芥川賞のすべて・のようなもの
第21回
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昭和24年/1949年上半期
(昭和24年/1949年6月25日決定発表/『文藝春秋』昭和24年/1949年9月号選評掲載)
選考委員  舟橋聖一
男44歳
川端康成
男50歳
岸田國士
男58歳
石川達三
男43歳
丹羽文雄
男44歳
坂口安吾
男42歳
佐藤春夫
男57歳
瀧井孝作
男55歳
宇野浩二
男57歳
選評総行数  82 24 23 74 90 20 31 64 88
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
由起しげ子 「本の話」
66
女48歳
16 5 6 11 11 12 4 13 20
小谷剛 「確証」等
203
男24歳
40 8 4 13 6 8 5 10 13
光永鐵夫 「雪明り」
137
男47歳
20 3 2 8 19 0 11 23 8
真鍋呉夫 『サフォ追慕』等
563
男29歳
3 4 4 6 6 0 4 0 9
峰雪栄 「煩悩の果」等
148
女32歳
6 3 6 22 22 2 5 0 11
鈴木楊一 「北農地」
69
男28歳
0 2 2 9 6 0 0 0 9
藤枝静男 「イペリット眼」
98
男41歳
11 2 2 10 13 0 2 13 9
中村八朗 「桑門の街」
114
男35歳
0 0 0 0 0 0 3 0 0
江口榛一 「未練」
40
男35歳
5 0 0 0 0 0 0 0 0
松村泰太郎 「八日間」
76
男40歳
0 0 0 8 2 0 0 0 0
井上孝 「青い垢」
162
男33歳
0 0 0 0 2 0 0 0 0
伊藤市太郎 --
男(不明)
0 0 0 0 2 0 0 0 0
野村尚吾 --
男37歳
0 0 0 0 1 0 0 0 0
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和24年/1949年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
舟橋聖一男44歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
由起・小谷の連賞式 総行数82 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
16 「可もなく不可もないという作風」「この人に、十六点という高点が集り、当選確実となった。」「私は、まだ、由起しげ子の取り澄ましたような気品は、信用していない。且つ、この婦人が、高名な画伯の夫人だと聞いて、よけい、賞をやりたくなくなった。」「ふしぎにも、全委員一致の声として、この夫人一人の受賞には、不賛成が唱えられた。」
小谷剛
男24歳
40 「二点(引用者中略)として投票した。」「狙いが低く、文章にも、丹羽文雄や北條誠を、模倣している様なところがあるので、それが気になっていた。」「瀧井さんや川端さんが、小谷をきらいなのは、よくわかる。それは、悪達者で、はったりが多く、興味のもち方が低い点で、カンベンがならぬのであろう。そう思ったので、私は、却て、小谷を推してやりたくなった。」「ドンドン書いている中に、狙いが高くなって行くかもしれない。或は、注文が殺到するうちに、堕落の淵に沈むかもしれない。つまり、海のものとも、山のものとも、定まらない。」「だからといって、いつも、落選していては、小谷のような人の、浮かび出る道はないわけだ。」
光永鐵夫
男47歳
20 「投票は「本の話」と「雪明り」に集っていた。」「私には、この連賞(引用者注:「本の話」と「雪明り」への授賞)には、絶対反対であった。」「(引用者注:「本の話」の)連賞の相手が、光永では、あまりにも、平々凡々である。堅実とはいう条、何の発展性もないではないか。旧文学の踏襲ではないか。マンネリズムではないか。」
真鍋呉夫
男29歳
3 「熱心な勉強家」「たとえ、こんどの選には洩れても、将来、きっと、その力が報いられるに違いないと思う。」
峰雪栄
女32歳
6 「一点(引用者中略)として投票した。」「熱心な勉強家」「たとえ、こんどの選には洩れても、将来、きっと、その力が報いられるに違いないと思う。」
鈴木楊一
男28歳
0  
藤枝静男
男41歳
11 「三点(引用者中略)として投票した。」「作者の批評精神が、もっと痛烈に、出ていれば、もっと強力に推したかった」「私としては、「イペリット眼」の作者のもつ思想性に対して期待し、それがもっと、強く鍛えられるように、激励したい。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
5 「名の通った詩人であるが、小説家としては新人で、「未練」は、純真で直情な匂いの濃い作品である。」
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
  「以前から芥川賞委員である先輩委員は、手堅い作風と、高邁な作家気風のようなものに、高い評価をしていることが、判明した。」
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他の選考委員
川端康成
岸田國士
石川達三
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坂口安吾
佐藤春夫
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宇野浩二
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選考委員
川端康成男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
由起氏一人を推す 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
5 「私は(引用者中略)推した。由起氏一人を賞にしていいという意見であった。しかし、由起氏一人でいいという意見は私一人であった。」「結局私は精神的な或る高さと確かさとを持って、それにふさわしい表現を見せている由起氏を推す外はなかった。」
