芥川賞のすべて・のようなもの
第95回
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昭和61年/1986年上半期
(昭和61年/1986年7月17日決定発表/『文藝春秋』昭和61年/1986年9月号選評掲載)
選考委員  吉行淳之介
男62歳
開高健
男55歳
安岡章太郎
男66歳
田久保英夫
男58歳
古井由吉
男48歳
遠藤周作
男63歳
三浦哲郎
男55歳
水上勉
男67歳
中村光夫
男75歳
選評総行数  32 34 34 31 35 25 29 34  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
中村淳 「風の詩」
117
男31歳
0 0 0 0 0 0 0 0    
海辺鷹彦 「ボラ蔵の翼」
109
男39歳
6 0 0 0 0 0 4 0    
島田雅彦 「ドンナ・アンナ」
103
男25歳
8 0 0 0 0 0 0 0    
新井満 「サンセット・ビーチ・ホテル」
106
男40歳
3 0 0 0 0 0 0 0    
山田詠美 「ジェシーの背骨」
126
女27歳
8 8 8 8 11 0 10 8    
村田喜代子 「熱愛」
51
女41歳
3 0 0 0 23 0 12 2    
藤本恵子 「比叡を仰ぐ」
104
女35歳
4 8 24 19 3 0 4 24    
                欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
吉行淳之介男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
6 「父親についての材料はとてもいい。ただ、ほかのことまで欲張り過ぎたため、材料の料理法が自分でも分らなくなったようだ。」「前作「黄色い斥候」の上質な文章を書いた人とはおもえないが、つまりは文章を支える内容の在り方である。」
島田雅彦
男25歳
8 「自己主張とナルシシズムとが裏おもてになっており、したたかさを含んだ頼りなさを美点としているあたり、時代の子という感じだ。」「今回の作品は、わりにおもしろく読了した。しかし、このままでは、昭和初年のモダニズム作家たちの一時の華やぎに似てくるオソレがある。」
新井満
男40歳
3 「愉しく読める部分があったが、書き出しの数頁がうるさい。小説についての既成概念が禍いとなっている点は、ほかにもあった。」
山田詠美
女27歳
8 「手応え十分の部分と強くて鋭い細部とユニークな新鮮さがあるが、それと正反対のものも同じくらいの分量だけある。興味のある存在で、才能があることはたしかだが、その質について判断がつきかねるところがある。」
村田喜代子
女41歳
3 「私は評価した。読んでゆくにしたがって、昂揚を覚えた。外側の世界も心象も、すべて肉体感覚で表現できたあたり、なかなかのものである。」
藤本恵子
女35歳
4 「好感が持てたが、小説としてはどうか。」「この作品は「自分は小説を書くしかあるまい」という確認であり、そういうファクターの点検に終っている。」
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他の選考委員
開高健
安岡章太郎
田久保英夫
古井由吉
遠藤周作
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
開高健男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
作文ではなく作品を。 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
8 「少年の非行ぶりの突ッ飛さや悪辣さを描く場面は手ごたえがある。意表を突かれることがあって新鮮であり、たちどまることができる。」「しかし、終末近くになってにわかにグッド・ボーイになるあたりから作品全体がダメになる。」
村田喜代子
女41歳
0  
藤本恵子
女35歳
8 「眼の高さでカメラのシャッターを押しているだけの、素朴で素直なスケッチだが、このままでは“作文”にすぎない。」「芽があるだけで、枝も葉も花もない。作中で読んでいるチェーホフをもう三回読みなおしてごらんなさい。」
  「毎回、私はこの欄に冴えないボヤキばかり書いている。陰気なボソボソ声で、つまらない、つまらないと書くばかりである。」「しかし、この賞の候補作だけが特殊に、選択的にダメなのではなく、どれもこれもが似たような不毛ぶりである。」
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他の選考委員
吉行淳之介
安岡章太郎
田久保英夫
古井由吉
遠藤周作
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
安岡章太郎男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
泥田の中のネオン・サイン 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
8 「甚だ知的な意識的な態度で対象から自分の姿を隠すように書かれている。」「こういう知的な操作の裏側に、作者は金属バット的な或る狂暴なものを秘めており、それが何であるかはおそらく作者自身にも見えていない。その隠されたものが、もし本当に姿をあらわしてくれば、行き詰った現状に風穴をあける作品が期待できるだろう。」
村田喜代子
女41歳
0  
藤本恵子
女35歳
24 「戦後の農地解放で小作人から小さいながら自作農になった農民の、明るくて悲惨な生活が、日常的な筆致でよく描かれて入る。読みながら私は、普仏戦争前後のフランス庶民、モーパッサンの短編に出てくるような人物を連想した。」「文章は近頃の新人の例にもれず、冗漫に過ぎるが、少女マンガめいたこのリズムを失えば、作者は何も書けなくなるかもしれない。そのへんがムツかしいところだ。」
  「該当作ナシときまったが、今回の作品がとくに水準が低かったとは思えない。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
田久保英夫
古井由吉
遠藤周作
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
田久保英夫男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
