芥川賞のすべて・のようなもの
第85回
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昭和56年/1981年上半期
(昭和56年/1981年7月16日決定発表/『文藝春秋』昭和56年/1981年9月号選評掲載)
選考委員  安岡章太郎
男61歳
丸谷才一
男55歳
大江健三郎
男46歳
吉行淳之介
男57歳
中村光夫
男70歳
遠藤周作
男58歳
丹羽文雄
男76歳
井上靖
男74歳
瀧井孝作
男87歳
開高健
男50歳
選評総行数  31 27 31 24 30 24 22 19 17 25
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
吉行理恵 「小さな貴婦人」
58
女42歳
16 17 17 24 10 3 3 11 6 6
宮内勝典 「金色の象」
134
男36歳
0 8 0 0 3 0 0 0 0 0
小関智弘 「祀る町」
152
男48歳
8 0 9 0 4 0 0 0 0 0
長谷川卓 「百舌が啼いてから」
129
男(32歳)
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
木崎さと子 「火炎木」
145
女41歳
0 0 7 0 5 0 19 5 6 0
上田真澄 「真澄のツー」
72
女(25歳)
0 0 14 0 0 0 0 0 0 0
森瑤子 「傷」
254
女40歳
0 0 8 0 6 0 0 5 5 0
峰原緑子 「風のけはい」
56
女19歳
0 0 8 0 0 0 0 0 0 0
                欠席  
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
安岡章太郎男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
都市生活者の心情 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
16 「私はイヌ派であり、したがつてネコ派の文学には同調し兼ねるはずであるが、(引用者中略)おもしろかつた。主題はネコにちがひないが、それよりはむしろ都会で生れ都会で死んで行く都市生活者の心情といつたものが全篇の基調になつてをり、その甘酸つぱいやうな抒情性が、近頃にはめづらしく、おもしろいものに感じられたのである。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
8 「皮膚の毛穴に鉄粉がしみこんだやうな文章は悪くないと思ふし、火焔ビン時代の共産党員が、いまどうやつて、何を考へて暮らしてゐるかも興味のあるところだが、作者は筋を追ふことに忙しく、主題を充分につかみ切つてゐないうらみがある。」
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
0  
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
  「今回も、一五〇枚、二五〇枚といつも、短篇と呼ぶには長過ぎる作品が目立つた。」「ノド自慢なら途中で鐘を叩いて終らせることも出来やうが、小説は最後まで読まないわけには行かないので、選者は疲労困憊させられた。」
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他の選考委員
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
丸谷才一男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
反小説的な試み 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
17 「小説としては中身があまりにも他愛ないが、作者自身そんなことは百も承知で書いてゐるのが強味だらう。」「この坐りのよさは、おそらく、自分の本当に書きたいことを自分の書きたい流儀で書いたせゐで生じたものだらう。これは近頃珍しいことで、わたしはその珍しさに見とれながら、しかしそれにしてももうすこし何とかならないものかと惜しみつづけた。」
宮内勝典
男36歳
8 「題材はもう陳腐になつたヒッピー生活の後日譚だが、ところどころ文章がいい。話がごたごたと長く、焦点がまとまらず、ぢれつたくてぢれつたくて仕方がないけれど、最後にお寺で供養するあたりから急によくなつた。」
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
0  
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
  「候補作八篇のうち二篇(引用者注:「小さな貴婦人」「金色の象」)だけがいくらかましで、あとの六篇は問題外だと思つた。どうしてこんなものが予選を通過したのだらうと狐につままれたやうな気持で考へこむのが読後感の大部分、といつた作品が多すぎる。」
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他の選考委員
安岡章太郎
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
大江健三郎男46歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感覚の鋭さと安定 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
17 「僕はその受賞に、消極的に賛成する。つまり最後の投票で、僕は反対に一票を投じたが、多数派による授賞の決定には賛成する。すでに中年にいたって、自他の自閉的な狂気に接する(しかし正気の側の)感受性を、このように安定した書きぶりで表現できれば、その人はもう作家だ。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
9 「積極的に授賞したかった作品」「土地と生活と時代に根ざした強さ。」「一冊の本として直木賞をえられることを望みもするが、それは僕として越権した言葉だろう。」
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
7 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(+)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(+)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(+)」
上田真澄
女(25歳)
14 「積極的に授賞したかった作品」「ケストナーの『フアビアン』を思わせるモラリストのユーモアと悲哀。」「しかし経験豊かな選者たちに、(引用者中略)おさなさをいわれるとそうだとも思う。」
森瑤子
女40歳
8 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(-)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(-)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(-)」
峰原緑子
