芥川賞のすべて・のようなもの
第20回
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昭和19年/1944年下半期
(昭和20年/1945年2月8日決定発表/『文藝春秋』昭和20年/1945年3月号選評掲載)
選考委員  佐藤春夫
男52歳
岸田國士
男54歳
火野葦平
男38歳
河上徹太郎
男43歳
横光利一
男46歳
瀧井孝作
男50歳
川端康成
男45歳
片岡鐵兵
男51歳
選評総行数  17 22 11 15 14 12 13  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
清水基吉 「雁立」
55
男26歳
17 13 11 15 7 8 5    
国枝治 「技術史」
97
男34歳
0 9 0 0 3 0 0    
川村公人 「盆栽記」
73
男33歳
2 0 0 0 3 0 6    
木暮亮 「おらがいのち」
69
男48歳
2 0 0 0 4 0 0    
金原健児 「春」
85
男(39歳)
0 2 0 0 0 0 5    
  欠席
書面回答
          欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和20年/1945年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
佐藤春夫男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
17 「素直に美しい作品ではありませんか。格別な言挙のないのも好もしいと思います。」「若々しいが浮薄ではなく品の悪くないのも有難いのです。なる程女主人公はじめ何者も十分に描けていないなどの非難はありましょう。しかし本来が描く人ではなく歌う人らしく亦歌うべき取材らしいから、これはただ欠点とのみ見ないで一つの特色と言えないでしょうか。」「要は手法や作者の気質のなかに日本文学の伝統を見るのを喜ぶのです。」「僕は「雁立」のみずみずしさを採りたいと思います。」
国枝治
男34歳
0  
川村公人
男33歳
2 「老成ながら魅力の乏しい」
木暮亮
男48歳
2 「老成ながら魅力の乏しい」
金原健児
男(39歳)
0  
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他の選考委員
岸田國士
火野葦平
河上徹太郎
横光利一
瀧井孝作
川端康成
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選考委員
岸田國士男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
13 「十分に傑れたところは認めるが、これを今日取り立てて世間に吹聴しようという風には考えなかった。」「たしかに、若い俳詩人の将来は私も楽しみだ。ただ「生活」の意味をこの作者はどう解しているのか。作品を通じての不安がそこから来るのを私はどうしようもなかった。」
国枝治
男34歳
9 「いま特に推奨したいと思った」「観念的と云えば観念的であり、啓蒙的すぎる(文学の本道でないという意味)と云えばそうも云えるが、(引用者中略)立派に一国民としての感懐を作家の情熱と融合させた才能と努力とを、私は高く評価したいと思う。」
川村公人
男33歳
0  
木暮亮
男48歳
0  
金原健児
男(39歳)
2 「ある意味では面白く、」
  「私の手許に送られて来た作品は、いずれもなかなか佳いものであった。」
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他の選考委員
佐藤春夫
火野葦平
河上徹太郎
横光利一
瀧井孝作
川端康成
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選考委員
火野葦平男38歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数11 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
11 「前作(引用者注:「雨絃記」)よりもすっきりしていて、なによりも気品にあふれていることが、このごろのようにざわついた空気のなかにあって棄てがたい。尤も私にはこの作品自体には書きだしの戦場の部分やら、その文体などにいくらか賛成しがたいものがあったけれども、この作家がこれからよい仕事をする人であろうということは信用することができるのである。」
国枝治
男34歳
0  
川村公人
男33歳
0  
木暮亮
男48歳
0  
金原健児
男(39歳)
0  
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他の選考委員
佐藤春夫
岸田國士
河上徹太郎
横光利一
瀧井孝作
川端康成
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選考委員
河上徹太郎男43歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数15 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
15 「当選ときまって見ると、こんな的確な抒情味の作品が久し振に芥川賞にはいったという感が強く感じられて、心たのしかった。」「然し私は最初から何となく此の作品を入選作として推薦するのを躊躇していた。此の、抒情の、一方的な、手放しの奔出の中に、何か一人できめ込んだ、思い上ったものがありはしないかという疑念である。」「例えば、これ程打ち込んで描いた少女の相貌が読後一向私が眼に残らないのはどうしたことか?」
国枝治
男34歳
0  
川村公人
男33歳
0  
木暮亮
男48歳
0  
金原健児
男(39歳)
0  
