選評の概要
123. 124. 125.126. 127. 128. 129. 130.
131. 132. 133. 134. 135.
136. 137. 138. 139. 140.
141. 142. 143. 144. 145.
146. 147. 148. 149. 150.
151. 152. 153. 154. 155.
156. 157. 158. 159. 160.
161. 162. 163. 164. 165.
166. 167. 168. 169. 170.
171.
生没年月日【注】 | 昭和29年/1954年4月1日~ | |
在任期間 | 第123回~(通算24.5年・49回) | |
在任年齢 | 46歳3ヶ月~ | |
経歴 | 山梨県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。 | |
受賞歴・候補歴 |
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処女作 | エッセイ『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(昭和57年/1982年11月・主婦の友社刊) | |
直木賞候補歴 | 第91回候補 「星影のステラ」(『野性時代』昭和59年/1984年1月号) 第92回候補 『葡萄が目にしみる』(昭和59年/1984年11月・角川書店刊) 第93回候補 「胡桃の家」(『小説新潮』昭和60年/1985年3月号) 第94回受賞 「最終便に間に合えば」「京都まで」(昭和60年/1985年11月・文藝春秋刊『最終便に間に合えば』より) |
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サイト内リンク | ▼直木賞受賞作全作読破への道Part2 |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 林真理子 46歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
重松清 | 37歳 |
○ | 17 | 「非常に面白く読んだ。」「新鮮な切り口と筆力とで読みごたえのある一篇に仕上げた。今とてものっている作家らしく、文章の運びもなめらかであったが、受賞にいたらなかったのはまことに残念だ。」 |
56歳 |
□ | 29 | 「いつものことながらぐいぐいとひき込まれていくが、この作品には多少疑問が残った。」「小説の伏線を張るということと、あら筋がわかるということとは違うのではないか。」「最後に、少年の心のよりどころだったほとんどすべての人たちが死ぬのはいかにもつらい。」「船戸さんの実力は疑うべくもないものであるし、こうしたスケールの大きな小説は抗えない魅力に溢れている。」 | |
31歳 |
□ | 32 | 「面白くうまい。」「新人の作家が、作品に自分の持っているすべてを注ぎ込み、全力疾走するのは当然のことだ。が、この「GO」はその注ぎ方が尋常ではない。あまりの濃さに読んでいるこちらがむせそうになったことが何度もある。」「作者がこの一作だけで終ったとしても、「GO」はそれでも仕方ないと思わせるだけの素晴らしさがある。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号 |
選考委員 林真理子 49歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
43歳 |
○ | 19 | 「本当にいい小説であった。大人が子どもの世界を書くのはむずかしい。」「皆から好かれていないクラスメイトを話をする時、友人と思われないように、立つ階段の段をずらす、などという描写が本当にうまい。小説の舞台に月島という場所を選んだところも、成功の要素であった。」 | |
宇江佐真理 | 53歳 |
○ | 22 | 「今回は受賞されるのではないかと思ったのだが、残念な結末となった。」「私のような時代小説の「ニュー読者」からすると、宇江佐さんの描く江戸の風景は充分に魅力的だ。」「宇江佐さん、本当にもう少し、もう少しですよ。これだけのものをお書きになれるのですから、もう少しプロの作家としての緻密さを身につけてください。」 |
39歳 |
■ | 23 | 「この方の初期のものから読んでいるが、いつのまにかこれほど大人の作家としての技倆を身につけられ、堂々とした大作だ。」「きちんと人間をひとりひとり書き分け、大人の過去と苦さを与えている。」「けれども最後の章は、いかにも勉強しました、という意気込みだけで、かなり気持ちをそがれてしまった。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号 |
選考委員 林真理子 49歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
39歳 |
○ | 21 | 「印象に残った。」「洗練されたタッチで、主人公たちの心は実にデリケートに表現されている。けれども私はこの江國ワールドに今回ぬぐいがたい異和感を持った。」「人生の真実の毒を描くというより、うまくツジツマを合わせたという感じがするのである。」 | |
姫野カオルコ | 45歳 |
