選評の概要
97. 98. 99. 100.101. 102. 103. 104. 105.
106. 107. 108. 109. 110.
111. 112. 113. 114. 115.
116. 117. 118. 119. 120.
121. 122. 123. 124. 125.
126. 127. 128. 129. 130.
131. 132. 133. 134. 135.
136. 137. 138. 139. 140.
141. 142.
生没年月日【注】 | 昭和7年/1932年3月15日~令和5年/2023年6月9日 | |
在任期間 | 第97回~第142回(通算23年・46回) | |
在任年齢 | 55歳3ヶ月~77歳9ヶ月 | |
経歴 | 東京生まれ。日本女子大学文学部国文科卒。 | |
受賞歴・候補歴 |
|
|
サブサイトリンク | ||
直木賞候補歴 | 第41回受賞 「鏨師(たがねし)」(『大衆文藝』昭和34年/1959年2月号) |
|
サイト内リンク | ▼小研究-記録(年少受賞) ▼直木賞受賞作全作読破への道Part3 |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 平岩弓枝 55歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
高橋義夫 | 41歳 |
◎ | 17 | 「材料をよく消化しているし、追う者と追われる者の人間像がしっかりしていて、文章も歯切れが良い。今回の候補作品の中では一番、印象に残ったし、読後感も好かった。」「地味なようにみえて、本質的には、大変、派手な作品である。」 |
55歳 |
○ | 8 | 「大作であり、力量からいっても、受賞は当然であろう。時代小説で海洋を舞台とする作品はそう多くはない。白石さんによって、新しい海洋小説がこれからも誕生するのではないかと、たのしみにしている。」 | |
28歳 |
● | 6 | 「才筆かも知れないが、軽いという印象が強かった。」「この作家の本質はこれではなかったような気がする。」 | |
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号 |
選考委員 平岩弓枝 56歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
48歳 |
◎ | 19 | 「西木さんの作品は以前から好きだったが、着想の面白さに対して平仄の合わない部分があってまことに惜しいと思っていた。今回の二作品にはそれがなかった。」「委員の中に、西木さんの前回の候補作品のほうがよいというような声もあったが、私はむしろ、けれんのない今回の作品が西木さんの本領であって欲しいと思っている。」 | |
藤堂志津子 | 39歳 |
◎ | 16 | 「女一人に男二人の関係が乾いた筆致で書けていて面白いと感じた。」「現代の或る女の感覚が作品の中で生きている。」「それにしても「青空」という過去の作品を候補作に並べられたのは、藤堂さんにとって、お気の毒なことだった。」 |
41歳 |
● | 29 | 「核というシリアスな問題を背景においているだけに、国によっては小説だからと笑ってすませてくれないかも知れない。そのことはさておいても、後半、殊に登場人物が都合よく出来すぎているし、構成も荒っぽい。」「メルヘンであれ、冒険であれ、小説は人間を描くことだと私は思っているので、この作品を推す気持にはなれなかった。」 | |
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号 |
選考委員 平岩弓枝 56歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
35歳 |
◎ | 12 | 「長年こつこつと積み上げて来たものが開花したという作品だと感じた。」「苦しいもの、むごたらしいものを描いても投げ出していないのが、この作者の作風だろうと思う。文句なしの受賞で、心からお祝を申し上げる。」 | |
佐々木譲 | 38歳 |
○ | 15 | 「一番、面白く読んだ。」「飛ぶまでを書く紙数が多すぎて、飛んでからがあっけなかったという指摘があり、私も多少、同感だったが、飛行機というのは飛び立ってしまえば速いのだから仕方がないと弁護したくなるくらい、楽しい作品と思ったが、票が集まらなかった。」 |
古川薫 | 63歳 |
○ | 24 | 「面白く読んだ。殊に勝呂という外国駐在の日本人がよく描けていると思った。」「日本の律儀すぎる社会構造の中で息苦しくなっていた主人公が、生きても死んでも関係ないような島の雰囲気の中で、スペイン系の女に半分欺され、半分溺れたような関係になって今様浦島太郎で日を送るのも可笑しかった。」「これは私小説風にもっとねばっこく描いてもよかったのではないかと思った。」 |
39歳 |
□ | 9 | 「主人公の女子大生が憧れている金持の中年の女が、どうにも魅力的には思えないのが不満であった。女子大生の一人よがりが、作者の一人よがりと重ならなければよいと思っている。勿論、この作者の受賞を否定する気持はない。」 | |