女19歳
8 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(+)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(-)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(-)」
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
吉行淳之介男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
24 「私の実妹なので、銓衡委員としての立居振舞に困惑した。」「今回の作品はなかなか良いとおもった。」「今度はひとつ、自分なりに客観的になって、票を入れてみようと考えた。十五歳年下の妹というのは、他人のようで他人でない厄介な存在だ。」「もはや病膏肓、猫が自分か自分が猫か、猫の人相学や手相まで出てくる始末で、ここまでくれば許せるとおもいはじめた。」「入り組んだ話なので分りにくくて閉口した。もうすこし行替えでもしてみたら、どうだろう。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
0  
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
中村光夫男70歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感動を生む散文 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
10 「小品ながら段違ひの出来栄えです。」「これが小説といへるか、(引用者中略)といふやうな疑問はいくらでも出せませう。」「しかし作者の純潔な、同時に宿命的な猫への執心が、或るものに達してゐることはたしかなので、小説を文学的感動を生む散文とする大正期の思想が、ここにひとつの実を結んでゐます。」
宮内勝典
男36歳
3 「切実な題材をとりあげて一応の水準に達してゐます。」
小関智弘
男48歳
4 「切実な題材をとりあげて一応の水準に達してゐます。」「注目すべき野心作と思はれますが、それだけ工夫の足りなさが目立ちます。」
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
5 「人物に現実性があり、作者の関心事たる人種の問題も、無理なく表出されてゐると思はれますが、難がないだけに奥様芸といふ感じです。」
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
6 「力作といふ点では第一にあげるべきでせう。」「登場する青年男女もみな現代風の一癖ある存在です。しかし肝腎の女主人公が人間として生きた印象をあたへないのは致命的欠陥で、作者が小説について何か大きな考へ違ひしてゐるのではないかと思はれます。」
峰原緑子
女19歳
0  
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
遠藤周作男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
前回と同じ 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
3 「(引用者注:候補作のうち)自分の感覚と自分の文章を持っているのは吉行理恵さんだけで、この事は誰の眼からみても明らかだった。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
0  
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
  「今の状況では年二回も芥川賞授賞作を出すのはどうかとこの頃いつも思う。年一回で充分なのではないだろうか。」「今回は五人も女性の作品が入っていたが、女性の候補作家にはえてして人間をイヤな眼で見るのが文学だと錯覚している人がいる。」「結局人間が描けてないのである。」
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
丹羽文雄男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
3 「詩人としての繊細な感覚には心をひかれましたが、すこしごたごたしてます。もたついた分だけ、小説が弱くなっていると感じました。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
19 「よいと思いました。」「いろんな女性のものをみてきましたが、その中でも木崎さと子さんは信頼の出来る作家のように思いました。」「出産という、何でもない材料(本人にとっては生死にかかわる重大事件でしょうが)を、女性でなければ書けないところをよくとらえています。満洲でなじんだ真赤な太陽の追憶も、出産にからめて思うとき、単なる感傷とはいいきれないものを感じさせました。」
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
井上靖
瀧井孝作
開高健
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選考委員
井上靖男74歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選後に 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
11 「なかなかいい資質を持った作家であり、詩人であることは知っていたが、こんどの作品は小説としては弱いと思って、私の場合は初めから銓衡の外に置いていたが、結局、候補作の中から文学作品として最もでき上がっているものを一篇選ぶとなると、この作より他にはなかった。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
5 「(引用者注:「傷」と共に)まあ小説を書く態度で押し切っているとは思ったが、(引用者中略)また欠点もあり、それが目立っていた。」
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
5 「(引用者注:「火炎木」と共に)まあ小説を書く態度で押し切っているとは思ったが、(引用者中略)また欠点もあり、それが目立っていた。」
峰原緑子
女19歳
0  
  「候補作八篇、それぞれ面白く読んだが、どれも一長一短、他を大きく引きはなして、特に傑出していると言える作品はなかった。」
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
瀧井孝作
開高健
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選考委員
瀧井孝作男87歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
6 「短篇だが、文体に持味があり、読ませるものを持っている。うまいと思った。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
6 「パーティの席で、赤ん坊が火炎木に注目する場面など、なかなかうまいと思った。前回に、「裸足」というフランスのことを書いていて、又、この「火炎木」のような題材を持っているにも、面白いと思った。」
