芥川賞のすべて・のようなもの
第87回
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昭和57年/1982年上半期
(昭和57年/1982年7月15日決定発表/『文藝春秋』昭和57年/1982年9月号選評掲載)
選考委員  丸谷才一
男56歳
丹羽文雄
男77歳
中村光夫
男71歳
安岡章太郎
男62歳
遠藤周作
男59歳
開高健
男51歳
井上靖
男75歳
大江健三郎
男47歳
吉行淳之介
男58歳
選評総行数  30 27 29 30 22 33 19 32 34
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
平岡篤頼 「消えた煙突」
96
男53歳
16 0 4 11 4 6 5 4 11
南木佳士 「重い陽光」
64
男30歳
11 0 6 0 0 0 6 3 4
高橋洋子 「通りゃんせ」
123
女29歳
3 0 0 0 0 0 0 3 3
木辺弘児 「水果て」
229
男(51歳)
0 0 0 0 0 0 0 2 7
田中健三 「あなしの吹く頃」
95
男(34歳)
0 0 9 0 0 0 6 3 4
嶋岡晨 「《ポー》の立つ時間」
174
男50歳
0 0 0 12 0 0 0 4 3
木崎さと子 「吹き流し」
34
女42歳
0 0 0 0 0 0 0 6 2
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
丸谷才一男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
寂しい 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
16 「時間が主題になつてゐるが、折角のその時間が概念的で、触感が乏しい。残念だつた。」「わたしの判断では、この短篇小説は、粋な感じでふはりとあげなければいけないものなのに、そのしやれた感じは、主人公の随筆をあしらふという工夫と、中学生たちの憧れの対象であつた少女が中年女として出て来るといふ趣向とで示されてゐるだけで、あとは次第に重い色調になつてゆく。」
南木佳士
男30歳
11 「題材が珍しいし、わりによくまとまつてゐる。文章もまあ下手ぢやない。しかし要するにスケッチであつて、短篇小説にはなつてゐないと見た。」「短篇小説に高まるためには、ものの見方がもうすこし個性的になることが必要だらう。このままでは、大人しくて、平凡で、印象が淡いのである。」
高橋洋子
女29歳
3 「いくつかのディテイルが、ちようど破片のやうに、記憶に残つただけである。寂しい。」
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
0  
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
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他の選考委員
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
丹羽文雄男77歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
読後感 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
0  
南木佳士
男30歳
0  
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
0  
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
  「それにしても何故こうも低調なものが集まるのか、理由のないことではない。」「マスコミの変貌は現実的である。一発屋の出現で、読者の嗜好に享楽性を増進させたのはたしかであった。」「この時代の風潮は、容易に変ることはないであろう。二回つづけての「なし」は、或る種の抵抗であった。私は決して絶望はしていない。」
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他の選考委員
丸谷才一
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
中村光夫男71歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
4 「七篇のなかではもつとも構成が明快で、筆づかひにも厭味がなく、終りまで面白く読めますが、それだけに掘りさげが浅く、小説といふより読物風の回想といふ印象をあたへます。」
南木佳士
男30歳
6 「文章がひきしまつてゐて、点景として使はれた白人の医師や看護婦なども、生き生き描かれてゐて、戦場の血の匂ひが感じられます。作者の体験の力と思はれますが、それにあまり安心してよりかかりすぎたところが、物足りぬ読後感をあたへます。」
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
9 「小さな漁港の片隅の生活に大きな時代のうねりが象徴されてゐる点、「文学」であることを主張せず、おのづから「文学」になつてゐるのは、この作だけと思はれました。」
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
  「「当選作なし」といふ結果は別にめづらしくありません。それが二度続いたのは始めてださうですが、これも偶然に近い出来事です。」
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他の選考委員
丸谷才一
丹羽文雄
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
安岡章太郎男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
帯に短く、襷に短し 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
11 「比較的、票の集つたのは、『消えた煙突』(平岡篤頼)であるが、それは減点が少ないといふ意味の得票であつて、積極的に押せるといふものではなかつた。引用されたかたちになつてゐるエッセーの部分だけが、面白いといへば言へる。」「せつかく『煙突』をキイ・ワードにしながら、その煙突の追求を中途で放棄してしまつて、《一種の痺れるような嗜虐的快感が湧き起って来るのを覚える》などといつたつて、これはシヤレにもならないだらう。」
南木佳士
男30歳
0  
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
0  
嶋岡晨
男50歳
