芥川賞のすべて・のようなもの
第100回
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Last Update[H26]2014/7/5

李良枝
I Yanji
生没年月日【注】 昭和30年/1955年3月15日~平成4年/1992年5月22日
受賞年齢 33歳9ヵ月
経歴 本名=田中淑枝。山梨県南都留郡西桂町生まれ。早稲田大学社会科学部中退、ソウル大学校国語国文学科卒。在学中に「ナビ・タリョン」を発表。在日韓国人二世。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第88回芥川賞(昭和57年/1982年下期)「ナビ・タリョン」
  • |候補| 第89回芥川賞(昭和58年/1983年上期)「かずきめ」
  • |候補| 第5回野間文芸新人賞(昭和58年/1983年)『かずきめ』
  • |候補| 第92回芥川賞(昭和59年/1984年下期)「刻」
  • 第100回芥川賞(昭和63年/1988年下期)「由熙(ユヒ)
個人全集 『李良枝全集』(平成5年/1993年5月・講談社刊)
備考
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芥川賞 第88回候補  一覧へ
「ナビ・タリョン」(『群像』昭和57年/1982年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第37巻 第11号  別表記11月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和57年/1982年10月5日 発行 昭和57年/1982年11月1日
発行者等 編集人 辻 章 発行人 大村彦次郎 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 294 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×21行
×2段
本文ページ 7~62
(計56頁)
測定枚数 144
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書誌
>>昭和58年/1983年9月・講談社刊『かずきめ』所収
>>平成1年/1989年3月・講談社/講談社文庫『ナビ・タリョン』所収
>>平成5年/1993年5月・講談社刊『李良枝全集』所収
>>平成9年/1997年9月・講談社/講談社文芸文庫『由熙・ナビ・タリョン』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第8巻 李良枝』所収
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候補者 李良枝 女27歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
6 「言うべきものを持った作品であるが、家族関係など煩瑣なところにとらわれ過ぎて、主題がボケてしまったのは惜しまれる。」
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
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芥川賞 第89回候補  一覧へ
「かずきめ」(『群像』昭和58年/1983年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第38巻 第4号  別表記4月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和58年/1983年3月5日 発行 昭和58年/1983年4月1日
発行者等 編集人 辻 章 発行人 大村彦次郎 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 324 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 118~152
(計35頁)
測定枚数 95
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書誌
>>昭和58年/1983年9月・講談社刊『かずきめ』所収
>>平成1年/1989年3月・講談社/講談社文庫『ナビ・タリョン』所収
>>平成5年/1993年5月・講談社刊『李良枝全集』所収
>>平成9年/1997年9月・講談社/講談社文芸文庫『由熙・ナビ・タリョン』所収
>>平成11年/1999年8月・角川書店刊『女性作家シリーズ23 現代秀作集』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第8巻 李良枝』所収
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候補者 李良枝 女28歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男48歳
0  
開高健
男52歳
0  
中村光夫
男72歳
0  
丸谷才一
男57歳
0  
吉行淳之介
男59歳
4 「悪く凝った構成がいけない。今の時代の日本において、この作者は自分が朝鮮人であることをどう考えているかも含めて、本音を素直に聞きたい。」
安岡章太郎
男63歳
0  
井上靖
男76歳
5 「私の場合、(引用者中略)上位に置いた。」「文章も確りしており、作者の才能も感じられる作品で、好意をもって読んだ。」
丹羽文雄
男78歳
0  
遠藤周作
男60歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年9月号)
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芥川賞 第92回候補  一覧へ

こく
刻」(『群像』昭和59年/1984年8月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第39巻 第8号  別表記8月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和59年/1984年7月5日 発行 昭和59年/1984年8月1日
発行者等 編集人 辻 章 発行人 大村彦次郎 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 324 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 6~92
(計87頁)
測定枚数 240
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書誌
>>昭和60年/1985年2月・講談社刊『刻』
>>平成1年/1989年3月・講談社/講談社文庫『ナビ・タリョン』所収
>>平成5年/1993年5月・講談社刊『李良枝全集』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第8巻 李良枝』所収
>>平成22年/2010年5月・講談社/講談社文芸文庫『刻』所収
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候補者 李良枝 女29歳
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄
男80歳
0  
安岡章太郎
男64歳
7 「一つの歴史を私は感じた。」「李氏は、そのこと(引用者注:在日朝鮮人という存在)を冷静な眼で観察しながら、振幅の激しい感情をこめて謳い上げており、在来の朝鮮人文学には見られなかった領域をひらいたものと言えよう。」
遠藤周作
男61歳
6 「荒けずりだが一気に読ませた」「必ずのびる作家である。」
三浦哲郎
男53歳
8 「私にとっては新しく興味深い発見もいくつかあったが、最後まで濃いもどかしさが拭い切れなかった。たとえばユーモラスな場面があっても、そこで笑っていいものかどうか、つまり作者が果してそのユーモアを意識して書いているのかどうかというもどかしさ。」
吉行淳之介
男60歳
12 「荒けずりな部分やいまさらとおもえる実験的手法の部分もあったが、全体として新人らしい新鮮さがあった。過ぎてゆく一刻一刻の中に無理に閉じこめられる苦痛と、またべつの時には一刻を享受している感情の激変もよく書けていた。」「私としては、(引用者注:「青桐」と「刻」の)二作受賞か、という判断があった。」
開高健
男54歳
7 「ぬかるみのように不定形の作品だが、やけくそがかった活力と、ところどころに素質としての鋭い感性が破片としてある。この活力がストーリーなりリズムなりに組みこまれるか、乗るかすると、この人はひょっとしたら……という気がする。」
丸谷才一
男59歳
0  
中村光夫
男73歳
3 「時代の産物として興味をひかれました」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号)
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芥川賞 第100受賞  一覧へ