「読後感はどれも良かった。この中から受賞作をえらび出すのは、なんだか落とした作品が気の毒だというのが正直のところであった。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 57歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
椎名誠 | 45歳 |
◎ | 13 | 「読み終えた時の印象がさわやかで、好感が持てた」「現在、椎名さんが連載中の作品や、すでに発表されているものを含めての実績が評価されても良いと考えていたが、残念なことに票が集まらなかった。」 |
68歳 |
■ | 27 | 「第三者である狂言作者の口を通して語られている分だけ、登場人物の心理が読者から遠くなって歯がゆい思いをさせられる難点がある。」「権八が小伝を殺すという、いわばこの芝居の大詰を、作者は何故か書かなかった。これは、どう弁解しても、逃げたことになる」「やはり、大詰はきちんと書いてもらいたい。」 | |
43歳 |
● | 41 | 「この作品は最後に読者を裏切っている。」「母親が我が娘を殺害するというのは、滅多にあることではない。異常である。異常が起るのはよくよくの事情が介在したからで、それが納得出来るように書けていないと読者は騙し討ちに遭ったと感じてしまう。」「いやしくも授賞の対象となる作品がそうであってはならないと思ったので、私はこの作品を推さなかった。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 59歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
高橋義夫 | 45歳 |
◎ | 29 | 「推したいと思った。」「如何にも高橋さんらしい素材だが、今までと違うのは、暗さの中の明るさの発見が見事なことである。」「例えば、美しい雪国の四季の描写であり、翁屋旅館の女将と女主人公との交流である。」 |
46歳 |
△ | 9 | 「中国の古代史に取り組んでいる作者の労作であることは充分に評価されてよいと思う一方で、宮城谷さんには歴史をわかりやすく紹介することよりも、人間を描くことにより多くのエネルギーを費して頂きたいと思う。」 | |
41歳 |
■ | 8 | 「気持のいい作品であった。底抜けに明るく、屈託のない主人公達の青春物語には好感が持てたが、楽しい思い出ばかりが強調されて、青春の翳りの部分に筆が及ばないのが物足りなく感じた。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 60歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
内海隆一郎 | 55歳 |
○ | 15 | 「私の心に最後まで残った」「文章が簡潔で描写が行き届いている。登場人物の一人一人に身近かなものを感じたし、そういう意味ではこの風の渡る町は、私自身、長年住んでいる町にも似ているような気がした。」 |
48歳 |
□ | 34 | 「如何にも小説的小説というか、よくも悪くも技巧的という印象を受けた。」「主人公のパートナーの人のいい、気の弱い、しかも誠実な男というのも或るパターンではあった。一つ間違うと、えらく古くさい作品になるのを、そう仕上げなかったのは、作者の腕であり、キャリアであろう。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 62歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
中島らも | 42歳 |
◎ | 12 | 「「永遠も半ばを過ぎて」を推すつもりで選考会に出た。」「この作者独特の巧緻のちりばめ方も見事で嫌味がなく、大変に楽しく読んだ。案に相違したのは、それほど票がまとまらなかったことで、これは今でも意外に思っている。」 |
「ここ数年、なんとなく感じていたことだが、小説としては実に旨い作品が次々と登場するのに、読み終って魂に触れて来るようなものが、次第に薄くなっているような気がしてならない。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 63歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
63歳 |
◎ | 18 | 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「第九十回の直木賞候補作品であった「潮もかなひぬ」が長いこと心に残っていた。」「ただし、私自身は野球に知識がなく、この作品の芯にある狂的な野球に対する熱情が実感出来なかったのは口惜しかった。」 | |
内海隆一郎 | 58歳 |
◎ | 26 | 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「登場人物に生彩がある。」「小料理屋を開業しての悪戦苦闘ぶりに多く筆を費しているが、これも読みごたえがあった。強いて難をいえば、(引用者中略)人間の奥にあるどろどろした毒の部分に触れない点ではないかと思う。とはいえ、それは作者の一つの持味であろうし、私自身はこういう作品が好きである。」 |
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 63歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
