芥川賞のすべて・のようなもの
第88回
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昭和57年/1982年下半期
(昭和58年/1983年1月17日決定発表/『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号選評掲載)
選考委員  中村光夫
男71歳
吉行淳之介
男58歳
安岡章太郎
男62歳
丸谷才一
男57歳
大江健三郎
男47歳
丹羽文雄
男78歳
井上靖
男75歳
遠藤周作
男59歳
開高健
男52歳
選評総行数  24 30 32 17 30 28 15 28 40
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
唐十郎 「佐川君からの手紙」
172
男42歳
16 20 20 9 13 22 8 21 23
加藤幸子 「夢の壁」
122
女46歳
10 13 7 8 10 6 7 7 19
南木佳士 「活火山」
71
男31歳
0 0 0 0 0 0 4 0 0
佐藤泰志 「空の青み」
100
男33歳
0 0 0 0 0 0 0 0 0
木崎さと子 「白い原」
127
女43歳
0 0 0 0 0 0 4 0 0
李良枝 「ナビ・タリョン」
144
女27歳
0 0 6 0 0 0 0 0 0
田野武裕 「浮上」
91
男39歳
0 0 0 0 0 0 4 0 0
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
中村光夫男71歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
対照的な作風 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
16 「力作という点では、(引用者中略)群をぬいていました。しかしこれが文学作品として秀作かとなると、多くの疑問がおこります。」「事件の主人公は佐川君の筈ですが、作者の筆はどこでも彼に届いていません。」「結局、殺人、食肉という事件は、彼ら(引用者注:話者や登場人物)の饒舌と気取りの背景をなしているだけで、この小説は面白くなりそうな事件を、つまらなく描いた小説ということになります。」
加藤幸子
女46歳
10 「自分の心の片隅に生きつづけて来た少女期の回想を誇張なく描いています。」「全体の印象が、浮動の時期を背景とした少年少女の交遊より、むしろ時代の変遷を描いた風景画のようですが、あっさりしすぎているところが、長所でもあり、欠点とも云えましょう。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
吉行淳之介男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
受賞の二作品 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
20 「「黄色い小人が白い大きな女を喰った」という事件は、唐氏にダダ(イズム)風な刺戟も与えた筈である。こういう角度には、唐氏はモトデがかかっている。」「俗な言葉でいえば、死体までの遣手(婆)をメインにして、虚と実の境目でうまく遊んだといえる作品である。」「私は、(引用者中略)弱点を美点が大きく上まわった、とおもった。」
加藤幸子
女46歳
13 「鮮明な細部を上質の文章で生かしている部分が多い。難をいえば、多元描写でもなく視点が前後半で移動しているともいえず、赤い糸で編んでいたものが白い糸に替わり、その白い編物の中にときどき赤い糸が出てきたりする構成のために、作者の意図を掴もうとしていささか混乱した。」「私は、(引用者中略)弱点を美点が大きく上まわった、とおもった。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
安岡章太郎男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
事件の中味は 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
20 「芥川賞が新進登竜門ということなら、(引用者中略)不適当と思った。たしかに面白さという点では、これは候補作中抜群であり、あらゆる意味で新人ばなれがしている。しかし、それはアタリマエで、唐氏の奇才は劇作家として知れ渡っているからだ。」「成功作かといえば、そうは言えまい。」「女性(引用者注:K・オハラ)と語り手“私”のからみ合いは秀逸であるが、それに引きずられて主題は立ち消えになっている。」
加藤幸子
女46歳
7 「いかにも新人らしい作品で、視点が中国人の少年から日本人の少女に中途で切り変ったりする点、多少散漫な印象もあるが、内容的に分裂しているわけではない。」「作者が言わなければならぬというものがあって、ちゃんとそれが描かれており、そこに小説の原点があると言っていいだろう。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
6 「言うべきものを持った作品であるが、家族関係など煩瑣なところにとらわれ過ぎて、主題がボケてしまったのは惜しまれる。」
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
丸谷才一男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
茫然とする 総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
9 「わたしには何が何だかさっぱりわからなかった。」「話の筋には論理性がなく、登場人物は存在感を欠いている。文章は奇態な言いまわしが多く、言葉の選び方は妙によじれていた。」「わたしには縁のない作品だと言うしかないと述べて、そっと吐息をつく。」
加藤幸子
女46歳