ゆひ
由熙(ユヒ)」(『群像』昭和63年/1988年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第43巻 第11号  別表記11月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和63年/1988年10月5日 発行 昭和63年/1988年11月1日
発行者等 編集人 天野敬子 発行人 徳島高義 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×23行
×2段
本文ページ 6~66
(計61頁)
測定枚数 175
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書誌
>>平成1年/1989年2月・講談社刊『由熙』所収
>>『文藝春秋』平成1年/1989年3月号
>>平成1年/1989年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第14巻』所収
>>平成5年/1993年5月・講談社刊『李良枝全集』所収
>>平成9年/1997年9月・講談社/講談社文芸文庫『由熙・ナビ・タリョン』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第8巻 李良枝』所収
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候補者 李良枝 女33歳
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男69歳
14 「ぼくは「ダイヤモンドダスト」「月潟鎌を買いにいく旅」「由煕」の順に考えていた。」「重たい問題だが、ていねいな文体で迫る筆力は尋常でない、この作家の気質といっていいものに、圧倒された。」「授賞に賛成である。」
黒井千次
男56歳
18 「候補作の八篇を読み、最も強い刺戟と手応えを覚えた」「日本と韓国との民族にまたがる問題を、個人のアイデンティティーの視野のもとに扱った作品は、李氏の以前の作品を含めて幾つか読んで来ているが、それが「言葉」の領域のドラマとしてこれほど鋭く突出した小説を他に識らない。由煕の痛々しい吃音性が、言葉というものの底深い肉体感を鮮烈に刻み上げている。」
開高健
男58歳
16 「この作品は“作品”にしようとする努力がかえって分裂を招き、書きこめば書きこむだけ人物像が遠ざかるという失点を得てしまった。しかし、その努力がしぶとくねばっこく根がらみのものなので、さいごまで読まされる。日本の女流作家にない感性と気質があちらこちらに“固有なる”イメージを分泌し、それに衝突する抵抗感が魅力になっている。」
大庭みな子
女58歳
13 「「言語」という非常に重大な主題を作品化して、ずっしりと手ごたえのある世界を創り出している。」「小説の仕組、筋立てについて言えば、いくつかの弱点もあるが、そうした箇所に目をつぶらせる力が、この作品にはある。」
吉行淳之介
男64歳
17 「私は(引用者中略・注:「月潟鎌を買いにいく旅」と)同じ第二位に置いていた」「この人の場合は最初から注目してきた。」「自分自身を韓国育ちの韓国人と在日同胞との二人に分けて描いたために、はっきり結論が出ているようでいて、書き手の心が揺れているのが分かる。しかし、それはそれでいい、これからもいろいろのものが出てきて、収穫となるだろう。」
日野啓三
男59歳
17 「(引用者注:「ダイヤモンドダスト」と共に)推した。この二作には外界の風の感触がある。」「この作品の独自さは、韓国人女性の目を通して在日韓国人の姿を相対化しながら、既成の共同体感性を越えて生きるという普遍的な戦慄と魅惑を、呼び出したことにある。」「陰影と鋭さのあるいい文章だ、と私は感じた。」
河野多恵子
女62歳
15 「(引用者注:「黄昏のストーム・シーディング」と共に)推した。」「ソウルの大学の留学生由煕と、彼女の下宿先の年上の娘〈私〉とに、作者の内部がほぼ七三くらいの割合いに配分されている。」「この作品で作者の書きたかったことを表現するのに、この配分の仕方は実に適切である。」「通読中、私は言葉の生理性をはじめ言葉の問題で幾様にも揺さぶりかけられた。」
三浦哲郎
男57歳
7 「この作者が荒々しいまでに攻撃的だった文体を捨てて説得力に富んだ冷静な文体を獲得しすっかり身につけていることをまず喜びたい。けれども、扱っている言語の問題が複雑なせいか、私はよく納得できない個所がすくなくなかった。」
田久保英夫
男60歳
11 「異国間の血と文化の問題を、言葉の「音(ルビ:おん)」と息づきからとらえた感覚はまことに鮮かだ。」「この主題は政治の局面ぬきで、全民族の視野を含めて描くべきではないか、という疑問が残る。また由煕と「私」は、作者という一人の存在の分身の趣きがつよく、その結果、意図が鮮明に、露骨に出るわりに、人物の肉づけは薄い。」
古井由吉
男51歳
14 「言語に病む人間の描出に一面からまともに立ち向かって、読み甲斐のある作品であった。」「しかし最後の部分で、在日韓国人の言語分裂の根もとへ、一人の生粋の韓国人を、仮構とは言いながら、人物さながら取りこんでしまった。これがあるために私はこの価値ある作品を、韓国語のために日本語のために、授賞作としては採らなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成1年/1989年3月号)
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