芥川賞のすべて・のようなもの
第145回
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平成23年/2011年上半期
(平成23年/2011年7月14日決定発表/『文藝春秋』平成23年/2011年9月号選評掲載)
選考委員  小川洋子
女49歳
山田詠美
女52歳
石原慎太郎
男78歳
黒井千次
男79歳
宮本輝
男64歳
高樹のぶ子
女65歳
池澤夏樹
男66歳
島田雅彦
男50歳
村上龍
男59歳
川上弘美
女53歳
選評総行数  89 87 53 90 77 88 90 101 61 81
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
石田千 「あめりかむら」
106
女43歳
15 15 0 6 9 10 0 7 0 14
戌井昭人 「ぴんぞろ」
132
男39歳
12 13 11 36 8 16 0 13 0 18
円城塔 「これはペンです」
137
男38歳
37 10 10 12 8 24 90 62 0 19
水原涼 「甘露」
103
男21歳
9 17 8 7 5 10 0 7 0 7
本谷有希子 「ぬるい毒」
191
女32歳
13 17 0 11 11 17 0 12 0 11
山崎ナオコーラ 「ニキの屈辱」
192
女32歳
14 14 8 18 6 14 0 7 35 11
                   
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年9月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員
小川洋子女49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
小説らしきもの 総行数89 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
15 「(引用者注:「ぴんぞろ」のルリ婆さんと共に)きんたろうさん(引用者中略)は、忘れ難い存在感を放っていた。」「戸田君の描写になるとなぜ急に頑なになるのか。」「違和感が残った。」
戌井昭人
男39歳
12 「(引用者注:「あめりかむら」のきんたろうさんと共に)ルリ婆さんは、忘れ難い存在感を放っていた。」「なぜあそこで座間は死ななければならなかったのか。違和感が残った。」
円城塔
男38歳
37 「私にとって最も切実な問題をはらんでいた」「人物造形やストーリー展開など無視しても、ほらこの通り小説らしきものが出来上がるのです、と証明してみせている。円城さんと一緒になってこの企みを楽しめれば、至福の読書体験が味わえるだろう。しかしそうでなければ、あくまでも叔父さんはのっぺらぼうのままで終わる。」
水原涼
男21歳
9 「もっとおぞましい小説であってほしかった。二度とこんな小説、読みたくないと思わせるほどのおぞましさが必要だった。」
本谷有希子
女32歳
13 「“私”の狂気のスケールは、向伊を大きく上回っていた。肩を怪我した男をただあいまいに登場させるだけで、彼女の抱える問題をすり抜けてしまうのは、あまりにも惜しい。」
山崎ナオコーラ
女32歳
14 「書き上げた山崎さんの力量には敬服する。加賀美に振られたからといって、ニキはどうして写真家をやめる必要があるだろう。二人のこの未熟な恋愛を、読者として応援できるかどうかが、分かれ道だったと思う。」
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他の選考委員
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
山田詠美女52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「選評」 総行数87 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
15 「全体的に、うすーい感じ。このうすさが、主人公の背後にある死の気配をしんと落ち着かせるためには効を奏し、けれども、知人の男の自殺と彼女をつなげるためには、信憑性をいちじるしく奪う。」
戌井昭人
男39歳
13 「的確な言葉を丁寧に選んで、好きでたまらない人間を真面目に描けば、おのずと場所も物語も付いて来るという小説の当り前に、久々に出会った気がする。この作者の小説世界の住人とならやって行けそうだなーという、今回は、そのシンパシー故に票を投じた次第。」
円城塔
男38歳
10 「文章から理系特有の難解さを剥ぎ取ってみると、そこには、極めてシンプルなユーモアで組み立てられた物語が現れる。」「〈わたしの中の女の子について記す道具を探しはじめる〉であろう続きが読みたい。」
水原涼
男21歳