○ | 18 | 「印象に残った。」「過剰なまでに毒を追い求めていく。前半はここまでしつこく長くなくてもよいと思うし、アフォリズムが時として決まらない時もある。けれども私はこの姫野さんのたくましいモチベーションに圧倒された。」 |
40歳 |
□ | 11 | 「読みやすくなった分だけ京極色が薄れた感もあるが、読者を物語の世界に誘うテクニックは、いつもながらぞくぞくするほど魅力的だ。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号 |
選考委員 林真理子 50歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
37歳 |
◎ | 42 | 「少女の頃からどこかに属していないと、女たちは非常に生きにくいという現実を踏まえながらもこの小説には救いがある。」「女たちの茶飲み話のようなせせこましさを打開するために、いきなり心中を持ってきてスケールを拡げる。こういう技を筆力がない人がやると白けてしまう。若いのに文章修業を積んだ角田さんはらくらくとやり遂げてしまった。」 | |
伊坂幸太郎 | 33歳 |
◎ | 10 | 「角田さんと同じように私が推したのは伊坂幸太郎さんである。」「荒唐無稽さと奇妙なリアリティが混ざり合う伊坂ワールドを今回もたっぷり楽しんだ。本当にセンスのいい作家だと思う。」 |
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号 |
選考委員 林真理子 52歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
三崎亜記 | 36歳 |
◎ | 16 | 「喪失すること、想念という二つのテーマを書き切った。「町が消えた理由がない」という意見もあったが、私はこの理不尽さを表現するために理由は無用だと考えている。」「強く推したのであるが、私の力が足りず、この方の文学をうまく代弁出来なかった。」 |
「若い作家たちが、単に小粒になった、というのではなく、志が別のところにあるような気がして仕方ない」「小説家のサークル化に、若い書店員が後押しをし、それは組織化され、巨大化されていくようである。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号 |
選考委員 林真理子 54歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
47歳 |
◎ | 47 | 「これは文学のひとつの挑戦だと思った。」「性交のシーンは、恋愛小説において心臓部分である。我々作家は、そこをいかにエロティックに、新鮮に描くか苦心する。」「ところがどうだろう、「切羽へ」は、この心臓部分をまるっきり失くしたのだ。そのかわり、指から踵の端まで、神経と血液を張りめぐらした。選び抜かれた比喩、文章のリズム、巧みな心理描写。どれをとっても素晴らしい。当然の受賞であろう。」 | |
和田竜 | 38歳 |
○ | 12 | 「「のぼうの城」の、破天荒な魅力も捨てがたいものがあった。このスピードとダイナミズムは、まさに新しい時代小説であろう。」「私はとても面白く読んだ。」 |
「今回は、読んでいて気持ちよい候補作が揃った。これも時代の流れだろうか。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号 |
選考委員 林真理子 54歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
52歳 |
◎ | 22 | 「直木賞にふさわしい端整で深い作品である。」「こういう一種の“芸道小説”を書く場合は、著者による新しい美意識を出現させることが肝心であるが、山本さんはこれにも成功した。資料を咀嚼し、自分のものにすることでは定評のある著者であるが、またもや実力のほどを見せてくれたようである。」 | |
道尾秀介 | 33歳 |
○ | 14 | 「読み返すとつじつまの合わぬところはいくらでも出てくるが、最後にどんでん返しがあり、読者をほろりとさせる。こんな世の中だからこそ、こんな風にエンターテイメントに徹した一作は貴重だ。」 |
48歳 |
■ | 25 | 「この人の小説との向き合い方は、作家のそれではないような気がする。丁寧で誠実な小説であるが、それが内へ内へとひたすら向かっているのだ。結果「いい小説ではあるが息苦しい」ということになる。」「いくら正しくても隙のない小説は読んでいて疲れる。私などはいちばん看取ってもらいたい人に、会うことも出来ずに死んでいく母親に同情していくことで、やっとひと息ついたのである。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号 |
選考委員 林真理子 55歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
西川美和 | 35歳 |
○ | 40 | 「驚いた。映像の世界で大きな評価を集めている著者が、文学の世界においてもなみなみならぬ才能を持っていたからだ。」「特に最初の小説の緻密さといったらどうだろう。映像出身の人が陥りやすい、文章の荒っぽさがまるでない。初めて異性に性的なものを感じる少女の心の揺れと、緊張感とが実にうまく表現されている。」 |