心のこり 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
8 「黒人への愛情が、その子供との日常的な葛藤に引きこみ、男の子とのかかわり方が変転していくあたり、巧い。しかし、文章の力が余ってか、説明的な意味づけが多く、効果を減じているのが惜しまれる。」
村田喜代子
女41歳
0  
藤本恵子
女35歳
19 「自身が書かずにいられない内部のものが、はっきりと強く感得できる。それはむしろ、あまりにストレートで生々しくて、小説というより生活記録を思わせる。」「しかし、(引用者中略)あまりに小説にしようとしすぎて、文学的な装いが目立つ。」
  「何とか当選に価するよいものを、見つけ出そうと懸命になった。」「私は以前の選考のことはわからないが、今までこれほど何度も議論し、決をとったことはあまりなかったのではないか、と思う。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
古井由吉
遠藤周作
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
古井由吉男48歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「欠損」をめぐる文学 総行数35 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
11 「作品中、《彼女は彼が憎しみの空気に対して鈍感である事を悟った》という言葉があり私の目を惹いた。読みすすむうちにしかし、この男性の人物が自他の憎悪にたいしてきわめて神経質であり、逃避反応のあまり、その点での「不能」に陥っていることが分かる。」「この作品もまた(引用者注:「熱愛」と共に)「欠損」のほうを踏まえて立とうとする小説か。」
村田喜代子
女41歳
23 「関心を抱いた。」「これは美点が難点につながる例であるが、あざやかな比喩形象が至るところに見える、しかし、一事をめぐって重なりすぎる。」「パートナーのオートバイが断崖から転落した(引用者中略・注:ことが)まだ「出来事」とならず、さしあたり「欠損」と感じられている。」「事件となった後から、振り返られていない。後からの目にたいして閉ざされて、「欠損」そのものとして、どこまでも深く沈んでいきそうなけはいがある。ここまで来ると、作品の美点難点を超えた、時代の人間の問題と見られる。」
藤本恵子
女35歳
3  
  「(引用者注:「ジェシーの背骨」と「比叡を仰ぐ」に絞られた後)受賞かどうかの詰めに来て審査は難航した。入江を見出しかねて困惑したというほうが妥当だろう。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
田久保英夫
遠藤周作
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
遠藤周作男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
いつかは 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
0  
村田喜代子
女41歳
0  
藤本恵子
女35歳
0  
  「芥川賞はたしかに新人賞ではあるが、しかしほかの新人賞よりぬきんでているもののようなイメージがまた私のなかにある。旧文学にはなかった視点やあたらしいスタイルと手法が我々を驚かせ、魅了してくれるようなもの――それを私は委員にさせられてからいつも心中、期待していたように思う。だが残念ながら私にとってこのところ、そうした作品にはぶつからなかった。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
田久保英夫
古井由吉
三浦哲郎
水上勉
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選考委員
三浦哲郎男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
4 「文学性にこだわりすぎて発想や文体の伸びを欠いている。」「前作のしなやかさがあったらと惜しまれる。」
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
10 「前作の新鮮さやうまさは感じられないもののセックス抜きの人間関係の陰影がかなり色濃く描き出されていて、なみなみならぬ力量を感じた。けれども、前半では主人公の平凡で幼い発見の解説が煩わしく、後半では結末の和解がやはり唐突に感じられた。」「多彩な才能の持主らしいが、この次の作品が正念場になるのではないか。」
村田喜代子
女41歳
12 「好感を持った。」「緊迫した文体が快いリズムを刻んで、なかなか読ませる。ただ、多用されている比喩のなかに、言葉を選びそこねて曖昧になっている個所が散見されて、結局この作品を好ましい習作の一つと思わざるを得なかったのは、惜しかった。」
藤本恵子
女35歳
4 「主題には、地方出身者の一人として充分共感したし、正直で陽気で奔放自在な語り口もなかなか悪くないと思ったが、このままでは一種の生活記録で、いますこしの文学性が欲しかった。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
田久保英夫
古井由吉
遠藤周作
水上勉
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選考委員
水上勉男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「比叡を仰ぐ」を推す 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
中村淳
男31歳
0  
海辺鷹彦
男39歳
0  
島田雅彦
男25歳
0  
新井満
男40歳
0  
山田詠美
女27歳
8 「ストーリーの巧さである。要所要所で出す道具も見世場も巧妙で、最後に階段をあがってゆくジェシーの背中を描くあたり、みごとな映像だ。」「ぼくは子供の背骨を見つめるココの眼に、人生の愁苦を感じて、あと味がよかった。」「名品を生むためには、もう一つの文芸上の深彫りがという気持を感じたのである。」
村田喜代子
女41歳
2 「感性のこまかさに魅かれたが、これもまた、もう一つ不満がのこる。」
