芥川賞のすべて・のようなもの
第108回
  • =受賞者=
  • 多和田葉子
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Last Update[H26]2014/10/29

多和田葉子
Tawada Yoko
生没年月日【注】 昭和35年/1960年3月23日~
受賞年齢 32歳9ヵ月
経歴 東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒、ハンブルグ大学大学院修士課程修了。大学卒業後の昭和57年/1982年よりドイツ・ハンブルグに移住し、書籍取次会社入社。日本語、ドイツ語で詩作、小説創作を始める。
受賞歴・候補歴
  • Förderpreis der Stadt Hamburg{ハンブルク市文学奨励賞/ドイツ}(平成2年/1990年)
  • 第34回群像新人文学賞[小説部門](平成3年/1991年)「かかとを失くして」
  • |候補| 第5回三島由紀夫賞(平成3年/1991年度)『三人関係』
  • |候補| 第107回芥川賞(平成4年/1992年上期)「ペルソナ」
  • |候補| 第14回野間文芸新人賞(平成4年/1992年)『三人関係』
  • 第108回芥川賞(平成4年/1992年下期)「犬婿入り」
  • |候補| 第23回川端康成文学賞(平成8年/1996年)「ゴットハルト鉄道」
  • |候補| 第35回女流文学賞(平成8年/1996年)『ゴットハルト鉄道』
  • Adelbert-von-Chamisso-Preis{シャミッソー賞/ドイツ}(平成8年/1996年)
  • 第28回泉鏡花文学賞(平成12年/2000年)『ヒナギクのお茶の場合』
  • 第12回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(平成14年/2002年)『球形時間』
  • 第14回伊藤整文学賞[小説部門](平成15年/2003年)『容疑者の夜行列車』
  • 第39回谷崎潤一郎賞(平成15年/2003年)『容疑者の夜行列車』
  • Goethe-Medaille{ゲーテ・メダル/ドイツ}(平成17年/2005年)
  • |候補| 第37回高見順賞(平成19年/2007年)『傘の死体とわたしの妻』《詩集》
  • |候補| 第12回中原中也賞(平成19年/2007年)『傘の死体とわたしの妻』《詩集》
  • 第2回早稲田大学坪内逍遙大賞(平成21年/2009年)
  • 第21回紫式部文学賞(平成23年/2011年)『尼僧とキューピッドの弓』
  • 第64回野間文芸賞(平成23年/2011年)『雪の練習生』
  • 第64回読売文学賞[小説賞](平成24年/2012年)『雲をつかむ話』
  • 第63回芸術選奨文部科学大臣賞[文学部門](平成24年/2012年度)『雲をつかむ話』
備考
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芥川賞 第107回候補  一覧へ
「ペルソナ」(『群像』平成4年/1992年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第47巻 第7号  別表記6月特大号
印刷/発行年月日 印刷 平成4年/1992年5月5日 発行 平成4年/1992年6月1日
発行者等 編集人 渡辺勝夫 発行人 徳島高義 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 388 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 168~202
(計35頁)
測定枚数 96
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書誌
>>平成5年/1993年2月・講談社刊『犬婿入り』所収
>>平成10年/1998年10月・講談社/講談社文庫『犬婿入り』所収
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候補者 多和田葉子 女32歳
選考委員 評価 行数 評言
大庭みな子
女61歳
9 「人がそれぞれに全然べつのことを考えている、ということがよくわかる小説である。散乱している台詞はちぐはぐな寂しいものばかりで、それがその人の背後にかかえている世界の手ざわりになっている。」「今回は及ばなかったけれど、それぞれの背後にあるくろぐろとしたものが絡み合って動き出せば、力強い不気味なものになるだろう。」
大江健三郎
男57歳
9 「ドイツで暮す日本人たちと異邦人の関係がくっきり書き記されている。」「自分の小説の文体を発明して使いこなす技量では、(引用者中略・注:「アンダーソン家のヨメ」と共に)トップを走っていた。ところがそれぞれのやり方で入念に仕立てられた舞台と人物が、それから本当には動かない。」
黒井千次
男60歳
12 「印象に残った。」「重い珠質が感じられる。」「能面を着けて街に出る結末の扱いには疑問を覚える。」
河野多恵子
女66歳
2 「(引用者注:受賞作以外では)最も今後の期待を覚えた。」
吉行淳之介
男68歳
0  
古井由吉
男54歳
0  
日野啓三
男63歳
14 「最初はとくに印象強くなかったのに再読しながら、細かな陰影の豊かさに驚いた(最初はいったい何を読んでいたんだ)。」「この作者は独得の文体をもっていると思った。」「外国で異質のものにさらされての違和感ないし怯えが、自分という存在への違和感とうまく重なっている。この文章はこれから小説を書けると感じた。」
田久保英夫
男64歳
2 「触れたかったが、紙幅がつきた。」
丸谷才一
男66歳
0  
三浦哲郎
男61歳