小谷剛
男24歳
8 「「確証」を賞とすることには、私は逡巡を感じる。趣味に合わないと言うよりも少し強い本質的な意味で、私に反撥するものがあるからだ。芥川賞にとっても、この手腕ある作者にとっても、今回の賞は冒険であると思うが、冒険を生かす力は小谷氏にあり過ぎるようにも見える。」
光永鐵夫
男47歳
3 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
真鍋呉夫
男29歳
4 「(引用者注:「本の話」ともう一人推すことになり、)迷った果て、真鍋呉夫氏の「サフォ追慕」その他に投票した。」「(引用者注:由起しげ子受賞の他)もう一人と言われれば、若々しい真鍋氏の才華を期待することになろうかと思った。」
峰雪栄
女32歳
3 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
鈴木楊一
男28歳
2 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
藤枝静男
男41歳
2 「強いが、手法は物足りない。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
  「総じて今回の候補作品には新味の乏しいことが、銓衡を困難ならしめたようだ。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
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石川達三
丹羽文雄
坂口安吾
佐藤春夫
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宇野浩二
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選考委員
岸田國士男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
清潔な文章を買う 総行数23 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
6 「若し二人なら私は由起しげ子と峯雪栄を推す。」「技術的な苦しみを経ていない、小説としては非常に脆いところのあるものだが、女性として豊かに成長した精神の一記録とみれば、なによりも清潔な文章である。」
小谷剛
男24歳
4 「入選者の一人と決定したが、私は、ただ祝意を表するだけで讃辞は保留する。思想的根柢のない安易な露出趣味の文学は、大成を望むものにとって才能の浪費である。」
光永鐵夫
男47歳
2 「確かな眼は感じられるけれども、感覚の旧さが気になり、」
真鍋呉夫
男29歳
4 「「極北」その他を注目すべき作品だと思った。才気にまだどこか上滑りをしたところがあって、未知数の部分は多いが、その将来には最も大きな期待がもてる。」
峰雪栄
女32歳
6 「若し二人なら私は由起しげ子と峯雪栄を推す。」「「妄執」その他は、やや型にはまりかけた趣味が難点とはいえるが、才能と生活とを賭けた作家修業の道程が素朴に作品の心を貫いている点、私はその努力の成果に敬意を表する。」
鈴木楊一
男28歳
2 「克明というだけで飛躍がなさすぎる。」
藤枝静男
男41歳
2 「興味ある題材だが人物の捉え方が浅く、」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
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舟橋聖一
川端康成
石川達三
丹羽文雄
坂口安吾
佐藤春夫
瀧井孝作
宇野浩二
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選考委員
石川達三男43歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
次点二人 総行数74 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
11 「前半が実に良い。しかし後半になってまるで退屈である。その意味で私はこの作品を採らなかった。」「(引用者注:「本の話」と「確証」)どちらも一つだけを当選作とすることは承認し得ないのであった。」「したがって今回はいわば二人(引用者注:由起しげ子、小谷剛)とも次点である。」
小谷剛
男24歳
13 「はじめ「四天王」が挙げられていたが、これは低俗で、巧みではあるがその巧みさがいやらしかった。」「「確証」の方がずっと良い。実に危い橋をわたっていたが、最後の十行ばかりのところに反省と苦悶があって、全体が救われている。」「(引用者注:「本の話」と「確証」)どちらも一つだけを当選作とすることは承認し得ないのであった。」「したがって今回はいわば二人(引用者注:由起しげ子、小谷剛)とも次点である。」
光永鐵夫
男47歳
8 「古いという評があった。私はそれほど古いとも思わない。」「一種独特の流れのような会話の調子をもっていてその効果も出ているが、調子の良さに欺されそうで警戒したい感じがあった。」「しっかりした作風であるが磨きが足りないような気もする。」
真鍋呉夫
男29歳
6 「「サフォ追慕」「極北」はいずれも才気あふれた作品であるが、読んでいるうちに才気の空廻りに気がついてくる。知恵だけの作品と言っていいだろうか、情感も味わいというようなものも乏しい。文学はもっと誠実なものでありたい。」
峰雪栄
女32歳
22 「「煩悩の果て」「妄執」は、選者のなかで推奨する人もあったが、私は取らない。」「両作とも慾と煩悩と貧窮と、人間性の醜悪を題材にとっているが、表現されたものは醜であり、印象は不愉快である。こういう印象を与えるということ自体、文芸作品の目的に反する。」「芸術にまで昂揚された精神がないのだ。」「「煩悩の果て」はもう少しで当選するかも知れないような工合であったが、私が一番強く反対した。これが芥川賞になっては困るのである。」
鈴木楊一
男28歳
