芥川賞のすべて・のようなもの
選評の概要
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Last Update[H26]2014/8/29

大江健三郎
Oe Kenzaburo
生没年月日【注】 昭和10年/1935年1月31日~
在任期間 第76回~第91回、第103回~第116回(通算15年・30回)
在任年齢 41歳11ヶ月~49歳5ヶ月、55歳5ヶ月~61歳11ヶ月
経歴 愛媛県喜多郡大瀬村(現・内子町)生まれ。東京大学文学部仏文科卒。大学在学中に『東大新聞』に小説が入選、作家デビューする。
受賞歴・候補歴
  • 第3回「文藝」全国学生小説コンクール[佳作](昭和30年/1955年)「優しい人たち」
  • |候補| 第5回「文藝」全国学生小説コンクール[選外佳作](昭和31年/1956年)「火葬のあと」
  • 『東大新聞』五月祭賞[入選](昭和32年/1957年)「奇妙な仕事」
  • |候補| 第38回芥川賞(昭和32年/1957年下期)「死者の奢り」
  • 第39回芥川賞(昭和33年/1958年上期)「飼育」
  • |候補| 第39回芥川賞(昭和33年/1958年上期)「鳩」
  • 第11回新潮社文学賞(昭和39年/1964年)『個人的な体験』
  • 第3回谷崎潤一郎賞(昭和42年/1967年)「万延元年のフットボール」
  • |候補| 第14回新潮社文学賞(昭和42年/1967年)『万延元年のフットボール』
  • |候補| 第22回読売文学賞[評論・伝記賞](昭和45年/1970年)『壊れものとしての人間』
  • 第26回野間文芸賞(昭和48年/1973年)『洪水はわが魂に及び』
  • |候補| 第9回川端康成文学賞(昭和57年/1982年)「『雨の木(レイン・ツリー)』を聴く女たち」
  • 第34回読売文学賞[小説賞](昭和57年/1982年)『「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち』
  • 第10回大佛次郎賞(昭和58年/1983年)『新しい人よ眼ざめよ』
  • 第11回川端康成文学賞(昭和59年/1984年)「河馬に噛まれる」
  • 第1回伊藤整文学賞(平成2年/1990年)『人生の親戚』
  • |候補| 第11回日本SF大賞(平成2年/1990年)『治療塔』
  • Nobel Prize in Literature{ノーベル文学賞/スウェーデン}(平成6年/1994年)
  • 朝日賞(平成6年/1994年度)"核状況下、困難な主題を直視し、魂の救済まで描き出した真摯な創作"
個人全集 『大江健三郎全作品』第1期全6巻・第2期全6巻(昭和41年/1966年~昭和53年/1978年2月・新潮社刊)
『大江健三郎全作品』第1期全6巻・第2期全6巻(平成6年/1994年11月・新潮社刊)
芥川賞候補歴 第38回候補 「死者の奢り」(『文學界』昭和32年/1957年8月号)
第38回参考作品 「他人の足」(『新潮』昭和32年/1957年8月号)
第39回受賞 「飼育」(『文學界』昭和33年/1958年1月号)
第39回候補 「鳩」(『文學界』昭和33年/1958年3月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 76 昭和51年/1976年下半期   一覧へ
選評の概要 方法にかかわる限界 総行数33 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男41歳
候補 評価 行数 評言
  「母国語の文学に、新しい光をあてるような作家を選びたい。しかし具体的な銓衡にあたっては、この原則から自由に、いちいちのテキストをよく読みとることを第一とする。このように考えて僕は銓衡委員会にのぞんだが、討論は、全体としてその方向にあったと思う。」
選評出典:『芥川賞全集 第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和52年/1977年3月号)
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芥川賞 77 昭和52年/1977年上半期   一覧へ
選評の概要 対立を対立のままに 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男42歳
候補 評価 行数 評言
男29歳
11 「方法として単調だし、イメージのつくり方も、しばしば通俗的な風俗性に流れている。しかし、それなりに不安定な対象に密着しつづけて、ともかくも一時代の青春の一局面を、散文の世界に囲いこみえている。」「小説一篇読みおえての面白さをいえば、この作品が授賞作に選ばれて自然だった。」
男43歳
13 「情況設定も、電話の向うの立派な女も、デクノボーの主人公も、独特かつ効果的である。しかし二人の外国人の女はあいまいで、重ね塗りされるイメージも、そのひとつひとつは確実にしあげられていない。」「しかし強力な支持者たちがあり、僕は反対者としておおいに討論した後、授賞に賛成した。」
選評出典:『芥川賞全集 第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和52年/1977年9月号)
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芥川賞 78 昭和52年/1977年下半期   一覧へ
選評の概要 書く必然性 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男42歳
候補 評価 行数 評言
男30歳
12 「授賞した二作については、僕はおおむね批判の言葉をはいた。」「いま現におなじ時代のうちに生きている若い作家が、ここにこのように書かねばならぬという、根本の動機がつたわってこない。」「しかし(引用者中略)イメージ喚起力は豊か」
男30歳
12 「授賞した二作については、僕はおおむね批判の言葉をはいた。」「今日の文明のなかに住んでそれ(引用者注:民俗的な小世界)をつくる手つきがすけて見える。」「むしろ文体や構成を民俗的なものから切りはなして、客体としてはっきり民俗的なものを表現する、その方法をとるべきではないかと僕は思う。」「しかし(引用者中略)知的腕力とでもいうものはたくましい」
選評出典:『芥川賞全集 第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和53年/1978年3月号)
