生没年月日【注】 | 昭和15年/1940年5月25日~令和5年/2023年12月5日 | |
受賞年齢 | 48歳1ヵ月 | |
経歴 | 本名=鈴木正昭。秋田県生まれ。早稲田大学教育学部社会科学中退。 | |
受賞歴・候補歴 | ||
サブサイトリンク | ||
処女作 | 『オホーツク諜報船』(昭和55年/1980年7月・角川書店刊) | |
サイト内リンク | ▼直木賞受賞作全作読破への道Part2 |
『オホーツク諜報船』(昭和55年/1980年7月・角川書店刊)媒体・作品情報
書誌 昭和60年/1985年10月・角川書店/角川文庫『オホーツク諜報船』
平成4年/1992年12月・社会思想社/現代教養文庫ベスト・ノンフィクション『オホーツク諜報船』
|
|
「夜の運河」(『別冊文藝春秋』164号[昭和58年/1983年7月])媒体・作品情報
書誌 昭和63年/1988年5月・文藝春秋刊『凍れる瞳』所収
平成3年/1991年5月・文藝春秋/文春文庫『凍れる瞳』所収
|
|
「ユーコン・ジャック」
|
印刷/発行年月日 | 発行 昭和62年/1987年10月30日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行者 加藤勝久 印刷所 信毎書籍印刷株式会社 製本所 株式会社堅省堂 | ||||
発行所 | 株式会社講談社(東京都) | 形態 | 四六判 並製 | ||
装幀/装画等 | 装幀 辰巳四郎 | ||||
総ページ数 | 288 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
43字 ×18行 ×1段 |
本文ページ | 158~288 (計131頁) |
測定枚数 | 228枚 |
書誌
初出『別冊小説現代』昭和61年/1986年秋季号/単行本収録にあたり加筆訂正
平成2年/1990年10月・講談社/講談社文庫『ケープタウンから来た手紙』所収
他の収録作品
「ボード・オブ・トレード・バー」(『別冊小説現代』昭和60年/1985年秋季号)
「寝袋の子守唄」(『別冊小説現代』昭和61年/1986年春季号)
「ケープタウンから来た手紙」(『別冊小説現代』昭和61年/1986年夏季号)
平成28年/2016年10月・集英社刊『冒険の森へ 傑作小説大全9』所収
候補者 西木正明 47歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
山口瞳 | 61歳 |
■ | 13 | 「面白さ(読んでいてワクワクする感じ)では一番だった。」「しかし、全滅を伝えられたアッツ島で、どのようにして捕虜になったのか、どうやって原住民に化けられたのか、どうして麻薬中毒になったのかなど、疑問点が多過ぎた。」 |
黒岩重吾 | 63歳 |
● | 4 | 「主人公が敗戦を知った時からこの小説は始まるべきであろう。」 |
村上元三 | 77歳 |
■ | 16 | 「面白く読んだ。」「二度目に読んだときは、どうも嘘が表面へ出てきて、白々とした気持になった。自分の素性が明らかになる軍隊手牒を、ジャックがこれほど大切にしていたのは何故なのか、大事な点だし、そこを作者は隠している。」 |
陳舜臣 | 63歳 |
● | 12 | 「二十数年、あるいは十数年という歳月が、そこにぽっかりと空いたままである。なにかが遥曳して、それを埋めるような工夫がほしかった。」 |
藤沢周平 | 60歳 |
■ | 11 | 「抽象的な言い方で申しわけないが、終始ノン・フィクションの文章を読んでいるような気がした。書くべきことは書けているが、小説的な感興がいま一歩というほどの意味である。」 |
平岩弓枝 | 55歳 |
● | 13 | 「荒唐無稽を百も承知の上で読者を虚構の世界へ誘い込もうとするものでしょう。この場合、(引用者中略)一ヶ所でも、こんなことは可笑しいと指摘されたら、作者のねらいは挫折してしまいます。」 |
井上ひさし | 53歳 |
■ | 22 | 「〈日本人であることを余儀なくやめなければならなくなった日本人を通して、日本人を考える〉というのが作者の主題であったと思われるが、とするならば、第二の謎(引用者注:インディアンの薬草行商人がなぜコカイン常用者として事故死したのか)の解明こそ大切であったはずである。」 |
田辺聖子 | 59歳 |
■ | 12 | 「題材としては面白いのだが、小説の醗酵度が不足しているように思えた。終り近く、元日本兵の手帖のくだりで、今までの文章と、ふと風合が違い、私としては興を殺がれてしまった。」 |
渡辺淳一 | 54歳 |
● | 5 | 「前半は快調だが、後半になるとご都合主義が目立ち、人物も浮いてしまう。」 |
五木寛之 | 55歳 |
○ | 8 | 「これが受賞作となっても異論はないと思っていた、とだけ言っておこう。小説をつくろう(原文傍点)とするこの作家の意欲を、高く評価して今後を見守りたい。」 |
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号 |
文量 | |
中篇 | |
章立て | |
「1」~「9」 | |
時代設定 | 場所設定 |
同時代~1967年~太平洋戦争中 | 東京~カナダ~アメリカ |
登場人物 | |
●わたし(語り手、会社員) ●ジャック・カムロ(アスバスカン・インデアン、ユーコン川流域の薬商人) ●フランク・オコーナー(元FBI捜査官) ●阿木(B新聞外信部記者) |
「凍れる瞳」「端島の女」
|
作品名 別表記 | 表紙・背 ルビ有り「しば」 奥付 ルビ有り「しば」「ひとみ」 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 昭和63年/1988年5月30日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行者 西永達夫 印刷 凸版印刷 製本 中島製本 | ||||
