芥川賞のすべて・のようなもの
選評の概要
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Last Update[H28]2016/5/10

石原慎太郎
Ishihara Shintaro
生没年月日【注】 昭和7年/1932年9月30日~
在任期間 第114回~第146回(通算16.5年・33回)
在任年齢 63歳3ヶ月~79歳3ヶ月
経歴 兵庫県神戸市生まれ。一橋大学卒。在学中に作家デビュー。参議院議員、衆議院議員を経て東京都知事。
受賞歴・候補歴
個人全集 『石原愼太郎の文学』全10巻(平成19年/2007年1月~10月・文藝春秋刊)
芥川賞候補歴 第34回受賞 「太陽の季節」(『文學界』昭和30年/1955年7月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 一つの小さな宇宙 総行数34 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男63歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
29 「沖縄の政治性を離れ文化としての沖縄の原点を踏まえて、小さくとも確固とした沖縄という一つの宇宙の存在を感じさせる作品である。主題が現代の出来事でありながら時間を逸脱した眩暈のようなものを感じるのは、いわば異質なる本質に触れさせられたからであって、風土の個性を負うた小説の成功の証しといえる。」
  「(引用者注:「豚の報い」「森への招待」以外の)他の作品はどれも妙にちまちましていて、今になればなるほど中身がなんであったかどうにも思い出せないようなものばかりだった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年3月号)
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芥川賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 不毛の証左 総行数33 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男63歳
候補 評価 行数 評言
福島次郎
男(66歳)
18 「私と宮本氏だけが(引用者中略)強く推したが、どうやら少数意見でしかなかった。」「ここに描かれている高校教師とその生徒との関わりは間違いなく愛であり、しかも哀切である。誰かがこれが男と女の関係ならばただの純愛小説だといっていたが、もしそうとしてもそれがなぜ小説としての瑕瑾となるのか。」「この作品だけが私には官能的なものとして読めた。小説が与える官能こそが小説の原点的な意味に違いない。」
女38歳
6 「私には全く評価出来ない。蛇がいったい何のメタファなのかさっぱりわからない。」「こんな代物が歴史ある文学賞を受けてしまうというところにも、今日の日本文学の衰弱がうかがえるとしかいいようがない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年9月号)
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芥川賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 力強い新人の登場 総行数52 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男64歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
15 「氏の作家としての力量を感じさせる幅も奥も深い作品である。人間の心、というよりも体の芯に潜む邪悪なるものの不可知さに正面きって向かい合い厄介な主題をとにかくもこなしている。」「ある選者はこの男(引用者注:花井)の衝動は理解出来ないし、作者もそれを描き切れていないといったが、理解できぬ人間の本性の部分を理解を求めて描く必要がある訳はない。」
青来有一
男38歳
12 「面白く読んだ。有明海という特異な海域がよく描かれていて、それが、これもたいそう都合よく設定されている人間たちにも信憑性を与えている。」「文学としての安直さが、たとえば『泥海の兄弟』という題にも出ている。」「しかしなお、(引用者中略)船を出した父親がそのまま漂流して死んでいくといった挿話は、ヘミングウェイの優れた短編の世界にも繋がって強い印象を受けた。」
女28歳
5 「全体の設定がいかにも演劇的で小説としての魅力を殺いでいる。」
  「今回の芥川賞のヴィンテイジは当たり年ともいえるのではなかろうか。箸にも棒にもかからぬような候補作とつき合わされる不幸をかこつこともままあるが、今回はどの作品も一応は読ませてくれた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年3月号)
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芥川賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 あらためての、沖縄の個性 総行数42 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男64歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
15 「これは沖縄ならでは成り立たぬ現代の寓話だろう。あるシーンでは不思議な幻想性さえ感じさせるが、寓話仕立ての部分がそれを相殺してしまって作品の出来を損なってもいる。」「それにしても不思議な印象の出来栄えである。やはり戦争体験なるものは沖縄にとってただ遺産にとどまらず、今日もなお財産として継承されているという、沖縄の地方としての個性を明かした作品ともいえる。」
  「今回の候補作は、ともかく飽きずに読ませる作品が多く総じて粒がそろっていた。もっとも、それが現代の流れなのかも知れぬがどう見てもマーケッティングによる、つまり当てこみの素材が多く、その分興がそがれる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年9月号)
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芥川賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 雪多けれど、実りなし 総行数37 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男65歳
候補 評価 行数 評言
