生没年月日【注】 | 昭和39年/1964年3月21日~ | |
受賞年齢 | 39歳9ヵ月 | |
経歴 | 東京都生まれ。目白学園女子短期大学国文科卒。出版社勤務ののち、米国デラウェア大学に留学。平成元年に「409ラドクリフ」でフェミナ賞を受賞。児童文学の世界でも数多くの創作、訳がある。父親は随筆家で故人の江國滋。 | |
受賞歴・候補歴 |
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サブサイトリンク |
『落下する夕方』(平成8年/1996年10月・角川書店刊)
書誌 平成11年/1999年6月・角川書店/角川文庫『落下する夕方』
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『神様のボート』(平成11年/1999年7月・新潮社刊)
書誌 平成14年/2002年6月・新潮社/新潮文庫『神様のボート』
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『ウエハースの椅子』(平成13年/2001年1月・角川春樹事務所刊)
書誌 平成16年/2004年5月・角川春樹事務所/ハルキ文庫『ウエハースの椅子』 |
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『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
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作品名 別表記 | 表紙・背 「It's not safe or suitable for swim.」併記 奥付 ルビ有り「およ」「あんぜん」「てきせつ」 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 平成14年/2002年3月10日(第1刷) | ||||
測定媒体発行年月日 | 発行 平成14年/2002年3月20日(第2刷) | ||||
発行者等 | 発行人 川尻勝則 印刷所 凸版印刷株式会社 製本所 加藤製本株式会社 | ||||
発行所 | 株式会社ホーム社(東京都) 発売元 株式会社集英社(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | 装画 松尾たいこ 装丁 坂川栄治+藤田知子(坂川事務所) | ||||
総ページ数 | 207 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
35字 ×16行 ×1段 |
本文ページ | 5~202 (計198頁) |
測定枚数 | 235枚 |
書誌
書下ろし
平成17年/2005年2月・集英社/集英社文庫『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
候補者 江國香織 38歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
黒岩重吾 | 78歳 |
■ | 9 | 「現代の若者の感性が光っている。」「ただラストの方の作品はエッセイで小説とはいえない。私としては本短篇集を候補作品として真剣に論ずる気にはなれなかった。」 |
林真理子 | 48歳 |
● | 17 | 「繊細で美しく、若い女性に人気があるのはとてもよくわかる。けれども私のように、小説というのは登場人物の心にムーブメントを起こし、それを描写していくものだと思っている者にとっては、とても物足りない。この物足りなさが、現代であり、若い女性が求めたものだとわかっていても、私は納得出来ない。」 |
津本陽 | 73歳 |
○ | 10 | 「細部に心配りのゆきとどいた繊細な、短篇集である。この作者の特徴は、一篇ごとに切れ味のいい締めくくりかたをしていることであろう。」 |
渡辺淳一 | 68歳 |
■ | 16 | 「シャープで、かつ飛躍的な言葉で、現代の若者をとらえて刺激的である。だが、いずれも過去からいまの状態を描いているだけで、いまから未来へ発進しない。」「小説はやはり、いまから未来へ動くべきで、その間の人間や人生のうねりと実感を描かなければ、散文の本当の強さは生まれてこないだろう。」 |
阿刀田高 | 67歳 |
△ | 18 | 「一つの完成品である。あかぬけた感性、巧みな表現、目線の確かさ、どれもみごとである。が、スケッチに留まって、小説としての深さに不足を感じてしまう。」「私には直木賞はもっとストーリー性豊かなものであってほしい、という願いがある。受賞に到らなかったのは小説観のちがいかもしれない。」 |
田辺聖子 | 74歳 |
△ | 24 | 「ビーズのように、きらきらした美しい短篇が詰っている。」「こういう小説を待っている読者はいつの時代にもいるし、供給する作家もいるのは、私は、すてきだと思うものだ。」「でもそのうち、ヒロインたちは漠然とした不満がかたまり、快適さの靄を息で吹き払いたくなるかもしれない。」「展開を期待している。」 |
宮城谷昌光 | 57歳 |
△ | 15 | 「(引用者注:この小説の)なかにある語句は時間を包含しているのである。」「江國氏の文からは時の厚みを感じる」 |
五木寛之 | 69歳 |
○ | 15 | 「興味ぶかく読んだ」「詩人としての才能が小説を書く上でマイナスになっていない、めずらしい作家である。」「すでに山本周五郎賞を受けていることもあって受賞を逸したが、それもまたこの人らしいという思いもあった。私は好きな作品である。」 |
北方謙三 | 54歳 |
△ | 14 | 「才気に満ちた、洒落た小説である。」「鋭さも抑制されているので、短篇のいいところが嫌味なく出ていた。小説世界として私は肯定したが、泥臭い情況を潜ったのちの境地、という要素がいくらかは欲しかったという気がした。」 |
平岩弓枝 | 70歳 |
○ | 10 | 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「凄い才能をオブラートに包んでさらりと読ませるところが、また凄い。」 |
井上ひさし | 67歳 |
■ | 33 | 「短篇集というより、スケッチ集成といった方が適切かもしれない。共通しているのは、一人称の語りによる「わたし、わたし」の大安売り。」「若い人たちの夢の報告書として意味があるかもしれないし、文章の快い速度感があって、そこに豊かな才能を感じはするものの、あまりの作意のなさと自己批評の乏しさに半ば呆然とせざるを得ない。」 |
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号 |
候補者 江國香織 38歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
長部日出雄 | 67歳 |