8 「よくわかる。しかし、わかったからどうだと言うのか。ただそれだけの話ではないか。」「小説であるにしてはあまりにも苦りがきいてなさすぎる。」「口あたりのいい美談であって、温良な美談佳話を一篇の作品に仕立てるだけの力量はこの人にない。わたしは、赤の他人の卒業記念アルバムをくるときのような退屈を禁じ得なかった。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
大江健三郎男47歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
たくらみと初心 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
13 「作者のたくらみは、徹底した演劇性につらぬかれて、現実の出来事を引金にしながら、感覚的、知的に高い水位の幻想をくりひろげる。対話と手紙の呼び掛けによる進行はわが国の文学に新しい刺戟を与える独自さのものだ。」「幕切れのあざやかさは、名優唐十郎のものだ。」
加藤幸子
女46歳
10 「戦争末期から直後の、中国人少年と日本人少女のふたつの経験は、今日の小説一般のたくらみある仕方でなら、統一した視点で書かれただろう。しかしそれすらも試みず、後半のかれらの共生へと、自然に展開してゆく。そのような書きぶりであるゆえに、もう三十年近く前の北京の自然と人間とが、みずみずしくよみがえるのである。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
  「今回は総体において充実していた。七人の新しい作家が、七つの書き方と生き方を示して文学にたちむかっている。」
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
丹羽文雄男78歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
新風と素直さ 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
22 「よみはじめて、しばらく視点が合わなかったが、この小説がいわゆる小説らしい小説として書かれたのでなく、観客席を意識した舞台上の展開であると気がつくと、ひきこまれるような興味をおぼえた。」「私はこれを読んでいて、ふとチエホフを連想した。」「小説の世界に演出家が舞台稽古の草履ばきでのりこんできたような印象が、ユニークであった。これがあるいは、ひとつの先蹤となるかもしれない。」
加藤幸子
女46歳
6 「好感のもてる作品であった。構成にすこし無理があったが、読み終ると、その疵も改めてとりあげるほどのものではないと思い直された。強引に事件をつみ上げる女流作家の多い中で、断片的な昔の思い出を小説風にまとめあげたこの作品には、何のケレン味もない。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
井上靖
遠藤周作
開高健
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選考委員
井上靖男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選後評 総行数15 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
8 「かなり高いものを覘った野心的な作品ではあるが、最後まで読むには、私などは努力を要する」「私自身、積極的には推さなかったが、しかし視点を変えれば、推すに吝かでないものも持っている。」
加藤幸子
女46歳
7 「素直な、というより素直すぎる作品である。」「私自身、積極的には推さなかったが、しかし視点を変えれば、推すに吝かでないものも持っている。」
南木佳士
男31歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
遠藤周作
開高健
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選考委員
遠藤周作男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
才能は評価する 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
21 「無難な当選作ではない。現に選衡委員会で評価は三対四にわかれた。三は否であり四はよしとした。」「この小説を佐川君の心の内容ではなく佐川事件から触発された作者の気持と、祖母とオハラに代表される仲介者を書こうとした小説だと見て、その遊びを評価した人はこの作品を肯定した。」「(引用者注:私は)この作品にはついていけなかったが、作者の才能を評価するにはやぶさかではない。」
加藤幸子
女46歳
7 「無難な当選作である。」「素直な構成、水彩画のようで時々、繊細なところもある描写、嫌味のない読後感で、他の作品よりは丁寧な筆致がかわれた。ただこの夢の壁が作品のなかでどういう意味があるのかまだはっきりしない。それが玉にきずのように私には思われる。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
開高健
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選考委員
開高健男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
虹のこちら 総行数40 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
唐十郎
男42歳
23 「第一回の採点が4点。」「第二回も4点。」「上質の軽みを含んだその文体はメリ、ハリをきかせて達者である。」「では、スケッチを超える要素についてはというと、竜頭蛇尾というしかない。」「丸谷氏の意見はアタマからダメの一語。安岡氏の意見は、結論としては週刊誌の記事にすぎぬという。開高氏の意見では、取材メモに一本半ぐらいの毛が生えた程度のモノということであった。」