9 「古いという評があった。私はそれほど古いとも思わない。」「人物の配置や小説の構成に一応それらしい型が考えられるので古いと言われたのであるが、筆はしっかりしている。」「しっかりした作風であるが磨きが足りないような気もする。」
藤枝静男
男41歳
10 「良き題材を選びそれを書きこなすという努力は小説の本道であって、非難にはならない。一つの良き題材を描き得た人は他の題材だって書ける筈だと思う。私はこの作者の将来には期待をもってもいいと思う。院長という人物の描き方などは凡手でない。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
8 「良い作品だと思った。丹羽君が「此の人には努力賞というようなものを贈りたい」と言ったが、私も同感である。後半が少し急いでいる感じがあるが、実力のある作品だと思う。」
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
  「八人の委員の意見がどうしてもまとまらず、特にすぐれた作品をも見出しかねて、今回は当選作なしという事に一度はきまったのであるが、事務局の方は是非授賞をしたいという話で、ついに投票できめることにした。」
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岸田國士
丹羽文雄
坂口安吾
佐藤春夫
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宇野浩二
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選考委員
丹羽文雄男44歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
私小説反対 総行数90 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
11 「烈しさはないが、「本の話」にはまた違った味がある。とりたてて良い作品とは言えないが、口を極めて悪口をいう作品でもない。」「私は別に「本の話」の由起しげ子に期待はかけていない。話がきまらないのでそうなったが、投票ということは、滑稽だ。」
小谷剛
男24歳
6 「小谷は若くて、これからどんなものを書くか判らない。瀧井さんは、この作者は傲慢不遜だという意味のことを言ったが、かえってそのために私は支持したいのである。この小説には疵は多い。が、何よりもその将来性がたのもしい。」
光永鐵夫
男47歳
19 「これだけの材料をこの種類の料理の仕方しか出来ない点に、不満をもった。」「かなり書き込んであるが、効果はあがっていない。」「百五十枚なのに、おかしなくらい何の感動もうけなかった。感動を何かで相殺している。この主人公の位置、あり方が気に入らぬ。」「「雪明り」の澄み方からは、もはや何も期待出来ない。」
真鍋呉夫
男29歳
6 「将来が期待出来るが、いま授賞されては本人も困るのではないか。勉強最中といった印象である。一生が勉強だが、この場合は試験勉強で徹夜をしたといった感じをうける。」
峰雪栄
女32歳
22 「「煩悩の果て」をまっこうから瀧井さんが否定したのには、私はびっくりした。」「芥川賞を一本にして強引に押し出すとすれば、峯雪栄だと私は思った。」「峯なら芥川賞として一人だけ発表したところで、決して恥しくないと思った」
鈴木楊一
男28歳
6 「浅見淵君が推薦していた」「上手だと思った。が、これだけでは困る。それだけこの上に何をつけ加えるのかとなると、それは作者の問題である。」
藤枝静男
男41歳
13 「主人公の在り方が、通り一遍である。これは特種な材料で得をしている。」「この小説の主人公の在り方に、作者が安心している。作者として、そのことを反省していない。主人公はもっと躍動すべきだ。」「これだけの材料を擁しながら、傍観者的な冷静さにとどまっていることが、不満であった。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
2 「印象に残っている。」
井上孝
男33歳
2 「印象に残っている。」
伊藤市太郎
男(不明)
2 「印象に残っている。」
野村尚吾
男37歳
1 「印象に残っている。」
  「芥川賞の枠をひろげたいというのが私ののぞみであった。」
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他の選考委員
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岸田國士
石川達三
坂口安吾
佐藤春夫
瀧井孝作
宇野浩二
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選考委員
坂口安吾男42歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
雑誌型でない作品を 総行数20 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
12 「文句のないものである。なんと云っても、底に光りかがやくものがある。すくなくとも、若干ながら「天才」が感じられたのは、この作家一人であった。」「この作家は、多作してはいけない人だろうと思う。」「いわばフィネッス・デスプリというようなものが身上で、それを益々みがき育てるようにしたら、一葉につぐ天才的な女流となる人のように思った。」
小谷剛
男24歳
8 「才筆である。」「現在の文壇レベルでは、いきなり流行作家となって書きまくっても、ちゃんとやれる人であろう。多作してはいけない由起しげ子氏と合せて、この人をとりあげるのは、私の大いに賛成したところであった。しかし、私がのぞむところは、小谷氏のような多作型の人は、スケールの大きな作品で人間を書いて欲しいということである。雑誌型だけではダメである。」
光永鐵夫
男47歳
0  
真鍋呉夫
男29歳
0  
峰雪栄
女32歳
2  
鈴木楊一
男28歳
0  
藤枝静男
男41歳
0  
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
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他の選考委員