◎ | 99 | 5点「ほぼ文句なし、脱帽して五点をつけさせていただきます。」「一冊の本に収められた十本の短篇が全部書き下ろしで、しかも趣向が全て異なっていて、揃って水準を超えている。」「よく考え抜かれて、徹底的に凝縮されながら、しかも重くない。」「私は小説の楽しみを十分に味わいました。」「実にあっさり書いていて、奥行きが非常にありますよ。」 |
北原亞以子 | 64歳 |
◎ | 39 | 4.5点「江國さんの作品は好き嫌いがわかれるのではないかと思うのですが、私は大好きです。」「江國さんの小説は、細い鉛筆の先を尖らせて書いたような繊細な小説です。」「ただ、私はあとがきは必要なかったと思います。」「私は、作家江國香織に山本賞をあげたい。」 |
久世光彦 | 67歳 |
○ | 29 | 4.5点「シチュエーションとか語り口を変えて、スタイル的にもいろいろ工夫がなされているんだけれども、むしろ相殺しあっていて、どの主人公も同じ女の人に見える。」「短篇集を読んでいる楽しみがもう一つ足りない。」「やっぱり文章がうまいし、表現にも輝きがあって好きです。」 |
花村萬月 | 47歳 |
■ | 31 | 3点「今回は肩の力が抜け過ぎじゃないかと思いました。あまりにもありきたりというか、テレビのトレンディ・ドラマを気取って見せられているような、そんな印象がずっと拭えなかったです。」「才能ある人が自分の才に溺れるというか……。」 |
山田詠美 | 43歳 |
△ | 22 | 2.5点「「不思議ちゃん」って私たちが呼んでいる人種が時々出て来て、それが大人の女を書くときにうまい具合に働く場合と、そうでない場合ですごく差があるんですね。」「たぶん海辺なんかで読んだらロマンティックに読めて、素晴らしい本なのかもしれないけれども、山本周五郎賞という賞にはどうかなと思う」「少女漫画の世界に近いと思う。」 |
選評出典:『小説新潮』平成14年/2002年7月号 |
文量 |
短篇集〔10篇〕 |
泳ぐのに、安全でも適切でもありません | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 鎌倉 |
登場人物 | |
●私(語り手、葉月、無職の男と同居) ●薫子(私の妹、離婚して現在独身) ●母(祖母と同居) |
うんとお腹をすかせてきてね | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●あたし(語り手、美代、会社員) ●国崎裕也(あたしの恋人、広告写真のカメラマン) |
サマーブランケット | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 海のそば |
登場人物 | |
●私(語り手、道子、40代独身) ●大森(大学生) ●まゆき(大森の恋人、大学生) |
りんご追分 | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●あたし(語り手、バー『ねじ』の従業員) ●智也(あたしの同棲相手、無職) ●美樹(あたしの高校時代からの友人、保険外交員) |
うしなう | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●私(語り手、持田、主婦) ●新村由起子(私のボウリング仲間、3人の子供の母親) ●山岸静子(同左、夫が仙台から転勤) ●堤文枝(同左、元アルコール依存症) |
ジェーン | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
1987年 | ニューヨーク |
登場人物 | |
●私(語り手、紘子、無職) ●ジェーン(私の一時のルームメイト) ●向坂(私の学生時代からの恋人、妻帯者) |
動物園 | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●私(語り手、陽子) ●樹(私の息子) ●聖(私の夫、別居中、外車セールスマン) |
犬小屋 | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●私(語り手、主婦) ●郁子(私の兄の元・妻) ●奈津彦(私の夫で、兄の友人) |
十日間の死 | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | フランス・ボルドー |
登場人物 | |
●あたし(語り手、加藤めぐみ、高校生) ●マーク(アメリカ人、ハーレーのライダー) ●ナディア(マークの妻、ワインシャトー経営者の娘) |
愛しいひとが、もうすぐここにやってくる | |
章立て | |
なし | |
時代設定 | 場所設定 |
[同時代] | 東京 |
登場人物 | |
●私(語り手、帽子製作者) ●久紀(私の好きな男、妻帯者) |
『号泣する準備はできていた』(平成15年/2003年11月・新潮社刊)媒体・作品情報
書誌 平成18年/2006年7月・新潮社/新潮文庫『号泣する準備はできていた』 収録作品の書誌 前進、もしくは前進のように思われるもの
初出『小説新潮』平成14年/2002年7月号
平成15年/2003年6月・徳間書店/徳間文庫『短篇ベストコレクション:現代の小説2003』所収
じゃこじゃこのビスケット
初出『小説新潮』平成15年/2003年1月号
『オール讀物』平成16年/2004年3月号
熱帯夜
初出『サントリークォータリー』第70号[平成14年/2002年9月]
煙草配りガール
初出『サントリークォータリー』第68号[平成13年/2001年12月]
『オール讀物』平成16年/2004年3月号
溝
初出『小説新潮』平成14年/2002年10月号
こまつま
初出『サントリークォータリー』第72号[平成15年/2003年4月]
『オール讀物』平成16年/2004年3月号
『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
洋一も来られればよかったのにね
初出『サントリークォータリー』第67号[平成13年/2001年9月]
住宅地
初出『小説新潮』平成15年/2003年4月号
どこでもない場所
初出『サントリークォータリー』第71号[平成14年/2002年12月]
手
初出『サントリークォータリー』第69号[平成14年/2002年5月]
号泣する準備はできていた
初出『小説新潮』平成14年/2002年3月号
そこなう
初出『小説新潮』平成15年/2003年7月号
『オール讀物』平成16年/2004年3月号
平成16年/2004年6月・徳間書店/徳間文庫『短篇ベストコレクション:現代の小説2004』所収
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『神様のボート』に始まる作品全て(平成11年/1999年7月・新潮社刊)
書誌 平成14年/2002年6月・新潮社/新潮文庫『神様のボート』 |
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