12 「主題が中途で立ち消えになるといふことがないだけ、まだしもマシかと思はれたが、長いだけで盛り上りがない。」「それにしても、この文章や観察の何と粗雑なことか。戦争末期、土佐の海岸部落に海兵隊が駐屯することになつてゐるが、日本海軍に海兵隊があつたとは聞いたことがない。」
木崎さと子
女42歳
0  
  「該当作ナシの場合は、「帯に短し、襷に長し」といふやうな評言がよくいはれた。しかし今回(そして前回も)、全作品は、帯に短し、襷になほ短しである。」
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丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
遠藤周作
開高健
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
遠藤周作男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選衡を終えて 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
4 「前回、授賞作がなかったので今度は何かを出そうということになれば平岡さんの「消えた煙突」に票を入れようと考えて出席したが、しかし最終投票で今回も当選作なしにきまったのである。」
南木佳士
男30歳
0  
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
0  
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
  「今回もこれこそという気持を持たせてくれる作品がなかった。」「この数日、色々な週刊誌から当選作なしの理由を電話できかれて閉口している。第一、芥川賞なしがそんなに世間の話題になるほうがおかしい。なぜなら芥川賞ははっきり言えば新人賞だからである。そして芥川賞は作家にとってゴールではない。出発点である。」
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丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
開高健
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
開高健男51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
お通夜みたい 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
6 「点数をとってみると(引用者中略)最高点だが、それすら4点である。」「もし満点だと、9点になるのだが、その半分にも達しないのである。」
南木佳士
男30歳
0  
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
0  
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
  「どれもこれも低調で、ほとんど“作品”になっていない。スケッチ、デッサン、創作メモ、作文といったようなものばかりである。」「私は変らない。いつもおなじである。新人の作品には鮮烈の一言半句を求めるだけである。それさえ見つかれば、修辞、構成、何であれ、いくら幼稚で拙劣であってもかまわないと思っている。」
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丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
井上靖
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
井上靖男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
読後感 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
5 「最後まで引張って読ませる力を持っている。」「これといった難はないが、その割りに読後の印象は弱い。もうひとつ、こちらに訴えてくるものがほしいと思った。」
南木佳士
男30歳
6 「気持よく纏っているが、スケッチの域を出ないという評が出ると、それに対抗するだけのものは持っていなかった。」「スケッチであるにしても、作者の眼はすみずみまで行き届いており、短いタッチで書いているところにも、ある爽やかさがあった。」
高橋洋子
女29歳
0  
木辺弘児
男(51歳)
0  
田中健三
男(34歳)
6 「一応面白く読ませる。」「しゃれたところはないが、作りものでない本当の人生が書けていると思った。しかし、芥川賞作品としておし出すとなると、この作品の持つ古さが気になってくる。」
嶋岡晨
男50歳
0  
木崎さと子
女42歳
0  
  「前回に続いて、こんどもまた芥川賞作品としておし出せる新鮮な力作を得られなかったことは残念である。」
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他の選考委員
丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
大江健三郎
吉行淳之介
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選考委員
大江健三郎男47歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
いま短篇は難しい、しかし 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
4 「(引用者注:嶋岡晨らと共に)仏文学者、詩人としてできあがった人である。そこをくつがえしてかれらが新作家たろうとする、その衝迫力は作品になかった。」
南木佳士
男30歳
3 「経験(引用者中略)を、これから小説につくる、その手前にある。」
高橋洋子
女29歳
3 「感覚または気分を、これから小説につくる、その手前にある。」
木辺弘児
男(51歳)
2 「ケレン味のある手腕は、通俗的な方向に延ばしうるもの」
田中健三
男(34歳)
3 「地道な地方性をまもりつづけて、ひとつの世界にいたられるだろう。」
嶋岡晨
男50歳
4 「(引用者注:平岡篤頼らと共に)仏文学者、詩人としてできあがった人である。そこをくつがえしてかれらが新作家たろうとする、その衝迫力は作品になかった。」
木崎さと子
女42歳
6 「芥川賞のこの一、二年の候補たちには、受賞せぬものの、個性と潜在的な能力はあきらかな人びとが三、四人いた。今度の候補では木崎氏がそのひとりだが、(引用者中略)「物語」をつくる努力をしていない。つまりは、彼女の今度の作品が示すように、かれら彼女らは、短篇に持続的な努力をする気持をもたぬのか?」