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他の選考委員
佐藤春夫
岸田國士
火野葦平
横光利一
瀧井孝作
川端康成
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選考委員
横光利一男46歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数14 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
7 「若い年齢線が登場して来たようである。」「絵画的な作風の多い中に、風切のかすめ通る羽音のような風韻をひびかせて来たのが、今回の授賞点となった。初めは委員たちの意見も喰い違い不揃いだったのも、漸次に焦点が締めすぼまり、やがて、この作に落ちついて動かなくなった。」
国枝治
男34歳
3 「卓抜な話題の面白さを充実させる技術に不足があり、」
川村公人
男33歳
3 「入念の作、父子二代の盆栽に集めた作者の意識は正統だが、展開の途切れた難が額ぶちを蹴脱し、惜しい美しさで記憶に残った。」
木暮亮
男48歳
4 「光沢の乏しさが、結構の円満さをついに終りまで沈ませた。私はこの作の浮き上る事を望んだが、刻んだ一茶の仏像は、あまりに重すぎたようである。」
金原健児
男(39歳)
0  
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他の選考委員
佐藤春夫
岸田國士
火野葦平
河上徹太郎
瀧井孝作
川端康成
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選考委員
瀧井孝作男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数12 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
8 「推薦される事になって、思直してこれに不賛成は云わず措いた。」「(引用者注:「雨絃記」に比べて)そんなに厭味な所はないが、正確に描く方よりも歌う方が多い、綾が多すぎて弱いと思ったけれども作ることはなかなかうまい作家だと思った。」
国枝治
男34歳
0  
川村公人
男33歳
0  
木暮亮
男48歳
0  
金原健児
男(39歳)
0  
  「こんど読んだものの中では、特別にこの一篇を推薦したいと思える程のものはなかった。」「つまらぬ作品の受賞という事は芥川賞の名折れにもなると思って、今回は一度休んでもよいかと思った。」
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他の選考委員
佐藤春夫
岸田國士
火野葦平
河上徹太郎
横光利一
川端康成
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選考委員
川端康成男45歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
総行数13 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
清水基吉
男26歳
5 「今度の自分は極素直に(引用者中略)推薦と定めて、迷うこともなく、考えることすらなかった。清風の楽しさだった。従来銓衡に当って屡経験したような、材題の重量と作家の稟質との間の不安な橋に立って意識的に押渡るという必要もなかった。」
国枝治
男34歳
0  
川村公人
男33歳
6 「自分が迷いまた考えたのは、(引用者中略・注:「春」か「盆栽記」かを)「雁立」と共に授賞したい心残りの問題だった。」「盆栽の精神を書連ね過ぎて読後の余韻にその精神が案外薄れる」
木暮亮
男48歳
0  
金原健児
男(39歳)
5 「自分が迷いまた考えたのは、(引用者中略・注:「春」か「盆栽記」かを)「雁立」と共に授賞したい心残りの問題だった。」「見えやすい難癖を寧ろ庇いたい好意を持たずにいられなかった。作品の人柄が実厚である。」
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他の選考委員
佐藤春夫
岸田國士
火野葦平
河上徹太郎
横光利一
瀧井孝作
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受賞者・作品
清水基吉男26歳×各選考委員 
「雁立」
短篇 55
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男52歳
17 「素直に美しい作品ではありませんか。格別な言挙のないのも好もしいと思います。」「若々しいが浮薄ではなく品の悪くないのも有難いのです。なる程女主人公はじめ何者も十分に描けていないなどの非難はありましょう。しかし本来が描く人ではなく歌う人らしく亦歌うべき取材らしいから、これはただ欠点とのみ見ないで一つの特色と言えないでしょうか。」「要は手法や作者の気質のなかに日本文学の伝統を見るのを喜ぶのです。」「僕は「雁立」のみずみずしさを採りたいと思います。」
岸田國士
男54歳
13 「十分に傑れたところは認めるが、これを今日取り立てて世間に吹聴しようという風には考えなかった。」「たしかに、若い俳詩人の将来は私も楽しみだ。ただ「生活」の意味をこの作者はどう解しているのか。作品を通じての不安がそこから来るのを私はどうしようもなかった。」
火野葦平
男38歳
11 「前作(引用者注:「雨絃記」)よりもすっきりしていて、なによりも気品にあふれていることが、このごろのようにざわついた空気のなかにあって棄てがたい。尤も私にはこの作品自体には書きだしの戦場の部分やら、その文体などにいくらか賛成しがたいものがあったけれども、この作家がこれからよい仕事をする人であろうということは信用することができるのである。」
河上徹太郎
男43歳
