生没年月日【注】 | 昭和20年/1945年2月4日~ | |
受賞年齢 | 46歳5ヵ月 | |
経歴 | 本名=宮城谷誠一。愛知県生まれ。早稲田大学文学部卒。師に立原正秋がいる。 | |
受賞歴・候補歴 |
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個人全集 | 『宮城谷昌光全集』全21巻(平成14年/2002年11月~平成16年/2004年7月・文藝春秋刊) | |
直木賞 選考委員歴 |
第123回~第162回(通算20年・40回) |
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サイト内リンク | ▼直木賞受賞作全作読破への道Part2 |
『天空の舟――小説・伊尹伝』(上)(下)
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作品名 別表記 | 目次 ルビ有り「いいん」 | ||||
副題等 | 表紙 「小説・伊尹伝」 背・目次・扉 「――小説・伊尹伝――」 奥付 「―小説・伊尹伝―」 | ||||
印刷/発行年月日 | (上)(下)発行 平成2年/1990年7月27日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行人 天野作市 印刷所 図書印刷株式会社 | ||||
発行所 | 海越出版社(名古屋市) | 形態 | 四六判 上製 | ||
総ページ数 | (上)381 (下)361 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
45字 ×18行 ×1段 |
本文ページ | (上)7~381 (下)7~361 (計730頁) |
測定枚数 | 1324枚 |
書誌
書下ろし
平成3年/1991年1月・海越出版社刊『天空の舟 小説・伊尹伝』(上)(下)
平成5年/1993年9月・文藝春秋/文春文庫『天空の舟 小説・伊尹伝』(上)(下)
平成12年/2000年8月・文藝春秋刊『天空の舟 小説・伊尹伝』(上)(下)
平成15年/2003年6月・文藝春秋刊『宮城谷昌光全集第四巻』所収
候補者 宮城谷昌光 45歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
渡辺淳一 | 57歳 |
■ | 11 | 「小説の仕掛けの大きさと創作意欲には感心した。しかしストーリーを動かすにはそれなりのディテールが必要で、それを無視すると、いわゆる梗概のような痩せた小説になってしまう。」 |
平岩弓枝 | 58歳 |
■ | 12 | 「なかなかの力作で興味深く読みましたが、出て来る人物が、いわゆる中国の歴史小説のパターンになっていて、作者のオリジナリティが生かされていないのが惜しいと思いました。」 |
陳舜臣 | 66歳 |
□ | 29 | 「わずかなとっかかりを、丹念につなぎ合わせ、深いブランクを埋め、壮大な物語を構成した筆力は、端倪すべからざるものがある。」「欲をいえば、文字のなかった世界の「太古の響き」とでもいうべきものを、もっと轟かせてほしかった。」 |
井上ひさし | 56歳 |
◎ | 18 | 「構想は中国古代に材を仰いですこぶる広大、文章は格調高く、かつ融通無碍、しかもそのおもしろさは彼の三国志をさえ凌ぐかとおもわれ、「これは大変な書き手が現われたものだ」と度胆を抜かれた。」「最後まで、この作品と「漂泊者のアリア」(古川薫)との二作受賞にこだわらざるを得なかった。」 |
田辺聖子 | 62歳 |
◎ | 18 | 「私はこの作品も推したのだが、(引用者注:「漂泊者のアリア」との)二作受賞とならなかった。」「不思議な小説だが、イメージが鮮烈で、人間がいきいきしていて、上下二冊だが、巻を措く能わずという面白い作品である。」「意欲的な新人が彗星の如く現れたと大いに楽しく思ったのだが……。期待したい大型新人である。」 |
五木寛之 | 58歳 |
△ | 8 | 「壮大きわまる長篇で、このむずかしい時代に挑んだ宮城谷昌光さんの力業に小説家として羨望の念を禁ずることができなかった。最後まで受賞圏内にとどまったのも当然だろう。」 |
黒岩重吾 | 66歳 |
● | 9 | 「夏王朝となると半分は神話の世界である。私としては、もっと伊尹に焦点を当て、自由奔放に描いて欲しかった。そのせいか、この種の小説に必要な迫力が余り感じられない。」 |
山口瞳 | 64歳 |
△ | 31 | 「凄い人が出てきたもんだと思った。」「初めは(引用者中略)文章に辟易したが、次第にストーリーの面白さで読まされてしまった。」「しかし、私見によれば、これは断じてプロの文章ではない。直木賞はエンターテインメントの文学賞であるのだから、直木賞受賞を狙うならば読み易さということについて一考あってしかるべきだ。」 |
