芥川賞のすべて・のようなもの
第99回
  • =受賞者=
  • 新井 満
受賞作家の群像 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
候補作家の群像
選考委員の群像
選評の概要
マップ

受賞作家の一覧へ
前の回へ後の回へ
Last Update[H26]2014/6/20

新井満
Arai Man
生没年月日【注】 昭和21年/1946年5月7日~
受賞年齢 42歳2ヵ月
経歴 本名=新井滿(ミツル)。新潟県新潟市生まれ。上智大学法学部法律学科卒。電通入社、以後定年まで勤務する。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第95回芥川賞(昭和61年/1986年上期)「サンセット・ビーチ・ホテル」
  • |候補| 第96回芥川賞(昭和61年/1986年下期)「苺」
  • |候補| 第97回芥川賞(昭和62年/1987年上期)「ヴェクサシオン」
  • 第9回野間文芸新人賞(昭和62年/1987年)『ヴェクサシオン』
  • 第99回芥川賞(昭和63年/1988年上期)「尋ね人の時間」
備考
  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


芥川賞 第95回候補  一覧へ
「サンセット・ビーチ・ホテル」(『文學界』昭和61年/1986年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第40巻 第4号  別表記4月号
印刷/発行年月日 発行 昭和61年/1986年4月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 安藤 満 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 296 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 130~164
(計35頁)
測定枚数 106
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>昭和63年/1988年7月・文藝春秋刊『サンセット・ビーチ・ホテル』所収
>>平成8年/1996年5月・文藝春秋/文春文庫『サンセット・ビーチ・ホテル』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 新井満 男40歳
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男62歳
3 「愉しく読める部分があったが、書き出しの数頁がうるさい。小説についての既成概念が禍いとなっている点は、ほかにもあった。」
開高健
男55歳
0  
安岡章太郎
男66歳
0  
田久保英夫
男58歳
0  
古井由吉
男48歳
0  
遠藤周作
男63歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
水上勉
男67歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年9月号)
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



芥川賞 第96回候補  一覧へ

いちご
苺」(『文學界』昭和61年/1986年12月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第40巻 第12号  別表記12月号
印刷/発行年月日 発行 昭和61年/1986年12月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 安藤 満 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 104~129
(計26頁)
測定枚数 78
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>『文藝春秋』昭和62年/1987年3月号
>>昭和62年/1987年9月・文藝春秋刊『ヴェクサシオン』所収
>>平成6年/1994年7月・文藝春秋/文春文庫『ヴェクサシオン』所収
>>平成15年/2003年11月・新風舎/新風舎文庫『ヴェクサシオン』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 新井満 男40歳
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
15 「今回の候補作品を読んでいて、「苺」に出あった時、ほっとした。」「人の生命は、知らぬまに纜をとかれた帆船のようなものだ。(引用者中略)これはその白い帆に当る見えない大きな力を、風の気配や鐘の音など、小説的な点景のなかに表現している。」「吉行氏の影響が色濃く、シオランの言葉やワイエスの絵にやや依存しすぎている。しかし、私はからくも賞の水準をクリアしたと思ったし、比較の上では最高点をえたが、残念ながら、ほかの委員の方々の賛同をえられなかった。」
水上勉
男67歳
6 「材料の切実なわりに心に迫らなかった。文体にあるのかもしれない。ユーモアもいいけれど、ここでこんなふうに云われては、と思えるところが、ぼくには何ヵ所か感じられた。」
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
6 「十分の才能を感じた。ただ、小説というものを手さぐりしているところがあって、そのために綻びができている。重たいものを含んだ内容を軽いタッチでユーモアを混えて書こうとしていて、その狙いは評価できる。しかし、作品に生かされたかといえば、生煮えになってしまった部分が多い。」
三浦哲郎
男55歳
5 「爽やかな風が吹き抜けるような作品で好感を持ったが、肝腎なところになると歌詞のようなものがはめ込まれるのが不満であった。多少野暮になっても、散文作品は散文で貫くべきだと思う。」
開高健
男56歳
8 「どうやら作者のお人柄からくるものらしいと思われる爽やかさとおっとりさが魅力になっている。しかし、文章はまだまだ未熟で、デッサン不足というしかない。お人柄は作品にとっていいものだし不可欠のものであるだろうが、それだけではどうしようもないと知らねばなるまい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和62年/1987年3月号)
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



