直木賞のすべて
第10回
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昭和14年/1939年下半期
(昭和15年/1940年2月14日決定発表/『文藝春秋』昭和15年/1940年3月号および『オール讀物』昭和15年/1940年4月号経緯掲載、『文藝春秋』昭和15年/1940年4月号選評掲載)
選考委員  佐藤春夫
男47歳
白井喬二
男50歳
室生犀星
男50歳
大佛次郎
男42歳
瀧井孝作
男45歳
小島政二郎
男46歳
菊池寛
男51歳
佐佐木茂索
男45歳
三上於菟吉
男49歳
久米正雄
男48歳
吉川英治
男47歳
選評総行数  177 87 42 80 163 193          
選評なし 選評なし 選評なし 選評なし 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
堤千代 「小指」
47
女22歳
63 31 18 0 19 148                    
宇井無愁 「お狸さん」
37
男30歳
10 8 0 0 22 0                    
大庭さち子 「妻と戦争」
43
女35歳
7 20 0 0 14 14                    
松坂忠則 「火の赤十字」
204
男38歳
11 13 3 0 10 0                    
岩下俊作 「富島松五郎伝」
158
男33歳
42 12 18 0 78 8                    
  欠席             欠席   欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年10月号再録(初出:『文藝春秋』昭和15年/1940年4月号)
1行当たりの文字数:15字


選考委員
佐藤春夫男47歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数177 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
63 「相当に才能のある作者が偶よく纏ったものを書いたというのを認めるには吝でないまでも授賞が作者の将来まで見通さなければならないとすれば見合した方が適当らしい、と思われたものである。」
宇井無愁
男30歳
10 「しかし生憎と宇井無愁は「お狸さん」だけしか見ていないのでこれ亦双手をあげて賛成の気持にならない。」
大庭さち子
女35歳
7 「文章もすべて常識的なだけに無難としても何やら魅力に欠けた作風のせいか積極的に気が動かない。」
松坂忠則
男38歳
11 「異色のある戦争小説で事実とはいえ作中人物や情景などの活写されたところに写生文風の趣のなかなかに捨て去り難いものがあるではないか。」
岩下俊作
男33歳
42 「百五十枚を通読して後に爽快な気持になっただけでもこの作に賛意を表したが、(引用者中略)果して直木賞のものか芥川賞のものかという論になると判断に困らないではない。」
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他の選考委員
白井喬二
室生犀星
大佛次郎
瀧井孝作
小島政二郎
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選考委員
白井喬二男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数87 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
31 「人情の機微、人間味に委ねて、文学上の時局弄作の跡を、惜しいかな私は、根底に横わる欠陥と見ないでは居られ無かった。」
宇井無愁
男30歳
8 「一種の名人芸に入っていると思うが、推賞する気になれなかった。」
大庭さち子
女35歳
20 「主材は時局物だが、人間心理の普遍性に透徹している所に、此作のはっきりとした存立価値があると思った。」
松坂忠則
男38歳
13 「昨日までの戦争文学を無視し、灰汁を抜いて、何の遅滞もなくタイプして行く。」「戦争小説を文学賞とするに当って点が甘過ぎることは、警戒すべきだと思った。」
岩下俊作
男33歳
12 「鈍重な筆致であり、文学形式としては一種の旧套派であろう。然し強く読む者の魂をゆらいで行く所がある。」
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他の選考委員
佐藤春夫
室生犀星
大佛次郎
瀧井孝作
小島政二郎
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選考委員
室生犀星男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数42 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
18 「たんにいやあな気持であればいいのだが、それ以上にふかく陰惨であることがらが書かれていることは文学の徳にもとるような気がした」
宇井無愁
男30歳
0  
大庭さち子
女35歳
0  
松坂忠則
男38歳
3 「問題になったのは堤千代という人の「小指」、岩下俊作の「富島松五郎伝」の二篇に、「火の十字架」であった。
岩下俊作