  「今回の何人かの候補作はごく最近にも候補に上った人が多かったが、誰も以前より進歩したという印象は持てなかった。その低迷の理由を深刻に考える義理は毛頭なかろうが、総じて、描こうとしている作品の主題を十分に発酵も濾過もしていないような気がする。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年3月号)
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芥川賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 ノンモラルの魅力 総行数45 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男65歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
7 「私は一番面白く読んだ。まさに冒涜の快感を謳った作品で、(引用者中略)主人公の徹底した、インモラルではなしに、ノンモラルは逆にある生産性をさえ感じさせる。文学こそが既存の価値の本質的破壊者であるという原理をこの作品は証そうとしている。」
男39歳
7 「現代的主題を、(引用者中略)老女のノスタルジーにかぶせて描いた、なかなか感覚的な部分もある、よくまとまった作品である。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年9月号)
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芥川賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 現代文学蘇生への過渡期? 総行数52 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男66歳
候補 評価 行数 評言
男23歳
26 「いろいろ基本的な疑義を感じぬ訳にはいかない。」「この衒学趣味といい、たいそうな擬古文といい、果たしてこうした手法を用いなければ現代文学は蘇生し得ないのだろうか。私は決してそうは思わない。」「浅薄なコマーシャリズムがこの作者を三島由紀夫の再来などと呼ばわるのは止めておいた方がいい。三島氏がこの作者と同じ年齢で書いた「仮面の告白」の冒頭の数行からしての、あの強烈な官能的予感はこの作品が決して備えぬものでしかない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年3月号)
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芥川賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 主題の欠落 総行数54 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男66歳
候補 評価 行数 評言
青来有一
男40歳
15 「面白く読んだが、他の選者の支持は意外に少なかった。この作家は段々にその腕を上げて来ていると思う。」「これがもし長編にしたてられていたなら、アーサー・ヘイリーの成功作ほどのものにはなっていたろうに。ただ枚数の制限のせいでか、終りに近い部分でのドラッグの扱い方はいかにも安易という気はするが。」
  「今回総じて感じられたことは、作品の肝心な主題の存在感がいかにも稀薄ということだった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年9月号)
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芥川賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 輝き無し 総行数45 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男67歳
候補 評価 行数 評言
男34歳
11 「読み物として一番面白く読んだが、またかという感を否めない。」「作者が何を訴えようとしているのかがわからない。その限りでこれはただの風俗小説の域を出ていない。」「こうした社会の最底辺に近い世界を舞台とする作品としては、先に直木賞を受賞した車谷長吉氏の作品の方がはるかに優れて怖いものだった。」
男→女37歳
8 「私にはあくまで一人の読者として何の感興も湧いてこない。平凡な出来事の中で描いてホモを定着させることが新しい文学の所産とも一向に思わない。私にはただただ退屈でしかなかった。」
  「現代の新しい文学を造り出そうという新しい作家たちに新鮮な輝きが乏しいというのは、いかなる理由によるものか折節に考えさせられる。」「物を書くというのはかなり厄介な仕事だが、それまでしての作業の中で、それぞれの人生の中での抜き差しならぬ主題を収斂して選ぶという作業そのものが、情報の氾濫の中で杜撰なものになってしまっているのではないかという気がする。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年3月号)
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芥川賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 時代の情感を伝えるビート 総行数47 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男67歳
候補 評価 行数 評言
男38歳
44 「今日の社会の様態を表象するような作品がそろそろ現れていい頃と思っていた。その意味で町田氏の受賞はきわめて妥当といえる。」「最初に目にした「くっすん大黒」に私が覚えた違和感と共感半々の印象は決して的はずれのものではなかった。」「それぞれが不気味でおどろおどろしいシークエンスの映画のワイプやオーバラップに似た繋ぎ方は、時間や人間関係を無視し総じて悪夢に似た強いどろどろしたイメイジを造りだし、その技法は未曾有のもので時代の情感を伝えてくる。」
男46歳
0  
  「(引用者注:「きれぎれ」以外の)他の候補作はそれ(引用者注:「きれぎれ」)に比べると陳腐で観念的でしかない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年9月号)
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芥川賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 物語性の強さ 総行数36 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男68歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
