芥川賞のすべて・のようなもの
第114回
  • =受賞者=
  • 又吉栄喜
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Last Update[H27]2015/5/28

又吉栄喜
Matayoshi Eiki
生没年月日【注】 昭和22年/1947年7月15日~
受賞年齢 48歳5ヵ月
経歴 沖縄県浦添村(現・浦添市)生まれ。琉球大学法文学部史学科卒。浦添市役所に入所、以後平成11年/1999年まで勤める。そのかたわら、創作を始める。
受賞歴・候補歴
  • 第1回新沖縄文学賞[佳作](昭和50年/1975年)「海は蒼く」
  • 第4回琉球新報短編小説賞(昭和51年/1976年)「カーニバル闘牛大会」
  • |候補| 第3回新沖縄文学賞(昭和52年/1977年)「骨は土に埋もらず」
  • 第8回九州芸術祭文学賞[最優秀作](昭和52年/1977年度)「ジョージが射殺した猪」
  • 第13回沖縄タイムス芸術選賞奨励賞(昭和53年/1978年)
  • 第4回すばる文学賞(昭和55年/1980年)「ギンネム屋敷」
  • 第114回芥川賞(平成7年/1995年下期)「豚の報い」
  • 第30回沖縄タイムス芸術選賞大賞(平成8年/1996年)
備考
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芥川賞 第114受賞  一覧へ

ぶた むく
豚の 報い」(『文學界』平成7年/1995年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第49巻 第11号  別表記11月号
印刷/発行年月日 発行 平成7年/1995年11月1日
発行者等 編集人 寺田英 発行人 田所省治 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×23行
×2段
本文ページ 74~127
(計54頁)
測定枚数 162
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>『文藝春秋』平成8年/1996年3月号
>>平成8年/1996年3月・文藝春秋刊『豚の報い』所収
>>平成11年/1999年2月・文藝春秋/文春文庫『豚の報い』所収
>>平成14年/2002年8月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第17巻』所収
>>平成15年/2003年5月・勉誠出版刊『沖縄文学選―日本文学のエッジからの問い』所収
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候補者 又吉栄喜 男48歳
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男48歳
15 「これまで幾つかの文学賞の選考で沖縄を舞台にした作品を何篇か読んできたが、(引用者中略)最も優れていると思う。」「沖縄という固有の風土で生きる庶民の息づかいや生命力を、ときに繊細に、ときに野太く描きあげた。」「読み終えて、私はなぜか一種の希望のようなものを感じた。」
河野多恵子
女69歳
14 「作者はいっさいの顕示も思惑もなしに沖縄を溌剌と描いている。沖縄の自然と人々の魅力に衝たれて、自然というもの、人間というものを見直したい気持にさせる。作者の生きている感動が伝わってくる。沖縄を描いて沖縄を超えている、この作品を敢えて沖縄文学と呼ぶのは、むしろ非礼かもしれない。」
石原慎太郎
男63歳
29 「沖縄の政治性を離れ文化としての沖縄の原点を踏まえて、小さくとも確固とした沖縄という一つの宇宙の存在を感じさせる作品である。主題が現代の出来事でありながら時間を逸脱した眩暈のようなものを感じるのは、いわば異質なる本質に触れさせられたからであって、風土の個性を負うた小説の成功の証しといえる。」
日野啓三
男66歳
36 「作中の女性たちの描き方の陰影ある力強さ、おおらかに自然なユーモア、豚という沖縄では特別重要な動物を軸にした骨太の構成などはもちろんのことだが、私が目を見張ったのは伝統的な祭祀に対する若い男性主人公の態度である。」「この作品を書いた作者のモチーフの核は、若い主人公のその反伝統的な精神のドラマだと思う。」「新しい沖縄の小説である。単に土着的ではない。自己革新の魂のヴェクトルを秘めた小説である。」
池澤夏樹
男50歳
11 「推した。これはまずもって力に満ちた作品である。登場人物の一人一人が元気で、会話がはずみ、ストーリーの展開にも勢いがある。」「全体としてみればこれは一つの御嶽(ルビ:ウタキ)の縁起譚だから、当然民話的な要素がたっぷり含まれているが、それが日常生活の場へそのまま通底しているのが沖縄という土地の二重性であり、力の源泉でもある。」
古井由吉
男58歳
2 「時間がよく伸びて、節目節目で、笑いの果実をつけた、と言えるのではないか。」
黒井千次
男63歳
14 「強い印象を与えられた。沖縄をはじめ南方の島々を舞台とする新人の小説には、土地特有の信仰にもたれかかって作品を形造る傾向がよく見られるが、「豚の報い」にはその種の重苦しさがなく、神と人とが対等に言葉を交すかの如き明るさと軽やかさが漂っている。」「ただ、作品の終りに近づくにつれて言葉が弛み、やや緊迫感が薄くなる点は気にかかる。」
丸谷才一
男70歳
8 「前半は非常によかつたが、後半は崩れてゐる。生命力の奔騰を描いて読者を刺戟し、さあこれからどうなるのかと期待させて置きながら、決着がうまくついてゐない。」「文章も後半は傷が目立つて痛々しかつた。しかし属望に価する新人だとは思ふ。」
大庭みな子
女65歳
14 「(引用者注:「豚の報い」か「三月生まれ」の)どちらかであろうと思って選考会に臨んだ。」「読んでから時間が経って思い直すと、浮かんでくる情景の強さで、「三月生まれ」より「豚の報い」が勝つような気がして来たが、選考会場でもそうなった。」「沖縄地方の作品によくあるあまりに難解な方言は適度に調整されている。その距離のとれた視点により、背後にあるウタキの森の影を黒々と浮かび上がらせる力量は重層性のある文学世界を築いている。」
大江健三郎
男60歳
9 「物語を展開する技術が卓抜で、多様な女性像にも魅力がある。それを沖縄の女性像の独特さとして一般化できそうなのが強みで、この土地の現代生活によりそっている民俗的な古代もまた、今後の創作活動を支えるだろう。」
田久保英夫
男67歳
23 「いかにも沖縄らしい太陽と海の光を感じる。」「しかし、私は「豚の報い」には幾つか抵抗があって、(引用者中略)票を投じえなかった。」「ラストで主人公が父の骨を前にして、ここに自分の御嶽を造ろう、ときめるのは、無理に思えた。」「最初から白骨を検証せず、父ときめてしまうのも不自然に思えた。」「全体に現実の重力より、作者の目ざす方向に話が走りすぎる欠点を感じる。」
三浦哲郎
男64歳
10 「私はこの作者の、少々荒っぽいが読ませる力を認めるものの、沖縄の風土や習俗が適切に取り入れられているという点には賛成しかねた。この作品の主人公は、風葬された父親の骨を拾うという個人的な目的のために、御嶽(ルビ:ウタケ)へお参りして豚の厄落しをしたいと素朴に願っている女たちを利用するのである。」「私には、沖縄文学として底の浅さが感じられてならなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年3月号)
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