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
5 「長い、達者なものだが、この作者には、(引用者中略)「誘惑」という作品があって、イギリスのクリスマスのことを書いていたと思うが、これも、達者で、達者すぎると思った。」
峰原緑子
女19歳
0  
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
開高健
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選考委員
開高健男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
何はともあれ…… 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
吉行理恵
女42歳
6 「素質もいいし感性の閃めきもある。」「授賞作とするかしないかで票が割れ、決をとってみると七対三で授賞作となった。残念ながら私は手をあげることのできなかった者の一人であるが、結果には拍手を送る。」
宮内勝典
男36歳
0  
小関智弘
男48歳
0  
長谷川卓
男(32歳)
0  
木崎さと子
女41歳
0  
上田真澄
女(25歳)
0  
森瑤子
女40歳
0  
峰原緑子
女19歳
0  
  「どれもこれも身辺の出来事をテーマとしていて、誰やらが死んだ、生まれた、生まれて死んだ、女とできた、別れたなど。心境小説と申すよりは身辺雑記である。」「言葉に放射能がないから、焔でもなければ氷でもなく、何だか文学賞の審査員というよりは区役所の戸籍係りになったようである。前回も今回もけじめがつかず、おそらく次回もまたおなじことであろう。何トカナラヌカ!!!……」
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他の選考委員
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
丹羽文雄
井上靖
瀧井孝作
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受賞者・作品
吉行理恵女42歳×各選考委員 
「小さな貴婦人」
短篇 58
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
16 「私はイヌ派であり、したがつてネコ派の文学には同調し兼ねるはずであるが、(引用者中略)おもしろかつた。主題はネコにちがひないが、それよりはむしろ都会で生れ都会で死んで行く都市生活者の心情といつたものが全篇の基調になつてをり、その甘酸つぱいやうな抒情性が、近頃にはめづらしく、おもしろいものに感じられたのである。」
丸谷才一
男55歳
17 「小説としては中身があまりにも他愛ないが、作者自身そんなことは百も承知で書いてゐるのが強味だらう。」「この坐りのよさは、おそらく、自分の本当に書きたいことを自分の書きたい流儀で書いたせゐで生じたものだらう。これは近頃珍しいことで、わたしはその珍しさに見とれながら、しかしそれにしてももうすこし何とかならないものかと惜しみつづけた。」
大江健三郎
男46歳
17 「僕はその受賞に、消極的に賛成する。つまり最後の投票で、僕は反対に一票を投じたが、多数派による授賞の決定には賛成する。すでに中年にいたって、自他の自閉的な狂気に接する(しかし正気の側の)感受性を、このように安定した書きぶりで表現できれば、その人はもう作家だ。」
吉行淳之介
男57歳
24 「私の実妹なので、銓衡委員としての立居振舞に困惑した。」「今回の作品はなかなか良いとおもった。」「今度はひとつ、自分なりに客観的になって、票を入れてみようと考えた。十五歳年下の妹というのは、他人のようで他人でない厄介な存在だ。」「もはや病膏肓、猫が自分か自分が猫か、猫の人相学や手相まで出てくる始末で、ここまでくれば許せるとおもいはじめた。」「入り組んだ話なので分りにくくて閉口した。もうすこし行替えでもしてみたら、どうだろう。」
中村光夫
男70歳
10 「小品ながら段違ひの出来栄えです。」「これが小説といへるか、(引用者中略)といふやうな疑問はいくらでも出せませう。」「しかし作者の純潔な、同時に宿命的な猫への執心が、或るものに達してゐることはたしかなので、小説を文学的感動を生む散文とする大正期の思想が、ここにひとつの実を結んでゐます。」
遠藤周作
男58歳
3 「(引用者注:候補作のうち)自分の感覚と自分の文章を持っているのは吉行理恵さんだけで、この事は誰の眼からみても明らかだった。」
丹羽文雄
男76歳
3 「詩人としての繊細な感覚には心をひかれましたが、すこしごたごたしてます。もたついた分だけ、小説が弱くなっていると感じました。」
井上靖
男74歳
11 「なかなかいい資質を持った作家であり、詩人であることは知っていたが、こんどの作品は小説としては弱いと思って、私の場合は初めから銓衡の外に置いていたが、結局、候補作の中から文学作品として最もでき上がっているものを一篇選ぶとなると、この作より他にはなかった。」
瀧井孝作
男87歳
6 「短篇だが、文体に持味があり、読ませるものを持っている。うまいと思った。」
開高健
男50歳
6 「素質もいいし感性の閃めきもある。」「授賞作とするかしないかで票が割れ、決をとってみると七対三で授賞作となった。残念ながら私は手をあげることのできなかった者の一人であるが、結果には拍手を送る。」
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他の候補作
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
宮内勝典男36歳×各選考委員 
「金色の象」
短篇 134
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
8 「題材はもう陳腐になつたヒッピー生活の後日譚だが、ところどころ文章がいい。話がごたごたと長く、焦点がまとまらず、ぢれつたくてぢれつたくて仕方がないけれど、最後にお寺で供養するあたりから急によくなつた。」
大江健三郎
男46歳
0  
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
3 「切実な題材をとりあげて一応の水準に達してゐます。」
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
0  
瀧井孝作
男87歳
0  
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
小関智弘男48歳×各選考委員 
「祀る町」
中篇 152
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
8 「皮膚の毛穴に鉄粉がしみこんだやうな文章は悪くないと思ふし、火焔ビン時代の共産党員が、いまどうやつて、何を考へて暮らしてゐるかも興味のあるところだが、作者は筋を追ふことに忙しく、主題を充分につかみ切つてゐないうらみがある。」
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
