芥川賞のすべて・のようなもの
選評の概要
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Last Update[H26]2014/8/29

三浦哲郎
Miura Tetsuo
生没年月日【注】 昭和6年/1931年3月16日~平成22年/2010年8月29日
在任期間 第91回~第133回(通算21.5年・43回)
在任年齢 53歳3ヶ月~74歳3ヶ月
経歴 青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文学科卒。大学在学中に同人誌『非情』の創刊に参加、新潮社の同人雑誌賞を受賞。
受賞歴・候補歴
個人全集 『三浦哲郎自選全集』全13巻(昭和62年/1987年9月~昭和63年/1988年9月・新潮社刊)
芥川賞候補歴 第44回受賞 「忍ぶ川」(『新潮』昭和35年/1960年10月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 愛情の表われ 総行数31 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男53歳
候補 評価 行数 評言
  「初めて選考に加わったので、緊張した。選考会は予想していた以上に厳粛なもので、しかもこの賞に寄せる各委員の愛情を強く感じた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年9月号)
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芥川賞 92 昭和59年/1984年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数31 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男53歳
候補 評価 行数 評言
女45歳
10 「感心した。」「かなり難しい素材だが、作者は粘りづよい筆で主人公の気持の揺れを丹念に書き込んでいる。とりわけ、従姉の帰国後が冴えている。この賞に相応しい力量の持主だと思う。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号)
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芥川賞 93 昭和60年/1985年上半期   一覧へ
選評の概要 けなげさと哀しさ 総行数33 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男54歳
候補 評価 行数 評言
石和鷹
男51歳
10 「打ちひしがれてはまた奮い立っておのれの家庭にのしかってくる〈目に見えぬ何ものかの意志〉に立ち向う家長の姿に、人間というもののけなげさと哀しさが滲み出ている。」「ただ、普通の病妻物にしたくないばかりに凝らした工夫が、結果的にわかりにくい個所を生じたのは不運であった。私自身はそこのところを無理なく読めたのでこれを推したが、わずかに及ばなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年9月号)
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芥川賞 94 昭和60年/1985年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数32 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男54歳
候補 評価 行数 評言
石和鷹
男52歳
13 「私は(引用者中略)最も有力だと思っていた。」「一読して確かに打ってくるものがある。今度は病妻の死を中心に据えているだけに、前作よりも引き締まって完成度の高い作品になっている。」「これだけを切り離して完全に独立した一篇として見た場合の評価は多少違ったものになるかもしれないという不安はあった。連作小説というものの厄介なところである。」
女55歳
15 「重厚な作品である。」「力量を充分認めた上でいうのだが、この作品を読んでいるうちにところどころ文章が主婦の作文めいてきて、そこから作者の生の声がきこえてくるのが気掛かりであった。読後の重い感銘のなかに、婦人の口から二十年間のうらみつらみを聞かされたような一種の鬱陶しさが混じるのは、多分そのせいである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年3月号)
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芥川賞 95 昭和61年/1986年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数29 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男55歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年9月号)
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芥川賞 96 昭和61年/1986年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数28 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男55歳
候補 評価 行数 評言
多田尋子
女54歳
16 「私は(引用者中略)推した。」「読後に、一人の孤独な初老の女性像が確かな存在感をもって残る。そのことに感心した。それに、近頃の女流作品には珍しく、ここには女性の体臭がある。」「ただ、主人公に比べて、不能だったという夫の像が、なかなかうまく結ばないもどかしさはあった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和62年/1987年3月号)
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芥川賞 97 昭和62年/1987年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数31 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男56歳
候補 評価 行数 評言
女42歳