24 「この作家が従来の作品が暗示していた可能性を裏書きして妥当な成長を遂げてきたことを証していると思う。」「この作者の特質は群像なりかなりの複数の人間たちを描ける力量にあって、それは前回の評にも記したが、良き素材を得れば悪くてもアーサー・ヘイリーほどの作品はものすることが出来るだろうが、今回の作品を読んでその上のレベルの作品をものせる可能性が十分あるものと思った。」
男37歳
0  
  「昨今、小説に関してその真髄であるべき物語性があまり斟酌されないような傾向だが、最後まで読者を引きずっていく力こそエンターテイナーの必要条件だが、それが芸術性の負の要因となることなどあり得まい。読みながら間をおかぬ訳にいかぬ小説など、退屈の同義語としかいいようない。」「そういう意味でも、青来氏以外の作品は私には論ずるに足りないものにしか思えなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年3月号)
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芥川賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 正統な主題 総行数39 (1行=24字)
選考委員 石原慎太郎 男68歳
候補 評価 行数 評言
男45歳
24 「たいそう重い主題を扱っているが、その視点が僧侶のそれであるという点で説得性がある。」「現実に僧籍にある人がその職業的体験の中でこうした問題にまともに視点を据えてかかるというのは逆に珍しいし、作者の僧侶としての誠実さを感じさせもする。」
  「今回は全体に候補作の水準が高く、選考委員の間にさしたる異論もなしに受賞作が決まった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年9月号)
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芥川賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 乏しい収穫 総行数65 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男69歳
候補 評価 行数 評言
男29歳
14 「私は受賞には押さなかった」「ある種のペーソスはあっても、実はごくありふれたものにしか感じられない。こんな程度の作品を読んで誰がどう心を動かされるというのだろうか。」
  「今回の候補作のどれを読んでも、文学の魅力の絶対必要要件としてのカタルシスが一向にありはしない。しかも総じて昨今の候補作はどれも皆小粒、というより妙にちまちましてしまって読んでいて張り合いもない。」「(引用者注:「グラウンド」と「猛スピードで母は」の)二作以外はとても論の対象たりえない。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年3月号
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芥川賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 底が浅い 総行数73 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男69歳
候補 評価 行数 評言
男33歳
26 「なぜかどこか希薄な印象を否めない。」「しょせん擦れちがいの場でしかない大都会の公園における群像というのは洒落た設定なのに、その切り口が十全には生かされていない。だから強い驚きも共感も湧いてこない。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年9月号
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芥川賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 凶器の非日常性 総行数61 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男70歳
候補 評価 行数 評言
中村文則
男25歳
27 「候補作の中で唯一つ(引用者中略)最後まで面白く読んだ。」「非日常性の象徴ともいえる凶器によって主人公の生活に今まで存在しなかった、緊張と孤独さをともなった新しい生活のリズムのようなものが生まれてくる。」「ただ最後の、実際に電車の中で見知らぬ男を射殺してしまうエンディングはいかにも通俗、ありきたりでしかない。しかしこの作家の力量、というよりもそれ以前の、最後までドライブがかかり通すエネルギーは貴重」
女36歳
10 「少なくとも私は何の感動も衝撃も感じなかった。」「はたしてこの作品にユーモアがあろうか。強いていえばアンニュイというところなのかも知れないが、私は何の共感も感じない。」
  「新しい作家の新しい作品に期待されるものは、形や内容が何であれ未曾有なデモニッシュなるものだと思うが、今回の候補作のどれもそうした要求を満たしてくれはしなかった。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号
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芥川賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 自暴自棄の底にあるもの 総行数55 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男70歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
18 「ほとんどの選者が当選に同意した」「一種のデスペレイションはどうにもやり切れないが、多くの国民がデフレとはいえなんとなく満ち足りた錯覚の内にある時代に、逆に妙なリアリティがあり、読む者を辟易させながら引きずっていく重い力がある。」
  「今回の候補作はなべて従来に比べて水準が高い、というよりも、どれもスムースに読み終えることが出来た。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年9月号
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芥川賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 現代における青春の形 総行数63 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男71歳