芥川賞 第97回候補  一覧へ
「ヴェクサシオン」(『文學界』昭和62年/1987年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第41巻 第3号  別表記3月号
印刷/発行年月日 発行 昭和62年/1987年3月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 安藤 満 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 296 表記上の枚数 目次 170枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 118~175
(計58頁)
測定枚数 171
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>昭和62年/1987年9月・文藝春秋刊『ヴェクサシオン』所収
>>平成6年/1994年7月・文藝春秋/文春文庫『ヴェクサシオン』所収
>>平成15年/2003年11月・新風舎/新風舎文庫『ヴェクサシオン』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 新井満 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男55歳
10 「(引用者注:「鍋の中」と)二作受賞とするか否かで最後まで論議された」「仕事がらみで若い女性が登場して来る前半と、彼女が妊娠して一緒に子供を育てようと決意する後半とが、捻れてうまくつながらないところに不満を覚えた。」「力量は充分にあるのだから、やがてこれを超える作品が出て来るに違いない。」
吉行淳之介
男63歳
16 「みずみずしく清新な作品である。「鍋の中」に劣らぬ作品として推したが、僅かな差で受賞にならなかった。」「男と女とが結ばれてゆくための設定は、ますます難しくなってきたが、作者は斜視の男と耳のきこえない女という組合せによって、力業をおこなっている。そしてこの二つは、作品のなかでしばしば有効にはたらいており、とくに末尾の斜視はみごとに機能している。」
古井由吉
男49歳
10 「私は、音声と映像の分離しがちな、いや、いったん分離させてから結合させなくてはならないCF製作の世界に住まう人間の《虚の苦》に関心を惹かれ、沈黙と馴染む新しい音楽の救いにも誘われたが、(引用者中略)それらすべての中心にある沈黙のおそろしさの、その説明こそひととおりなされているものの、その切迫は表現されていない、そのことを作品の基本的な欠如と見た。」
大庭みな子
女56歳
11 「「ヴェクサシオン」に溢れている男性的な抽象思考は私の興を惹き、これを男性選考委員諸氏がどう評するかに耳を傾けた。」「風俗を動かしているものへの感性が、その風俗が消えたときにも、作家の強固な姿勢として残るものであれば、と思った。」
田久保英夫
男59歳
15 「(引用者注:「鍋の中」が受賞するなら)同時授賞でいい、と私は思った。しかし、この作品は前回の「苺」ほど、すっきりと仕上っていない。」「しかし、この作者には日常のなかで不可視なもの、耳に聴えぬものながら、人間の生活の源泉を支えるものへの鋭敏な感受性と、それを小説に表現しようとする力業があり、それを認めたいと思う。」
日野啓三
男58歳
7 「現代の空漠さを共に生きようとする新しい明るさがある。だが若い男女の恋物語が全体のバランスを崩して表面に出過ぎている計算違いがみられた。」
水上勉
男68歳
16 「三作目の候補だが、「ヴェクサシオン」がいちばんかと思った。前の「苺」よりも仕上りがていねいである。」「むずかしい材料をよくもここまでという思いもした。」「甘いところはある。だがその甘さがいいと思った。」「ところが最後の挙手投票で負けた。わずかな差である。」「村田さんの授賞と、新井満さんの落選は運不運というようなことも考えさせた。」
河野多恵子
女61歳
5 「私は(引用者中略)否定した。新井氏には旧い文学世界に対する無意識な執着と、新しさに対する意識的な指向があるようだ。その二つが折角の才能の開花の邪魔をしている。」
三浦哲郎
男56歳
7 「軽々と読ませる力は抜群にしても、〈自分の頭の上の青空〉だけを描くのにこれだけの分量、これだけの小道具が果して必要だったかという疑問が残る。さまざまな工夫を凝らした労作ながら、これを包んでいる当世風な装いがいささか薄手で、時々作意が透けて見えるところが難点であった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和62年/1987年9月号)
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