22 「「熱愛」は村田氏の最初の候補作で、文体も描写も緊密なよい作品であった。その快い読後感が頭を去らない。」「今度の「鍋の中」も気を入れて読んだが、私には不満であった。」「なによりも粗さが気になった。ある個所ではテニヲハさえ怪しくなっている。投げやりとも思える個所もある。そうかと思うと、また気を取り直したように生き生きと書く、そんな密度のむら(原文傍点)も気になった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和62年/1987年9月号)
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芥川賞 98 昭和62年/1987年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数29 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男56歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
14 「印象深かった。」「まず文章がいいと思った。いかにも静物を描くのにふさわしい、硬質で、いくらかひんやりした手ざわりの、それでいて適度な柔軟性も持っている。」「雨崎の海辺で雪に降られる場面や神社の境内で鳩を見る場面の、新鮮な美しさと説得力には感心させられた。」「冒頭の前説を切り捨てる勇気が持てさえしたら、今後が楽しみな新作家だと思う。」
男57歳
11 「印象深かった。」「まことに巧妙な語り口で、一気に面白く読んだが、読後に謎がいくつも残った。それがすなわち人間というものの曖昧さ、人生というものの不透明さなのだろうが、そうは思っても禅や仏門に不案内な私にはなおも釈然としないものが残り、水上さんに伺ってやっと納得する始末であった。」
  「今回は水準の高い作品が集まった」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和63年/1988年3月号)
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芥川賞 99 昭和63年/1988年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数27 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男57歳
候補 評価 行数 評言
岩森道子
女52歳
10 「謙虚ですがすがしい作品である。」「とりわけ婆さんの言動がいい。快活な文体も悪くなかった。ただ、不満をいえば、作品が現代に取り残された一つの異境への一日訪問記風に纏まりすぎていて余韻が乏しい点である。けれども、〈雪迎え〉の美しいシーンは今後忘れることがないだろう。」
男42歳
4 「古井戸の場面に感心した。全体としては行間から作意がありありと見える点など不満もあるが、最後の評決では作者の豊かな力量を認めて授賞に賛成した。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和63年/1988年9月号)
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芥川賞 100 昭和63年/1988年下半期   一覧へ
選評の概要 南木と清水 総行数32 (1行=26字)
選考委員 三浦哲郎 男57歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
14 「南木佳士氏と清水邦夫氏を推すつもりで選考会に出席した。」「変貌する別荘地の病院を中心にそこの自然と住人たちの生活を、リズミカルでしっとりと落ち着いた文章で厚み豊かに描き出すことに成功している。」「百回記念の芥川賞にふさわしい出色の作品だと思う。」
清水邦夫
男52歳
13 「南木佳士氏と清水邦夫氏を推すつもりで選考会に出席した。」「纏まりと完成度という点ではこれまでで随一といっていいだろう。」「今度の作品の地の文はまことにきちんと書かれている。」「私は、清水氏の小説作品の代表作としてこれを推したが、惜しくも二票差で及ばなかった。」
女33歳
7 「この作者が荒々しいまでに攻撃的だった文体を捨てて説得力に富んだ冷静な文体を獲得しすっかり身につけていることをまず喜びたい。けれども、扱っている言語の問題が複雑なせいか、私はよく納得できない個所がすくなくなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成1年/1989年3月号)
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芥川賞 101 平成1年/1989年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数36 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男58歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成1年/1989年9月号)
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芥川賞 102 平成1年/1989年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数32 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男58歳
候補 評価 行数 評言
女50歳
11 「よかった。」「なによりも肩の力がすっかり抜けてのびのびと書けているところがいい。」「好ましい場面は随所にあるが、とりわけ、実の父親に会いにいくところがよかった。」「行間から、「サヨナラダケガ人生ダ」という、誰かの呟きがきこえてきて、それが読後の余韻になっている。小説というものはこうでなくてはいけない。私は躊躇なくこれを推した。」
男31歳
2 「前回とおなじ理由(引用者注:すでに三島由紀夫賞の受賞者であること)で棄権した。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年3月号)
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芥川賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 「風鳥」を推す 総行数35 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男59歳
候補 評価 行数 評言
清水邦夫
男53歳
21 「私は(引用者中略)推した。」「会話はもとより、それを支える文章もこれまでとは見違えるような、神経のゆき届いた隙のないものになっている。」「出色の作だと思ったのだが、わずかに及ばなかった。」
男44歳
