芥川賞のすべて・のようなもの
第153回
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平成27年/2015年上半期
(平成27年/2015年7月16日決定発表/『文藝春秋』平成27年/2015年9月号選評掲載)
選考委員  宮本輝
男68歳
川上弘美
女57歳
山田詠美
女56歳
小川洋子
女53歳
高樹のぶ子
女69歳
堀江敏幸
男51歳
村上龍
男63歳
島田雅彦
男54歳
奥泉光
男59歳
選評総行数  96 120 89 84 88 84 73 100 95
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
羽田圭介 「スクラップ・アンド・ビルド」
153
男29歳
22 19 13 11 20 18 8 22 14
又吉直樹 「火花」
224
男35歳
30 17 12 16 11 17 41 19 24
内村薫風 「MとΣ」
168
男45歳
4 28 16 5 0 9 0 15 7
島本理生 「夏の裁断」
177
女32歳
18 17 20 9 0 14 24 11 12
高橋弘希 「朝顔の日」
173
男35歳
6 14 14 13 12 13 0 19 19
滝口悠生 「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
138
男32歳
23 16 14 30 14 14 0 14 20
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成27年/2015年9月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員
宮本輝男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
ひたむきさ 総行数96 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
22 「まだこれから長い生が待ち受けている青年と、老いて、家族に負担をかけながら残り少ない年月を生きるしかない老人の、微妙な愛憎をユーモアを交えて描いてみせた。」「このユーモアは作者が企んだものではないと感じさせるのも羽田さんの技量であろうと思い、私は受賞に賛成した。」
又吉直樹
男35歳
30 「受賞作に推した。この作者がいま話題のお笑い芸人であり「火花」はすでに六十万部を超えているとかはまったく関係がない。」「読み始めると、生硬な「文学的」な表現のなかに純でひたむきなものを感じ始めた。」「自分がいま書こうとしている小説に、ひたむきに向き合いつづけた結果として、「火花」のなかにその心があぶりだされたのであろう。」
内村薫風
男45歳
4 「好感を持ったが、最初の投票で過半数には遠く及ばなかった。」
島本理生
女32歳
18 「島本さんが上手な書き手になったことを示す作品である。それだけにかえって内容の幼稚さがあらわになってしまって、私はまったく評価できなかった。」「もっといい小説が書ける人なのに、幼いころのトラウマをひきずる女性の心の奥底にまで踏み込んで行かない。」
高橋弘希
男35歳
6 「なぜいま「サナトリューム小説」なのかという疑問だけが残った。」
滝口悠生
男32歳
23 「主人公がバイクのギアの操作を誤って田圃に落ちたところから無傷で再びツーリングへと戻るまでを、過去への追憶ではなく、現在に起こるなにかによって書いて欲しかった。それを書けたらたいしたものなのだが、追憶でつないだことで凡庸になった気がして推せなかった。」
  「最初の投票で、三作(引用者注:「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」「スクラップ・アンド・ビルド」「火花」)がさほど差のない点数で残った。競馬に譬えれば鼻差であろう。」
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他の選考委員
川上弘美
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
川上弘美女57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
へん 総行数120 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
19 「こういう家族、知っている(というか、自分の家族の中にもこれと同じような感じがあるなあ)と、確かに私は感じたのです。」「(引用者注:「火花」と共に)人間が存在するところにある、矛盾と、喜びと、がっかりと、しょぼい感じと、輝くような何か(それはとてもささやかなものですが)が、(引用者中略)たくさんありました。」
又吉直樹
男35歳