17 「どうにもこうにも擁護しようのない理解不能の比喩や描写が続出。これだけグロテスクなエピソードを扱うなら、もっと文章力を身に付けないと。あなたが純文学らしいと思っているものは、おおいなる錯覚。」
本谷有希子
女32歳
17 「〈想像よりもずっと、魅力の塊のような男だった〉……へえ? その塊の内訳を述べてみたまえ。」「万人とは違う自意識をここまで持て余す主人公は、良くも悪くも強い印象を与える筈。ところが、この小説に生息するのは、ただのいっちゃってるお姉ちゃん。つき合いきれない。」
山崎ナオコーラ
女32歳
14 「男と女の距離が縮まって行く時に生じる他愛もないやり取りや会話が、いじらしくて可愛らしい。しかしながら、それらに写真家魂のようなものが滲むと、途端にあらが見えて、可愛らしさを通り越してつたなく、ちゃちになる。写真家って、こんなもん?」
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他の選考委員
小川洋子
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
石原慎太郎男78歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
駄作のオンパレイド 総行数53 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
0  
戌井昭人
男39歳
11 「主人公の男と田舎の場末のストリップ小屋の踊り手のリッちゃんの間のアフェクションは何だったのかよくわからない。それを書き込めば作品は平凡に堕すのか、それとも別の活路もあったのか知れないが。」
円城塔
男38歳
10 「もしこれがまかり通って受賞となったら、小説の愛好者たちを半減させたろう。小理屈をつけてこれを持ち上げる選者もいるにはいたが、私としては文章を使ったパズルゲイムに読者として付き合う余裕はどこにもない。」
水原涼
男21歳
8 「田舎の平凡で古い家での父親と心に障害を持つ姉との近親相姦を描いているが、古い家でのこうした深刻な閉ざされた劇の、主人公を含めて周囲の家族への余波が全く感じられないのはどういうことか。」
本谷有希子
女32歳
0  
山崎ナオコーラ
女32歳
8 「結末はありきたりで、それにしても題名が他愛なく説明的で、これでは何のために長々読者を引き回したのかと思われる。」
  「どんなに小器用に出来あがっていようと、読む者がある種の共感を抱き得るものがなければ作品として成り立ち得ない。その逆もまた十分に有り得る。前回の西村賢太氏の受賞作には歴然としてそれが備わっていたが、今回の候補作のどれにもそれはうかがわれなかった。」「総じて退屈というより、暗然とさせられた選考会だった。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
黒井千次男79歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
足りぬもの逸れるもの 総行数90 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
6 「病を抱えた三十代女性の不機嫌はわかっても、話の展開が唐突であり、大阪への旅が作品の芯にうまくつながらぬのは弱点ではないか。」
戌井昭人
男39歳
36 「(引用者注:主人公の「おれ」が後半に)出会う人もやはり浅草に縁のある老女であり、親のいない孫娘ともども温泉場の劇場で働く人達の人物像がふっくらと描き出され総じて人間が生きているといった体温が伝わってくる。」「ただ、受賞作として押し出すには何かが足りない。話の運びにどこかゆとりがあり過ぎるのだろうか。」
円城塔
男38歳
12 「コンピューターの働きを土台にした作品の世界にうまくはいることが出来なかった。書かれた内容に理解は届かぬとしても、わからぬままに奇妙な面白さが伝わることはあり得るのだから、書き方にもう少し工夫があってもよかったのではないか。」
水原涼
男21歳
7 「近親相姦の問題に足をすくわれて小説が崩れている。」
本谷有希子
女32歳
11 「正体の定かならぬ男の構えの中に女が次第に吸い寄せられていく理由といきさつがうまく伝わって来ない。濁った水の中に何かがありそうなのに、影のみゆらめくのを見るような不満を覚える。」
山崎ナオコーラ
女32歳
18 「雇い主と使用人の関係が少しずつ別のものへと変り始める経緯に注目した。仕事中心とは異る姿に二人が近づく遅々とした運びは面白いが、それが別れへと進むあたりの書き方には物足りなさが残る。」「「屈辱」の中身がいささか密度に欠ける恨みが残る。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
宮本輝男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