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芥川賞 79 昭和53年/1978年上半期   一覧へ
選評の概要 短篇の「かたち」 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男43歳
候補 評価 行数 評言
男30歳
11 「あえて僕はここに、前作にくらべてあきらかな方法の意識の深まりを見る。」「僕はこの一篇が作者の構想とは別に、独立した短篇と読みとりうるものとみなして、この作品を推した。」
男50歳
12 「短篇の「かたち」をそなえた、いかにも小説らしい小説ということを第一に考えているのがあきらかな、高橋揆一郎『伸予』の受賞に僕は反対しない。ただ(引用者中略)小説らしい「かたち」をこわすほどの、作家に自発する主題というものをもとめたい気はする。そしてそれがこの作品に明確にあるかどうか、と判断を留保する。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和53年/1978年9月号)
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芥川賞 80 昭和53年/1978年下半期   一覧へ
選評の概要 「たくらみ」と素材 総行数29 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男43歳
候補 評価 行数 評言
青野聰
男35歳
13 「中心の母親像も、それをとらえる子供自身の像も、面白さにおいて並はずれている。」「これはやはり実作者としての僕の、手さぐりの推測を出ぬが、この作者の素材の昇華のさせ方は、意識的な力をおおいにはたらかせていると思う。しかし、小説の読み手、書き手として経験の深い委員から、文章の実際に立った批判が出てくると、僕としてはその推測の根拠を示しえぬと気づく。」「しかし(引用者中略)次作への期待をいだかしめるに十分」
  「今回は授賞作がなかったが、むしろ芥川賞を連続性で見ると、充実した銓衡会であったと思う。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号)
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芥川賞 81 昭和54年/1979年上半期   一覧へ
選評の概要 実力と表現を強くもとめる主題 総行数31 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男44歳
候補 評価 行数 評言
女52歳
12 「これまでの作品に見られた、人物像の両義的な印象、つまり善をなすつもりで悪をなすような(あるいはその逆の)、一筋縄でゆかぬところを感じとらせる魅力は稀薄となった。むしろこれまでの作品すべてをひとまとめにして、その上での実力ということを考え、構成上の欠陥も見ぬのではないが、授賞に賛成した。」
男35歳
15 「この主題は、長篇として書きこむか、短篇としてスケッチするか、そのどちらかでなければ作品として成功させえぬ種類のものだ。この中篇でのそれとしての結末のつけ方がおざなりであるのはその形式上の理由によろう。」「これだけ表現をもとめるものを内部にたくわえている若い作者が、やがてそれにふさわしい小説の技術をかちとることはありえるはずだと思う。やはり欠陥を認めた上で、授賞に賛成した理由である。」
  「今日のアメリカ小説をたくみ模倣した作品もあったが、それが作者をかれ独自の創造に向けて訓練する、そのような方向づけにないのが、作者自身にも読み手にも無益な試みのように感じられた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号)
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芥川賞 82 昭和54年/1979年下半期   一覧へ
選評の概要 メッセージと風俗 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男44歳
候補 評価 行数 評言
女51歳
7 「(引用者注:「羽田浦地図」と共に)小説に表現すべきメッセージを、入念に囲みこんだ風俗のうちに、よく制禦しえていることで、(引用者中略)文学の、より狭い読み手の範囲をこえて、読むにたえる作品となっていよう。しかし、(引用者中略)つづいてどのような表現をなしとげるエネルギーをそなえているか、それが明瞭には見えない。」
  「積極的に(つまりは孤立して)、僕は授賞作ナシを主張した。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年3月号)
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芥川賞 83 昭和55年/1980年上半期   一覧へ
選評の概要 個性ある三作家 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男45歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年9月号)
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芥川賞 84 昭和55年/1980年下半期   一覧へ
選評の概要 独特さの種々相 総行数31 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男45歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
13 「次つぎに繰りだすイメージは、日常的なようで独特のものだ。」「在来の短篇の定型をいちいちひっくりかえす細部、構築するかわりに解体するような筋の運び。その尾辻氏の書き方は、短篇というジャンルの「異化」と呼びうるものだ。」「在来の短篇に見られぬ特質である。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年3月号)
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芥川賞 85 昭和56年/1981年上半期   一覧へ