17 「こんな人たち(引用者注:作中の「僕」や「先輩」)と同僚だったり血縁だったり親密な仲になったりしたら大変だよ、と内心でどきどきしながら、それでも好きになったのです。」「(引用者注:「火花」と共に)人間が存在するところにある、矛盾と、喜びと、がっかりと、しょぼい感じと、輝くような何か(それはとてもささやかなものですが)が、(引用者中略)たくさんありました。」
内村薫風
男45歳
28 「ネルソン・マンデラの解放、マイク・タイソンのKO負け、ドラクエIVの発売、(引用者中略)三つのできごとをつないでゆくさまを、ほんのわずかばかり「うまい」と思ってしまったのです。」「「うまい」は、曲者です。(引用者中略)たとえるなら、「人間の記録」ではなく「かわいくないのがかわいいイグアナの観察記録」的なものの方に、小説をいざなってしまう。」
島本理生
女32歳
17 「人間の「へん」を描いていることにかんしては、六作の中で抜きん出ていました。ただ、私には主人公の「あくまで受け身。受け身を解くのはコーチから指示が出た時」という姿勢が、首肯できなかったのです。」
高橋弘希
男35歳
14 「たんねんに彩色された絵を眺めるようでした。」「フィギュアをフィギュアとして成り立たせるのは、生身を差し出すことよりも難しいということを、前作とこの作品を書くことによって、作者は実感しつつあるのではないかと推測します。」
滝口悠生
男32歳
16 「この小説の「うまい」も、曲者なのでは。と、なぜ自分が感じるのかを、実はいまだにうまく分析できません。小説は享受するものであって、分析するものではないとすると、分析を誘うものであること自体に問題があるのかもしれません。」
  「人間は、へんです!(引用者中略)自分の中のさまざまな「へん」を、誰もがささえきれず、苦闘している。小説は、そのおもしろさと困難さ、矛盾と哀楽を、どうにかして描こうとしてきたし、また今も描こうとしているのだと思います。」
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他の選考委員
宮本輝
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
山田詠美女56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数89 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
13 「この作品の中に埋め込まれたセオリー。それは、主人公の浅はかで姑息なアフォリズムをまといながら、その実、生き伸びるのに必要な知恵とユーモアを芯に持つ。介護小説ではないが、高齢化社会の今、読まれるべき。」
又吉直樹
男35歳
12 「ウェル・ダン。これ以上寝かせたら、文学臭過多になるぎりぎりのところで抑えて、まさに読み頃。」「きっと、この作者の心身にも数多くの大事なものが吸収されているんでしょうね。」
内村薫風
男45歳
16 「マンデラ解放にしても、マイク・タイソンの日本でのファイトにしても、知る得ることを書き得るようにしか小説の中に落とし込んでいないので、取って付けたよう。つなぎを入れ忘れた、あるいは、こね方の足りないハンバーグ種みたい。焼いても旨くないってこと。」
島本理生
女32歳
20 「主人公の若い女性作家と〈瞳の奥に妙な影を映し〉て〈女好きする笑みを浮かべ〉た男性編集者の出会い、そして、そのやり取り……これが私にとっては、まるで、ホラーかSFか島耕作か……と呆気にとられる代物なのだ。」「気恥しい台詞が満載。ちりばめられた比喩も大仰。」
高橋弘希
男35歳
14 「この作者は、死と隣り合わせの静謐を美しく描く印象派。けれども今回に限ってはこの時代を選んだのが失敗だったと思う。」「何しろ、この舞台設定、ディテイル、テーマ、すべてにおいて勝る先達の優れた作品が少なからず存在している。」
滝口悠生
男32歳
14 「ジミ・ヘン成分少なすぎ。でも、普通言葉にしないものをあえてしようとする気構えが良い。」「それにしても、近頃、時間フリークな小説が多いね。多いと特別感もない。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
小川洋子女53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
語り手の位置 総行数84 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
11 「評価は、幼稚な健斗をどれだけ受け入れられるかにかかっていた。その上で、とぼけたユーモアのある小説にも、あるいは祖父と孫の間に不気味な闇が立ち上ってくる小説にもなる可能性があった。しかし結局、そのどちらにもなりきれなかったのでは、との思いが残った。」
又吉直樹
男35歳