さざ波と小技 総行数77 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
9 「生きようとしている主人公の心はよく伝わってくるが、これも最後が甘い。作者の精神的スタミナが途切れたことで、小説の結末もスタミナ切れとなったように感じた。」
戌井昭人
男39歳
8 「登場人物それぞれの水底に最も近づいていたが、話をおもしろくしようとして滑稽譚になってしまった。最後の五枚に戌井さんの作家として依って立つ何物かが刻印されていたらと惜しまれる。」
円城塔
男38歳
8 「強く推す委員もいたが、その真反対の委員も多かった。私は、書き出しのたったの十ページを読んだだけで眠くなり、全篇読了は難行苦行だった。要するに、つまらなかったのだ。」
水原涼
男21歳
5 「父子相姦というものを単なる小道具として使っていて、書き手の魂胆に不潔なものを感じた。」
本谷有希子
女32歳
11 「女を食い物にしようとする三人の若い男たちに、顕在化しない狂気を感じて、私はいちばん高い点をつけたが、受賞作として強く推すまでには至らなかったし、他の委員の賛同もなかった。男たちと縁を切る女主人公の心に、もう一歩深く入って行ってほしかったと思う。」
山崎ナオコーラ
女32歳
6 「(引用者注:候補作のなかで)最も気持良く読ませていくが、読み手が予想したとおりに進んで、最後はただのメロドラマとなった。」
  「今回の候補作六篇、どれも上手に書かれている。その点に関しては、私は全否定する作品はひとつもなかった。」「しかし、文学の感動という、芥川賞の根幹を成す一点に、たとえ半歩でも踏み込みかけている作品もなかった。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
高樹のぶ子女65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
それぞれへの感想 総行数88 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
10 「若者の孤立感とそれを抱きとめる大阪の人情が心地良く読め、タイトルの意味はピンと来なくても寄り添えた。」「(引用者注:「ぴんぞろ」と共に)私の中では得点が高かった。」
戌井昭人
男39歳
16 「アクの強い人物たちが繰り広げる下町や温泉場での出来事を描いて、飽きさせずに読ませる力量があるけれど、どことなく既視感もあり、何より「サイコロの目には意味がある……宇宙に繋がっている」という哲学的なテーマが、作品中で充分な説得力を持たなかったのが残念だ。」「(引用者注:「あめりかむら」と共に)私の中では得点が高かった。」
円城塔
男38歳
24 「小説を書くとき、イメージを創り出すことに98%のエネルギーが費やされるべきだと私は考える。イメージとは人間、場面、モノ、物語などのこと。」「けれどこの作品はそれらのイメージを一切作らず、確信犯的に理論理屈で説得しようとする。言葉の役割が違う。結果、小説的な感興は何も残らなかった。何が書いてあったのかも記憶できない。」
水原涼
男21歳
10 「描かれる家族とその関係に、いまひとつ陰影が無く、こういう素材は妖しく湿潤な文体が必要だが、比喩表現において持って回った言い方ばかりが目立ち、匂いや色を伝えてこなかった。」
本谷有希子
女32歳
17 「モデルにもなれそうなカワイイ女性が、ここまで男性に不信感を持ち、駆け引きで考えるのはなぜか。結局そうした構図で作品を創るためではないのかと思えて、残念だった。この世のすべてを敵に回す本物の悪意であれば、もっと純な起爆力があるはずだ。」
山崎ナオコーラ
女32歳
14 「行動の因果が破綻なく説明されている。自分の中で小さく人物を造形すると、こうしたことが起きる。成長し、男女の優位性が逆転するビルドングスロマンでもあるけれど、それはどこにでも在る話で、タイトルも大袈裟な気がした。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
池澤夏樹男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
メタフィクション 総行数90 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
0  
戌井昭人
男39歳
0  
円城塔
男38歳
90 「ふわふわとして、ユーモラスで、このゆるさは値打ちがある。「わたしの筆跡は、わたし自身が真似しやすいようにできている」という自己言及的なセンテンスのナンセンスの風味が全体に充満している。」「ぶっ飛びすぎていて読者を限定するものであることは否定できない。純文学の雑誌がこれを掲載したこと、それがこの賞の候補作となって選考の場に登場したことに(授賞はまず無理だろうと思う一方で)ぼくは小さな感動を覚えた。」
水原涼
男21歳
0  
本谷有希子
女32歳
0  
山崎ナオコーラ