舟橋聖一
川端康成
岸田國士
石川達三
丹羽文雄
佐藤春夫
瀧井孝作
宇野浩二
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選考委員
佐藤春夫男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
敢て支持を撤回す 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
4 「落ちつきのある品格を床しいと見た。」
小谷剛
男24歳
5 「「四天王」というのは大分人気がある様子であったが自分はその田舎くさい腕達者の品の悪さに辟易した。」「「確証」を「本の話」に抱き合せようという説に不承不承ながら賛成して置いた。」
光永鐵夫
男47歳
11 「文学の世界で悠々自適しているのをいいと思った。」「「本の話」と「雪明り」とが当選と決まりそうになった時、自分は最も支持した「雪明り」を撤回した。この二篇を併せてみると二篇ともあまりに時代感覚がずれているからである。」「作者はきっと個性の強い老文学青年かと思う。世に埋れながらも文学を心から愛してそれに安住することが出来そうな頼もしさがあるのを敬愛する念から敢て支持を撤回する気になったものである。」
真鍋呉夫
男29歳
4 「真鍋呉夫だけは採りたくなかった。その意図と作風とは自分に最も同感されるものであるに拘わらず、(否そのためかも知れないが)その作品の未熟なのが目立ったからである。」
峰雪栄
女32歳
5 「「煩悩の果て」はあの美のない作品は困るという誰やらの名批評に同感されてこの亜流自然主義を自分も敬遠する気になったがこの作者にも「麦秋」のような美のある作品もあると一言弁護して置きたいような文学的熱情を感ぜさせるものは無いではなかった。」
鈴木楊一
男28歳
0  
藤枝静男
男41歳
2 「材料の負けで作家としての手腕が足りないとは云えちょっと新しい趣がある。」
中村八朗
男35歳
3 「達者で面白く読ませるが、この面白さはむしろ直木賞向きではあるまいか。」
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
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瀧井孝作
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選考委員
瀧井孝作男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
教養と人柄との持味 総行数64 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
13 「教養人の終戦後の窮迫が描かれて、善良な人柄の美しさが、悠たりした明るい上品さで出ていた。教養と人柄との持味で出来た作品で、作者の技倆は未だ分らない気がされた。」
小谷剛
男24歳
10 「小谷剛という人のものは、作家という同人雑誌で幾つも読んでみたが、私は、どれも未だ採れないと思った。文壇の流行小説に中毒して、小説らしく真似て、夢中で書く若い時分に往々例のある習作で「確証」というのも習作の一つにすぎないと思った。文章も線の弱い、頭に沁まない、軽薄なもので……。」
光永鐵夫
男47歳
23 「一番すぐれていると思った。これは、リアリズムの小説ではなく、リリシズムのもので、そしてフィクションの作品だが、文章も板についていて、調っていて、読後の感じは、沁々した佳い感じがあった。」
真鍋呉夫
男29歳
0  
峰雪栄
女32歳
0  
鈴木楊一
男28歳
0  
藤枝静男
男41歳
13 「医者でなければ描けない細かい記述もあり、神経のとおった文章で、記録文学として出色の作だと思った。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
  「こんどは、どうも、際立ってよいと言うのはなかったようで、選択にいろいろと迷った。厳選の建前から、今回は当選なしにしようかと云う話も出た。が、折角復活した芥川賞第一回に当選なしも、淋しい、というようなわけで、結局、この中で比較的にどれがよいか、各自の思う所で投票してみようという話になった。」
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他の選考委員
舟橋聖一
川端康成
岸田國士
石川達三
丹羽文雄
坂口安吾
佐藤春夫
宇野浩二
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選考委員
宇野浩二男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
芥川賞に値しない 総行数88 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
由起しげ子
女48歳
20 「わりによくできている初めの方が、すこしごたごたしているばかりでなく、全体の書き方がたどたどしいので、読む方でも、頭が、こんぐらかってしまう。」「この作者は、ちょっと、うまそうに、見えるところもあるが、『しろうと』のようなところが多分にあるから、小説だけに一心をこめたら、あるいは、よくなるかもしれない。が、この小説だけでいえば、まだ、まだ、不安を、感じる。」
小谷剛
男24歳
13 「一と口にいうと、不快な作品である。書かれてあることが『不快』であるばかりでなく、芸術の上から見て、作者の態度が、それ以上に、『不快』である。」「筆は『たっしゃ』なところはあるが、『わるだっしゃ』である。また、「自己弁護」は小説の邪道である。この作者は、要するに、救いがたいところがある。」
光永鐵夫
男47歳
8 「好感が、もてる。しかし、いかにも、ありふれている。そうして、古くさい。しかし、やはり、わるい感じはしない。それは、常識的であるからかもしれない。しかし、小説に『常識』は絶対に禁物である。」
真鍋呉夫
男29歳
9 「しいて云うと、一ばん異色のあるものであった。しかし、『それ』だけである。」「ぜんたいに、いきおいこんでいるところに、好感が、もてるけれど、いわゆる文学青年の感じがある。」
