木村友祐（きむらゆうすけ）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第162回

＝受賞者＝
古川真人

＝候補者＝
木村友祐
高尾長良
千葉雅也
乗代雄介

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Last Update●[R2]2020/2/19

	Kimura Yusuke
	生没年月日【注】	昭和45年/1970年☆月☆日～
	経歴	青森県八戸市出身。日本大学藝術学部文芸学科卒。平成21年/2009年「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞を受賞。
	受賞歴・候補歴	第33回すばる文学賞（平成21年/2009年）「海猫ツリーハウス」 \|候補\| 第25回三島由紀夫賞（平成23年/2011年度）「イサの氾濫」 \|候補\| 第36回野間文芸新人賞（平成26年/2014年）『聖地Ｃｓ』 \|候補\| 第38回野間文芸新人賞（平成28年/2016年）『イサの氾濫』 \|候補\| 第162回芥川賞（令和1年/2019年下期）「幼な子の聖戦」
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第162回候補

「幼(おさ)な子(ご)の聖戦(せいせん)」（『すばる』令和1年/2019年11月号）

媒体・作品情報

誌名	「すばる」別表記表紙「Subaru」併記　裏表紙・奥付「昴」併記
巻号	第41巻第11号別表記11月号
印刷/発行年月日	発売令和1年/2019年10月6日
発行者等	編集者鯉沼広行　発行者江口順一　印刷所大日本印刷株式会社
発行所	株式会社集英社（東京都）
総ページ数	324	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×21行 ×2段
本文ページ	10～77 （計68頁）	測定枚数	179枚

書誌

令和2年/2020年1月・集英社刊『幼な子の聖戦』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　木村友祐　49歳
選考委員		評価	行数	評言
山田詠美	60歳	●	16	「〈幼な子〉と幼稚な大人は全然違うし、下卑ているということと下卑た人間を描くことも違う。この作品は、がんばってはったりかまして下卑ている。」
吉田修一	51歳	■	14	「喜劇『慈縁郷村の協奏曲』とでも名付けたいようなテンポの良い筆捌きで一気に読まされましたが、四十四歳の主人公の子供っぽさが気になりました。」
小川洋子	57歳	■	17	「語り手は、人間臭い存在感を放っている。」「気の小さい凡人であるはずの彼が、葛藤を突き抜けた先の狂気に飲まれ、暗殺にまで至る飛躍の瞬間を、もっとじっくり追いかけたかった。」
奥泉光	63歳	■	14	「理想や希望を嫌悪し、「この世に無意味をもたらす破壊者」たることを決意した主人公の、やっていることは非常にセコい、というあたりはたいへん面白い。が、彼が宗教的反転をしてテロリストとなる筋には無理があるように感じた。」
川上弘美	61歳	△	18	「これは面白い小説だ。そう思いながら読みました。」「推しきれなかったのは、語り手が「ばか（以前も書きましたが、「ばか」は、わたしにとって褒め言葉です）」なはずなのに、要所要所で賢い人物になってしまっているように感じられてしまったからです。」
宮本輝	72歳	■	19	「エンターテインメントとしては読ませる力を持っている。」「しかし、ドタバタ喜劇になってしまっているところもある。間抜けな主人公が最後は人を殺そうとする場面は余計であろう。」
島田雅彦	58歳	△	18	「どっちつかずの男がいよいよ追い詰められ、テロリストに反転するそのモチベーションが今ひとつ他の選考委員には理解されなかったようだが、やけっぱちの一撃に打って出るしかない気分は共有できた。」
松浦寿輝	65歳	△	19	「この作の真の面白さは、越の定まらない「おれ」の不透明な情念の揺れにあり、それが一般通念を食い破って物語の結構をぶち壊すところまで行くさまをぜひ見たかった。」「（引用者注：「デッドライン」「背高泡立草」と共に）選考会ではわたしは、（引用者中略）受賞作とすることに「反対はしない」という立場を表明した。」
堀江敏幸	56歳	■	13	「主人公の友人に託された主張には深く首肯できるのだが、言いたいことを盛り込みすぎて、もっと魅力的なはずの語りの軽みが重くなり、「虚無の黒い穴」に吸い込まれていくように感じられる。」
選評出典：『文藝春秋』令和2年/2020年3月号

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