9 「私は中国が好きだから興味を持って読んだが、話の面白さは認めるにしても、注文も多かった。」「私はこの作品全体に、作家の心ではなしにいささか鈍い商社マンの神経を感じたにすぎなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年9月号)
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芥川賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数35 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男59歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
14 「小川氏の文体は、簡潔で正確な上に、乾いているというほどではないが至って湿り気のすくない、ひんやりとした感触が快い。」「ただ、このような選考には私情が無縁のものと知りつつも、現実に染色体が欠損したまま生まれた肉親を持つ身にとっては、どうしても結末の部分を平静に受け入れられなかったことを恥と共に告白しておかねばならない。」
福元正實
男57歳
11 「異色作で、私には面白かった。無愛想といってもいいほどの地味な文章が、不如意な世の中を象徴しているようで、行間に作者の苦笑がにじんでいる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年3月号)
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芥川賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 多田作品を推す 総行数36 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男60歳
候補 評価 行数 評言
多田尋子
女59歳
23 「強く惹かれた。」「多田さん、新味がないなどという批判に動揺してはいけません。新味なんて、じきに消えてなくなるものです。あなたのこれまでの人生の消えない真実をためらわずにお書きなさい。それが本当の小説というものなのですから。」
男46歳
8 「素材の面白さにつられて一気に読んだ。人間の眠り、あるいは眠っている人間というものを、外側からこれほどつぶさに考察した作品が珍しいことは認めるにしても、私は作品の構成にいくつかの難点を数えることができた。」
女34歳
5 「私は、この人はアウトサイダーとして自分の才能を最大限に発揮できる人だと思っているから、ちとお気の毒という気がしないでもない。芥川賞に囚われぬことを祈ります。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年9月号)
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芥川賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数32 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男60歳
候補 評価 行数 評言
多田尋子
女59歳
15 「私は、今回も(引用者中略)推した。この人の、平易で気取りのない、けれども勘所をきちんと抑えている文章にも、私は感心している。」「若い女性が主人公のせいか作品全体が少々くだけすぎた感がなきにしもあらずだが、出来映えは前作より上ではないかと思う。」「人間のかたくなさ、身勝手さのぶつかり合いを通して、人生というものの重さ、生きるということの厄介さを、象徴的に描き出しているところが、この作品の手柄だと思う。」
女30歳
11 「清澄な文章に敬意を表しておこう。」「読んでいて一種の爽快感をおぼえた。」「けれども、この「至高聖所」ではルームメイトが芝居の台本を書き出すあたりから明晰さを欠く場面が目立つようになる。私としては、次作を待ちたい気持だった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年3月号)
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芥川賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男61歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
15 「自分としては受賞作なしだが、もし藤原作品と多和田作品を強く推す委員がいたら、同調してもいいというつもりで選考会に出た。」「未知の世界がくわしく描かれているだけに、強い好奇心をもって面白く読んだ」「ただし、前半部分のところどころに〈 〉で挿入してある主人公の気取った感慨のいくつかは、なくもがなだろう。」
  「作品としては図抜けたものが見当らなかった。」「どの作品にも、非常に好ましい部分があるかと思えば、見過ごすことのできない欠点もある。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号)
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芥川賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数33 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男61歳
候補 評価 行数 評言
女32歳
15 「前回、「ペルソナ」で豊かな才能を示した多和田葉子氏に期待したが、今回の「犬婿入り」が内容も文体もがらりと変わっているので驚いた。」「これはおそらく才人ゆえの試作品の一つなのである。それならば、せめてもう一作、まるで違った作品を読んでみたかった。授賞はそれからでも遅くはないと思った。」「私は、この作者がいろんな試みに飽きて、また「ペルソナ」へ戻ってくる日を待つことにしよう。」
  「今回は、該当作なしになるのではないかと予想して選考会に出た。個性的な作品がそろってはいるものの、いずれもその個性の輝きが眩しさを感じさせるまでには至っていないと思われたからである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年3月号)
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芥川賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数25 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男62歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