候補 評価 行数 評言
中村航
男34歳
8 「タッチも良く一番面白く読めた。」「今日のよろずバーチャルなものごとについての一種の文明批判とも読める気もする。」
女20歳
18 「私には現代の若もののピアスや入れ墨といった肉体に付着する装飾への執着の意味合いが本質的に理解出来ない。選者の誰かは、肉体の毀損による家族への反逆などと説明していたが、私にはただ浅薄な表現衝動としか感じられない。」
女19歳
0  
  「今回の候補作の作者はいずれも若い、ということでそれぞれの主題がそれぞれの青春についてであったことは当然のことだろうが、それにしてもこの現代における青春とは、なんと閉塞的なものなのだろうか。」「すべての作品の印象は読んでいかにもスムースだが、軽すぎて読後に滞り残るものがほとんどない。」
選評出典:『文藝春秋』平成16年/2004年3月号
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芥川賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 猛暑、夏枯れ 総行数65 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男71歳
候補 評価 行数 評言
男33歳
18 「私は全く評価しなかった」「神ではない人間が行う「介護」という現代的主題の根底に潜んで在るはずの、善意にまぶされた憎悪とか疎ましさといった本質の主題が一向に感じられない。」「各章冒頭に出てくる「介護入門」なるエピグラフもことさらのアイロニーも逆説も込められてはおらず、ただ説明的なだけで蛇足の域を出ない。」
  「今回の候補作はいずれも、いかにも軽くて薄いという印象を否めない。」「多くの作品の中の会話がことさら現代的に幼稚化されているが、それが決して作品にアクチュアルな性格を付与してはいない。」
選評出典:『文藝春秋』平成16年/2004年9月号
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芥川賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 不毛の時間 総行数74 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男72歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
30 「私は全く評価出来なかった。」「主人公の少女への偏愛という異常性の所以が、自分の子供の裸の写真を撮って離婚されたという説明に終わっているだけで、小説としての怖さがどこにもない。」「複数の選考委員の間で、多少瑕瑾はあっても、この作者にはもうそろそろこの賞を与えてもいいのではないかという声があったが、そうした発想はこの伝統ある文学賞の本質を損なうものではないかと危惧している。」
選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年3月号
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芥川賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 人間の暗部なる芯 総行数78 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男72歳
候補 評価 行数 評言
男27歳
57 「以前の二つの候補作のように、(引用者中略)象徴的でありながら現実的な物体を媒体としての暴力への傾斜という仕組みの方が、むしろ自然な物語として読めたと思う。」「(引用者注:今回の作品のように)背景に主人公の幼い頃からの被虐待という経験がもたらしたトラウマが在る、ということになると話がいかにもわかり過ぎて作品が薄くなることは否めない。」「観念としてではなしに、何か直裁なメタファを設定することでこの作者には将来、人間の暗部を探る独自の作品の造形が可能だと期待している。」
  「今回の候補作の水準は総じて高いものだとはいえそうにない。第一それぞれの作品の題名からしてが安易で、語るに落ちるといったものが多かった。題名は作品の心髄を表象する重要な一部だと思うが。」
選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年9月号
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芥川賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 本質的主題の喪失 総行数62 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男73歳
候補 評価 行数 評言
女39歳
0  
  「私が新人の作品に期待するいわれは、私にとって未知の新しい戦慄に見舞われることへの期待以外の何ものでもない。」「しかし最近その期待がかなえられることが稀有となってきた。」「多くの候補作の印象は小器用だがマイナーという気がしてならない。これらの作品を読んで何か未曾有の新しいものの到来を予感させられるということは一向にないし、時代がいかに変わろうと人間にとって不変で根源的なものの存在を、新しい手法の内であらためて歴然と知らされるという感動もない。」
選評出典:『文藝春秋』平成18年/2006年3月号
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芥川賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 またしても不毛 総行数67 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男73歳
候補 評価 行数 評言
本谷有希子
女26歳
16 「一番面白く読めた。」「確かに男の以前の愛人の登場などは都合良すぎる形だが、話しの運びのテンポも良くさりげなく現代の本髄のある部分を切り取っていると思う。」「衆寡敵せず選外とはなったが、劇作家の書く小説に限界があるとは私は思わない。」
男35歳
22 「私は推さなかった」「部分的には巧みで鋭く感覚的なところもあるが、いかに軽く他愛ないものだろうと、離婚という、結婚を選択して選び合った男と女の別離の芯の芯にあるものの重さをちらとでも感じさせるのが文学の本髄というものではなかろうか。」