選評の概要 感覚の鋭さと安定 総行数31 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男46歳
候補 評価 行数 評言
小関智弘
男48歳
9 「積極的に授賞したかった作品」「土地と生活と時代に根ざした強さ。」「一冊の本として直木賞をえられることを望みもするが、それは僕として越権した言葉だろう。」
上田真澄
女(25歳)
14 「積極的に授賞したかった作品」「ケストナーの『フアビアン』を思わせるモラリストのユーモアと悲哀。」「しかし経験豊かな選者たちに、(引用者中略)おさなさをいわれるとそうだとも思う。」
女42歳
17 「僕はその受賞に、消極的に賛成する。つまり最後の投票で、僕は反対に一票を投じたが、多数派による授賞の決定には賛成する。すでに中年にいたって、自他の自閉的な狂気に接する(しかし正気の側の)感受性を、このように安定した書きぶりで表現できれば、その人はもう作家だ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年9月号)
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芥川賞 86 昭和56年/1981年下半期   一覧へ
選評の概要 書きなおしの必要性 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男46歳
候補 評価 行数 評言
  「この賞の銓衡は、授賞作がない時、苦しいし永びきもするが、議論としては質が深められ、層が多様になる。終ってから、力をつくした後の明るさも出てくる。銓衡での具体的な作品評を、担当の編集者から候補者へつたえてもらうことを僕は望む。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年3月号)
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芥川賞 87 昭和57年/1982年上半期   一覧へ
選評の概要 いま短篇は難しい、しかし 総行数32 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男47歳
候補 評価 行数 評言
  「二度つづけて芥川賞ナシだった。秀れたものはあるが前衛的にすぎて、などということではなかったのである。両回とも、むしろ候補作は保守的であった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年9月号)
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芥川賞 88 昭和57年/1982年下半期   一覧へ
選評の概要 たくらみと初心 総行数30 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男47歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
13 「作者のたくらみは、徹底した演劇性につらぬかれて、現実の出来事を引金にしながら、感覚的、知的に高い水位の幻想をくりひろげる。対話と手紙の呼び掛けによる進行はわが国の文学に新しい刺戟を与える独自さのものだ。」「幕切れのあざやかさは、名優唐十郎のものだ。」
女46歳
10 「戦争末期から直後の、中国人少年と日本人少女のふたつの経験は、今日の小説一般のたくらみある仕方でなら、統一した視点で書かれただろう。しかしそれすらも試みず、後半のかれらの共生へと、自然に展開してゆく。そのような書きぶりであるゆえに、もう三十年近く前の北京の自然と人間とが、みずみずしくよみがえるのである。」
  「今回は総体において充実していた。七人の新しい作家が、七つの書き方と生き方を示して文学にたちむかっている。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
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芥川賞 89 昭和58年/1983年上半期   一覧へ
選評の概要 新しい「話法」 総行数31 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男48歳
候補 評価 行数 評言
島田雅彦
男22歳
21 「ロシアの民俗とモダニスムのからみあった、この時期(引用者注:一九二〇年代ソヴィエト・ロシア)の小説には、イメージの超現実にあわせて「話法」の卓抜な面白さがある。」「『優しいサヨクのための嬉遊曲』は、その「話法」をつい昨日のこと(あるいは今日の昼前のこと)について、機敏に生かした小説づくりである。」「作者の「サヨク」の日常的観察には、軽薄なようでいて(若さゆえの勇み足と弛緩は当然にあるが)田中康夫には欠けていた、自前の認識力の芽をかいま見せるものがあろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年9月号)
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芥川賞 90 昭和58年/1983年下半期   一覧へ
選評の概要 「たくらみ」と人間観 総行数31 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男48歳
候補 評価 行数 評言
女37歳
10 「あえて(引用者中略)受賞作に押す」「小説の全体への仕組みはとくになく、言葉も丹念に書き込んでゆくのみである。しかし高樹には、新しい作家の勢いを確実につみかさねてきたところがある。さらには自分独自の人間観を表明するために書く、という態度がこれまでつねにあった。」
男47歳
3 「もっとも作品の面白さを多くの委員が評価した、」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年3月号)
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芥川賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 期待をかけつつ 総行数28 (1行=26字)
選考委員 大江健三郎 男49歳
候補 評価 行数 評言
  「欠席者に発言権なし、が僕の考え方です。そこでいくつかの作品について、票決と無関係に、感想のみ申したいと思います。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年9月号)