藤田宜永 | 45歳 |
◎ | 23 | 「一番、小説らしいと思えた」「穏やかで安定感があり、しかも粋である。」「六話の中では、とりわけ「凱旋門のかぐや姫」が心に残ったし、好きである。」「この作品を最後まで支持出来なかったのは多数決のせいでもあるが、もう一つ、現代の小説の上を流れているエネルギッシュで奇妙なほどの迫力を持った何かがその作品に集結していると、少々の欠点なんぞをはねとばしてしまって読者の心をわしづかみにする。そういった傾向に抗し得なかったようにも思う。」 |
43歳 |
□ | 32 | 「委員の殆んどが指摘したように、主人公の男女が兄妹である必要は全くないと私も思った。(引用者中略)少くとも、この小説では不要というか、マイナスであった。」「けれども、それでも、この作品を受賞からはずせなかったのは、感嘆するほどの作者の筆力、文章力で、結局、私もなんのかのといいながら、その魅力に溺れてしまった。」 | |
47歳 |
△ | 38 | 「主犯の桑野という男が最後にひたすらせりふでその生涯を説明するせいもあって、どうも龍頭蛇尾の人間にしかみえない」「小説の醍醐味を心得すぎるほど心得た作品であり、切れ味が実に見事となると、やっぱり、瑕瑾にこだわる必要はないと判断してしまう。受賞する所以であろう。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 64歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
黒川博行 | 47歳 |
○ | 12 | 「今回の候補作品の中では(引用者中略)一番楽しかった。どの短篇にも現代人の病んでいる部分が鮮やかな背景になっていて、面白く読ませておいて、ぞっとさせる。」 |
38歳 |
△ | 48 | 「鄙びた浄瑠璃をうっとりと聞いているような気分にさせられるのが、坂東さんの語り口の魅力でもあり、同時に小説としての限界があるとすれば、そうした部分でもあろうかと思う。」「芝居でいえば、一幕、二幕と静かに重く語り進んで来たものが、三幕になって前の二つの幕と長さや重さのバランスを取るために突如、大道具の仕掛で多くの登場人物に片をつけて幕を下ろす結果になってしまったような感じを受けた。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 65歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
池上永一 | 27歳 |
○ | 25 | 「一番、作者の心の熱さが伝わって来た」「ピシャーマと少年のかかわり合いにロマンがあり、ギイギイという六本足の豚の存在もユーモラスで大いに笑ってしまった。この作者に必要なのは調べ抜いたことの八十パーセントを捨てて書くという姿勢で、それが成功すると捨てたものが行間に滲み出て来て、書いたよりも更に深く、読者を理解させる。」 |
「(引用者注:一長一短の)短に目をつぶって授賞作として推すことをしなかったのは、迂闊に授賞して短の部分がその作家のさきゆきの致命傷になるのではないかという不安があった故である。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 66歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
重松清 | 35歳 |
◎ | 20 | 「もっとも楽しく読めて、読後感がさわやかだった」「殊に作者の、父親ほどの年代の男達への優しい視線がこの作品を上質のユーモア小説に仕上げていると思う。推察するに、六十以上の男性読者にはそのあたりが不快だったのかも知れない。なんにせよ、私はこの作品を高く評価している。」 |
53歳 |
△ | 18 | 「私小説として読むべきかどうかに問題があるように思った。」「秀れた筆力に違いない。凄いと感じたのは、これだけ底面の社会を書きながら、作品がなんとも品がよいことで、これは作者の人生観と抑制のきいた表現力のたまものだろうか。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 69歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
51歳 |
○ | 18 | 「一つ間違うとレトロと捕えられかねない素材と人間像を作者独特の情感でじっくりと練り上げて、その行間に現代の風をさわやかに流れ込ませている。私はもともと藤田さんの小説が好きで、小粋でダンディな作風を愛好していたのだが「愛の領分」ではそれとは異ったリリシズムを感じて、これはこれはと思っている。」 | |
山之口洋 | 41歳 |
○ | 13 | 「選考委員の票が集まらなかったが、私は楽しく読めた。」「主人公が、かつて自分と一緒に作品を書いた坊やが、主人公から贈られたフランソワ・ヴィヨンの名前で笑劇一座の座長となって作品を書いているのを知るあたり、エスプリがきいていると思ったのだが。」 |
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 70歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
49歳 |