  「私は兼ねている仕事柄雑務が多いので読み過ごしては申し訳ないと思い、候補作が届けられると出来るだけ早く目を通すことにしているが、選考の場に来て論じる際に鮮明に思い出すことの出来る作品がいかにも少ない。」
選評出典:『文藝春秋』平成18年/2006年9月号
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芥川賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 大都会でのソリテュード 総行数70 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男74歳
候補 評価 行数 評言
女23歳
59 「都会で過ごす若い女性の一種の虚無感に裏打ちされたソリテュードを、決して深刻にではなしに、あくまで都会的な軽味で描いている。」「寄宿先の設定も巧みだし、特に、その家から間近に眺め仰ぐ、多くの人間たちが行き来する外界の表象たる駅への視線は極めて印象的で、(引用者中略)村上龍氏の鮮烈なデビュー作『限りなく透明に近いブルー』の中の、(引用者中略)遅く目覚めた主人公が、開け放たれたままの扉の向こうにふと眺める外界の描写の、正確なエスキースに似た、優れた絵画的な描写に通うものがあった。」
  「(引用者注:「ひとり日和」「家族の肖像」以外の)他の作品は論外と思われる。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年3月号
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芥川賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 文学の、言葉の不毛 総行数66 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男74歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
44 「私の懸念?の通り多くの選者の支持を得て当選となった。」「この作品に関する限り、作者の持って回った技法は私には不明晰でわずらわしいものでしかなかった。」「文中に出てくる『声の暴発』なるものを活字の四倍大の黒い四角で示すとか、最後に『読者への便宜を図るため』として『叔父の肉筆によるオリジナルな平面図』なるものを付記しているのは、作者の持つ言葉の限界を逆に露呈しているとしかいいようない。」
  「今回の候補作の大方は読者の代表の一人たる私にとっては何とも退屈、あるいは不可解なものでしかなかった。」「大体、作品の表題がいい加減で、内容を集約表現しているとも思えない。自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年9月号
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芥川賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 薄くて、軽い 総行数65 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男75歳
候補 評価 行数 評言
女31歳
13 「私はまったく認めなかった。」「乳房のメタファとしての意味が伝わってこない。」「一人勝手な調子に乗ってのお喋りは私には不快でただ聞き苦しい。この作品を評価しなかったということで私が将来慙愧することは恐らくあり得まい。」
  「今回の候補作を通じていえることは素材の軽さといおうか、生活の無為性、無劇の劇性というべきものだろうか。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年3月号
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芥川賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 不思議な疾走感 総行数71 (1行=14字)
選考委員 石原慎太郎 男75歳
候補 評価 行数 評言
羽田圭介
男22歳
23 「実に面白く読んだ。」「読んだ、というよりも作品を読みながら味合った不思議な快感、臨場感というべきものか、」「ともかくも、読みながら辺りの風景が次々に流れて変わっていくという一種の快感は希有なるものだった。」「ただ物置に長くほうりこんであった中古のロードレーサーで青森まで走って、途中パンクなどのトラブルが無い訳はなさそうだ。」
女44歳
13 「彼ら(引用者注:中国の学生たち)の人生を左右する政治の不条理さ無慈悲さという根源的な主題についての書きこみが乏しく、単なる風俗小説の域を出ていない。文章はこなれて来てはいても、書き手がただ中国人だということだけでは文学的評価には繋がるまい。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年9月号
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芥川賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 無劇性の劇のくり上げ当選 総行数39 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男76歳
候補 評価 行数 評言
女30歳
20 「無劇性の劇ともいうべき、盛りをすぎた独身女性の日々の生活の根底に漂う空しさを淡々と描いていて、」「私としてはこの作者の次の作品を見て評価を決めたいと思っていたが、他の作品のあまりの酷さに、相対的に繰り上げての当選ということにした。」
  「今回の受賞作以外の作品に、反発をも含めて、読む者の感性に触れてくる何があるというのだろうか。どれも所詮は作者一人の空疎な思いこみ、中には卑しいとしかいえない当てこみばかりで、うんざりさせられる。」「一方の直木賞候補作品たちに比べてみても、今日の純文学とか称されるカテゴリーの作品の不人気衰退が相対的にいかにもうなずける。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年3月号
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芥川賞 141 平成21年/2009年上半期   一覧へ
選評の概要 未知の戦慄をもとめてはいるが 総行数59 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男76歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