峰雪栄
女32歳
11 「書きはじめの一節をよんで、「これはなかなかうまい人だなあ、」と思った。ところが、読みつづけてゆくうちに、この『うまさ』(書き方)は、それだけで、なんの変化もなく、かえって、一本調子になり、作者も、文章も、小説の、息ぎれがしてくるのが、感じられた。」「小説というのものは、「意気ごみ」だけで、書けるものではない。この作者は、今、あぶないところに来ているような気がする。」
鈴木楊一
男28歳
9 「うまい小説の一つである。しかし、なにか、肝心のものが、たりない。」「田舎によくある『色事』が、この小説の、大部分を、しめているが、それが、それぞれ、『こしらえもの』の感じがあって、なまな『いやらしさ』を感じさせる。これは芸術からはずれる。」
藤枝静男
男41歳
9 「ちょっとした『うまさ』にひかれて、読んでゆくうちに、しだいに、題材のおもしろさの方が、勝っていることに、気が、ついて来た。そのうちに、『うまさ』が、だんだん、なくなってきた。いうまでもなく、題材がいくらよくても、それだけでは、よい小説には、決して、ならない。」「学校の教師がするように、『かけもち』などで、小説を書くことなども、やはり、無理である。」
中村八朗
男35歳
0  
江口榛一
男35歳
0  
松村泰太郎
男40歳
0  
井上孝
男33歳
0  
伊藤市太郎
男(不明)
0  
野村尚吾
男37歳
0  
  「こんどは、せっかく、久しぶりのものであるが、芥川賞に該当するものなし、ということに、なった。そうして、これは、一度、(も、二度も、)銓衡委員たちのあいだに、きまってしまった。」「ところが、「それでは、あんまり」ということになって、『投票』という不自然な方法で、いやでもおうでも、きめてしまおう、というようなことに、たちいたった。そうして、その結果が、『二つで一つ分』というような妙な説まで、出て、」
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他の選考委員
舟橋聖一
川端康成
岸田國士
石川達三
丹羽文雄
坂口安吾
佐藤春夫
瀧井孝作
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受賞者・作品
由起しげ子女48歳×各選考委員 
「本の話」
短篇 66
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
16 「可もなく不可もないという作風」「この人に、十六点という高点が集り、当選確実となった。」「私は、まだ、由起しげ子の取り澄ましたような気品は、信用していない。且つ、この婦人が、高名な画伯の夫人だと聞いて、よけい、賞をやりたくなくなった。」「ふしぎにも、全委員一致の声として、この夫人一人の受賞には、不賛成が唱えられた。」
川端康成
男50歳
5 「私は(引用者中略)推した。由起氏一人を賞にしていいという意見であった。しかし、由起氏一人でいいという意見は私一人であった。」「結局私は精神的な或る高さと確かさとを持って、それにふさわしい表現を見せている由起氏を推す外はなかった。」
岸田國士
男58歳
6 「若し二人なら私は由起しげ子と峯雪栄を推す。」「技術的な苦しみを経ていない、小説としては非常に脆いところのあるものだが、女性として豊かに成長した精神の一記録とみれば、なによりも清潔な文章である。」
石川達三
男43歳
11 「前半が実に良い。しかし後半になってまるで退屈である。その意味で私はこの作品を採らなかった。」「(引用者注:「本の話」と「確証」)どちらも一つだけを当選作とすることは承認し得ないのであった。」「したがって今回はいわば二人(引用者注:由起しげ子、小谷剛)とも次点である。」
丹羽文雄
男44歳
11 「烈しさはないが、「本の話」にはまた違った味がある。とりたてて良い作品とは言えないが、口を極めて悪口をいう作品でもない。」「私は別に「本の話」の由起しげ子に期待はかけていない。話がきまらないのでそうなったが、投票ということは、滑稽だ。」
坂口安吾
男42歳
12 「文句のないものである。なんと云っても、底に光りかがやくものがある。すくなくとも、若干ながら「天才」が感じられたのは、この作家一人であった。」「この作家は、多作してはいけない人だろうと思う。」「いわばフィネッス・デスプリというようなものが身上で、それを益々みがき育てるようにしたら、一葉につぐ天才的な女流となる人のように思った。」
佐藤春夫
男57歳
4 「落ちつきのある品格を床しいと見た。」
瀧井孝作
男55歳
13 「教養人の終戦後の窮迫が描かれて、善良な人柄の美しさが、悠たりした明るい上品さで出ていた。教養と人柄との持味で出来た作品で、作者の技倆は未だ分らない気がされた。」
宇野浩二
男57歳
20 「わりによくできている初めの方が、すこしごたごたしているばかりでなく、全体の書き方がたどたどしいので、読む方でも、頭が、こんぐらかってしまう。」「この作者は、ちょっと、うまそうに、見えるところもあるが、『しろうと』のようなところが多分にあるから、小説だけに一心をこめたら、あるいは、よくなるかもしれない。が、この小説だけでいえば、まだ、まだ、不安を、感じる。」
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他の候補作
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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受賞者・作品
小谷剛男24歳×各選考委員 
「確証」等
短篇2篇 203
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
40 「二点(引用者中略)として投票した。」「狙いが低く、文章にも、丹羽文雄や北條誠を、模倣している様なところがあるので、それが気になっていた。」「瀧井さんや川端さんが、小谷をきらいなのは、よくわかる。それは、悪達者で、はったりが多く、興味のもち方が低い点で、カンベンがならぬのであろう。そう思ったので、私は、却て、小谷を推してやりたくなった。」「ドンドン書いている中に、狙いが高くなって行くかもしれない。或は、注文が殺到するうちに、堕落の淵に沈むかもしれない。つまり、海のものとも、山のものとも、定まらない。」「だからといって、いつも、落選していては、小谷のような人の、浮かび出る道はないわけだ。」