藤沢周平 | 63歳 |
△ | 16 | 「雄大な叙事詩を読んだような読後感が残る作品だった。しかしこの作品には無視出来ない平板さ、風景や登場人物が立体的に立ち上がって来ないという欠点があった。」「とはいうものの、ほとんど史料というものもないはずの古代中国の興亡の姿を、ここまでリアルに描き出した手腕が凡手であるはずがなく、次の作品に大いに期待したい作家である。」 |
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号 |
候補者 宮城谷昌光 46歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
井上ひさし | 56歳 |
△ | 44 | 4点「僕が一番気に入ったのは、資料どころか、文字さえまだない時代に取組まれたことです。文字のない時代を文字にしていくところに、一種、逆説的な面白さ、痛快さが感じられます。」「ただ、今回読み返してみて、はたしてこんなに長く書く必要があったかなという思いもあります。」「この人は、ひとつ、世界をつくった。自分のためにつくったんでしょうね、きっと。」 |
田辺聖子 | 63歳 |
□ | 53 | 4点「(引用者注:直木賞の)選考会で、私はうんと褒めたんですが、今日は一応、四点としておきます。」「ずいぶん長い大きな歴史を、これだけうまく料理してさばけるというのは、並の力量の人ではないと思うんですね。」「ただ、こういう新しき酒は、新しき革袋に入れてほしかった。というのは、文章が司馬(遼太郎)さんそっくりなんです。」 |
野坂昭如 | 60歳 |
● | 56 | 0点「寄席の色物といった印象、小手先きの芸。それはそれでもちろんいいけど、それにしちゃもったいぶっている、味が薄い。」「山口さんご指摘の居丈高な文字。しようがないからこっちも辞書を引いてみたけども、なんのためにこんな字を書かなきゃならないのか。」「この作品は、普通に書いたって、全然かまわないと思います。言葉フェティシズムも作家の個性のうちでしょうけど。」 |
藤沢周平 | 63歳 |
△ | 39 | 4点「この小説は、私、たいへん骨組みの大きい、しっかりした構築物と感じるんです。だけど、全体を通して、よく書かれてはいるけれど、人物とか風景とかが、立体的に浮かんでこないんですね。」「小説というよりは、詩のごときもの、あるいは歴史読物のごときもの、そういう印象が強いんです。」「ただ、(引用者中略)先は、かなり大きな作家になるんじゃないか、そういう予感がしますんでね……。」 |
山口瞳 | 64歳 |
△ | 30 | 3.5点「この作品は、田辺さんと井上さんにお任せしたい。私にはお手上げなんです。評価点をつけることも実際は憚られる。」「一言だけいうと、日本語としてこなれていない言葉の問題です。造語するのはいいんですが、それを評価するかとなると、私はやっぱりいやですね。」「この人には、なんとなく、何かあるんじゃないか、もしかしたら、大化けに化けるんじゃないか、そういった可能性を感じさせるところはあります。」「この人、何が言いたいんだかもよくわからないね。」 |
最終投票 | ||||
選評出典:『小説新潮』平成3年/1991年7月号 |
文量 | |
長篇 | |
章立て | |
上巻「大洪水」「王宮での生活」「南の叛乱」「北からの凶風」「莘邑の危機」「いけにえの使者」「舟の橋」「野人二人」「仲虺暗殺計画」「東方会戦」「商からの脱出」「土笛の少年」「西方の花」「楽園の夢」下巻「湯の訪問」「入貢の使者」「有洛氏の怪」「関龍逢の死」「摯の結婚」「湯を待つ罠」「一大凶変」「夏台の囚人」「陽城の暗闘」「商軍の敗退」「大反攻」「昆吾連邦の崩壊」「鳴條の戦」「桑林の雨」 | |
時代設定 | 場所設定 |
夏王朝~商王朝時代[紀元前16世紀] | 中国 |
登場人物 | |
●伊尹(摯、のち商王朝の宰相) ●桀(夏王、淫虐者) ●妹嬉(有莘氏の娘、のち桀への生贄) ●湯王(商后) ●関龍逢(夏王の臣) ●顎(放浪の葛人) ●仲虺(商后の側近) ●昆吾后(夏王朝を支える有力者) |
『夏姫春秋』(上)(下)(平成3年/1991年4月・海越出版社刊)媒体・作品情報
書誌 書下ろし
平成3年/1991年8月・海越出版社刊『夏姫春秋』(上)(下)
平成7年/1995年9月・講談社/講談社文庫『夏姫春秋』(上)(下)
(上)=平成12年/2000年11月、(下)=平成12年/2000年12月・文藝春秋刊『夏姫春秋』
平成15年/2003年7月・文藝春秋刊『宮城谷昌光全集第五巻』所収
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