男33歳
18 「変化の伴う折返し巻き返したような描写も、たいへん感心した。」
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他の選考委員
佐藤春夫
白井喬二
大佛次郎
瀧井孝作
小島政二郎
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選考委員
大佛次郎男42歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数80 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
0  
宇井無愁
男30歳
0  
大庭さち子
女35歳
0  
松坂忠則
男38歳
0  
岩下俊作
男33歳
0  
  「標準も曖昧になって来るので、銓衡の厳密を期する為には、芥川賞と同じく作品本位にしたいと思う。」
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他の選考委員
佐藤春夫
白井喬二
室生犀星
瀧井孝作
小島政二郎
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選考委員
瀧井孝作男45歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数163 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
19 「手の届く限りくまくままで描いて、控え目なものがないから、読み乍ら余情のうつりが来ず、読んで頭を働かせるたのしさと云うものが全くないと思った。」
宇井無愁
男30歳
22 「この面白い仕組に、読後ふざけたものがのこるから、人物は生のままの味に描いた方が身にしみると思った。」
大庭さち子
女35歳
14 「感情の衝撃どぎつい場面ばかりを並べる仕組は、大衆小説の手かもしれぬが、これは智慧のない浅はかなやり方だと思われた。」
松坂忠則
男38歳
10 「読後、そう感銘は残らない、浅い感じで、創作とか小説とか言えるのではなく、読物としては佳いと思った。」
岩下俊作
男33歳
78 「大衆文芸にこの作品の如き読後の感じの佳い清純な甘味の傾向が開けるならば――この作品は若い未熟でそんな新風のお手本にはなれんが示唆にはなる――と思ったりして、(引用者中略)大衆文芸のために一つのおみやげを差上げるような抱負で、敢えて推薦した。」
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他の選考委員
佐藤春夫
白井喬二
室生犀星
大佛次郎
小島政二郎
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選考委員
小島政二郎男46歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数193 (1行=15字)
候補 評価 行数 評言
堤千代
女22歳
148 「作者が花柳界の女性の心理を捉えて生かし切っているところに、喋っている人の呼吸まで聞えるくらい活写しているところに、僕は感服したのだ。」
宇井無愁
男30歳
0  
大庭さち子
女35歳
14 「感心した。これはテーマ小説である。「五」の小野の言葉には真実があると思った。」
松坂忠則
男38歳
0  
岩下俊作
男33歳
8 「断じて大衆小説ではない。仮りに一歩を譲って、大衆小説だとしても、大衆小説としては優れた作品ではない。」
  「「妻と戦争」も「小指」と同じように芝居に上演されてしまった。その意味で、資格を失った訳である。」「派生的な事情で賞に洩れたと云うことは、僕には不本意至極である。」
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他の選考委員
佐藤春夫
白井喬二
室生犀星
大佛次郎
瀧井孝作
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候補者・作品
堤千代女22歳×各選考委員 
「小指」
短篇 47
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男47歳
63 「相当に才能のある作者が偶よく纏ったものを書いたというのを認めるには吝でないまでも授賞が作者の将来まで見通さなければならないとすれば見合した方が適当らしい、と思われたものである。」
白井喬二
男50歳
31 「人情の機微、人間味に委ねて、文学上の時局弄作の跡を、惜しいかな私は、根底に横わる欠陥と見ないでは居られ無かった。」
室生犀星
男50歳
18 「たんにいやあな気持であればいいのだが、それ以上にふかく陰惨であることがらが書かれていることは文学の徳にもとるような気がした」
大佛次郎
男42歳
0  
瀧井孝作
男45歳
19 「手の届く限りくまくままで描いて、控え目なものがないから、読み乍ら余情のうつりが来ず、読んで頭を働かせるたのしさと云うものが全くないと思った。」
小島政二郎
男46歳
148 「作者が花柳界の女性の心理を捉えて生かし切っているところに、喋っている人の呼吸まで聞えるくらい活写しているところに、僕は感服したのだ。」
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他の候補作