59歳 |
△ | 21 | 「ベッキーさんの登場が少なくなった分だけ、やや魅力が減ったような気もするが、いちばん安心して読めた。戦前の上流社会をテーマにするというのは、私も何度か挑戦したが、非常にむずかしい。」「しかし北村さんは主人公の女性やその家族も、実に自然にさらりと描いている。」「雪が降りしきるあの日が、ページの上に甦ってくるのはさすがの筆力である。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号 |
選考委員 林真理子 57歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
高野和明 | 46歳 |
◎ | 28 | 「映像出身の作家が陥りがちな、ノベライズめいた粗雑さがなく、視覚的なのである。これほど面白い小説に久しぶりに出会った。よく言われる「頭の体力がある」を通り越して、「頭のアスリート」のようなこの小説こそ直木賞にふさわしいと選考会に臨んだのであるが、文学性が低いということで受賞には至らなかった。」「面白いだけの小説に直木賞はふさわしくないが、この小説は面白いだけでなく実もある。この実こそ文学性というものではなかろうか。」 |
48歳 |
△ | 24 | 「全員から「ぼんやりとした」好感と賛同を持って迎えられたのが、受賞作の「下町ロケット」ではなかっただろうか。私としては登場人物のすべてがステレオタイプなのが気にかかった。」「とはいうものの、この作品の持っている健全さは捨てがたい魅力がある。」「時代と小説とが決して無関係でないとしたら、やはり今の世にふさわしい受賞作だ。」 | |
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年9月号 |
選考委員 林真理子 58歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
57歳 |
◎ | 15 | 「第一に推すつもりで選考会に臨んだ。」「上巻は戦国の世を生き抜く等伯を描いて、まるで冒険小説のような面白さだ。そして下巻は、政治に翻弄され、陰謀と策略の世界に身を置く画家を描ききった。違う色彩で、上下巻を一気に読ませる力はさすがである。」 | |
西加奈子 | 35歳 |
○ | 21 | 「この人はまずセンスがいい。登場人物がすべて魅力的である。」「人の顔のパーツを心の中で動かし、人との距離感を計ろうとする主人公は、何か大きなものが欠落している。最後までそれが埋められない結末は不気味であるが、ほのかなユーモアをたたえている。新しい凄い書き手が現れたものだ。」 |
23歳 |
△ | 24 | 「双手を挙げて賛成というわけにはいかなかった。この作品に出てくる、就活に励む学生たちはおそらく一流大学に通っていると思われる。そこでの会話や悩む様子に、一次選考で落とされる二流、三流校の学生の視点がまるで欠けていることが不満であった。」「小説が「若者の解説書」であってはならない。が、ラストの一連のどんでん返しは見事で、この作品に深みを与えている。」 | |
「直木賞は、今後も第一線で活躍出来る作家に与えられる賞だ。私はそう考えている。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年3月号 |
選考委員 林真理子 59歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
48歳 |
◎ | 43 | 「「ラブレス」をさらに上まわる作品である。廃屋となったラブホテルを、逆まわしにして人間模様を描いているのであるが、それぞれの登場人物のいじましさ、せつなさ、滑稽さというのは何ともいえない。」「この小説を読んでいると、人間を描くのに古い、新しいはない、根源を描けばいいというあたり前のことに気づくのである。しかしひとつ苦言を呈すると、冒頭の短篇が他と比べると格段にレベルが低い。」 | |
伊東潤 | 53歳 |
○ | 18 | 「力わざで描いた作品だ。」「鯨たちは逃げ、挑み、懇願し、絶望して息絶えていくのであるが、それをめぐる人間の人生も緻密に書かれている。今回賞は逃したが、伊東さんの実力はゆるぎないものだと確信を持った。」 |
「今回は桜木紫乃さんや伊東潤さんの二作を推そうと選考会にのぞんだ。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年9月号 |
選考委員 林真理子 64歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
窪美澄 | 52歳 |
○ | 25 | 「東京に近い地方の街で、介護士をしている女性とその恋人を描いたものだ。(引用者中略)絶望もしていなければ、この街を出て行こうという強い野心もない。ほどあいがまことによい書きっぷりで、読後感がとてもよかった。しかし不倫をする東京の男の独白はいらないと思う。」 |
35歳 |
■ | 21 | 「私は強く推すことが出来なかった。」「精神科医でもジャーナリストでもない臨床心理士が、判決の出ていない殺人事件について本を書こうとするのが不自然。」「「女子アナウンサーの試験を受けた日の殺人」というのがキーワードになっているが、(引用者中略)女子アナは自己肯定のカタマリのような職業。殺人者のキャラクターとまるで合っていないのである。」 | |