16 「『火花』の語り手が私は好きだ。」「他人を無条件に丸ごと肯定できる彼だからこそ、天才気取りの詐欺師的理屈屋、神谷の存在をここまで深く掘り下げられたのだろう。『火花』の成功は、神谷ではなく、“僕”を見事に描き出した点にある。」
内村薫風
男45歳
5 「(引用者注:描かれる暴力の理由を)律儀に説明することによって、小説の世界が広がりを失ってしまったように思う。」
島本理生
女32歳
9 「語り手は、隣の老婦人、西藪さんが隠し持ついやらしさを鮮やかにあぶり出す。なのになぜ、自分自身に対してはこれほど盲目的なのだろう。」
高橋弘希
男35歳
13 「高橋さんの描写力は特異だった。死に近づいてゆく妻に対しても、徹底して抑制をかけ、読者の感情を揺さぶろうとはしない。それでいて例えば、妻が千歳飴を叩き折って口に含む場面など、ぞっとする冷気をはらんでいた。」
滝口悠生
男32歳
30 「ほんのわずかの差で(引用者中略)受賞を逃したのは、残念なことだった。」「滝口さんにしか生み出せない独自の光を放っていた。特に、楽器の使われ方が印象深い。過去と楽器が結び付く時、思い出せない空白にあふれている記憶の強度が増し、肉体的な実感を持って時間が動きはじめる。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
高樹のぶ子女69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
男が文学に戻ってきた 総行数88 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
20 「死にたい、と口癖のように言う祖父のために、孫息子は死を叶えてやろうとするが、本当は生にしがみついているのを知る。祖父のずるさがユーモラスでかなしく、ここにある生と死の息苦しさは、日本中に蔓延している社会問題でもある。」
又吉直樹
男35歳
11 「優れたところは他の選者に譲る。私が最後まで×を付けたのは、破天荒で世界をひっくり返す言葉で支えられた神谷の魅力が、後半、言葉とは無縁の豊胸手術に堕し、それと共に本作の魅力も萎んだせいだ。」
内村薫風
男45歳
0  
島本理生
女32歳
0  
高橋弘希
男35歳
12 「前回の候補作「指の骨」では荒々しい表側の戦争と死を描いたが、本作では美しい日本の自然の中で、しかし確実に死に向かう妻の姿を、静謐で精緻な筆で描写している。」
滝口悠生
男32歳
14 「青春のみずみずしい記憶がノスタルジックで新鮮な感動を与えてくれる。」「曖昧な時制や夢妄想に頼るのではなく「わかりやすい構造」で「深い感興」を生み出すことこそ、もっとも困難な文学的試みである。実人生の実感が無ければそれは不可能なことなのだから。」
  「今回はレベルの高い候補作が揃った。」「六編のうち五編が男性作家と思われ、いずれも時代や社会的な状況、時間の流れを意識して書かれている。個の内面が外部世界と繋がっている。」「これは文学にとっても芥川賞にとっても光明だが、それだけ外部世界は逼迫しているということでもある。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
小川洋子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
堀江敏幸男51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
ギアは使わない 総行数84 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
18 「作者は介護レベルをニュートラルからいきなりトップギアに持っていきたいという欲望を巧みに抑えた。この平衡感覚は、むしろ過激なものかもしれない。」
又吉直樹
男35歳
17 「描写の上滑りも、反復の単調さにも彼は気づいている。しかし最後まで歩くことで、身の詰まった浮き袋を手にしえたのだ。あとはその、自分のものではない球体の重みを、お湯の外でどう抱き抱えていくかだろう。」
内村薫風
男45歳
9 「同年同月同日におきた出来事を脳科学の知見に合わせて繋いでみせる興味深い試みだが、言葉じたいに、どちらのギアを使うべきかの迷いが見られる。」
島本理生
女32歳
14 「若い女性作家と得体の知れないところのある編集者との、被害者加害者の境界が曖昧な関係に一種の種明かしがなされたあとでも、胆汁質の言葉の痕がはっきり残される。この得がたい成分を油に使えば、ギアはもっと大きな回転軸を持ちうると思う。」
高橋弘希
男35歳
13 「肺の病巣を直接圧迫して空洞を潰す胸郭形成術の拒否は、スクラップもビルドもしないという宣言だ。世界は完全なニュートラルで、いくらでも人力で牽引できる状態にある。だから逆に、音楽が生まれて来ない。」
滝口悠生
男32歳
14 「現在と過去の出し入れ、冒頭が最後に戻る本作の構造は、まさにロータリー式だ。」「「まだ生まれていない音のために動いて」いる手の動きが、終わりを始めに送り出す。そこに音楽が生まれる。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