川端康成
男50歳
8 「「確証」を賞とすることには、私は逡巡を感じる。趣味に合わないと言うよりも少し強い本質的な意味で、私に反撥するものがあるからだ。芥川賞にとっても、この手腕ある作者にとっても、今回の賞は冒険であると思うが、冒険を生かす力は小谷氏にあり過ぎるようにも見える。」
岸田國士
男58歳
4 「入選者の一人と決定したが、私は、ただ祝意を表するだけで讃辞は保留する。思想的根柢のない安易な露出趣味の文学は、大成を望むものにとって才能の浪費である。」
石川達三
男43歳
13 「はじめ「四天王」が挙げられていたが、これは低俗で、巧みではあるがその巧みさがいやらしかった。」「「確証」の方がずっと良い。実に危い橋をわたっていたが、最後の十行ばかりのところに反省と苦悶があって、全体が救われている。」「(引用者注:「本の話」と「確証」)どちらも一つだけを当選作とすることは承認し得ないのであった。」「したがって今回はいわば二人(引用者注:由起しげ子、小谷剛)とも次点である。」
丹羽文雄
男44歳
6 「小谷は若くて、これからどんなものを書くか判らない。瀧井さんは、この作者は傲慢不遜だという意味のことを言ったが、かえってそのために私は支持したいのである。この小説には疵は多い。が、何よりもその将来性がたのもしい。」
坂口安吾
男42歳
8 「才筆である。」「現在の文壇レベルでは、いきなり流行作家となって書きまくっても、ちゃんとやれる人であろう。多作してはいけない由起しげ子氏と合せて、この人をとりあげるのは、私の大いに賛成したところであった。しかし、私がのぞむところは、小谷氏のような多作型の人は、スケールの大きな作品で人間を書いて欲しいということである。雑誌型だけではダメである。」
佐藤春夫
男57歳
5 「「四天王」というのは大分人気がある様子であったが自分はその田舎くさい腕達者の品の悪さに辟易した。」「「確証」を「本の話」に抱き合せようという説に不承不承ながら賛成して置いた。」
瀧井孝作
男55歳
10 「小谷剛という人のものは、作家という同人雑誌で幾つも読んでみたが、私は、どれも未だ採れないと思った。文壇の流行小説に中毒して、小説らしく真似て、夢中で書く若い時分に往々例のある習作で「確証」というのも習作の一つにすぎないと思った。文章も線の弱い、頭に沁まない、軽薄なもので……。」
宇野浩二
男57歳
13 「一と口にいうと、不快な作品である。書かれてあることが『不快』であるばかりでなく、芸術の上から見て、作者の態度が、それ以上に、『不快』である。」「筆は『たっしゃ』なところはあるが、『わるだっしゃ』である。また、「自己弁護」は小説の邪道である。この作者は、要するに、救いがたいところがある。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
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野村尚吾
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候補者・作品
光永鐵夫男47歳×各選考委員 
「雪明り」
中篇 137
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
20 「投票は「本の話」と「雪明り」に集っていた。」「私には、この連賞(引用者注:「本の話」と「雪明り」への授賞)には、絶対反対であった。」「(引用者注:「本の話」の)連賞の相手が、光永では、あまりにも、平々凡々である。堅実とはいう条、何の発展性もないではないか。旧文学の踏襲ではないか。マンネリズムではないか。」
川端康成
男50歳
3 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
岸田國士
男58歳
2 「確かな眼は感じられるけれども、感覚の旧さが気になり、」
石川達三
男43歳
8 「古いという評があった。私はそれほど古いとも思わない。」「一種独特の流れのような会話の調子をもっていてその効果も出ているが、調子の良さに欺されそうで警戒したい感じがあった。」「しっかりした作風であるが磨きが足りないような気もする。」
丹羽文雄
男44歳
19 「これだけの材料をこの種類の料理の仕方しか出来ない点に、不満をもった。」「かなり書き込んであるが、効果はあがっていない。」「百五十枚なのに、おかしなくらい何の感動もうけなかった。感動を何かで相殺している。この主人公の位置、あり方が気に入らぬ。」「「雪明り」の澄み方からは、もはや何も期待出来ない。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
11 「文学の世界で悠々自適しているのをいいと思った。」「「本の話」と「雪明り」とが当選と決まりそうになった時、自分は最も支持した「雪明り」を撤回した。この二篇を併せてみると二篇ともあまりに時代感覚がずれているからである。」「作者はきっと個性の強い老文学青年かと思う。世に埋れながらも文学を心から愛してそれに安住することが出来そうな頼もしさがあるのを敬愛する念から敢て支持を撤回する気になったものである。」
瀧井孝作
男55歳
23 「一番すぐれていると思った。これは、リアリズムの小説ではなく、リリシズムのもので、そしてフィクションの作品だが、文章も板についていて、調っていて、読後の感じは、沁々した佳い感じがあった。」
宇野浩二
男57歳
8 「好感が、もてる。しかし、いかにも、ありふれている。そうして、古くさい。しかし、やはり、わるい感じはしない。それは、常識的であるからかもしれない。しかし、小説に『常識』は絶対に禁物である。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
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野村尚吾