発行所 | 株式会社文藝春秋(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | 装幀 荒川じんぺい 装画 野原幸夫 | ||||
総ページ数 | 302 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
43字 ×21行 ×1段 |
本文ページ |
|
測定枚数 | 287枚 |
書誌
平成3年/1991年5月・文藝春秋/文春文庫『凍れる瞳』所収
収録作品の書誌
凍れる瞳
初出『オール讀物』昭和63年/1988年5月号
端島の女
初出『別冊文藝春秋』172号[昭和60年/1985年7月]
他の収録作品
「頭領と親友」(『別冊文藝春秋』160号[昭和57年/1982年7月])
「夜の運河」(『別冊文藝春秋』164号[昭和58年/1983年7月])
候補者 西木正明 48歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
黒岩重吾 | 64歳 |
◎ | 39 | 「群を抜いており、」「(引用者注:「凍れる瞳」は)読後に北海道の雲が囁き合うような余韻が感じられたのは作者の人間への愛情のせいである。」「これだけストーリーがたくみだと、普通なら作為を感じるものだが、本作品にはそれがない。」「「端島の女」もなかなかの力作である。この小説の魅力はそこに育った土地と人間の関係が鎖を引きずるように重く描かれているところにある。」 |
陳舜臣 | 64歳 |
△ | 12 | 「ひとくちでいえば、しっかりした作品である。」「前回の候補作とのはばを考えると、西木氏の実力は着実に拡大安定にむかっているといえる。すでに実績を積みあげたのだから、これからは思い切った冒険も試みてほしいとおもう。」 |
村上元三 | 78歳 |
◎ | 29 | 「(引用者注:「凍れる瞳」は)敗戦国の悲しさが、田原の婚約者の良子を通じて語られている。」「「端島の女」は、一人称で書いてあるので、終末で池原の死を知るところが、やや弱くなっているような気がする。しかし、両作とも取材が行きとどいているし、「ユーコン・ジャック」のときに感じた筆力が、すっかり安定している。」 |
田辺聖子 | 60歳 |
○ | 13 | 「うまい小説だというばかりでなく、「端島の女」にはほとんど感動さえした。〈女の一生〉物語の向うに現代日本の宿命的な転変が透けて見える。」「私は二作受賞、ということに不満ではない。」 |
藤沢周平 | 60歳 |
○ | 47 | 「一応受賞圏内の作品を考えて選考会にのぞんだ」「快いおどろきを感じた。」「欠点はあるものの、「凍れる瞳」、「端島の女」はともに人間の体温が感じられる情感ただよう作品になっていた。」「万全の本命作品とは言えなかったが、才能という点では際立っていた。」 |
山口瞳 | 61歳 |
● | 10 | 「事実の面白さはあっても小説的な感動を受けなかった。私の好みで言えば、破綻はあっても前回候補の「ユーコン・ジャック」のほうが好きだ。いずれにしても受賞作は西木さんの作品としてベストのものだとは思われない。」 |
五木寛之 | 55歳 |
■ | 10 | 「私はいまひとつ物足りなさを感じて、強く推さなかった。これも前回の「ユーコン・ジャック」のほうに魅力をおぼえるせいである。」 |
平岩弓枝 | 56歳 |
◎ | 19 | 「西木さんの作品は以前から好きだったが、着想の面白さに対して平仄の合わない部分があってまことに惜しいと思っていた。今回の二作品にはそれがなかった。」「委員の中に、西木さんの前回の候補作品のほうがよいというような声もあったが、私はむしろ、けれんのない今回の作品が西木さんの本領であって欲しいと思っている。」 |
井上ひさし | 53歳 |
◎ | 27 | 「私は推す作品を、景山、西木、小松の三作品に決めていた。」「小説といえど社会の函数であるとする作者の覚悟に心を打たれた。」「とくに『端島の女』の仕掛けはみごと! のひとことに尽きる。」「詩情もあり、この作家はやがて現代日本の叙事詩を書くかもしれない。」 |
渡辺淳一 | 54歳 |
○ | 22 | 「最初から反対意見がなかったように、無難に書かれた小説らしい小説であった。」「わたしの好みからいえば、「端島の女」のほうが、ひたひたと地べたを歩くような女の生きざまが滲んできて心を惹かれたが、いささか盛り上りに欠ける。二作とも、いま一つの感はあるが、手堅い人であり、受賞に異論はない。」 |
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号 |
文量 |
短篇〔2篇〕 |
凍れる瞳 | |
章立て | |
「一、昭和六十三年一月十二日」「二、昭和二十一年六月十七日」「三、昭和二十一年六月二十日」「四、昭和二十一年六月二十六日」「五、昭和二十一年八月二十九日」「六、昭和二十一年九月二十七日」「七、昭和二十二年七月二十九日」「八、昭和八年七月三十日」「九、昭和二十二年七月二十九日」「十、昭和六十三年一月十二日」 | |
時代設定 | 場所設定 |
昭和21年/1946年、昭和63年/1988年 | 北海道・旭川~美瑛~東京 |
登場人物 | |
●藤堂良子(旅館の娘) ●ヴィクトル・スタルヒン(元・旭川中学野球部の投手、戦後CIC部隊所属通訳) ●田原完次(良子の婚約者、捕虜収容所長、元・野付牛中学野球部の投手) |
端島の女 | |
章立て | |
「1」~「7」 | |
時代設定 | 場所設定 |
昭和30年代~[同時代] | 長崎・端島~東北・湯の沢 |
登場人物 | |
●あたし(語り手、諄子) ●岡部貞幹(諄子の父親、炭坑夫) ●岡部サト(諄子の母親) ●池原耕作(諄子の夫、発破作業員) |