村上龍
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
村上龍男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
退廃の萌芽 総行数73 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
8 「共感を覚えなかった。だが作者の技量は高く、他の何人もの選考委員が魅了されたのも理解できる。描かれた世界が、わたしの個人的な好みと合わなかっただけだ。」
又吉直樹
男35歳
41 「「文学」へのリスペクトが感じられ、かつとてもていねいに書かれていて好感を持ったが、積極的に推すことができなかった。」「「長すぎる」と思ったからだ。」「新人作家だけが持つ「手がつけられない恐さ」「不思議な魅力を持つ過剰や欠落」がない。だが、それは、必然性のあるモチーフを発見し物語に織り込んでいくことが非常に困難なこの時代状況にあって、「致命的な欠点」とは言えないだろう。」
内村薫風
男45歳
0  
島本理生
女32歳
24 「わたしは、この作者は、以前にはなかった重要な何かを獲得しているのかも知れないと思った。言葉にすると陳腐になってしまうが、それは「退廃の萌芽」のようなものだ。」「『夏の裁断』には、その(引用者注:魅惑的で危うい退廃の)萌芽のようなものがあり、わたしは静かな興奮を味わうことができた。」
高橋弘希
男35歳
0  
滝口悠生
男32歳
0  
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
島田雅彦
奥泉光
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選考委員
島田雅彦男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
何でも屋羽田君と一発屋又吉君 総行数100 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
22 「羽田圭介得意の論理を畳み掛けてくる語り口は健在だが、実は語り手は天然ぼけでもあるところが笑える。」「前作はSMで、今度は介護かよ、と突っ込みたくもなったが、羽田はあらゆるテーマに対応可能な何でも屋フィガロになったと祝福するしかない。」
又吉直樹
男35歳
19 「寝ても覚めても笑いを取るネタを考えている芸人の日常の記録を丹念に書くことで、図らずも優れたエンターテインメント論に仕上がった。」「漫才二十本分くらいのネタでディテールを埋め尽くしてゆけば、読み応えのある小説が一本仕上がることを又吉は証明したことになるが、今回の「楽屋落ち」は一回しか使えない。」
内村薫風
男45歳
15 「(引用者注:三つの出来事に対する)個人的な記憶を交錯させつつ、その現場に語り手を潜入させる。それでも支離滅裂にならないところは、読者が互いに全く関連のない出来事を並列させる新聞や話題をコロコロ変えるテレビの落ち着きのなさに慣れているせいか?」
島本理生
女32歳
11 「登場人物の薄気味悪さを際立たせる筆は立っているが、自己批評を徹底するべきところをカウンセラーに任せてしまうのはどうかと思う。」
高橋弘希
男35歳
19 「戦前のサナトリウム小説を模造するその精度は優れているが、そこに勝負を賭けようとすれば、評価する方も粗探しを徹底するしかない。高橋弘希には強くいいたい。ある時代を蜃気楼のように捉えるのではなく、もっと正々堂々と歴史小説に挑め、と。」
滝口悠生
男32歳
14 「高校時代の日々を回想する三十男のバラードである。この間に過ぎ去った十五年の歳月への感傷がスタイリッシュな語りによって、浮き彫りにされていて、同世代の人間の共感をおおいに集めるだろう。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
奥泉光
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選考委員
奥泉光男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「青春」をかたる方法 総行数95 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男29歳
14 「方法的なスリルはない単線的な小説で、である以上は、素朴に心を揺さぶるような展開や描写がもっと欲しいとは思ったものの、受賞作に、との声には反対しなかった。」
又吉直樹
男35歳