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芥川賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 多様な個性 総行数35 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男55歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
10 「被害意識の奇怪なかたまりが現実世界をこえた物語を首尾一貫させる。才能も手腕もあきらかだが、日本人たちをとりかこむ中国人の側にもさらに想像力を働かせることで、いったんグロテスクをくぐりぬけての、よりフェアな自他の見方が達成されえたのではないか?」
  「数年をへだててこの賞の候補作を読むことになり、それぞれに多様な個性をあらわしているのがめざましかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年9月号)
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芥川賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 三人の女流たち 総行数31 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男55歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
13 「心理のこまやかな移りゆきを鋭くかつ柔らかに具象化できる人だ。」「妹は姉の陣痛への恐怖にうちのめされて、幼児期への退行にかさなる幻想世界にはいりこむ……そこを微妙な陰翳の濃淡で表現しえたのが、小川氏の作風の手柄。しかし骨格をなすプロットを揺らぎなく作って、現実的な手ごたえをしのばせる工夫が、今後の展開には必要だと思う。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年3月号)
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芥川賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 確かさと危うさ・こもごもの魅力 総行数34 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男56歳
候補 評価 行数 評言
女34歳
19 「これまでの候補作に、荻野アンナ氏の書き方の苦しい危うさは、才能の質ともどもくっきり見られた。」「ところが『背負い水』にいたって、作者はそうした個性をたわめることをせず、しかもしっかりジャストミートした。それはまず主人公の娘の性格付けが、作者自身から距離を正確にとってなされているからだ。」「娘は当世風の新しい生活をしているものの、それと矛盾しない古さのみじめな心の傷も積みかさねる。」
男46歳
15 「眠り人たちのあらわすいずれも辛い表情がしみじみと納得を誘うところはじめ、実社会で経験をかさねた作者の物の見方の確かさがゆるがぬ基盤をなしている。それだけに、語り手と仲間を若者に設定してかれらの内面によりそってゆく展開は、時に微妙なズレを見せる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年9月号)
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芥川賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 新しい無機的な場所で 総行数32 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男56歳
候補 評価 行数 評言
女30歳
14 「知的な工夫のある場面転換がスピード感もかもしだして、作者の小説設計はあらかた貫かれている。」「さてそのような進行の後のしめくくりだが、ヒロインの内面では整合性があるものの、外側から見れば気分的な弱さのあらわな結末となっている。このあいだのへだたりを埋めて、客観的にも堅固な世界をつくることが、若い作者の成熟への道すじとなろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年3月号)
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芥川賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 出発進行! 総行数33 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男57歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
11 「文体はまだ揺れているし、未熟で月並な形容句を繰りだすことも気にかけない。ところが小説はしっかりと進行して、名前もない人物が切実な体温をつたえはじめるのだ。」「この伝統ある賞が、次はどの駅にとまるとも知れぬ、しかし馬力は確実な書き手に賭けることに賛成する。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号)
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芥川賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 奇妙でリアル 総行数34 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男57歳
候補 評価 行数 評言
女32歳
20 「異類婚姻譚のかたちを展開して、小説作りの基盤としたことには、ふたつの成果があったと思う。ひとつは文体に、もひとつは社会、家庭での人物の新しい位置づけに。それはさきの候補作『ペルソナ』にくらべるとあきらかになる。」「それは当の女性の、社会に順応するというのではないがそこで自立できる、今日的な生き方を納得させる。彼女の住む郊外都市の現実感も、確固としたものだ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年3月号)
