞のうちには入れなかった」

他の選考委員 井伏鱒二 永井龍男 村上元三 川口松太郎 吉川英治 大佛次郎 小島政二郎

永井龍男52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題発言権なし　総行数18　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ● 8 「今東光氏は、直木賞候補としてはすでに不適格だと思います。」「今氏の場合だけは、作品の価値如何にかかわらず、反対したいと思います」 穂積驚 44歳 全 ― 0   村松喬 39歳 全 ― 0   赤江行夫 38歳 全 ― 0   木山捷平 52歳 全 ― 0   熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ― 0   小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ― 0	他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 村上元三 川口松太郎 吉川英治 大佛次郎 小島政二郎

村上元三46歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数52　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ● 13 「今東光氏のような、作家としても古い経歴を持つ人に、いまさら直木賞を上げても、と思うし、」「今東光氏の作品としては、それほどすぐれたものとは思えない。」 穂積驚 44歳 全 △ 12 「古い友達としてわたしもうれしいことだが、銓衡委員会の席上では私情をはさむことは許されない。」「最後に委員の票を多く得たのは、やはり作品の持つリリシズムが物を言ったのであろう。」 村松喬 39歳 全 ■ 15 「この作品は、叙述はあるが描写がない。」「第二作を読ませてもらってからでもいいと思い、今回は見送った。」 赤江行夫 38歳 全 △ 4 「後篇が前篇よりも劣るが、実力のある人なので、次回を期待したい。」 木山捷平 52歳 全 ― 0   熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ● 8 「書きづらい地味な材料を、よくここまで書き込んでいるが、この作者の欠点は、何もかも割り切りすぎて、詩情に乏しいことだと思う。」 小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ― 0

他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 永井龍男 川口松太郎 吉川英治 大佛次郎 小島政二郎

川口松太郎57歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題今東光の再精進を祈って　総行数41　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ◎ 41 「今となっては東光を知る者も少なく、新人同様の地位であり、再出発の「お吟さま」も棄て難い作品だと思った。」「東光よ。旧友の幸福を念ずる愛情を率直に受けよ。」 穂積驚 44歳 全 ― 0   村松喬 39歳 全 ― 0   赤江行夫 38歳 全 ― 0   木山捷平 52歳 全 ― 0   熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ― 0   小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ― 0	他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 永井龍男 村上元三 吉川英治 大佛次郎 小島政二郎

吉川英治64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題寸感　総行数73　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ○ 41 「三十年近くも文壇外にいて、活字に見なかった人である。私はむしろその事に意味があるとおもった。」「たしかにこの人は何十年も物は書かないでも何かを蓄積していたことが分るのである。」 穂積驚 44歳 全 △ 14 「厳密にいって、この二作（引用者注：「勝烏」と「恩田木工」）は優劣もつけかねるものだが、投票によって「勝烏」ときまった。」 村松喬 39歳 全 ○ 6 「私の意にあった候補だった。」「よく整った作品で惜しまれたが、いろんな意味で次期の作品をもういちど見てからということになった。」 赤江行夫 38歳 全 ● 6 「私も入れて委員の間には後半に失望したという声が多かった。」 木山捷平 52歳 全 ● 3 「ユーモアないゝ小品だがものたりない憾みがある。」 熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 △ 14 「厳密にいって、この二作（引用者注：「勝烏」と「恩田木工」）は優劣もつけかねるものだが、投票によって「勝烏」ときまった。」 小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ● 7 「書きすぎる過剰筆力がかえって迫力を弱くしてしまっているのではなかろうか。」

他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 永井龍男 村上元三 川口松太郎 大佛次郎 小島政二郎

大佛次郎59歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題読後感　総行数52　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 ○ 10 「精踈のむらがあるのは連載物だったせいだろうが、老熟した作家のものと称せざるを得ぬ。」「この作品にしても群を抜いて肉が厚い。」 穂積驚 44歳 全 ◎ 3 「「勝烏」は私も推した。地味ながら腰の強い作品である。」 村松喬 39歳 全 ○ 9 「素直で明るく、また新人らしい新鮮さが感じよく受取れた。一番、好意を持たれたせいで次を見て、と言う話になった。」 赤江行夫 38歳 全 △ 7 「現実に進行している事件を書くのは難しいことだし、不安定で抑えがきかないものである。」「努力には敬意を感じた。」 木山捷平 52歳 全 △ 4 「私は好きであった。この程度の作品を三つでも四つでも出していたら、私はこのひとを推したろう。」 熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 ■ 8 「扱いにくい材料を、大きな視野でとらえ、しっかりした力作であった。だが定式におさまり過ぎた遺憾がある。」 小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ● 14 「作者の郷土に傾けている熱情が、対象を一色にしか見ていない。」「この作家の他の作品もこれまでに読んで来た。前の作品の方に力が入っていたように思ったが如何。」