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候補者・作品
真鍋呉夫男29歳×各選考委員 
『サフォ追慕』等
短篇集等6篇 563
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
3 「熱心な勉強家」「たとえ、こんどの選には洩れても、将来、きっと、その力が報いられるに違いないと思う。」
川端康成
男50歳
4 「(引用者注:「本の話」ともう一人推すことになり、)迷った果て、真鍋呉夫氏の「サフォ追慕」その他に投票した。」「(引用者注:由起しげ子受賞の他)もう一人と言われれば、若々しい真鍋氏の才華を期待することになろうかと思った。」
岸田國士
男58歳
4 「「極北」その他を注目すべき作品だと思った。才気にまだどこか上滑りをしたところがあって、未知数の部分は多いが、その将来には最も大きな期待がもてる。」
石川達三
男43歳
6 「「サフォ追慕」「極北」はいずれも才気あふれた作品であるが、読んでいるうちに才気の空廻りに気がついてくる。知恵だけの作品と言っていいだろうか、情感も味わいというようなものも乏しい。文学はもっと誠実なものでありたい。」
丹羽文雄
男44歳
6 「将来が期待出来るが、いま授賞されては本人も困るのではないか。勉強最中といった印象である。一生が勉強だが、この場合は試験勉強で徹夜をしたといった感じをうける。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
4 「真鍋呉夫だけは採りたくなかった。その意図と作風とは自分に最も同感されるものであるに拘わらず、(否そのためかも知れないが)その作品の未熟なのが目立ったからである。」
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
9 「しいて云うと、一ばん異色のあるものであった。しかし、『それ』だけである。」「ぜんたいに、いきおいこんでいるところに、好感が、もてるけれど、いわゆる文学青年の感じがある。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
峰雪栄女32歳×各選考委員 
「煩悩の果」等
短篇2篇 148
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
6 「一点(引用者中略)として投票した。」「熱心な勉強家」「たとえ、こんどの選には洩れても、将来、きっと、その力が報いられるに違いないと思う。」
川端康成
男50歳
3 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
岸田國士
男58歳
6 「若し二人なら私は由起しげ子と峯雪栄を推す。」「「妄執」その他は、やや型にはまりかけた趣味が難点とはいえるが、才能と生活とを賭けた作家修業の道程が素朴に作品の心を貫いている点、私はその努力の成果に敬意を表する。」
石川達三
男43歳
22 「「煩悩の果て」「妄執」は、選者のなかで推奨する人もあったが、私は取らない。」「両作とも慾と煩悩と貧窮と、人間性の醜悪を題材にとっているが、表現されたものは醜であり、印象は不愉快である。こういう印象を与えるということ自体、文芸作品の目的に反する。」「芸術にまで昂揚された精神がないのだ。」「「煩悩の果て」はもう少しで当選するかも知れないような工合であったが、私が一番強く反対した。これが芥川賞になっては困るのである。」
丹羽文雄
男44歳
22 「「煩悩の果て」をまっこうから瀧井さんが否定したのには、私はびっくりした。」「芥川賞を一本にして強引に押し出すとすれば、峯雪栄だと私は思った。」「峯なら芥川賞として一人だけ発表したところで、決して恥しくないと思った」
坂口安吾
男42歳
2  
佐藤春夫
男57歳
5 「「煩悩の果て」はあの美のない作品は困るという誰やらの名批評に同感されてこの亜流自然主義を自分も敬遠する気になったがこの作者にも「麦秋」のような美のある作品もあると一言弁護して置きたいような文学的熱情を感ぜさせるものは無いではなかった。」
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
11 「書きはじめの一節をよんで、「これはなかなかうまい人だなあ、」と思った。ところが、読みつづけてゆくうちに、この『うまさ』(書き方)は、それだけで、なんの変化もなく、かえって、一本調子になり、作者も、文章も、小説の、息ぎれがしてくるのが、感じられた。」「小説というのものは、「意気ごみ」だけで、書けるものではない。この作者は、今、あぶないところに来ているような気がする。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
鈴木楊一男28歳×各選考委員 
「北農地」
短篇 69
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
2 「私は同情を持ったが、新味が感じられなかった。」
岸田國士
男58歳
2 「克明というだけで飛躍がなさすぎる。」
石川達三
男43歳
9 「古いという評があった。私はそれほど古いとも思わない。」「人物の配置や小説の構成に一応それらしい型が考えられるので古いと言われたのであるが、筆はしっかりしている。」「しっかりした作風であるが磨きが足りないような気もする。」
丹羽文雄
男44歳
6 「浅見淵君が推薦していた」「上手だと思った。が、これだけでは困る。それだけこの上に何をつけ加えるのかとなると、それは作者の問題である。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
9 「うまい小説の一つである。しかし、なにか、肝心のものが、たりない。」「田舎によくある『色事』が、この小説の、大部分を、しめているが、それが、それぞれ、『こしらえもの』の感じがあって、なまな『いやらしさ』を感じさせる。これは芸術からはずれる。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
藤枝静男男41歳×各選考委員 
「イペリット眼」
短篇 98