「今回は受賞作なしか、窪美澄さんの「じっと手を見る」にしようと選考会に臨んだ。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』平成30年/2018年9月号 |
選考委員 林真理子 64歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
41歳 |
◎ | 36 | 「(引用者注:「ベルリンは晴れているか」と共に)二作受賞を推そうと選考会に臨んだ。」「この迫力ある面白さといったらない。主人公の少年少女たちの誰もが魅力的であるし、合いの手といおうか茶々を入れてくる語り部(地霊か)によって、文体はさらに躍動感を増し、ひと息に読めてしまう。」「東京生まれの作者が、沖縄の魂を書ききるためには、大変な資料と取材が必要だったろう。しかしそれを感じさせない。」 | |
深緑野分 | 35歳 |
◎ | 36 | 「(引用者注:「宝島」と共に)二作受賞を推そうと選考会に臨んだ。」「私は以前の候補作「戦場のコックたち」について、「どうして他国の人を書かなくてはならないのか、という疑問が最後まで残る」と感想を持った。が、今回はその異和感がなかった。それは深緑さんが「戦後」という普遍的なものを見事に描いたからだ。」「ミステリーの部分は不要だという意見があったが、私もそう思う。」 |
選評出典:『オール讀物』平成31年/2019年3・4月合併号 |
選考委員 林真理子 65歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
朝倉かすみ | 58歳 |
◎ | 30 | 「(引用者注:「マジカルグランマ」と共に)二作を推そうと選考会にのぞんだ。」「不運のうちに生きてきた中年の男女が、少しずつ距離を縮めていく過程が、実にこまやかに描かれている。何よりも文体が素晴らしく、抑制がきいていながら不思議なリズムがかすかに聞こえてくる。」「しかし選考会では思いの外、票を集めることが出来ず非常に残念であった。」 |
柚木麻子 | 37歳 |
◎ | 15 | 「(引用者注:「平場の月」と共に)二作を推そうと選考会にのぞんだ。」「この作者のいいところが全開となった。ストーリィーテラーとしての才能、ことにハリウッドを巻き込んでの「大風呂敷」には感嘆した。」 |
56歳 |
△ | 18 | 「連作という形はこの作品に合っているのか疑問だ。短篇が完結することによって、小さなうねりがいったんおさまり、巨大なうねりとなってこないのである。また関西弁は芸道ものととても相性がいい。相性がよすぎてやや饒舌となっているのが気になったが、この体を揺らすような文体は大島さんのお手柄であろう。」 | |
「今回の直木賞は、候補の作家が全員女性ということで話題をまいた。が、女性とひと括りにされても、どれも作風が全く違い、選考は楽しく、かつ難しかった。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』令和1年/2019年9・10月合併号 |
選考委員 林真理子 66歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
伊吹有喜 | 51歳 |
◎ | 20 | 「今回は伊吹有喜さんの「雲を紡ぐ」を推そうと決めていた。」「ひとつ間違えると、ありきたりの“お仕事小説”になるところであるが、作者は性急に物語を進めない。ちょうど手織りの布のように、デリケートに少しずつ心が語られていく。」「小説に対する誠実さを持っている作家だと思った。」 |
55歳 |
△ | 14 | 「構成や文章の巧みさはさすがであるが、私がいちばんに推さなかったのは、各章のテイストが似かよっていると感じたからだ。犯罪者も娼婦も、農業をやる男も、みんな強引に馳カラーに染められた。これも作者の力量ゆえのことかもしれない。」 | |
「コロナ禍の中で選考会は、いつもと違い、広い座敷でアクリル板越しに行なわれた。といっても、活発な議論は通常どおりだったと思う。」 | ||||
選評出典:『オール讀物』令和2年/2020年9・10月合併号 |
選考委員 林真理子 70歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
麻布競馬場 | 32歳 |
◎ | 35 | 「強く推した。」「優れた小説がそうであるように、この作品は作者の意図を超え、そして作者が計画したことよりもさらに大きな世界をつくり上げたのではないか。」「一流私大に通う、意識の高い大学生たちのサークルから物語は始まる。」「やがて社会に出た彼らには「ソーシャルグッド」や「地域活性」などというものが開かれていくが、そうしたものに、相変わらず価値を見出そうとする彼らは、空疎で悲しい。」 |
46歳 |
△ | 15 | 「コロナ禍がところどころに用いられているが、その加減のよさが作者の技量を示している。」「どの作品もバラエティにとみ完成度も高い。が「燐光」の一作だけが、かなり唐突な幽霊話で、全体の香気を落としているようで残念であった。」 | |
選評出典:『オール讀物』令和6年/2024年9・10月合併号 |