このページの情報は「芥川賞のすべて・のようなもの」内の「候補作家の群像 角田光代」と同じものです。 | ||
生没年月日【注】 | 昭和42年/1967年3月8日~ | |
在任期間 | 第162回~(通算5年・10回) | |
在任年齢 | 52歳9ヶ月~ | |
経歴 | 神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。昭和63年/1988年、彩河杏(さいかわ・あんず)の筆名でコバルト・ノベル大賞を受賞。ジュブナイル小説を執筆しながら、平成2年/1990年には海燕新人文学賞受賞。 | |
受賞歴・候補歴 |
|
|
サブサイトリンク | ||
直木賞候補歴 | 第128回候補 『空中庭園』(平成14年/2002年11月・文藝春秋刊) 第132回受賞 『対岸の彼女』(平成16年/2004年11月・文藝春秋刊) |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 角田光代 53歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
55歳 |
◎ | 29 | 「迷い犬が、まるで死のにおいを嗅ぎつけるようにあらたな飼い主を得ては、その死を見送っていくという構成が新鮮だった。」「迷い犬を引き取る人間たちは、一様に「利口だ」「賢い犬だ」と口にするが、その利口さ、賢さは、彼らが、いや私たちのだれもが持つことのできない強さとうつくしさである。」「最終的に私は(引用者中略・注:「じんかん」とともに)受賞作として推した」 | |
今村翔吾 | 36歳 |
◎ | 28 | 「勢い、意気込み、迫力に魅せられた。」「この時代、商人の子という設定の九兵衛が、果たしてそのような思想を持ち得るかという疑問の声も上がったが、私は小説世界にまんまと取りこまれた。正義に酔いしれる民の愚かさを繰り返し描きつつも、その民を上から見ることはせず、まさにそのあいだを切り開いて進もうとする小説だと思った。」「最終的に私は(引用者中略・注:「少年と犬」とともに)受賞作として推した」 |
選評出典:『オール讀物』令和2年/2020年9・10月合併号 |
選考委員 角田光代 53歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
56歳 |
○ | 29 | 「候補作のなかでもっとも完成度の高い連作短編集である。」「小説は徹底してちいさきもの、持たざるものに寄り添いつつ、ただの人情話には終始していない。短い枚数ながら物語は二転三転し、けれどかならず、だれしもがささやかな自分の居場所を見つける。」「悲しみと情けなさとが詰まった生のいとしさを、この作品は静かな筆致で描いている。」 | |
伊与原新 | 48歳 |
○ | 25 | 「収録作はすべて秀作揃いだと思った。」「すべての小説がパターン化している感じがあるが、どの短編も、私たちの生きている世界は、見たことのない地球の内部も宇宙も微生物も含めて、なんとうつくしいのだろうと思わせてくれる。」「今回の候補作のなかでもっとも深遠な世界を私に見せてくれた小説集だった。」 |
選評出典:『オール讀物』令和3年/2021年3・4月合併号 |
選考委員 角田光代 55歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
56歳 |
○ | 25 | 「多くを書かず、登場人物たちの断片を切り取って提示し、より深くを読ませる。その手つきは繊細で、かなしみを背負うものへのエンパシーに満ちている。」「『真珠星スピカ』のこっくりさんのくだりは、私には安易に思えたのだけれど、この短編こそすばしいという声も多かった。」 | |
呉勝浩 | 40歳 |
○ | 48 | 「すぐれた小説だと思った」「終盤では、悪に引きずられながらも踏みとどまるぎりぎりの善が描かれている。それは悪の対極にある善ではない。悪にかぎりなく近いところで踏みとどまる善だ。その点がすごい作品だと思ったが、犯人と対峙する刑事が大勢登場し、彼らの内面が描かれることで、緊迫を欠いたという声もあり、残念なことに受賞には至らなかった。」 |
選評出典:『オール讀物』令和4年/2022年9・10月合併号 |