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芥川賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 対立する個人をクッキリと 総行数31 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男58歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
12 「文体も安定したこの作家の持味のままで――それだけに、新人らしい魅力に欠けるという声もあった――、着実な成果をあげている。とくにアメリカ人と結婚して老年をむかえた日本女性が、夫とも、また息子の嫁とも、じつにクッキリした対立をあらわす両シーンは、(引用者中略)個性確かな新人の出現といえよう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年9月号)
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芥川賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 ハネネズミ 総行数26 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男58歳
候補 評価 行数 評言
石黒達昌
男32歳
5 「小説の技法として意図されたものと、そうでないものと、未熟な混交を表わしているが、「ハネネズミ」の発明、文体、細部こぞってもっとも刺戟的だった。」
男37歳
15 「これまでの氏の力作と並び、創作意図は強くつらぬかれている。こうしてみれば、講談調にうわずる文体も粗雑な細部も、つまりは氏の個性なのだ。それを見きわめての、氏の剛腕への評価は、選考会でよく納得できた。したがって授賞に積極的な反対はしない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年3月号)
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芥川賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 思考と夢見 総行数34 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男59歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
16 「夢に呼びさまされた言葉を、できるかぎりその風味をそこなわずに輸送する、その技術をみがきあげて、しかもこの小説は(引用者中略)、はっきり眼ざめている観察に実力が見える。両者を結ぶ独特なユーモアもある仕事。」
男39歳
25 「意味と言葉を切りはなし、その言葉をさらにバラバラにする作業と、意味を思いがけない光で照らしてみる作業は、しばしばひとつのものである。その手法で新鮮になった眼で、地方の民俗を見なおし、そこから根こそぎ引っこぬかれて異国におかれた人間のトマドイやら歓喜やらをよみがえらせる。」「思考と文体とが明確なので、抽象的なものも具体的な手ざわりにおいて読み手に受けとめられる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年9月号)
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芥川賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 中途半端でなく 総行数25 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男59歳
候補 評価 行数 評言
  「この回の候補作の多くに、同一の不思議さを感じた。作品が力作(原文傍点)であるほど、これは文藝誌の編集者の協同によって、あと一、二度書きなおせば完成した小説になるのに、と。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年3月号)
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芥川賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 新しい生活者 総行数33 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男60歳
候補 評価 行数 評言
男38歳
13 「特質を認めながら、最初の投票でこの作品を受賞作におさなかったのには、理由があった。」「なにひとつ事件らしい事件が起こらぬ日常を語るのが保坂氏の作風だが、これから作家生活を続けてゆかれるには、やはり小説らしい物語をつくる能力が――あるいは、それを試みてみようとする意欲が――必要ではないだろうか。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年9月号)
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芥川賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 本当に書くべき小説 総行数34 (1行=24字)
選考委員 大江健三郎 男60歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
9 「物語を展開する技術が卓抜で、多様な女性像にも魅力がある。それを沖縄の女性像の独特さとして一般化できそうなのが強みで、この土地の現代生活によりそっている民俗的な古代もまた、今後の創作活動を支えるだろう。」
  「アメリカに移り住むことになったので、この賞の選考に一区切つけざるをえず、そこで振り返ってみると、自分の選考の態度にこの数年変化が生じていたのがわかる。かつては、この一作ということしか考えなかった。いまはその書き手が生涯の仕事として小説を選ぶ、その全体をいつも思っている。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年3月号)
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