  「二度つづけて芥川賞ナシだった。秀れたものはあるが前衛的にすぎて、などということではなかったのである。両回とも、むしろ候補作は保守的であった。」
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他の選考委員
丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
井上靖
吉行淳之介
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選考委員
吉行淳之介男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男53歳
11 「途中まですこぶる共感をもって読んでいった。」「素朴で強い眼の力によって戦後三十年経ってからの「消えた煙突」にもっと執拗にこだわりつづければ、説得力のある末尾をむかえることができたのではあるまいか。」
南木佳士
男30歳
4 「着実な筆致で特殊な状況を描いて無難だが、題材をもっと日常的なものにしたとき同じ筆力が発揮できるかどうかの不安が残る。」
高橋洋子
女29歳
3 「かなりの出来栄えだとおもった。感覚の断片の羅列に芯が通りはじめたが、その力量についてまだ不安が多すぎる。」
木辺弘児
男(51歳)
7 「部分部分になかなかの力を感じた。」「療養所を舞台に借りて、なにものかを掴もうとしているようだが、それが何か十分には分らない。第二章だけ、女の視点で書かれているが、その効果はマイナスとしかおもえない。」
田中健三
男(34歳)
4 「感じのいい作品で、会話もおもしろかったが、手法が古風にすぎる。」
嶋岡晨
男50歳
3 「名のある詩人が詩的散文を避けようとしている態度は評価できるのだが、作品の長さが中途半端で結局平板におわった。」
木崎さと子
女42歳
2 「期待していた木崎さと子さんの作品が、スケッチというか、デッサンの練習帖といった趣の作品なので、落胆した。」
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他の選考委員
丸谷才一
丹羽文雄
中村光夫
安岡章太郎
遠藤周作
開高健
井上靖
大江健三郎
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候補者・作品
平岡篤頼男53歳×各選考委員 
「消えた煙突」
短篇 96
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
16 「時間が主題になつてゐるが、折角のその時間が概念的で、触感が乏しい。残念だつた。」「わたしの判断では、この短篇小説は、粋な感じでふはりとあげなければいけないものなのに、そのしやれた感じは、主人公の随筆をあしらふという工夫と、中学生たちの憧れの対象であつた少女が中年女として出て来るといふ趣向とで示されてゐるだけで、あとは次第に重い色調になつてゆく。」
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
4 「七篇のなかではもつとも構成が明快で、筆づかひにも厭味がなく、終りまで面白く読めますが、それだけに掘りさげが浅く、小説といふより読物風の回想といふ印象をあたへます。」
安岡章太郎
男62歳
11 「比較的、票の集つたのは、『消えた煙突』(平岡篤頼)であるが、それは減点が少ないといふ意味の得票であつて、積極的に押せるといふものではなかつた。引用されたかたちになつてゐるエッセーの部分だけが、面白いといへば言へる。」「せつかく『煙突』をキイ・ワードにしながら、その煙突の追求を中途で放棄してしまつて、《一種の痺れるような嗜虐的快感が湧き起って来るのを覚える》などといつたつて、これはシヤレにもならないだらう。」
遠藤周作
男59歳
4 「前回、授賞作がなかったので今度は何かを出そうということになれば平岡さんの「消えた煙突」に票を入れようと考えて出席したが、しかし最終投票で今回も当選作なしにきまったのである。」
開高健
男51歳
6 「点数をとってみると(引用者中略)最高点だが、それすら4点である。」「もし満点だと、9点になるのだが、その半分にも達しないのである。」
井上靖
男75歳
5 「最後まで引張って読ませる力を持っている。」「これといった難はないが、その割りに読後の印象は弱い。もうひとつ、こちらに訴えてくるものがほしいと思った。」
大江健三郎
男47歳
4 「(引用者注:嶋岡晨らと共に)仏文学者、詩人としてできあがった人である。そこをくつがえしてかれらが新作家たろうとする、その衝迫力は作品になかった。」
吉行淳之介
男58歳
11 「途中まですこぶる共感をもって読んでいった。」「素朴で強い眼の力によって戦後三十年経ってからの「消えた煙突」にもっと執拗にこだわりつづければ、説得力のある末尾をむかえることができたのではあるまいか。」
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他の候補作
南木佳士
「重い陽光」
高橋洋子
「通りゃんせ」
木辺弘児
「水果て」
田中健三
「あなしの吹く頃」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
南木佳士男30歳×各選考委員 
「重い陽光」
短篇 64
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
11 「題材が珍しいし、わりによくまとまつてゐる。文章もまあ下手ぢやない。しかし要するにスケッチであつて、短篇小説にはなつてゐないと見た。」「短篇小説に高まるためには、ものの見方がもうすこし個性的になることが必要だらう。このままでは、大人しくて、平凡で、印象が淡いのである。」
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
6 「文章がひきしまつてゐて、点景として使はれた白人の医師や看護婦なども、生き生き描かれてゐて、戦場の血の匂ひが感じられます。作者の体験の力と思はれますが、それにあまり安心してよりかかりすぎたところが、物足りぬ読後感をあたへます。」
安岡章太郎
男62歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
6 「気持よく纏っているが、スケッチの域を出ないという評が出ると、それに対抗するだけのものは持っていなかった。」「スケッチであるにしても、作者の眼はすみずみまで行き届いており、短いタッチで書いているところにも、ある爽やかさがあった。」
大江健三郎
男47歳
3 「経験(引用者中略)を、これから小説につくる、その手前にある。」
吉行淳之介
男58歳