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
11 「三点(引用者中略)として投票した。」「作者の批評精神が、もっと痛烈に、出ていれば、もっと強力に推したかった」「私としては、「イペリット眼」の作者のもつ思想性に対して期待し、それがもっと、強く鍛えられるように、激励したい。」
川端康成
男50歳
2 「強いが、手法は物足りない。」
岸田國士
男58歳
2 「興味ある題材だが人物の捉え方が浅く、」
石川達三
男43歳
10 「良き題材を選びそれを書きこなすという努力は小説の本道であって、非難にはならない。一つの良き題材を描き得た人は他の題材だって書ける筈だと思う。私はこの作者の将来には期待をもってもいいと思う。院長という人物の描き方などは凡手でない。」
丹羽文雄
男44歳
13 「主人公の在り方が、通り一遍である。これは特種な材料で得をしている。」「この小説の主人公の在り方に、作者が安心している。作者として、そのことを反省していない。主人公はもっと躍動すべきだ。」「これだけの材料を擁しながら、傍観者的な冷静さにとどまっていることが、不満であった。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
2 「材料の負けで作家としての手腕が足りないとは云えちょっと新しい趣がある。」
瀧井孝作
男55歳
13 「医者でなければ描けない細かい記述もあり、神経のとおった文章で、記録文学として出色の作だと思った。」
宇野浩二
男57歳
9 「ちょっとした『うまさ』にひかれて、読んでゆくうちに、しだいに、題材のおもしろさの方が、勝っていることに、気が、ついて来た。そのうちに、『うまさ』が、だんだん、なくなってきた。いうまでもなく、題材がいくらよくても、それだけでは、よい小説には、決して、ならない。」「学校の教師がするように、『かけもち』などで、小説を書くことなども、やはり、無理である。」
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
中村八朗男35歳×各選考委員 
「桑門の街」
短篇 114
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
0  
丹羽文雄
男44歳
0  
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
3 「達者で面白く読ませるが、この面白さはむしろ直木賞向きではあるまいか。」
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
江口榛一男35歳×各選考委員 
「未練」
短篇 40
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
5 「名の通った詩人であるが、小説家としては新人で、「未練」は、純真で直情な匂いの濃い作品である。」
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
0  
丹羽文雄
男44歳
0  
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
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候補者・作品
松村泰太郎男40歳×各選考委員 
「八日間」
短篇 76
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
8 「良い作品だと思った。丹羽君が「此の人には努力賞というようなものを贈りたい」と言ったが、私も同感である。後半が少し急いでいる感じがあるが、実力のある作品だと思う。」
丹羽文雄
男44歳
2 「印象に残っている。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
--
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候補者・作品
井上孝男33歳×各選考委員 
「青い垢」
長篇(一部) 162
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
0  
丹羽文雄
男44歳
2 「印象に残っている。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
伊藤市太郎
--
野村尚吾
--
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候補者・作品
伊藤市太郎男(不明)×各選考委員 
--
不明 ―
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
0  
丹羽文雄
男44歳
2 「印象に残っている。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
野村尚吾
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候補者・作品
野村尚吾男37歳×各選考委員 
--
不明 ―
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男44歳
0  
川端康成
男50歳
0  
岸田國士
男58歳
0  
石川達三
男43歳
0  
丹羽文雄
男44歳
1 「印象に残っている。」
坂口安吾
男42歳
0  
佐藤春夫
男57歳
0  
瀧井孝作
男55歳
0  
宇野浩二
男57歳
0  
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他の候補作
由起しげ子
「本の話」
小谷剛
「確証」等
光永鐵夫
「雪明り」
真鍋呉夫
『サフォ追慕』等
峰雪栄
「煩悩の果」等
鈴木楊一
「北農地」
藤枝静男
「イペリット眼」
中村八朗
「桑門の街」
江口榛一
「未練」
松村泰太郎
「八日間」
井上孝
「青い垢」
伊藤市太郎
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