24 「二人のやりとりと状況説明が交互に現れる叙述はやや平板だ。」「叙情的な描写はあるものの、「小説」であろうとするあまり、笑芸を目指す若者たちの心情の核への掘り下げがなく、何か肝心のところが描かれていない印象をもった。作者の力量は認めつつも、選考会では自分は受賞とすることに反対した」
内村薫風
男45歳
7 「文章にいまひとつ斬れ味を欠くせいか、全体がぼやけた印象になってしまった。」
島本理生
女32歳
12 「出版業界の狭い世界を前提にしすぎている点を含め、自分には理解が難しかった。とはいえ、本作の「私小説」的な叙述ぶりには、伝統の後押しもあって、ある種の迫力を覚えたが、積極的に推すまでには至らなかった。」
高橋弘希
男35歳
19 「前作と同様力量を感じた。だが、いまひとつ狙いが掴みにくい。いや、おそらくは、戦争での大量死に一人の静かな死への過程を対置する、といったあたりなのだろうが、かりにそうだとすれば、やや狙いが不発に終わった感が残念ながら否めなかった。」
滝口悠生
男32歳
20 「推した」「過去の出来事を、ノスタルジーの滑らかな物語に回収せず、出来事と主人公の不安定な距離のなかに浮遊させることで、時間のたしかな手触りを生み出すことに成功している。」「奥行きのある時空のなかで「青春」をかたる方法には刺激を受けた。」
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他の選考委員
宮本輝
川上弘美
山田詠美
小川洋子
高樹のぶ子
堀江敏幸
村上龍
島田雅彦
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受賞者・作品
羽田圭介男29歳×各選考委員 
「スクラップ・アンド・ビルド」
中篇 153
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
22 「まだこれから長い生が待ち受けている青年と、老いて、家族に負担をかけながら残り少ない年月を生きるしかない老人の、微妙な愛憎をユーモアを交えて描いてみせた。」「このユーモアは作者が企んだものではないと感じさせるのも羽田さんの技量であろうと思い、私は受賞に賛成した。」
川上弘美
女57歳
19 「こういう家族、知っている(というか、自分の家族の中にもこれと同じような感じがあるなあ)と、確かに私は感じたのです。」「(引用者注:「火花」と共に)人間が存在するところにある、矛盾と、喜びと、がっかりと、しょぼい感じと、輝くような何か(それはとてもささやかなものですが)が、(引用者中略)たくさんありました。」
山田詠美
女56歳
13 「この作品の中に埋め込まれたセオリー。それは、主人公の浅はかで姑息なアフォリズムをまといながら、その実、生き伸びるのに必要な知恵とユーモアを芯に持つ。介護小説ではないが、高齢化社会の今、読まれるべき。」
小川洋子
女53歳
11 「評価は、幼稚な健斗をどれだけ受け入れられるかにかかっていた。その上で、とぼけたユーモアのある小説にも、あるいは祖父と孫の間に不気味な闇が立ち上ってくる小説にもなる可能性があった。しかし結局、そのどちらにもなりきれなかったのでは、との思いが残った。」
高樹のぶ子
女69歳
20 「死にたい、と口癖のように言う祖父のために、孫息子は死を叶えてやろうとするが、本当は生にしがみついているのを知る。祖父のずるさがユーモラスでかなしく、ここにある生と死の息苦しさは、日本中に蔓延している社会問題でもある。」
堀江敏幸
男51歳
18 「作者は介護レベルをニュートラルからいきなりトップギアに持っていきたいという欲望を巧みに抑えた。この平衡感覚は、むしろ過激なものかもしれない。」
村上龍
男63歳
8 「共感を覚えなかった。だが作者の技量は高く、他の何人もの選考委員が魅了されたのも理解できる。描かれた世界が、わたしの個人的な好みと合わなかっただけだ。」
島田雅彦
男54歳
22 「羽田圭介得意の論理を畳み掛けてくる語り口は健在だが、実は語り手は天然ぼけでもあるところが笑える。」「前作はSMで、今度は介護かよ、と突っ込みたくもなったが、羽田はあらゆるテーマに対応可能な何でも屋フィガロになったと祝福するしかない。」
奥泉光
男59歳
14 「方法的なスリルはない単線的な小説で、である以上は、素朴に心を揺さぶるような展開や描写がもっと欲しいとは思ったものの、受賞作に、との声には反対しなかった。」
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他の候補作
又吉直樹
「火花」
内村薫風
「MとΣ」
島本理生
「夏の裁断」
高橋弘希
「朝顔の日」
滝口悠生
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
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受賞者・作品
又吉直樹男35歳×各選考委員 
「火花」
中篇 224
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