藤本恵子
女35歳
24 「推すつもりで出かけたが、安岡さんとふたりだけの票で大方の賛成を得なかった。残念だった。」「大きな地主でもない、農地解放でようやく自作農になれたこのあたりのふつうの家の子らが、必死に生きるいじらしさが、滑稽味をともなってつたわった。作者のたしかな腕だ。」「惜しい作品だ。作者には一どしか書けない大事な思い出の作品だろう。」
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他の選考委員
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
田久保英夫
古井由吉
遠藤周作
三浦哲郎
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候補者・作品
中村淳男31歳×各選考委員 
「風の詩」
短篇 117
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
0  
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
0  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
水上勉
男67歳
0  
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他の候補作
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
村田喜代子
「熱愛」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
海辺鷹彦男39歳×各選考委員 
「ボラ蔵の翼」
短篇 109
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
6 「父親についての材料はとてもいい。ただ、ほかのことまで欲張り過ぎたため、材料の料理法が自分でも分らなくなったようだ。」「前作「黄色い斥候」の上質な文章を書いた人とはおもえないが、つまりは文章を支える内容の在り方である。」
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
0  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
4 「文学性にこだわりすぎて発想や文体の伸びを欠いている。」「前作のしなやかさがあったらと惜しまれる。」
水上勉
男67歳
0  
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他の候補作
中村淳
「風の詩」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
村田喜代子
「熱愛」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
島田雅彦男25歳×各選考委員 
「ドンナ・アンナ」
短篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
8 「自己主張とナルシシズムとが裏おもてになっており、したたかさを含んだ頼りなさを美点としているあたり、時代の子という感じだ。」「今回の作品は、わりにおもしろく読了した。しかし、このままでは、昭和初年のモダニズム作家たちの一時の華やぎに似てくるオソレがある。」
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
0  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
水上勉
男67歳
0  
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他の候補作
中村淳
「風の詩」
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
村田喜代子
「熱愛」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
新井満男40歳×各選考委員 
「サンセット・ビーチ・ホテル」
短篇 106
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
3 「愉しく読める部分があったが、書き出しの数頁がうるさい。小説についての既成概念が禍いとなっている点は、ほかにもあった。」
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
0  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
水上勉
男67歳
0  
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他の候補作
中村淳
「風の詩」
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
村田喜代子
「熱愛」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
山田詠美女27歳×各選考委員 
「ジェシーの背骨」
短篇 126
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
8 「手応え十分の部分と強くて鋭い細部とユニークな新鮮さがあるが、それと正反対のものも同じくらいの分量だけある。興味のある存在で、才能があることはたしかだが、その質について判断がつきかねるところがある。」
開高健
男55歳
8 「少年の非行ぶりの突ッ飛さや悪辣さを描く場面は手ごたえがある。意表を突かれることがあって新鮮であり、たちどまることができる。」「しかし、終末近くになってにわかにグッド・ボーイになるあたりから作品全体がダメになる。」
安岡章太郎
男66歳
8 「甚だ知的な意識的な態度で対象から自分の姿を隠すように書かれている。」「こういう知的な操作の裏側に、作者は金属バット的な或る狂暴なものを秘めており、それが何であるかはおそらく作者自身にも見えていない。その隠されたものが、もし本当に姿をあらわしてくれば、行き詰った現状に風穴をあける作品が期待できるだろう。」
田久保英夫
男58歳