他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 永井龍男 村上元三 川口松太郎 吉川英治 小島政二郎

小島政二郎62歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題寸感　総行数82　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 今東光 58歳 全 □ 16 「こんなもので今東光がほめられては可哀相な気がした。」「（引用者注：『中央公論』に載った）「闘鶏」は、今東光の傑作であるばかりでなく、最近での文壇第一の傑作だと思う。」 穂積驚 44歳 全 ◎ 42 「一番感心した。」「みんないい効果を収めている。ただ、一行読んだら、そのまま読者をつかんで放さないと言う大衆小説における第一義的な魅力に欠けている。」 村松喬 39歳 全 ― 0   赤江行夫 38歳 全 ― 0   木山捷平 52歳 全 ― 0   熊王徳平 50歳 全 ― 0   池波正太郎 33歳 全 □ 7 「骨を折って書いているだけに、どこと言って欠点がない。が、同時に池波君でなければ持っていない魅力が出ていないと言ったような恨みがある。」 小沼丹 38歳 全 ― 0   石野径一郎 47歳 全 ○ 17 「感心した。小説としてでなく、ドキュメントとして。しかし、ドキュメントとしては、小説的であり過ぎる。この作品はどっちかにキッパリと性格をきめるべきだったと思う。」

他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 永井龍男 村上元三 川口松太郎 吉川英治 大佛次郎

今東光58歳×各選考委員　 「お吟さま」 中篇 255枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 △ 3 「今東光氏はいつだって嚢中の錐ではないかと思った。」 木々高太郎 59歳 全 ◎ 34 「大衆文学に一新生命を拓いているとみるのは、推理や考証の結果、そのテーマがきまり、歴史上の疑問をはらんでいる作品が、大衆文学となるとは思っていなかったので、私は、そうみるのである。」 永井龍男 52歳 全 ● 8 「今東光氏は、直木賞候補としてはすでに不適格だと思います。」「今氏の場合だけは、作品の価値如何にかかわらず、反対したいと思います」 村上元三 46歳 全 ● 13 「今東光氏のような、作家としても古い経歴を持つ人に、いまさら直木賞を上げても、と思うし、」「今東光氏の作品としては、それほどすぐれたものとは思えない。」 川口松太郎 57歳 全 ◎ 41 「今となっては東光を知る者も少なく、新人同様の地位であり、再出発の「お吟さま」も棄て難い作品だと思った。」「東光よ。旧友の幸福を念ずる愛情を率直に受けよ。」 吉川英治 64歳 全 ○ 41 「三十年近くも文壇外にいて、活字に見なかった人である。私はむしろその事に意味があるとおもった。」「たしかにこの人は何十年も物は書かないでも何かを蓄積していたことが分るのである。」 大佛次郎 59歳 全 ○ 10 「精踈のむらがあるのは連載物だったせいだろうが、老熟した作家のものと称せざるを得ぬ。」「この作品にしても群を抜いて肉が厚い。」 小島政二郎 62歳 全 □ 16 「こんなもので今東光がほめられては可哀相な気がした。」「（引用者注：『中央公論』に載った）「闘鶏」は、今東光の傑作であるばかりでなく、最近での文壇第一の傑作だと思う。」

他の候補作 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

穂積驚44歳×各選考委員　 「勝烏」 短篇 128枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 □ 11 「「勝烏」のよさも十分に認める。たゞ、あまり佐賀弁をつかいすぎて、読むのに苦労である。」 永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 △ 12 「古い友達としてわたしもうれしいことだが、銓衡委員会の席上では私情をはさむことは許されない。」「最後に委員の票を多く得たのは、やはり作品の持つリリシズムが物を言ったのであろう。」 川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 △ 14 「厳密にいって、この二作（引用者注：「勝烏」と「恩田木工」）は優劣もつけかねるものだが、投票によって「勝烏」ときまった。」 大佛次郎 59歳 全 ◎ 3 「「勝烏」は私も推した。地味ながら腰の強い作品である。」 小島政二郎 62歳 全 ◎ 42 「一番感心した。」「みんないい効果を収めている。ただ、一行読んだら、そのまま読者をつかんで放さないと言う大衆小説における第一義的な魅力に欠けている。」