15 「当選ときまって見ると、こんな的確な抒情味の作品が久し振に芥川賞にはいったという感が強く感じられて、心たのしかった。」「然し私は最初から何となく此の作品を入選作として推薦するのを躊躇していた。此の、抒情の、一方的な、手放しの奔出の中に、何か一人できめ込んだ、思い上ったものがありはしないかという疑念である。」「例えば、これ程打ち込んで描いた少女の相貌が読後一向私が眼に残らないのはどうしたことか?」
横光利一
男46歳
7 「若い年齢線が登場して来たようである。」「絵画的な作風の多い中に、風切のかすめ通る羽音のような風韻をひびかせて来たのが、今回の授賞点となった。初めは委員たちの意見も喰い違い不揃いだったのも、漸次に焦点が締めすぼまり、やがて、この作に落ちついて動かなくなった。」
瀧井孝作
男50歳
8 「推薦される事になって、思直してこれに不賛成は云わず措いた。」「(引用者注:「雨絃記」に比べて)そんなに厭味な所はないが、正確に描く方よりも歌う方が多い、綾が多すぎて弱いと思ったけれども作ることはなかなかうまい作家だと思った。」
川端康成
男45歳
5 「今度の自分は極素直に(引用者中略)推薦と定めて、迷うこともなく、考えることすらなかった。清風の楽しさだった。従来銓衡に当って屡経験したような、材題の重量と作家の稟質との間の不安な橋に立って意識的に押渡るという必要もなかった。」
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他の候補作
国枝治
「技術史」
川村公人
「盆栽記」
木暮亮
「おらがいのち」
金原健児
「春」
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候補者・作品
国枝治男34歳×各選考委員 
「技術史」
短篇 97
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男52歳
0  
岸田國士
男54歳
9 「いま特に推奨したいと思った」「観念的と云えば観念的であり、啓蒙的すぎる(文学の本道でないという意味)と云えばそうも云えるが、(引用者中略)立派に一国民としての感懐を作家の情熱と融合させた才能と努力とを、私は高く評価したいと思う。」
火野葦平
男38歳
0  
河上徹太郎
男43歳
0  
横光利一
男46歳
3 「卓抜な話題の面白さを充実させる技術に不足があり、」
瀧井孝作
男50歳
0  
川端康成
男45歳
0  
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他の候補作
清水基吉
「雁立」
川村公人
「盆栽記」
木暮亮
「おらがいのち」
金原健児
「春」
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候補者・作品
川村公人男33歳×各選考委員 
「盆栽記」
短篇 73
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男52歳
2 「老成ながら魅力の乏しい」
岸田國士
男54歳
0  
火野葦平
男38歳
0  
河上徹太郎
男43歳
0  
横光利一
男46歳
3 「入念の作、父子二代の盆栽に集めた作者の意識は正統だが、展開の途切れた難が額ぶちを蹴脱し、惜しい美しさで記憶に残った。」
瀧井孝作
男50歳
0  
川端康成
男45歳
6 「自分が迷いまた考えたのは、(引用者中略・注:「春」か「盆栽記」かを)「雁立」と共に授賞したい心残りの問題だった。」「盆栽の精神を書連ね過ぎて読後の余韻にその精神が案外薄れる」
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他の候補作
清水基吉
「雁立」
国枝治
「技術史」
木暮亮
「おらがいのち」
金原健児
「春」
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候補者・作品
木暮亮男48歳×各選考委員 
「おらがいのち」
短篇 69
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男52歳
2 「老成ながら魅力の乏しい」
岸田國士
男54歳
0  
火野葦平
男38歳
0  
河上徹太郎
男43歳
0  
横光利一
男46歳
4 「光沢の乏しさが、結構の円満さをついに終りまで沈ませた。私はこの作の浮き上る事を望んだが、刻んだ一茶の仏像は、あまりに重すぎたようである。」
瀧井孝作
男50歳
0  
川端康成
男45歳
0  
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他の候補作
清水基吉
「雁立」
国枝治
「技術史」
川村公人
「盆栽記」
金原健児
「春」
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候補者・作品
金原健児男(39歳)×各選考委員 
「春」
短篇 85
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男52歳
0  
岸田國士
男54歳
2 「ある意味では面白く、」
火野葦平
男38歳
0  
河上徹太郎
男43歳
0  
横光利一
男46歳
0  
瀧井孝作
男50歳
0  
川端康成
男45歳
5 「自分が迷いまた考えたのは、(引用者中略・注:「春」か「盆栽記」かを)「雁立」と共に授賞したい心残りの問題だった。」「見えやすい難癖を寧ろ庇いたい好意を持たずにいられなかった。作品の人柄が実厚である。」
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他の候補作
清水基吉
「雁立」
国枝治
「技術史」
川村公人
「盆栽記」
木暮亮
「おらがいのち」
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