芥川賞のすべて・のようなもの
第98回
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Last Update[H27]2015/11/28

池澤夏樹
Ikezawa Natsuki
生没年月日【注】 昭和20年/1945年7月7日~
受賞年齢 42歳6ヵ月
経歴 北海道帯広市生まれ。埼玉大学理工学部物理学科中退。世界各地を旅行、帰国後の昭和53年/1978年に詩集を発表。翻訳、エッセイを手がけ、のち小説創作を始める。
受賞歴・候補歴
  • 第13回中央公論新人賞(昭和62年/1987年度)「スティル・ライフ」
  • 第98回芥川賞(昭和62年/1987年下期)「スティル・ライフ」
  • |候補| 第25回谷崎潤一郎賞(平成1年/1989年)『真昼のプリニウス』
  • |候補| 第11回野間文芸新人賞(平成1年/1989年)『真昼のプリニウス』
  • 第41回小学館児童出版文化賞(平成4年/1992年)『南の島のティオ』
  • 第44回読売文学賞[随筆・紀行賞](平成4年/1992年)『母なる自然のおっぱい』
  • 第29回谷崎潤一郎賞(平成5年/1993年)『マシアス・ギリの失脚』
  • 第5回伊藤整文学賞[評論部門](平成6年/1994年)『楽しい終末』
  • 第5回JTB紀行文学大賞(平成8年/1996年)『ハワイイ紀行』
  • 紫綬褒章(平成9年/1997年)
  • 第54回毎日出版文化賞[第1部門(文学・芸術)](平成12年/2000年)『花を運ぶ妹』
  • 第51回芸術選奨文部科学大臣賞[文学部門](平成12年/2000年度)『すばらしい新世界』
  • 第13回宮沢賢治賞(平成15年/2003年)『言葉の流星群』
  • 第7回司馬遼太郎賞(平成15年/2003年)
  • 第3回親鸞賞(平成16年/2004年)『静かな大地』
  • 第8回桑原武夫学芸賞(平成17年/2005年)『パレオマニア 大英博物館からの13の旅』
  • |候補| 第32回川端康成文学賞(平成18年/2006年)「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」
  • 紫綬褒章(平成19年/2007年)
  • |候補| 第34回川端康成文学賞(平成20年/2008年)「ヘルシンキ」
  • 第64回毎日出版文化賞[企画部門](平成22年/2010年)『世界文学全集』《個人編集》
  • 朝日賞(平成22年/2010年度)"世界的視野に基づく創作・評論活動と文学全集の編集"
芥川賞
選考委員歴
第114回~第145回(通算16年・32回)
備考
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「スティル・ライフ」(『中央公論』昭和62年/1987年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「中央公論」
巻号 第102年 第12号/通巻 第1226号  別表記10月特大号
印刷/発行年月日 発行 昭和62年/1987年10月1日
発行者等 編集者 近藤大博 発行者 嶋中鵬二 印刷所 大日本印刷
発行所 中央公論社(東京都)
装幀/装画等 装画 飯野和好
総ページ数 426 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 272~304
(計33頁)
測定枚数 103
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書誌
>>昭和63年/1988年2月・中央公論社刊『スティル・ライフ』所収
>>『文藝春秋』昭和63年/1988年3月号
>>平成1年/1989年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第14巻』所収
>>平成3年/1991年12月・中央公論社/中公文庫『スティル・ライフ』所収
>>平成27年/2015年2月・講談社/講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1985~1989』所収
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候補者 池澤夏樹 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
開高健
男57歳
16 「冒頭にたいそう突ッ張った文体の宣言文があり、つづく本文に水と油みたいな効果をあたえている。この部分は私にはまったく余計なものと感じられる。しかし、しいてそれに目をつむるなら久しぶりに作文ではなくて作品を読まされる愉しさがある。」「一種、童話に近い味である。そううまくいきますかな、という疑問が終始つきまとうけれど、文体の背後にある詩人肌がストーリーを救っている。」
黒井千次
男55歳
13 「不思議に静かな読後感を与えられた。」「ともすれば観念的な饒舌に陥りがちなこの種の作品にあって、公金横領とか時効とかいう事象が、現実をめぐるゲームの力学のように扱われているのも面白いと思った。」「(引用者注:「長男の出家」と共に)現代と向き合う姿勢で生み出されて来たことに共感を覚えた。二作受賞は当然と考えられた。」
古井由吉
男50歳
11 「ひとつの透明な歌として私は読んでその純度に満足させられたが、しかし宇宙からの無限の目は、救いとなる前にまず、往来を歩くことすら困難にさせるものなのではないか。また、被害者が存在するかぎり、人は見られている、つまり透明人間のごとくにはなり得ないのではないか。」
大庭みな子
女57歳
10 「雪や「鳩」の場面が心に残り、洒脱な仕上りになっている。最初の短い章は、抽象性の強い作風であるだけに、損をしているのではないかと思えた。」
田久保英夫
男59歳
20 「(引用者注:「長男の出家」と)共に捨てがたい思いでいた。」「魅力は、星のような自分の外の世界と、内部の世界が呼応する詩的な感覚を保ちながら、染色工場の作業や、大きな屋敷の中で株の売買をする現実的な生活も、かなり生なましく描きえていることだ。」「欠点も、読みおえると許せる気持がしてしまうのは、不思議な資質だ。」
吉行淳之介
男63歳
16 「よかった。ここに書かれてあることをそのまま読んでゆき、終りまでたどりつけば、埃っぽい気分がずいぶんとさっぱりしているのに気付く」「金の話となると生ぐさくなくては困る場合が多いが、ここでは雨崎への小旅行と同じ色調で、両方とも星の話でも聞かされているようだ。そして、この作品ではそのことが肝心なところである。」
日野啓三
男58歳
24 「これまでの文学と新しい世代の文学をつなぐ貴重な作品、と思える」「旧世代から端正な文章を高く評価されると同時に、二十代の人たちからも、この感受性は親しく読まれる要素をもっている。」「このことをたいへん貴重におもう。」「また日ましに理科っぽくなってゆくわれわれの現実を、旧来の文学はとりこめなくなっている。この断絶にも、池澤氏の作品は橋を架けるものである。」
三浦哲郎
男56歳
14 「印象深かった。」「まず文章がいいと思った。いかにも静物を描くのにふさわしい、硬質で、いくらかひんやりした手ざわりの、それでいて適度な柔軟性も持っている。」「雨崎の海辺で雪に降られる場面や神社の境内で鳩を見る場面の、新鮮な美しさと説得力には感心させられた。」「冒頭の前説を切り捨てる勇気が持てさえしたら、今後が楽しみな新作家だと思う。」
河野多恵子
女61歳
13 「個性的に新しい感覚のよさ、乾いた抒情の味は、なかなかのものだった。作者が育んできた独自の思想(ルビ:かんがえ)と両者が溶け合っていて、この作品および作者の得難い強みはそこにあり、期待をそそる。」「根には、今日の〈偽の現実〉との作者の対決がある。が、時折、理窟や説明に縋る。この作者ならばそれを克服するだけのあと一段の成長を程なく遂げそうなので、私は少し先での受賞を理想と考え、且つ早目の受賞に反対する気持には到らなかった。」
水上勉
男68歳
12 「とにかく面白かった。」「イヤな男たちといってしまえばすむこのような人を喰った世界を描いてまことにすがすがしいのだった。」「今生の世をこんなふうに切りとってみせる才覚はなみのものではない。授賞ときまれば異存なしと心をきめて出かけたところ、予想どおり満点に近かった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和63年/1988年3月号)
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