8 「黒人への愛情が、その子供との日常的な葛藤に引きこみ、男の子とのかかわり方が変転していくあたり、巧い。しかし、文章の力が余ってか、説明的な意味づけが多く、効果を減じているのが惜しまれる。」
古井由吉
男48歳
11 「作品中、《彼女は彼が憎しみの空気に対して鈍感である事を悟った》という言葉があり私の目を惹いた。読みすすむうちにしかし、この男性の人物が自他の憎悪にたいしてきわめて神経質であり、逃避反応のあまり、その点での「不能」に陥っていることが分かる。」「この作品もまた(引用者注:「熱愛」と共に)「欠損」のほうを踏まえて立とうとする小説か。」
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
10 「前作の新鮮さやうまさは感じられないもののセックス抜きの人間関係の陰影がかなり色濃く描き出されていて、なみなみならぬ力量を感じた。けれども、前半では主人公の平凡で幼い発見の解説が煩わしく、後半では結末の和解がやはり唐突に感じられた。」「多彩な才能の持主らしいが、この次の作品が正念場になるのではないか。」
水上勉
男67歳
8 「ストーリーの巧さである。要所要所で出す道具も見世場も巧妙で、最後に階段をあがってゆくジェシーの背中を描くあたり、みごとな映像だ。」「ぼくは子供の背骨を見つめるココの眼に、人生の愁苦を感じて、あと味がよかった。」「名品を生むためには、もう一つの文芸上の深彫りがという気持を感じたのである。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村淳
「風の詩」
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
村田喜代子
「熱愛」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
村田喜代子女41歳×各選考委員 
「熱愛」
短篇 51
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
3 「私は評価した。読んでゆくにしたがって、昂揚を覚えた。外側の世界も心象も、すべて肉体感覚で表現できたあたり、なかなかのものである。」
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
23 「関心を抱いた。」「これは美点が難点につながる例であるが、あざやかな比喩形象が至るところに見える、しかし、一事をめぐって重なりすぎる。」「パートナーのオートバイが断崖から転落した(引用者中略・注:ことが)まだ「出来事」とならず、さしあたり「欠損」と感じられている。」「事件となった後から、振り返られていない。後からの目にたいして閉ざされて、「欠損」そのものとして、どこまでも深く沈んでいきそうなけはいがある。ここまで来ると、作品の美点難点を超えた、時代の人間の問題と見られる。」
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
12 「好感を持った。」「緊迫した文体が快いリズムを刻んで、なかなか読ませる。ただ、多用されている比喩のなかに、言葉を選びそこねて曖昧になっている個所が散見されて、結局この作品を好ましい習作の一つと思わざるを得なかったのは、惜しかった。」
水上勉
男67歳
2 「感性のこまかさに魅かれたが、これもまた、もう一つ不満がのこる。」
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他の候補作
中村淳
「風の詩」
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
藤本恵子
「比叡を仰ぐ」
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候補者・作品
藤本恵子女35歳×各選考委員 
「比叡を仰ぐ」
短篇 104
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
4 「好感が持てたが、小説としてはどうか。」「この作品は「自分は小説を書くしかあるまい」という確認であり、そういうファクターの点検に終っている。」
開高健
男55歳
8 「眼の高さでカメラのシャッターを押しているだけの、素朴で素直なスケッチだが、このままでは“作文”にすぎない。」「芽があるだけで、枝も葉も花もない。作中で読んでいるチェーホフをもう三回読みなおしてごらんなさい。」
安岡章太郎
男66歳
24 「戦後の農地解放で小作人から小さいながら自作農になった農民の、明るくて悲惨な生活が、日常的な筆致でよく描かれて入る。読みながら私は、普仏戦争前後のフランス庶民、モーパッサンの短編に出てくるような人物を連想した。」「文章は近頃の新人の例にもれず、冗漫に過ぎるが、少女マンガめいたこのリズムを失えば、作者は何も書けなくなるかもしれない。そのへんがムツかしいところだ。」
田久保英夫
男58歳
19 「自身が書かずにいられない内部のものが、はっきりと強く感得できる。それはむしろ、あまりにストレートで生々しくて、小説というより生活記録を思わせる。」「しかし、(引用者中略)あまりに小説にしようとしすぎて、文学的な装いが目立つ。」
古井由吉
男48歳
3  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
4 「主題には、地方出身者の一人として充分共感したし、正直で陽気で奔放自在な語り口もなかなか悪くないと思ったが、このままでは一種の生活記録で、いますこしの文学性が欲しかった。」
水上勉
男67歳
24 「推すつもりで出かけたが、安岡さんとふたりだけの票で大方の賛成を得なかった。残念だった。」「大きな地主でもない、農地解放でようやく自作農になれたこのあたりのふつうの家の子らが、必死に生きるいじらしさが、滑稽味をともなってつたわった。作者のたしかな腕だ。」「惜しい作品だ。作者には一どしか書けない大事な思い出の作品だろう。」
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他の候補作
中村淳
「風の詩」
海辺鷹彦
「ボラ蔵の翼」
島田雅彦
「ドンナ・アンナ」
新井満
「サンセット・ビーチ・ホテル」
山田詠美
「ジェシーの背骨」
村田喜代子
「熱愛」
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