川越宗一（かわごえそういち）-直木賞受賞作家｜直木賞のすべて

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第162回

＝受賞者＝
川越宗一

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Last Update●[R5]2023/9/21

	Kawagoe Soichi
	生没年月日【注】	昭和53年/1978年☆月☆日～
	受賞年齢	41歳
	経歴	大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。バンド活動を経て会社員として勤めるかたわら、平成30年/2018年に「天地に燦たり」で松本清張賞を受賞してデビュー。
	受賞歴・候補歴	第25回松本清張賞（平成30年/2018年）「天地に燦たり」 \|候補\| 第10回山田風太郎賞（令和1年/2019年）『熱源』第9回本屋が選ぶ時代小説大賞（令和1年/2019年）『熱源』第162回直木賞（令和1年/2019年下期）『熱源』 \|候補\| 第22回大藪春彦賞（平成31年・令和1年/2019年度）『熱源』 \|第5位\| 第17回2020年本屋大賞（令和2年/2020年）『熱源』第18回中央公論文芸賞（令和5年/2023年）『パシヨン』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全12件

第162回受賞

『熱源(ねつげん)』（令和1年/2019年8月・文藝春秋刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	カバー「NETSUGEN」併記　奥付ルビ有り「ねつげん」
印刷/発行年月日	発行令和1年/2019年8月30日（第1刷）
発行者等	発行者大川繁樹　印刷萩原印刷　製本加藤製本　地図製作言語社
発行所	株式会社文藝春秋（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	装画西川真以子　装丁関口聖司
総ページ数	426	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	44字 ×20行 ×1段
本文ページ	3～426 （計424頁）	測定枚数	832枚

書誌

書下ろし

令和4年/2022年7月・文藝春秋／文春文庫『熱源』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　川越宗一　41歳
選考委員		評価	行数	評言
角田光代	52歳	○	30	「作者が描こうとしているのは、場所でも時間でも人種でも史実でもなくて人間だ。」「史実に引きずられて端折りすぎの箇所もあるように感じられたけれど（南極探検隊のところなど）、それでも、史実か否かなどどうでもよくなるような、つまり小説だけが持ち得る躍動感に満ちている。」
宮部みゆき	59歳	◎	16	「風格さえ漂う歴史小説ですが、冒険小説としても面白いので、受賞を機会に多くの若い読者のもとに届いてほしいと思います。」
桐野夏生	68歳	△	22	「文体は簡潔でリズムがあり、描写もうまい。個人的には、流刑になったピウスツキの生涯が劇的だっただけに、主人公ヤヨマネクフがうまく彼に絡まないのが残念だった。」
浅田次郎	68歳	□	29	「一気呵成に読み切るというほどの面白さを備えているとは言い難いにせよ、長い物語を存分に堪能できる、いわば小説らしい小説である。資料を深く読みこんで全体像を把握し、歴史や習俗をストーリーに反映させているから、難しいはずの話がわかりやすい。しかし、長い時間をかけたと思えるこの作品中においても、作家としての進化が明らかなところからすると、はたしてここで受賞することが適切かどうか、という迷いもあった。」
林真理子	65歳	○	30	「群を抜いていた。候補作の中で、いちばん小説らしい小説であった。」「人間にとって民族とは何かという大きな命題に、正面から立ち向かっていく姿勢にも好感を持てる。最初に登場する女性兵士が、最終章を実にうまくひき締めていた。川越さんはまだ二作めということであるが、これだけの長篇を書ける力量はたいしたものだ。」
北方謙三	72歳	△	23	「描かれた時間が長きにわたり、そのため散漫さと緊密さがともにある、という印象を持ってしまった。」「少数民族の絶望的な悲劇の歴史は、実は資料の外にあるのかもしれない、と私は思った。あるいは、資料の行間に。そこを抉り出して欲しかった、という思いも読後に残った。」「全面的な支持をすることはできなかったが、作品全体が放つ熱気は相当なもので、それには圧倒された。」
高村薫	66歳	○	16	「題材にふさわしい小説形式といい、物語を運ぶ構成といい、よく悪くもオーソドックスで安定しており、エンターテインメントの書き手として必要十分の才を感じた。」「小説家としてはまだまだ発展途上と言うほかないが、アイヌ民族の近代史という大きな構えの小説に正攻法で臨む姿勢は、この作者の潜在的な胆力の証だと思う。」
宮城谷昌光	74歳	△	37	「クルニコワ伍長という女性兵士が、唐突に登場し、しかもその時代は日本が終戦を迎える昭和の二十年である。（引用者中略）じつはこの人物はこの後、終章まで登場しない。こういう断絶と接続が本文でもくりかえされる。ゆえに、たいそう読みにくい。」「しかしながら、理外に作者の情熱が赫々とあることもわかり、無視しがたいことも事実なのである。創作的熱源が分散しないかたちの作品であってもらいたかった。」
選評出典：『オール讀物』令和2年/2020年3・4月合併号

文量
長篇
章立て
「序章　終わりの翌日」「第一章　帰還」「第二章　サハリン島」「第三章　録(しる)されたもの」「第四章　日出づる国」「第五章　故郷」「終章　熱源」
時代設定	場所設定
1940年代～1880年代～1920年代	樺太（サハリン）～ベルリン～北海道～サンクトペテルブルグ～リトアニア～ヴラジヴォストーク～東京～ザコパネ～南極など
登場人物
●ヤヨマネクフ（和名〈山辺安之助〉、樺太出身のアイヌ、北海道対雁への移住者） ●キサラスイ（対雁に住む女性、五弦琴の名手） ●バフンケ（樺太アイ村の頭領） ●イペカラ（バフンケの養女） ●チュフサンマ（バフンケの姪） ●ブロニスワフ・ピョトル・ピウスツキ（ポーランド人、サハリン流刑者） ●ユゼフ・クレメンス・ピウスツキ（ブロニスワフの弟） ●金田一京助（アイヌ語研究家、東京帝大学生のち助教授）

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