30 「受賞作に推した。この作者がいま話題のお笑い芸人であり「火花」はすでに六十万部を超えているとかはまったく関係がない。」「読み始めると、生硬な「文学的」な表現のなかに純でひたむきなものを感じ始めた。」「自分がいま書こうとしている小説に、ひたむきに向き合いつづけた結果として、「火花」のなかにその心があぶりだされたのであろう。」
川上弘美
女57歳
17 「こんな人たち(引用者注:作中の「僕」や「先輩」)と同僚だったり血縁だったり親密な仲になったりしたら大変だよ、と内心でどきどきしながら、それでも好きになったのです。」「(引用者注:「火花」と共に)人間が存在するところにある、矛盾と、喜びと、がっかりと、しょぼい感じと、輝くような何か(それはとてもささやかなものですが)が、(引用者中略)たくさんありました。」
山田詠美
女56歳
12 「ウェル・ダン。これ以上寝かせたら、文学臭過多になるぎりぎりのところで抑えて、まさに読み頃。」「きっと、この作者の心身にも数多くの大事なものが吸収されているんでしょうね。」
小川洋子
女53歳
16 「『火花』の語り手が私は好きだ。」「他人を無条件に丸ごと肯定できる彼だからこそ、天才気取りの詐欺師的理屈屋、神谷の存在をここまで深く掘り下げられたのだろう。『火花』の成功は、神谷ではなく、“僕”を見事に描き出した点にある。」
高樹のぶ子
女69歳
11 「優れたところは他の選者に譲る。私が最後まで×を付けたのは、破天荒で世界をひっくり返す言葉で支えられた神谷の魅力が、後半、言葉とは無縁の豊胸手術に堕し、それと共に本作の魅力も萎んだせいだ。」
堀江敏幸
男51歳
17 「描写の上滑りも、反復の単調さにも彼は気づいている。しかし最後まで歩くことで、身の詰まった浮き袋を手にしえたのだ。あとはその、自分のものではない球体の重みを、お湯の外でどう抱き抱えていくかだろう。」
村上龍
男63歳
41 「「文学」へのリスペクトが感じられ、かつとてもていねいに書かれていて好感を持ったが、積極的に推すことができなかった。」「「長すぎる」と思ったからだ。」「新人作家だけが持つ「手がつけられない恐さ」「不思議な魅力を持つ過剰や欠落」がない。だが、それは、必然性のあるモチーフを発見し物語に織り込んでいくことが非常に困難なこの時代状況にあって、「致命的な欠点」とは言えないだろう。」
島田雅彦
男54歳
19 「寝ても覚めても笑いを取るネタを考えている芸人の日常の記録を丹念に書くことで、図らずも優れたエンターテインメント論に仕上がった。」「漫才二十本分くらいのネタでディテールを埋め尽くしてゆけば、読み応えのある小説が一本仕上がることを又吉は証明したことになるが、今回の「楽屋落ち」は一回しか使えない。」
奥泉光
男59歳
24 「二人のやりとりと状況説明が交互に現れる叙述はやや平板だ。」「叙情的な描写はあるものの、「小説」であろうとするあまり、笑芸を目指す若者たちの心情の核への掘り下げがなく、何か肝心のところが描かれていない印象をもった。作者の力量は認めつつも、選考会では自分は受賞とすることに反対した」
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他の候補作
羽田圭介
「スクラップ・アンド・ビルド」
内村薫風
「MとΣ」
島本理生
「夏の裁断」
高橋弘希
「朝顔の日」
滝口悠生
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
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候補者・作品
内村薫風男45歳×各選考委員 
「MとΣ」
中篇 168
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
4 「好感を持ったが、最初の投票で過半数には遠く及ばなかった。」
川上弘美
女57歳
28 「ネルソン・マンデラの解放、マイク・タイソンのKO負け、ドラクエIVの発売、(引用者中略)三つのできごとをつないでゆくさまを、ほんのわずかばかり「うまい」と思ってしまったのです。」「「うまい」は、曲者です。(引用者中略)たとえるなら、「人間の記録」ではなく「かわいくないのがかわいいイグアナの観察記録」的なものの方に、小説をいざなってしまう。」
山田詠美
女56歳
16 「マンデラ解放にしても、マイク・タイソンの日本でのファイトにしても、知る得ることを書き得るようにしか小説の中に落とし込んでいないので、取って付けたよう。つなぎを入れ忘れた、あるいは、こね方の足りないハンバーグ種みたい。焼いても旨くないってこと。」
小川洋子
女53歳
5 「(引用者注:描かれる暴力の理由を)律儀に説明することによって、小説の世界が広がりを失ってしまったように思う。」
高樹のぶ子
女69歳
0  
堀江敏幸
男51歳