9 「積極的に授賞したかった作品」「土地と生活と時代に根ざした強さ。」「一冊の本として直木賞をえられることを望みもするが、それは僕として越権した言葉だろう。」
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
4 「切実な題材をとりあげて一応の水準に達してゐます。」「注目すべき野心作と思はれますが、それだけ工夫の足りなさが目立ちます。」
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
0  
瀧井孝作
男87歳
0  
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
長谷川卓男(32歳)×各選考委員 
「百舌が啼いてから」
短篇 129
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
0  
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
0  
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
0  
瀧井孝作
男87歳
0  
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
木崎さと子女41歳×各選考委員 
「火炎木」
短篇 145
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
7 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(+)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(+)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(+)」
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
5 「人物に現実性があり、作者の関心事たる人種の問題も、無理なく表出されてゐると思はれますが、難がないだけに奥様芸といふ感じです。」
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
19 「よいと思いました。」「いろんな女性のものをみてきましたが、その中でも木崎さと子さんは信頼の出来る作家のように思いました。」「出産という、何でもない材料(本人にとっては生死にかかわる重大事件でしょうが)を、女性でなければ書けないところをよくとらえています。満洲でなじんだ真赤な太陽の追憶も、出産にからめて思うとき、単なる感傷とはいいきれないものを感じさせました。」
井上靖
男74歳
5 「(引用者注:「傷」と共に)まあ小説を書く態度で押し切っているとは思ったが、(引用者中略)また欠点もあり、それが目立っていた。」
瀧井孝作
男87歳
6 「パーティの席で、赤ん坊が火炎木に注目する場面など、なかなかうまいと思った。前回に、「裸足」というフランスのことを書いていて、又、この「火炎木」のような題材を持っているにも、面白いと思った。」
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
上田真澄女(25歳)×各選考委員 
「真澄のツー」
短篇 72
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
14 「積極的に授賞したかった作品」「ケストナーの『フアビアン』を思わせるモラリストのユーモアと悲哀。」「しかし経験豊かな選者たちに、(引用者中略)おさなさをいわれるとそうだとも思う。」
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
0  
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
0  
瀧井孝作
男87歳
0  
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
森瑤子
「傷」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
森瑤子女40歳×各選考委員 
「傷」
中篇 254
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
8 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(-)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(-)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(-)」
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
6 「力作といふ点では第一にあげるべきでせう。」「登場する青年男女もみな現代風の一癖ある存在です。しかし肝腎の女主人公が人間として生きた印象をあたへないのは致命的欠陥で、作者が小説について何か大きな考へ違ひしてゐるのではないかと思はれます。」
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
5 「(引用者注:「火炎木」と共に)まあ小説を書く態度で押し切っているとは思ったが、(引用者中略)また欠点もあり、それが目立っていた。」
瀧井孝作
男87歳
5 「長い、達者なものだが、この作者には、(引用者中略)「誘惑」という作品があって、イギリスのクリスマスのことを書いていたと思うが、これも、達者で、達者すぎると思った。」
開高健
男50歳
0  
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他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
峰原緑子
「風のけはい」
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候補者・作品
峰原緑子女19歳×各選考委員 
「風のけはい」
短篇 56
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
安岡章太郎
男61歳
0  
丸谷才一
男55歳
0  
大江健三郎
男46歳
8 「感覚の鋭さという軸にそって見ると、(引用者中略)(+)」「その感覚の表現が安定しているかどうかの軸では、(引用者中略)(-)」「作家としてのオリジナリティーという軸では、(引用者中略)(-)」「将来への発展性ということでは、(引用者中略)(-)」
吉行淳之介
男57歳
0  
中村光夫
男70歳
0  
遠藤周作
男58歳
0  
丹羽文雄
男76歳
0  
井上靖
男74歳
0  
瀧井孝作
男87歳
0  
開高健
男50歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
吉行理恵
「小さな貴婦人」
宮内勝典
「金色の象」
小関智弘
「祀る町」
長谷川卓
「百舌が啼いてから」
木崎さと子
「火炎木」
上田真澄
「真澄のツー」
森瑤子
「傷」
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