○ | 45 | 「乙川さんは人間の弱い面を描くのが巧い。」「強いほうには目もくれず、ひたすら人間の弱い部分に取り組み続けたようで、それがいつの間にか乙川さんの作品の抒情性の根っこになったような気がする。」「いつの間にか乙川さんは暗さの中の明るさを捕えるのが巧みになっていた。弱さの中の強さを具体的に描く意志を持たれたようだ。鬼に金棒である。」 | |
江國香織 | 38歳 |
○ | 10 | 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「凄い才能をオブラートに包んでさらりと読ませるところが、また凄い。」 |
奥田英朗 | 42歳 |
○ | 11 | 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「軽く書いているようにみせて、実は重いテーマを洒落た切りくちで読ませてくれた。直木賞にふさわしくないという意見もあったが、私はこういう作品が直木賞になってもよいと思っている。」 |
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 72歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
44歳 |
◎ | 29 | 「(引用者注:「イン・ザ・プール」が候補作のとき)どういうわけか票がまとまらず、受賞に至らなかったのを残念に思う気持がずっと尾を引いていた。」「作者が苦労なしにこの五篇を書いたとは考えていないが、よくも悪くも現代の最前線で脚光を浴びている人間をひっぱり出して伊良部先生の前へおいたのは作者の凄腕であり、しかも成功している。」 | |
伊坂幸太郎 | 33歳 |
○ | 5 | 「面白い作品であった。人間描写もうまいし、発想に技がある。受賞作にしてもよい秀作と思った。」 |
46歳 |
△ | 27 | 「久しぶりに骨太の作品を読んだと思った」「取材がよく行き届いているし、行間から山や森の気配が感じられ、読み進むほどに作者の仕掛けた網の中にとりこまれてしまうのが快い。」「但し、ラストで重傷を負った主人公が熊に導かれて村へたどりつくのはリアルに考えると如何なものか。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 73歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
42歳 |
◎ | 13 | 「受賞作となったのは、やはりこの作品が他の候補作より二足も三足も前を走っていたことによろう。」「私が感動したのは「トカビの夜」と「摩訶不思議」、前者にはしみじみとした哀感があり、後者は巧みなユーモアが秀逸である。」 | |
絲山秋子 | 38歳 |
○ | 13 | 「会話の妙に感動した。」「病気を持った男女二人の心の通い合いを九州の自然の中にばらまきながらつむいで行った作者の腕は見事という他はなかった。次の機会には必ず直木賞を受ける作家と思っている。」 |
「今回の候補作品を読み終えて感じたのは、どの作品もこぢんまりとして行儀よくまとまってみえるということであった。」「なかったのは覇気とでもいったらよいのか。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号 |
選考委員 平岩弓枝 73歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
47歳 |
◎ | 31 | 「秀れた棋士が大胆、且つ、細心の注意を払って指し進めた棋譜をみるような構成力も見事ながら、ひたすら人間を描くことと、事件の謎ときが渾然と一つに溶け合っているあたり、作者の実力であろうが、これも、そうしなければと心がけていても容易に成功するものではない。」「受賞作が、これだけ重厚で、奥行きの深さがあると、才智だけで書いた作品はどうしても色褪せてみえてしまう。」 | |
伊坂幸太郎 | 34歳 |
○ | 11 | 「軽く書いているようで、この作品の本質は決して軽くはない。作風は小粋で、人間のとらえ方に柔軟性があってとても楽しく読めた。」「(引用者注:主人公の死神による最終判断が)もう少し「見送り」の作品があってもよろしいのではあるまいか。」 |
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号 |
選考委員 平岩弓枝 76歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
47歳 |
○ | 22 | 「(引用者注:「千両花嫁」と共に)心に残った」「作者の感性と構成力の確かさがよくわかる作品」「人間描写、とりわけ、心の表裏や僅かな動きを捕える表現力に秀れていて、文句なしの受賞作品と思った。」 | |
山本兼一 | 51歳 |
○ | 33 | 「(引用者注:「切羽へ」と共に)心に残った」「大舞台を幕末の京都にして、その中に小さな道具屋を構築し、美人で度胸のすわった女房を持つ、みかけは平凡だが懐の深い主人公をおいたのが第一の成功の鍵。第二には見立てという遊び心のある趣向を商売に生かした着想と、一話に一人ずつ登場させている幕末の有名人の容貌を独特のデフォルメで描写することで新機軸を打ち出したところが作者の腕であろう。」 |
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号 |