4 「着実な筆致で特殊な状況を描いて無難だが、題材をもっと日常的なものにしたとき同じ筆力が発揮できるかどうかの不安が残る。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
高橋洋子
「通りゃんせ」
木辺弘児
「水果て」
田中健三
「あなしの吹く頃」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
高橋洋子女29歳×各選考委員 
「通りゃんせ」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
3 「いくつかのディテイルが、ちようど破片のやうに、記憶に残つただけである。寂しい。」
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
0  
大江健三郎
男47歳
3 「感覚または気分を、これから小説につくる、その手前にある。」
吉行淳之介
男58歳
3 「かなりの出来栄えだとおもった。感覚の断片の羅列に芯が通りはじめたが、その力量についてまだ不安が多すぎる。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
南木佳士
「重い陽光」
木辺弘児
「水果て」
田中健三
「あなしの吹く頃」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
木辺弘児男(51歳)×各選考委員 
「水果て」
中篇 229
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
0  
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
0  
大江健三郎
男47歳
2 「ケレン味のある手腕は、通俗的な方向に延ばしうるもの」
吉行淳之介
男58歳
7 「部分部分になかなかの力を感じた。」「療養所を舞台に借りて、なにものかを掴もうとしているようだが、それが何か十分には分らない。第二章だけ、女の視点で書かれているが、その効果はマイナスとしかおもえない。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
南木佳士
「重い陽光」
高橋洋子
「通りゃんせ」
田中健三
「あなしの吹く頃」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
田中健三男(34歳)×各選考委員 
「あなしの吹く頃」
短篇 95
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
0  
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
9 「小さな漁港の片隅の生活に大きな時代のうねりが象徴されてゐる点、「文学」であることを主張せず、おのづから「文学」になつてゐるのは、この作だけと思はれました。」
安岡章太郎
男62歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
6 「一応面白く読ませる。」「しゃれたところはないが、作りものでない本当の人生が書けていると思った。しかし、芥川賞作品としておし出すとなると、この作品の持つ古さが気になってくる。」
大江健三郎
男47歳
3 「地道な地方性をまもりつづけて、ひとつの世界にいたられるだろう。」
吉行淳之介
男58歳
4 「感じのいい作品で、会話もおもしろかったが、手法が古風にすぎる。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
南木佳士
「重い陽光」
高橋洋子
「通りゃんせ」
木辺弘児
「水果て」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
嶋岡晨男50歳×各選考委員 
「《ポー》の立つ時間」
中篇 174
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
0  
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
0  
安岡章太郎
男62歳
12 「主題が中途で立ち消えになるといふことがないだけ、まだしもマシかと思はれたが、長いだけで盛り上りがない。」「それにしても、この文章や観察の何と粗雑なことか。戦争末期、土佐の海岸部落に海兵隊が駐屯することになつてゐるが、日本海軍に海兵隊があつたとは聞いたことがない。」
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
0  
大江健三郎
男47歳
4 「(引用者注:平岡篤頼らと共に)仏文学者、詩人としてできあがった人である。そこをくつがえしてかれらが新作家たろうとする、その衝迫力は作品になかった。」
吉行淳之介
男58歳
3 「名のある詩人が詩的散文を避けようとしている態度は評価できるのだが、作品の長さが中途半端で結局平板におわった。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
南木佳士
「重い陽光」
高橋洋子
「通りゃんせ」
木辺弘児
「水果て」
田中健三
「あなしの吹く頃」
木崎さと子
「吹き流し」
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候補者・作品
木崎さと子女42歳×各選考委員 
「吹き流し」
短篇 34
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男56歳
0  
丹羽文雄
男77歳
0  
中村光夫
男71歳
0  
安岡章太郎
男62歳
0  
遠藤周作
男59歳
0  
開高健
男51歳
0  
井上靖
男75歳
0  
大江健三郎
男47歳
6 「芥川賞のこの一、二年の候補たちには、受賞せぬものの、個性と潜在的な能力はあきらかな人びとが三、四人いた。今度の候補では木崎氏がそのひとりだが、(引用者中略)「物語」をつくる努力をしていない。つまりは、彼女の今度の作品が示すように、かれら彼女らは、短篇に持続的な努力をする気持をもたぬのか?」
吉行淳之介
男58歳
2 「期待していた木崎さと子さんの作品が、スケッチというか、デッサンの練習帖といった趣の作品なので、落胆した。」
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他の候補作
平岡篤頼
「消えた煙突」
南木佳士
「重い陽光」
高橋洋子
「通りゃんせ」
木辺弘児
「水果て」
田中健三
「あなしの吹く頃」
嶋岡晨
「《ポー》の立つ時間」
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