12 「読後の疲労感はこれまでよりも快かったといっていい。これはおそらく、この作者の持ち味である淀みのない語りくち、読ませる力、読者を引きずっていく力技に、いよいよ磨きがかかってきた証拠かと思われる。」「多少強引にすぎるところ、どぎつさが目立つところがなきにしもあらずだが、この光彩に満ちた文章力は顕彰されてしかるべきだろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年3月号)
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芥川賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数31 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男63歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
16 「氏の作風が、私のようなリアリズムの作家には容易に納得できないものを持っている、ということは前にも書いたような気がするが、今回の作品は、これまでになく淡泊な印象で、(引用者中略)しみじみとした味わいさえ感じられ、意外であった。けれども、だからといって、この作品が、前のたとえば「二百回忌」よりも優れているかどうかの判断は、やはり私にはできなかった。」
男39歳
9 「面白く読んだが、これはエッセーであろう。作者が相当な知識人であり、従来の小説の枠を打ち破ろうといろいろ工夫を凝らしていることはわかるが、私はこの作品を小説と認めることができなかった。」「もし純粋なエッセーとして書いていたら定めし稀有な作品が生まれていただろうにと、惜しまれる。」
  「今回は、該当作なしのつもりで選考会に出た。結果は二人も受賞者を出すことになったが、私はいまでも今回はなし(原文傍点)が妥当だったと思っている。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年9月号)
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芥川賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数27 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男63歳
候補 評価 行数 評言
  「芥川賞が望ましくない方向へそれてきたような気がする。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年3月号)
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芥川賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男64歳
候補 評価 行数 評言
男38歳
15 「正直いって、読後にいささかの物足りなさが残らぬでもなかった。なにも波瀾が欲しいのではない、どこかに、たった一つだけでも、読む者の心に文学的表現としての文章なり情感のひと搏ちがあれば、という気がしたのである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年9月号)
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芥川賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男64歳
候補 評価 行数 評言
中村邦生
男49歳
23 「いいと思った。」「読んでいると、自分もナイトハイクのグループに加わって夜の森を歩いているような錯覚に陥りそうになる。」「この作品が独自で、不思議な重量感を持っているのは、グループを構成している人々、ひとりひとりの人生の陰影が、実に注意深い手つきで掬い上げられ、さりげなく静寂の底に沈められているからである。」「世の中には、このような静かな作品を望んでいる読者がすくなくないことを私は確信している。」
男48歳
10 「私はこの作者の、少々荒っぽいが読ませる力を認めるものの、沖縄の風土や習俗が適切に取り入れられているという点には賛成しかねた。この作品の主人公は、風葬された父親の骨を拾うという個人的な目的のために、御嶽(ルビ:ウタケ)へお参りして豚の厄落しをしたいと素朴に願っている女たちを利用するのである。」「私には、沖縄文学として底の浅さが感じられてならなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年3月号)
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芥川賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男65歳
候補 評価 行数 評言
塩野米松
男49歳
11 「親しみを感じながら楽しく読んだ。」「いつもながら登場人物たちの血色がよく、みな生き生きとして人間臭いのが好ましかった。」「ただ、今回の作品は手が込んでいて、収束に手間取り、冗漫な部分が散見されるのは惜しかった。」
女38歳
14 「しっとりとして冷たい情感をたたえた文章に感心した。近年、これほどそつのない文章を駆使する新人とは出会わなかったような気がする。ただ、私は(引用者中略)蛇という生きものに堪え難い恐怖と嫌悪を抱くようになっている。(引用者中略)それにしても、素材に対する恐怖や嫌悪が作品の評価に影響を及ぼしてはいけないのである。反省している。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年9月号)
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芥川賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数35 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男65歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
11 「候補作中この作品に最もしたたかな文学的才能を感じた。」「満開の桜の下でブランコに乗る場面が二度出てくるが、いずれも私は好ましい印象を受けた。他の委員に感傷的だと嗤われたが、あの二つの場面を読んだときの感銘は、いまでも私の胸底にある。」
男37歳
13 「堅固な砦を思わせるような作品である。さあ、どこからでもこい、これが受賞しなければ芥川賞とは一体なんだ、という自信と気概も感じられる。ところどころ美文調に陥ったり(引用者中略)、語尾にのだった(原文傍点)が頻出する嫌いがあるが、作品の評価を揺るがすほどではない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年3月号)