9 「同年同月同日におきた出来事を脳科学の知見に合わせて繋いでみせる興味深い試みだが、言葉じたいに、どちらのギアを使うべきかの迷いが見られる。」
村上龍
男63歳
0  
島田雅彦
男54歳
15 「(引用者注:三つの出来事に対する)個人的な記憶を交錯させつつ、その現場に語り手を潜入させる。それでも支離滅裂にならないところは、読者が互いに全く関連のない出来事を並列させる新聞や話題をコロコロ変えるテレビの落ち着きのなさに慣れているせいか?」
奥泉光
男59歳
7 「文章にいまひとつ斬れ味を欠くせいか、全体がぼやけた印象になってしまった。」
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他の候補作
羽田圭介
「スクラップ・アンド・ビルド」
又吉直樹
「火花」
島本理生
「夏の裁断」
高橋弘希
「朝顔の日」
滝口悠生
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
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候補者・作品
島本理生女32歳×各選考委員 
「夏の裁断」
中篇 177
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
18 「島本さんが上手な書き手になったことを示す作品である。それだけにかえって内容の幼稚さがあらわになってしまって、私はまったく評価できなかった。」「もっといい小説が書ける人なのに、幼いころのトラウマをひきずる女性の心の奥底にまで踏み込んで行かない。」
川上弘美
女57歳
17 「人間の「へん」を描いていることにかんしては、六作の中で抜きん出ていました。ただ、私には主人公の「あくまで受け身。受け身を解くのはコーチから指示が出た時」という姿勢が、首肯できなかったのです。」
山田詠美
女56歳
20 「主人公の若い女性作家と〈瞳の奥に妙な影を映し〉て〈女好きする笑みを浮かべ〉た男性編集者の出会い、そして、そのやり取り……これが私にとっては、まるで、ホラーかSFか島耕作か……と呆気にとられる代物なのだ。」「気恥しい台詞が満載。ちりばめられた比喩も大仰。」
小川洋子
女53歳
9 「語り手は、隣の老婦人、西藪さんが隠し持ついやらしさを鮮やかにあぶり出す。なのになぜ、自分自身に対してはこれほど盲目的なのだろう。」
高樹のぶ子
女69歳
0  
堀江敏幸
男51歳
14 「若い女性作家と得体の知れないところのある編集者との、被害者加害者の境界が曖昧な関係に一種の種明かしがなされたあとでも、胆汁質の言葉の痕がはっきり残される。この得がたい成分を油に使えば、ギアはもっと大きな回転軸を持ちうると思う。」
村上龍
男63歳
24 「わたしは、この作者は、以前にはなかった重要な何かを獲得しているのかも知れないと思った。言葉にすると陳腐になってしまうが、それは「退廃の萌芽」のようなものだ。」「『夏の裁断』には、その(引用者注:魅惑的で危うい退廃の)萌芽のようなものがあり、わたしは静かな興奮を味わうことができた。」
島田雅彦
男54歳
11 「登場人物の薄気味悪さを際立たせる筆は立っているが、自己批評を徹底するべきところをカウンセラーに任せてしまうのはどうかと思う。」
奥泉光
男59歳
12 「出版業界の狭い世界を前提にしすぎている点を含め、自分には理解が難しかった。とはいえ、本作の「私小説」的な叙述ぶりには、伝統の後押しもあって、ある種の迫力を覚えたが、積極的に推すまでには至らなかった。」
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他の候補作
羽田圭介
「スクラップ・アンド・ビルド」
又吉直樹
「火花」
内村薫風
「MとΣ」
高橋弘希
「朝顔の日」
滝口悠生
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
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候補者・作品
高橋弘希男35歳×各選考委員 
「朝顔の日」
中篇 173
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
6 「なぜいま「サナトリューム小説」なのかという疑問だけが残った。」
川上弘美
女57歳
14 「たんねんに彩色された絵を眺めるようでした。」「フィギュアをフィギュアとして成り立たせるのは、生身を差し出すことよりも難しいということを、前作とこの作品を書くことによって、作者は実感しつつあるのではないかと推測します。」
山田詠美
女56歳
14 「この作者は、死と隣り合わせの静謐を美しく描く印象派。けれども今回に限ってはこの時代を選んだのが失敗だったと思う。」「何しろ、この舞台設定、ディテイル、テーマ、すべてにおいて勝る先達の優れた作品が少なからず存在している。」
小川洋子
