生没年月日【注】 | 昭和5年/1930年11月11日~平成19年/2007年5月24日 | |
在任期間 | 第97回~第116回(通算10年・20回) | |
在任年齢 | 56歳7ヶ月~66歳1ヶ月 | |
経歴 | 本名=大庭美奈子、旧姓=椎名。東京・渋谷生まれ。津田塾大学学芸学部英文学科卒。夫のアラスカ赴任に伴い昭和34年/1959年よりアメリカに住み、昭和43年/1968年群像新人文学賞を受賞して作家デビュー。 | |
受賞歴・候補歴 |
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個人全集 | 『大庭みな子全集』全10巻(平成2年/1990年11月~平成3年/1991年9月・講談社刊) 『大庭みな子全集』全25巻(平成21年/2009年5月~平成23年/2011年4月・日本経済新聞出版社刊) |
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芥川賞候補歴 | 第59回受賞 「三匹の蟹」(『群像』昭和43年/1968年6月号) |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 大庭みな子 59歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
清水邦夫 | 53歳 |
○ | 10 | 「候補作の中でいちばん質が高いと思った。」「芝居から小説にとり組んで、独特の世界を描き続け、ある高みに達したように思える清水さんに、今後の展開を期待する気持もある。意見を述べ合いながら、だんだん煮つめていく三度の投票の結果、最初は最高点だったのが、最後の段階で過半数を得なかった。」 |
小川洋子 | 28歳 |
○ | 7 | 「現代社会の風景の中で、多くの人が思い当るに違いない不可思議に空白な部分に敏感な作家である。この賞に値すると思った。」 |
44歳 |
△ | 11 | 「わたしは何度か訪れたことのある中国のべつの部分に関心があり、よい読み手にはなれなかった。しかし、強く推す選者の熱心な支持の言葉を聞いているうちに、なるほどと頷くところもあった。」 | |
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年9月号) |
選考委員 大庭みな子 60歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
福元正實 | 57歳 |
○ | 5 | 「へんな気味悪さとおかしさのある作品で、それが企まれたものか、実際の経験に近いものから素朴に流れ出たものかよくわからない。それにしても魅力のある作品だと思ったが、受賞には及ばなかった。」 |
28歳 |
△ | 5 | 「今度の作品では夢魔の影が固まりつつある気配が強い。今後の作品世界の大胆な跳梁を夢みている。」 | |
「いつの間にか女性の自己主張は当然のものとなって久しいが、今はその美意識が気になる。女性の自己主張を頷かせる新しい美的世界を築く同性作家の出現を夢みている。」 | ||||
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年3月号) |
選考委員 大庭みな子 61歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
30歳 |
○ | 11 | 「現代のキャンパスが眼に浮かぶ情景の中で描かれている。」「ここで描かれている大学の寮生たちの生活は、一九八〇年代のものであろうが、それらの情景が、その昔から変らない青春の姿を映し出していることに感心した。」「傲慢で無力な夢想の溢れた若さというものが、気取りや衒気をも混えながら、ともかくも真面目に追われている。好感が持てた。」 | |
多田尋子 | 59歳 |
○ | 4 | 「これまでにない妙な味を出しているので印象が強かった。及ばなかったのは残念だ。」 |
「今回の選考会では、なんとなく票が割れるような気がしていた。そのわりにはすんなり決った。」「これは、何か大きなものがゆっくりと迂回して進路を変える前の、ひとときの淀みの状態かもしれないと気になっている。」 | ||||
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年3月号) |
選考委員 大庭みな子 61歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
多和田葉子 | 32歳 |
○ | 9 | 「人がそれぞれに全然べつのことを考えている、ということがよくわかる小説である。散乱している台詞はちぐはぐな寂しいものばかりで、それがその人の背後にかかえている世界の手ざわりになっている。」「今回は及ばなかったけれど、それぞれの背後にあるくろぐろとしたものが絡み合って動き出せば、力強い不気味なものになるだろう。」 |
36歳 |
△ | 11 | 「運転士は女の入っている旅行鞄をいつも持ち歩いているが、〈鞄だ。いつも最後はあの鞄になってしまう。自分の頭の中を他人に覗かれでもしたら、どんなに嫌だろうな〉と感じている。現代の生活者には妙なリアリティがある。」 | |
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号) |