芥川賞 第99受賞  一覧へ

たず びと じかん
尋ね 人の 時間」(『文學界』昭和63年/1988年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第42巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 昭和63年/1988年6月1日
発行者等 編集人 雨宮秀樹 発行人 鈴木二 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 目次 170枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 132~193
(計62頁)
測定枚数 188
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>昭和63年/1988年8月・文藝春秋刊『尋ね人の時間』所収
>>『文藝春秋』昭和63年/1988年9月号
>>平成1年/1989年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第14巻』所収
>>平成3年/1991年8月・文藝春秋/文春文庫『尋ね人の時間』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 新井満 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男64歳
16 「過半数の票を集めたものの、辛うじて受賞になった。」「作者は主人公に「不能」を与え、その実証として圭子という女をつくり出すことに努力したが、ここは不十分だった。この作者には欲張りすぎるところがあるが、その意欲はかいたい。」「主人公の妻は新しい男のもとに走るのだが、その健康そのものの男が主人公に説教するところ、大いに笑えた。」「私としては、「ヴェクサシオン」の作者でもあるこの作家を推すことに、ためらいはなかった。」
水上勉
男69歳
12 「不思議を構築するこの人の文芸に魅かれはしたが、すこし前作より落ちる。それで、この一作授賞というより、力量にということなら授賞は文句なかった。」「とりわけて「井戸」はいい。」「だが圭子という女がどうもはっきりせぬ。それに最後のところで、何もかもまとめようとする。そのあたりが気になる。」「それで迷ったのだが、大方の委員の力に、うれしく賛同したのが正直な感想だ。」
黒井千次
男56歳
16 「主人公の性的不能の描き方には最後まで疑問が残った。にもかかわらず、現代の尖端の一角に手を伸ばし、なんとかそれを掴もうとする意欲と小説づくりの力量が僅かながらも他の候補作の先を行く感があり、最終的には支持の一票を投じて受賞に同意した。」
大庭みな子
女57歳
5 「この人の作品は、何作か読み重ねるうちに、いつもその中に濃密に立ちこめている男の女に対する夢と、抽象性に支えられた風俗性が、「この世のもののなつかしさ」というふうに思えて来た。」
古井由吉
男50歳
20 「作家として、失われたことへの自足をその荒涼をもろに表現しきったとしたら、人がその消極性をどう非難しようと、これはこれであざやかな功績と言える。しかし、失われたことの、その説明に自足をもとめる作品は、文章の清新さへの苦心によって、かろうじて通俗性の傾斜を、揺りもどしつつ支える、あやうい試みとなるはずだ。その支えあげの緊張について、私はこの受賞作にもうひとつ得心が行かなかった。」
日野啓三
男59歳
14 「最終選考まで残った」「主人公の家族=世界が壊れているだけでなく、作品世界も意識的に断片化されている。断片化の危険を敢えて冒したために、(引用者中略)とても深く良いイメージが、多分偶然に現われたにちがいない。」「だがそれらの深いイメージと有機的に結びつける〈物語〉が希薄なために、ファッション・モデルと主人公の不交情の部分は、つくりものめいて浮き上がることにもなる。」
田久保英夫
男60歳
20 「問題は前作の「ヴェクサシオン」より、出来栄えがやや落ちることにある。」「今回はずいぶん考えた末に一票を投じた。最初の男主人公の状況設定や、それに配する圭子という女も、あまり巧く描けていない。」「しかし、おそらくこの作者の真価は、一見軽そうな野暮にあるので、そうした執拗な追求力は、「苺」以来変っていない。」「イメージの喚起力を持つ文章と、それへの工夫や労苦を持続するのは、並なみのことではない。」
三浦哲郎
男57歳
4 「古井戸の場面に感心した。全体としては行間から作意がありありと見える点など不満もあるが、最後の評決では作者の豊かな力量を認めて授賞に賛成した。」
河野多恵子
女62歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和63年/1988年9月号)
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧候補作家の群像選考委員の群像
選評の概要マップ || 受賞作家の一覧へ前の回へ次の回へ