女53歳
13 「高橋さんの描写力は特異だった。死に近づいてゆく妻に対しても、徹底して抑制をかけ、読者の感情を揺さぶろうとはしない。それでいて例えば、妻が千歳飴を叩き折って口に含む場面など、ぞっとする冷気をはらんでいた。」
高樹のぶ子
女69歳
12 「前回の候補作「指の骨」では荒々しい表側の戦争と死を描いたが、本作では美しい日本の自然の中で、しかし確実に死に向かう妻の姿を、静謐で精緻な筆で描写している。」
堀江敏幸
男51歳
13 「肺の病巣を直接圧迫して空洞を潰す胸郭形成術の拒否は、スクラップもビルドもしないという宣言だ。世界は完全なニュートラルで、いくらでも人力で牽引できる状態にある。だから逆に、音楽が生まれて来ない。」
村上龍
男63歳
0  
島田雅彦
男54歳
19 「戦前のサナトリウム小説を模造するその精度は優れているが、そこに勝負を賭けようとすれば、評価する方も粗探しを徹底するしかない。高橋弘希には強くいいたい。ある時代を蜃気楼のように捉えるのではなく、もっと正々堂々と歴史小説に挑め、と。」
奥泉光
男59歳
19 「前作と同様力量を感じた。だが、いまひとつ狙いが掴みにくい。いや、おそらくは、戦争での大量死に一人の静かな死への過程を対置する、といったあたりなのだろうが、かりにそうだとすれば、やや狙いが不発に終わった感が残念ながら否めなかった。」
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他の候補作
羽田圭介
「スクラップ・アンド・ビルド」
又吉直樹
「火花」
内村薫風
「MとΣ」
島本理生
「夏の裁断」
滝口悠生
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
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候補者・作品
滝口悠生男32歳×各選考委員 
「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」
短篇 138
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
23 「主人公がバイクのギアの操作を誤って田圃に落ちたところから無傷で再びツーリングへと戻るまでを、過去への追憶ではなく、現在に起こるなにかによって書いて欲しかった。それを書けたらたいしたものなのだが、追憶でつないだことで凡庸になった気がして推せなかった。」
川上弘美
女57歳
16 「この小説の「うまい」も、曲者なのでは。と、なぜ自分が感じるのかを、実はいまだにうまく分析できません。小説は享受するものであって、分析するものではないとすると、分析を誘うものであること自体に問題があるのかもしれません。」
山田詠美
女56歳
14 「ジミ・ヘン成分少なすぎ。でも、普通言葉にしないものをあえてしようとする気構えが良い。」「それにしても、近頃、時間フリークな小説が多いね。多いと特別感もない。」
小川洋子
女53歳
30 「ほんのわずかの差で(引用者中略)受賞を逃したのは、残念なことだった。」「滝口さんにしか生み出せない独自の光を放っていた。特に、楽器の使われ方が印象深い。過去と楽器が結び付く時、思い出せない空白にあふれている記憶の強度が増し、肉体的な実感を持って時間が動きはじめる。」
高樹のぶ子
女69歳
14 「青春のみずみずしい記憶がノスタルジックで新鮮な感動を与えてくれる。」「曖昧な時制や夢妄想に頼るのではなく「わかりやすい構造」で「深い感興」を生み出すことこそ、もっとも困難な文学的試みである。実人生の実感が無ければそれは不可能なことなのだから。」
堀江敏幸
男51歳
14 「現在と過去の出し入れ、冒頭が最後に戻る本作の構造は、まさにロータリー式だ。」「「まだ生まれていない音のために動いて」いる手の動きが、終わりを始めに送り出す。そこに音楽が生まれる。」
村上龍
男63歳
0  
島田雅彦
男54歳
14 「高校時代の日々を回想する三十男のバラードである。この間に過ぎ去った十五年の歳月への感傷がスタイリッシュな語りによって、浮き彫りにされていて、同世代の人間の共感をおおいに集めるだろう。」
奥泉光
男59歳
20 「推した」「過去の出来事を、ノスタルジーの滑らかな物語に回収せず、出来事と主人公の不安定な距離のなかに浮遊させることで、時間のたしかな手触りを生み出すことに成功している。」「奥行きのある時空のなかで「青春」をかたる方法には刺激を受けた。」
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他の候補作
羽田圭介
「スクラップ・アンド・ビルド」
又吉直樹
「火花」
内村薫風
「MとΣ」
島本理生
「夏の裁断」
高橋弘希
「朝顔の日」
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