加藤幸子
女46歳
19 「第一回の採点では5.5点を獲得した。」「この作品の素直さとスケッチの的確さが好感を買ったものと思われる。」「大家であれ、新人であれ、外国人らしい外国人を描出するのがきわめて不得手だというわが国の特異な文学伝統のなかにあって、珍しく中国人らしい中国人の言動が書きとめられている。これはなかなかのことであって、作者に“眼”を感じさせられる。」
南木佳士
男31歳
0  
佐藤泰志
男33歳
0  
木崎さと子
女43歳
0  
李良枝
女27歳
0  
田野武裕
男39歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
吉行淳之介
安岡章太郎
丸谷才一
大江健三郎
丹羽文雄
井上靖
遠藤周作
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受賞者・作品
唐十郎男42歳×各選考委員 
「佐川君からの手紙」
中篇 172
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
16 「力作という点では、(引用者中略)群をぬいていました。しかしこれが文学作品として秀作かとなると、多くの疑問がおこります。」「事件の主人公は佐川君の筈ですが、作者の筆はどこでも彼に届いていません。」「結局、殺人、食肉という事件は、彼ら(引用者注:話者や登場人物)の饒舌と気取りの背景をなしているだけで、この小説は面白くなりそうな事件を、つまらなく描いた小説ということになります。」
吉行淳之介
男58歳
20 「「黄色い小人が白い大きな女を喰った」という事件は、唐氏にダダ(イズム)風な刺戟も与えた筈である。こういう角度には、唐氏はモトデがかかっている。」「俗な言葉でいえば、死体までの遣手(婆)をメインにして、虚と実の境目でうまく遊んだといえる作品である。」「私は、(引用者中略)弱点を美点が大きく上まわった、とおもった。」
安岡章太郎
男62歳
20 「芥川賞が新進登竜門ということなら、(引用者中略)不適当と思った。たしかに面白さという点では、これは候補作中抜群であり、あらゆる意味で新人ばなれがしている。しかし、それはアタリマエで、唐氏の奇才は劇作家として知れ渡っているからだ。」「成功作かといえば、そうは言えまい。」「女性(引用者注:K・オハラ)と語り手“私”のからみ合いは秀逸であるが、それに引きずられて主題は立ち消えになっている。」
丸谷才一
男57歳
9 「わたしには何が何だかさっぱりわからなかった。」「話の筋には論理性がなく、登場人物は存在感を欠いている。文章は奇態な言いまわしが多く、言葉の選び方は妙によじれていた。」「わたしには縁のない作品だと言うしかないと述べて、そっと吐息をつく。」
大江健三郎
男47歳
13 「作者のたくらみは、徹底した演劇性につらぬかれて、現実の出来事を引金にしながら、感覚的、知的に高い水位の幻想をくりひろげる。対話と手紙の呼び掛けによる進行はわが国の文学に新しい刺戟を与える独自さのものだ。」「幕切れのあざやかさは、名優唐十郎のものだ。」
丹羽文雄
男78歳
22 「よみはじめて、しばらく視点が合わなかったが、この小説がいわゆる小説らしい小説として書かれたのでなく、観客席を意識した舞台上の展開であると気がつくと、ひきこまれるような興味をおぼえた。」「私はこれを読んでいて、ふとチエホフを連想した。」「小説の世界に演出家が舞台稽古の草履ばきでのりこんできたような印象が、ユニークであった。これがあるいは、ひとつの先蹤となるかもしれない。」
井上靖
男75歳
8 「かなり高いものを覘った野心的な作品ではあるが、最後まで読むには、私などは努力を要する」「私自身、積極的には推さなかったが、しかし視点を変えれば、推すに吝かでないものも持っている。」
遠藤周作
男59歳
21 「無難な当選作ではない。現に選衡委員会で評価は三対四にわかれた。三は否であり四はよしとした。」「この小説を佐川君の心の内容ではなく佐川事件から触発された作者の気持と、祖母とオハラに代表される仲介者を書こうとした小説だと見て、その遊びを評価した人はこの作品を肯定した。」「(引用者注:私は)この作品にはついていけなかったが、作者の才能を評価するにはやぶさかではない。」
開高健
男52歳
23 「第一回の採点が4点。」「第二回も4点。」「上質の軽みを含んだその文体はメリ、ハリをきかせて達者である。」「では、スケッチを超える要素についてはというと、竜頭蛇尾というしかない。」「丸谷氏の意見はアタマからダメの一語。安岡氏の意見は、結論としては週刊誌の記事にすぎぬという。開高氏の意見では、取材メモに一本半ぐらいの毛が生えた程度のモノということであった。」
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他の候補作
加藤幸子
「夢の壁」
南木佳士
「活火山」
佐藤泰志
「空の青み」
木崎さと子
「白い原」
李良枝
「ナビ・タリョン」
田野武裕
「浮上」
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受賞者・作品
加藤幸子女46歳×各選考委員 
「夢の壁」
短篇 122
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
10 「自分の心の片隅に生きつづけて来た少女期の回想を誇張なく描いています。」「全体の印象が、浮動の時期を背景とした少年少女の交遊より、むしろ時代の変遷を描いた風景画のようですが、あっさりしすぎているところが、長所でもあり、欠点とも云えましょう。」
吉行淳之介
男58歳
13 「鮮明な細部を上質の文章で生かしている部分が多い。難をいえば、多元描写でもなく視点が前後半で移動しているともいえず、赤い糸で編んでいたものが白い糸に替わり、その白い編物の中にときどき赤い糸が出てきたりする構成のために、作者の意図を掴もうとしていささか混乱した。」「私は、(引用者中略)弱点を美点が大きく上まわった、とおもった。」