宇井無愁
「お狸さん」
大庭さち子
「妻と戦争」
松坂忠則
「火の赤十字」
岩下俊作
「富島松五郎伝」
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候補者・作品
宇井無愁男30歳×各選考委員 
「お狸さん」
短篇 37
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男47歳
10 「しかし生憎と宇井無愁は「お狸さん」だけしか見ていないのでこれ亦双手をあげて賛成の気持にならない。」
白井喬二
男50歳
8 「一種の名人芸に入っていると思うが、推賞する気になれなかった。」
室生犀星
男50歳
0  
大佛次郎
男42歳
0  
瀧井孝作
男45歳
22 「この面白い仕組に、読後ふざけたものがのこるから、人物は生のままの味に描いた方が身にしみると思った。」
小島政二郎
男46歳
0  
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他の候補作
堤千代
「小指」
大庭さち子
「妻と戦争」
松坂忠則
「火の赤十字」
岩下俊作
「富島松五郎伝」
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候補者・作品
大庭さち子女35歳×各選考委員 
「妻と戦争」
短篇 43
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男47歳
7 「文章もすべて常識的なだけに無難としても何やら魅力に欠けた作風のせいか積極的に気が動かない。」
白井喬二
男50歳
20 「主材は時局物だが、人間心理の普遍性に透徹している所に、此作のはっきりとした存立価値があると思った。」
室生犀星
男50歳
0  
大佛次郎
男42歳
0  
瀧井孝作
男45歳
14 「感情の衝撃どぎつい場面ばかりを並べる仕組は、大衆小説の手かもしれぬが、これは智慧のない浅はかなやり方だと思われた。」
小島政二郎
男46歳
14 「感心した。これはテーマ小説である。「五」の小野の言葉には真実があると思った。」
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他の候補作
堤千代
「小指」
宇井無愁
「お狸さん」
松坂忠則
「火の赤十字」
岩下俊作
「富島松五郎伝」
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候補者・作品
松坂忠則男38歳×各選考委員 
「火の赤十字」
中篇 204
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男47歳
11 「異色のある戦争小説で事実とはいえ作中人物や情景などの活写されたところに写生文風の趣のなかなかに捨て去り難いものがあるではないか。」
白井喬二
男50歳
13 「昨日までの戦争文学を無視し、灰汁を抜いて、何の遅滞もなくタイプして行く。」「戦争小説を文学賞とするに当って点が甘過ぎることは、警戒すべきだと思った。」
室生犀星
男50歳
3 「問題になったのは堤千代という人の「小指」、岩下俊作の「富島松五郎伝」の二篇に、「火の十字架」であった。
大佛次郎
男42歳
0  
瀧井孝作
男45歳
10 「読後、そう感銘は残らない、浅い感じで、創作とか小説とか言えるのではなく、読物としては佳いと思った。」
小島政二郎
男46歳
0  
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他の候補作
堤千代
「小指」
宇井無愁
「お狸さん」
大庭さち子
「妻と戦争」
岩下俊作
「富島松五郎伝」
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候補者・作品
岩下俊作男33歳×各選考委員 
「富島松五郎伝」
中篇 158
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男47歳
42 「百五十枚を通読して後に爽快な気持になっただけでもこの作に賛意を表したが、(引用者中略)果して直木賞のものか芥川賞のものかという論になると判断に困らないではない。」
白井喬二
男50歳
12 「鈍重な筆致であり、文学形式としては一種の旧套派であろう。然し強く読む者の魂をゆらいで行く所がある。」
室生犀星
男50歳
18 「変化の伴う折返し巻き返したような描写も、たいへん感心した。」
大佛次郎
男42歳
0  
瀧井孝作
男45歳
78 「大衆文芸にこの作品の如き読後の感じの佳い清純な甘味の傾向が開けるならば――この作品は若い未熟でそんな新風のお手本にはなれんが示唆にはなる――と思ったりして、(引用者中略)大衆文芸のために一つのおみやげを差上げるような抱負で、敢えて推薦した。」
小島政二郎
男46歳
8 「断じて大衆小説ではない。仮りに一歩を譲って、大衆小説だとしても、大衆小説としては優れた作品ではない。」
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他の候補作
堤千代
「小指」
宇井無愁
「お狸さん」
大庭さち子
「妻と戦争」
松坂忠則
「火の赤十字」
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