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芥川賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数30 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男66歳
候補 評価 行数 評言
  「今回は該当作がないのではないかと危ぶんでいたが、結果はその通りになった。」「みなそれぞれに野心を持ち、主題を持ち、それを表現するための技倆も方法も持ち合わせているのだが、出来上がった作品には肝腎ななにかが欠けている。読む者の心を突き動かす力が欠けている。」「ただ事のなりゆきを抜かりなく丁寧に記述しただけで推敲のあとなどまるで感じられないやわ(原文傍点)な文章の、いかに多いことか。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年3月号)
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芥川賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数31 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男67歳
候補 評価 行数 評言
辻章
男53歳
7 「よいと思った。」「どうしても書きたい、書かずにはいられない素材と四つに取り組んでいる作者の気魄が全篇に漲っていて、充実感がある。古風といわれればそうに違いないが、地味ながら胸を打ってくる佳品であることには変わりがない。」
男43歳
10 「筆力という点でぬきんでていた。文章もしなやかで、どの場面の描写も力強くめりはりが利いていて印象的であった。」「行間から激しい主張と怨念のようなものが脈々と伝わってくる。ただ、部分的にはともかく、全体として見れば粗く強引にすぎて納得しかねる面があったことを指摘しておかねばならない。」
男39歳
8 「前作とあまりにも作風が違うので驚いた。今回の作品は文章も内容もよく整っていて、この作者の最良作だと思うが、これまでの荒々しい熱気が影をひそめて妙におとなしく纏まっているところが、いささか食い足りなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年9月号)
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芥川賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数33 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男67歳
候補 評価 行数 評言
男23歳
22 「この作者の該博ぶりと明晰な文章を駆使する力量は、確かに瞠目に値する。それを充分認めた上でいうのだが、作者は、ここにちりばめてあるペダントリーとも思われかねない用語の力を頼ることなしに、それらを強引に押しつけるのではなしに、自分の意図するところを読む者へそっくり正確に伝えられるような独自の表現方法を考慮するべきではなかったろうか。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年3月号)
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芥川賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数32 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男68歳
候補 評価 行数 評言
松浦寿輝
男45歳
17 「感心した。なによりも文章がいい。」「ちかごろの新しい人で、この作者のように自分の文体をしっかりと身につけているのは稀有なことではないかと思う。文章ばかりではなく、作品の結構も緻密でほとんど破綻が見当らない。」「私は、選考会でこの作品を推したが、残念ながらわずかに及ばなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年9月号)
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芥川賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男68歳
候補 評価 行数 評言
男→女37歳
19 「出色のできばえだと思った。」「一見、無造作に楽々と書かれたような平明な文章が、よく読んでみると注意深く選んだ言葉でしっかり編まれていて味わい深いのは、前作「恋の休日」の場合と同様である。」「私は、この作品にごく普通に生きている人間の体温を感じて心が安らぐのをおぼえた。」
男34歳
7 「前作の「おっぱい」に比べれば内容も文章も格段に重厚さを増していることは認めるものの、正直いって私にはよくわからないところの多い作品であった。」「残念なことにソバンの哀しみや憤りに胸を打たれるまでには至らなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年3月号)
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芥川賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数32 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男69歳
候補 評価 行数 評言
佐藤洋二郎
男51歳
9 「いいと思った。」「地味でいささか古風に見えるが、よく刈り込まれた密度の濃い佳作である。」「もともと力のある人だから、この賞の候補は初めてと聞いて意外な気がした。これが大きな飛躍のきっかけになれば幸いである。」
男46歳
9 「前作の「幽(かすか)」に比べると欲張りすぎで、都合よく作りすぎた個所が目立ち、かならずしも作者の最良の作品とは思えないのだが、最終的には、文体の魅力と、どんなに詰め込んでも綻びの不安を感じさせない才能の大きさと安定感に、一票を投じた。」
男38歳
9 「私は所詮この人のいい読者ではなく、常にも増してエネルギッシュだということのほかは正直いってこの作品のよさがわからなかった。町田氏は、作家として当然のことながら今後も言葉にこだわりつづける由で、それには私も大いに賛成だが、そのこだわりがただの言葉遊びの駄洒落や語呂合わせに終わることのないようにと祈らずにはいられない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年9月号)