7 「結婚という人間の人生のある意味での虚構の空しさとアンニュイを描いているのだろうが的が定まらぬ印象を否めない。」
  「文学賞もやたらに増えはしたが、新人作家なるものがどれほど、狂おしいほどの衝動で小説という自己表現に赴いているかはかなり怪しい気がする。」「それは、作家の登竜門ともいわれている芥川賞の候補作品なるものが、年ごとに駄作の羅列に終わっているのを見てもいえそうだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年9月号
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芥川賞 142 平成21年/2009年下半期   一覧へ
選評の概要 どうにも、こうにも 総行数60 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男77歳
候補 評価 行数 評言
  「これがこの国の現代における新しい文学の可能性の表示なのだろうか。何かがおかしい、何かが衰弱している、何かが見当違いだ。」「現代における風俗の情報が氾濫膾炙している状況の中で、新しい文学を志す新人たちが一種のマイナス・スパイラルに落ちこみ低迷しているとの観を免れ得ない。」
選評出典:『文藝春秋』平成22年/2010年3月号
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芥川賞 143 平成22年/2010年上半期   一覧へ
選評の概要 現代文学の衰弱 総行数64 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男77歳
候補 評価 行数 評言
シリン・ネザマフィ
女30歳
21 「部分的には、こなれていない表現もあるが、作者が提示している問題は現代における文学にとっての新しい主題ともいえる。日本における現代文学のこれからの一つの方向性を暗示していると思う。」「私はこの二つの作品(引用者注:「うちに帰ろう」と「拍動」)を当選作として推したものだ。」
広小路尚祈
男38歳
27 「この主人公の心得は太宰治的な滅入り方ではなしに、当人は居直り割り切っている潔よさまであって、おそらく現代ではある種の強い共感さえ呼ぶのではなかろうかと思い推薦したものだったが。」「私はこの二つの作品(引用者注:「うちに帰ろう」と「拍動」)を当選作として推したものだ。」
女35歳
19 「今日の日本においてアンネなる少女の悲しい生涯がどれほどの絶対性を持つのかは知らぬが、所詮ただ技巧的人工的な作品でしかない。こんな作品を読んで一体誰が、己の人生に反映して、いかなる感動を覚えるものだろうか。アクチュアルなものはどこにも無い。」「日本の現代文学の衰弱を表象する作品の一つとしか思えない。」
選評出典:『文藝春秋』平成22年/2010年9月号
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芥川賞 144 平成22年/2010年下半期   一覧へ
選評の概要 現代のピカレスク 総行数62 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男78歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
41 「この作者の「どうせ俺は――」といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジュニュインなるものを感じさせてくれる。」「この豊穣な甘えた時代にあって、彼の反逆的な一種のピカレスクは極めて新鮮である。昔、(引用者中略)池田得太郎の「家畜小屋」という作品を褒めた誰かが、「色の黒いの七難隠す」といっていたが、この作家の特性もそれに繋がるものと思う。」
女26歳
14 「読みながらすぐにプルーストを想起したが、人間の意識に身体性がないとはいわないが、プルーストやジョイスが苦手な私にはいささか冗漫、退屈の感が否めなかった。ある時点での意識を表象するディテイルの描写にもむらがあるような気がする。」
  「読む者にとっての小説の魅力はさまざまあろうが、私にとってのそれはあくまでその作品の身体性だ。いい換えれば作品の肉感ともいえようが、それとて感じ方は人によってさまざま異なろう。」
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年3月号
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芥川賞 145 平成23年/2011年上半期   一覧へ
選評の概要 駄作のオンパレイド 総行数53 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男78歳
候補 評価 行数 評言
  「どんなに小器用に出来あがっていようと、読む者がある種の共感を抱き得るものがなければ作品として成り立ち得ない。その逆もまた十分に有り得る。前回の西村賢太氏の受賞作には歴然としてそれが備わっていたが、今回の候補作のどれにもそれはうかがわれなかった。」「総じて退屈というより、暗然とさせられた選考会だった。」
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年9月号
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芥川賞 146 平成23年/2011年下半期   一覧へ
選評の概要 自我の衰弱 総行数96 (1行=13字)
選考委員 石原慎太郎 男79歳
候補 評価 行数 評言
男39歳
10 「戦後間もなく場末の盛り場で流行った「お化け屋敷」のショーのように次から次安手でえげつない出し物が続く作品で、読み物としては一番読みやすかったが。田中氏の資質は長編にまとめた方が重みがますと思われる。」
男39歳
12 「最後は半ば強引に当選作とされた観が否めないが、こうした言葉の綾とりみたいなできの悪いゲームに付き合わされる読者は気の毒というよりない。こんな一人よがりの作品がどれほどの読者に小説なる読みものとしてまかり通るかははなはだ疑がわしい。」
  「芥川賞という新人の登竜門に関わる仕事に期待し、この私が足をすくわれるような新しい文学の現出のもたらす戦慄に期待し続けてきた。しかしその期待はさながら打率の低いバッターへの期待のごとくにほとんど報いられることがなかった。そして残念ながら今回の選考も凡打の羅列の域を出ない。数多くの選考委員が圧倒的過半で推挙する作品がなかったというのが何よりの明かしだろう。」
選評出典:『文藝春秋』平成24年/2012年3月号
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