他の候補作 今東光 「お吟さま」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

村松喬39歳×各選考委員　 『異郷の女』 長篇 415枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ◎ 13 「なかんづくビルマ人を巧妙に書いている。思うに、これだけ人間を書けるとすれば将来性ある新人に違いない。」 木々高太郎 59歳 全 □ 9 「すらすらと読ませるが、それだけのもので、いざとなると躊躇がある。」 永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ■ 15 「この作品は、叙述はあるが描写がない。」「第二作を読ませてもらってからでもいいと思い、今回は見送った。」 川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ○ 6 「私の意にあった候補だった。」「よく整った作品で惜しまれたが、いろんな意味で次期の作品をもういちど見てからということになった。」 大佛次郎 59歳 全 ○ 9 「素直で明るく、また新人らしい新鮮さが感じよく受取れた。一番、好意を持たれたせいで次を見て、と言う話になった。」 小島政二郎 62歳 全 ― 0

他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

赤江行夫38歳×各選考委員　 『長官』 長篇 584枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 ● 10 「著者の意図がどこにあるかあいまいで、それはやはり近い事象なので著者が態度をはっきりさせるのを嫌ったものと考え、それである者はこの種のものではよくならないと思う。」 永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 △ 4 「後篇が前篇よりも劣るが、実力のある人なので、次回を期待したい。」 川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ● 6 「私も入れて委員の間には後半に失望したという声が多かった。」 大佛次郎 59歳 全 △ 7 「現実に進行している事件を書くのは難しいことだし、不安定で抑えがきかないものである。」「努力には敬意を感じた。」 小島政二郎 62歳 全 ― 0	他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

木山捷平52歳×各選考委員　 「耳学問」 短篇 26枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ◎ 15 「文藝春秋に出たとき可成りの反響を呼んだ。」「衆目というものを一応は尊重したい。事実また、大きな動乱を泰然として書きこなしている手腕は相当なものだと思う。」 木々高太郎 59歳 全 ― 0   永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ― 0   川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ● 3 「ユーモアないゝ小品だがものたりない憾みがある。」 大佛次郎 59歳 全 △ 4 「私は好きであった。この程度の作品を三つでも四つでも出していたら、私はこのひとを推したろう。」 小島政二郎 62歳 全 ― 0	他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

熊王徳平50歳×各選考委員　 「山峽町議選誌」 短篇 49枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 ― 0   永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ― 0   川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ― 0   大佛次郎 59歳 全 ― 0   小島政二郎 62歳 全 ― 0	他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

池波正太郎33歳×各選考委員　 「恩田木工」 中篇 247枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 ○ 8 「私は（引用者注：第二位とした池波、穂積、村松の）三つのうちでは比較的に「恩田木工」をとりたかった」 永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ● 8 「書きづらい地味な材料を、よくここまで書き込んでいるが、この作者の欠点は、何もかも割り切りすぎて、詩情に乏しいことだと思う。」 川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 △ 14 「厳密にいって、この二作（引用者注：「勝烏」と「恩田木工」）は優劣もつけかねるものだが、投票によって「勝烏」ときまった。」 大佛次郎 59歳 全 ■ 8 「扱いにくい材料を、大きな視野でとらえ、しっかりした力作であった。だが定式におさまり過ぎた遺憾がある。」 小島政二郎 62歳 全 □ 7 「骨を折って書いているだけに、どこと言って欠点がない。が、同時に池波君でなければ持っていない魅力が出ていないと言ったような恨みがある。」

他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 小沼丹 「二人の男」 石野径一郎 『沖縄の民』

小沼丹38歳×各選考委員　 「二人の男」 短篇 38枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 ― 0   永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ― 0   川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ― 0   大佛次郎 59歳 全 ― 0   小島政二郎 62歳 全 ― 0	他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 石野径一郎 『沖縄の民』

石野径一郎47歳×各選考委員　 『沖縄の民』 長篇 662枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 58歳 全 ― 0   木々高太郎 59歳 全 ● 8 「私は当分戦争ものは、図ぬけてよくなくてはとらぬと決心しているもので、賞のうちには入れなかった」 永井龍男 52歳 全 ― 0   村上元三 46歳 全 ― 0   川口松太郎 57歳 全 ― 0   吉川英治 64歳 全 ● 7 「書きすぎる過剰筆力がかえって迫力を弱くしてしまっているのではなかろうか。」 大佛次郎 59歳 全 ● 14 「作者の郷土に傾けている熱情が、対象を一色にしか見ていない。」「この作家の他の作品もこれまでに読んで来た。前の作品の方に力が入っていたように思ったが如何。」 小島政二郎 62歳 全 ○ 17 「感心した。小説としてでなく、ドキュメントとして。しかし、ドキュメントとしては、小説的であり過ぎる。この作品はどっちかにキッパリと性格をきめるべきだったと思う。」	他の候補作 今東光 「お吟さま」 穂積驚 「勝烏」 村松喬 『異郷の女』 赤江行夫 『長官』 木山捷平 「耳学問」 熊王徳平 「山峽町議選誌」 池波正太郎 「恩田木工」 小沼丹 「二人の男」