12 「自分としては受賞作なしだが、もし藤原作品と多和田作品を強く推す委員がいたら、同調してもいいというつもりで選考会に出た。」「豊かな才能を感じた。」「とても良質の文章なのだが、〈のだった〉という語尾がおびただしいのは、なぜだろう。」「欲を出しすぎて、作品全体が散漫になっているところが難点だろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号)
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芥川賞 第108受賞  一覧へ

いぬむこい
犬婿入り」(『群像』平成4年/1992年12月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第47巻 第13号  別表記12月号
印刷/発行年月日 印刷 平成4年/1992年11月5日 発行 平成4年/1992年12月1日
発行者等 編集人 渡辺勝夫 発行人 天野敬子 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 324 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 6~33
(計28頁)
測定枚数 77
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書誌
>>平成5年/1993年2月・講談社刊『犬婿入り』所収
>>『文藝春秋』平成5年/1993年3月号
>>平成10年/1998年2月・角川書店刊『女性作家シリーズ22 中沢けい・多和田葉子・荻野アンナ・小川洋子』所収
>>平成10年/1998年10月・講談社/講談社文庫『犬婿入り』所収
>>平成14年/2002年6月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第16巻』所収
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候補者 多和田葉子 女32歳
選考委員 評価 行数 評言
河野多恵子
女66歳
9 「最後の部分が文学的誠実さを失ってしまっている。しかし、この人には、かねて注目してきた。自在で綾に富んだ発想とそれに適切な文章を駆使する才能は、なかなかのものである。」
丸谷才一
男67歳
9 「文体と趣向はおもしろいなと思つたものの、そのおもしろさがつづいたのは前半だけだつた。そのさきへ進むと、登場人物たちも急に魅力を失ひ、意味ありげな筋もなげやりな話の運びに変る。」「この作家が作風を転換して、風通しをよくしたのには大賛成だが、技術がそれについて行つてゐない。」
大江健三郎
男57歳
20 「異類婚姻譚のかたちを展開して、小説作りの基盤としたことには、ふたつの成果があったと思う。ひとつは文体に、もひとつは社会、家庭での人物の新しい位置づけに。それはさきの候補作『ペルソナ』にくらべるとあきらかになる。」「それは当の女性の、社会に順応するというのではないがそこで自立できる、今日的な生き方を納得させる。彼女の住む郊外都市の現実感も、確固としたものだ。」
大庭みな子
女62歳
13 「外の世界との異和感をかかえて立つ多和田さんの強靭さは、この二三年の間に発表された何篇かの作品を通じてわたしをとらえて放さなかった。」「作家・多和田葉子は日本文学界のこの伝統ある新人賞・芥川賞で祝福される時期に来ている。」
吉行淳之介
男68歳
12 「なかなか面白くて感心した。」「そのしたたかな才能に目の覚める気分だったが、だんだん「才気煥発」が目立つようになり、これはふつう誉め言葉なのだが、この場合には持時間不足を強引に押し切ろうとしているようにおもえてきた。そういう部分は、なまじ何の寓意か考え過ぎないようにして、あとは大勢に従った。」
黒井千次
男60歳
19 「新旧二つの文化の接点に一粒の民話の種子を埋め、その成長を見守る話として(引用者中略)面白く読んだ。」「民話は一方で、現代人の結婚や子育てや家庭の生態を照し出し、他方、それ自体としては犬への変身譚として展開する。」「二つの力の絡み合いが、内部に正体の掴み難い奇妙なものを包み込んだまま、特異な非現実の世界を生み出している。」
古井由吉
男55歳
0  
田久保英夫
男64歳
17 「言葉の小さな槌で、読み手の通念を一つ一つ壊していくような小説である。それはときには快く、ときには不快にも思える。」「これほど「変身」し、無限定なのは、ほとんど恣意と変らないのではないか。」「しかし、ラストに突然、「犬」のような性癖を持った太郎と、ゲイのような男が旅立ち、女塾教師と風変りな女生徒が土地を去るあたりは、ただ単に話のおわり方とみても型どおり、人物の関係づけも安易に思える。」
日野啓三
男63歳
8 「最初に読んだときは、前回の選考でこの人の「ペルソナ」を推しながら、今度は計算違いをしているな、という印象だった。終りの方がよくわからない。」「文体によって作品を自己増殖させる、という文学的小説の基本が自然に身についている。文学の匂いがある。」
三浦哲郎
男61歳
15 「前回、「ペルソナ」で豊かな才能を示した多和田葉子氏に期待したが、今回の「犬婿入り」が内容も文体もがらりと変わっているので驚いた。」「これはおそらく才人ゆえの試作品の一つなのである。それならば、せめてもう一作、まるで違った作品を読んでみたかった。授賞はそれからでも遅くはないと思った。」「私は、この作者がいろんな試みに飽きて、また「ペルソナ」へ戻ってくる日を待つことにしよう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年3月号)
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