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芥川賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数34 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男69歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
11 「私は結局、(引用者中略)推した」「これまでの作品に比べて文章も構成も格段に優れていると思った。ガンを病む父親を中心に背教キリシタンの末裔と伝えられる一族の入り組んだ人間模様と皮肉な運命を力まずに描いて破綻がない。」
男37歳
10 「隙のない堅固な文章が印象的であった。」「けれども、欠点のない、どこからも文句のつけようのない立派な散文でも、それが必ずしもそのままよい小説の文章になるとは限らないのだから、厄介である。」「この作品はあまりにもエッセー風で小説としての魅力に乏しかった。」
  「今回の候補作は水準が高く、粒ぞろいで、順位をつけるのが難しかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年3月号)
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芥川賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数35 (1行=24字)
選考委員 三浦哲郎 男70歳
候補 評価 行数 評言
男45歳
18 「(引用者注:「ジャムの空壜」と共に)強い支持を集めることがあったら敢えて反対はしないと思っていた」「期待通り文章も構成も手堅く安定していて、安心して読めたが、前作に比べて感覚の躍動が抑えられて妙におとなしくなっているのが少々寂しく思われた。」「なによりも残念だったのは、紙縒のタペストリーについてどうしても鮮明なイメージが描けず、したがって末尾のウメさんの葬式の場面で肝腎の中陰の花のゆらめきを言葉でしか感じることができなかったことであった。」
  「今回は進んで推したい作品はなかった」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年9月号)
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芥川賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数54 (1行=14字)
選考委員 三浦哲郎 男70歳
候補 評価 行数 評言
法月ゆり
女(39歳)
25 「書面で、(引用者中略)推す旨を伝えておいた。」「これは一読して候補作中抜群に面白かった。」「どのページをひらいても、深さ六フィートの地中から叔母の無言の呟きがきこえてきて人間というものの奇怪さについて考えさせられる。端倪すべからざる作品だと思う。」
男29歳
11 「引用者注:「ゆううつな苺」と共に)よく書けていると感心したが、(引用者中略)才能のある書き手なのに、依然として好評だった前作のエリアから一歩も踏み出せずにいるのがちょっと不満であった。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年3月号
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芥川賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数48 (1行=14字)
選考委員 三浦哲郎 男71歳
候補 評価 行数 評言
男33歳
21 「いたく感心したので、躊躇なくこれを推した。ちかごろは、この『パーク・ライフ』のように隅々にまで小説の旨味が詰まっている作品に出会うことがむつかしくなった。元来小説というものがすべてそうであるべきなのに。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年9月号
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芥川賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数60 (1行=14字)
選考委員 三浦哲郎 男71歳
候補 評価 行数 評言
女36歳
19 「これまでで最も小説的な作品になっている。」「全体にたくまざるユーモアが染み渡っていて、それがあちこちの行間からちいさなにが笑いや哀しみとなってしたたっている。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号
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芥川賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数53 (1行=14字)
選考委員 三浦哲郎 男72歳
候補 評価 行数 評言
栗田有起
女31歳
37 「感心した。」「私は一読してこの作品が好きになった。テルミーの可憐さ、健気さ、矜持に裏打ちされた潔さに強く惹かれた。」「テルミーと布との関わりをもうすこし深く追求していたら賞に手が届いたろう。」
男42歳
5 「この作品の核にもなっているサディスティックな暴力シーンは、今の私にはちと荷が重すぎた。」
  「近頃の新人の文章には推敲の跡が全く見て取れない。いちどでも推敲していれば削除されているはずの文章がぬけぬけと消え残っている。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年9月号
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芥川賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数46 (1行=14字)
選考委員 三浦哲郎 男72歳
候補 評価 行数 評言
女20歳
12 「ピアスや刺青の世界には全く不案内で、終始目をまるくして読んだが、驚いた。芯のある大人びた文章で、しっかりと書いてある。」「ところどころで理解を越えた表現に遭遇して面食らったものの、全体として面白く読むことができた。」
女19歳
13 「この人の文章は書き出しから素直に頭に入ってこなかった。たとえば『葉緑体? オオカナダモ? ハッ。っていうこのスタンス。』という不可解な文章。私には幼さばかりが目につく作品であった。」
選評出典:『文藝春秋』平成16年/2004年3月号
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