安岡章太郎
男62歳
7 「いかにも新人らしい作品で、視点が中国人の少年から日本人の少女に中途で切り変ったりする点、多少散漫な印象もあるが、内容的に分裂しているわけではない。」「作者が言わなければならぬというものがあって、ちゃんとそれが描かれており、そこに小説の原点があると言っていいだろう。」
丸谷才一
男57歳
8 「よくわかる。しかし、わかったからどうだと言うのか。ただそれだけの話ではないか。」「小説であるにしてはあまりにも苦りがきいてなさすぎる。」「口あたりのいい美談であって、温良な美談佳話を一篇の作品に仕立てるだけの力量はこの人にない。わたしは、赤の他人の卒業記念アルバムをくるときのような退屈を禁じ得なかった。」
大江健三郎
男47歳
10 「戦争末期から直後の、中国人少年と日本人少女のふたつの経験は、今日の小説一般のたくらみある仕方でなら、統一した視点で書かれただろう。しかしそれすらも試みず、後半のかれらの共生へと、自然に展開してゆく。そのような書きぶりであるゆえに、もう三十年近く前の北京の自然と人間とが、みずみずしくよみがえるのである。」
丹羽文雄
男78歳
6 「好感のもてる作品であった。構成にすこし無理があったが、読み終ると、その疵も改めてとりあげるほどのものではないと思い直された。強引に事件をつみ上げる女流作家の多い中で、断片的な昔の思い出を小説風にまとめあげたこの作品には、何のケレン味もない。」
井上靖
男75歳
7 「素直な、というより素直すぎる作品である。」「私自身、積極的には推さなかったが、しかし視点を変えれば、推すに吝かでないものも持っている。」
遠藤周作
男59歳
7 「無難な当選作である。」「素直な構成、水彩画のようで時々、繊細なところもある描写、嫌味のない読後感で、他の作品よりは丁寧な筆致がかわれた。ただこの夢の壁が作品のなかでどういう意味があるのかまだはっきりしない。それが玉にきずのように私には思われる。」
開高健
男52歳
19 「第一回の採点では5.5点を獲得した。」「この作品の素直さとスケッチの的確さが好感を買ったものと思われる。」「大家であれ、新人であれ、外国人らしい外国人を描出するのがきわめて不得手だというわが国の特異な文学伝統のなかにあって、珍しく中国人らしい中国人の言動が書きとめられている。これはなかなかのことであって、作者に“眼”を感じさせられる。」
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
南木佳士
「活火山」
佐藤泰志
「空の青み」
木崎さと子
「白い原」
李良枝
「ナビ・タリョン」
田野武裕
「浮上」
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候補者・作品
南木佳士男31歳×各選考委員 
「活火山」
短篇 71
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
加藤幸子
「夢の壁」
佐藤泰志
「空の青み」
木崎さと子
「白い原」
李良枝
「ナビ・タリョン」
田野武裕
「浮上」
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候補者・作品
佐藤泰志男33歳×各選考委員 
「空の青み」
短篇 100
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
加藤幸子
「夢の壁」
南木佳士
「活火山」
木崎さと子
「白い原」
李良枝
「ナビ・タリョン」
田野武裕
「浮上」
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候補者・作品
木崎さと子女43歳×各選考委員 
「白い原」
短篇 127
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
加藤幸子
「夢の壁」
南木佳士
「活火山」
佐藤泰志
「空の青み」
李良枝
「ナビ・タリョン」
田野武裕
「浮上」
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候補者・作品
李良枝女27歳×各選考委員 
「ナビ・タリョン」
短篇 144
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
6 「言うべきものを持った作品であるが、家族関係など煩瑣なところにとらわれ過ぎて、主題がボケてしまったのは惜しまれる。」
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
加藤幸子
「夢の壁」
南木佳士
「活火山」
佐藤泰志
「空の青み」
木崎さと子
「白い原」
田野武裕
「浮上」
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候補者・作品
田野武裕男39歳×各選考委員 
「浮上」
短篇 91
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
0  
吉行淳之介
男58歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
丸谷才一
男57歳
0  
大江健三郎
男47歳
0  
丹羽文雄
男78歳
0  
井上靖
男75歳
4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男52歳
0  
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他の候補作
唐十郎
「佐川君からの手紙」
加藤幸子
「夢の壁」
南木佳士
「活火山」
佐藤泰志
「空の青み」
木崎さと子
「白い原」
李良枝
「ナビ・タリョン」
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