女32歳
0  
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
島田雅彦
村上龍
川上弘美
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選考委員
島田雅彦男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文字文字するのはやめてよ 総行数101 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
7 「(引用者注:水原涼と共に)それぞれ自身が獲得したスキルのバージョンアップを図り、描く対象への感情的踏み込みと批評的突き放しのヒット・アンド・アウェイを徹底させれば、吉。」
戌井昭人
男39歳
13 「獲得票は高かったものの、○はわずかに一つ。」「以前に似たような話を読んだことがあるという印象を受けてしまう。エンターテイメントを目指すなら、別にそれでいいのかもしれないが……。」
円城塔
男38歳
62 「テクスト生成にまつわるあらゆる可能性の研究になっている。」「各パラグラフにちりばめられたヒューモアには幾度となく微笑を誘われたので、二重丸をつけたが、私の説得工作は不調に終わり、受賞作なしという私自身の古傷まで開いてしまうような最悪の結果となり、自棄酒をあおったのだった。」
水原涼
男21歳
7 「(引用者注:石田千と共に)それぞれ自身が獲得したスキルのバージョンアップを図り、描く対象への感情的踏み込みと批評的突き放しのヒット・アンド・アウェイを徹底させれば、吉。」
本谷有希子
女32歳
12 「地方出身の自意識過剰ガールを中心に逆巻くネガティブ・キャラクター群像を描くのを得意とする本谷有希子は今回の『ぬるい毒』で、従来の一人称語りにマイナーチェンジを加えてきた。その自意識を分裂させ、結婚詐欺野郎との煮え切らない関係を赤裸々に描き出していた」
山崎ナオコーラ
女32歳
7 「『春琴抄』の当世写真業界版のように読めたので、推したけれども、女性選考委員の猛烈な反発の前ではホビットのように小さくなるしかなかった。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
村上龍
川上弘美
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選考委員
村上龍男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考会雑感 総行数61 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
0  
戌井昭人
男39歳
0  
円城塔
男38歳
0  
水原涼
男21歳
0  
本谷有希子
女32歳
0  
山崎ナオコーラ
女32歳
35 「四人の女性選考委員たちは、「ニキの屈辱」という作品に批判的だった。」「「好きな男にふられて写真家であることを辞めようとする」というストーリーの脆弱さ、安易さを、四人がそろって否定したのは当然かも知れないと思った。」「「女性の表現者が男に振られたせいで表現を辞める」というモチーフの作品があってもいいと思う。だが、その作品は、表現を続けている人をも納得させ、逆に圧倒するような、「強さと美しさ」が不可欠だ。」
  「今回は全体的に低調だったので、わたしを含めた選考委員の、「否定的な意見」のほうに説得力があった。」「選考会自体、激しいやりとりがなく、緊張感が薄かった。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
川上弘美
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選考委員
川上弘美女53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
中間 総行数81 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田千
女43歳
14 「飲み屋に入ってからの細部に、魅力を感じました。」「最後の三行が、この小説の白眉なのだと思うのですが、そこにいたるまでの前半に、いくつかの「説明」になってしまうような表現を重ねてしまった。惜しいです。」
戌井昭人
男39歳
18 「魅力的な小説でした。」「いくらでも極端に書くことはできるだろうに、腰のすわらない書きようで登場人物や風俗を描写した、その腰のすわらなさが、この小説のよさだと思ったのです。」「「強く推す」と「少し推す」の半ばほどの力で推しました。」
円城塔
男38歳
19 「好きなタイプの小説です。好きなタイプなので、強く推したかった。でも、少し、足りなかった。」「にこやかな表情でしごく落ち着きはらいながら、いりいりした切実なことを書こうとしていることは、よくわかるのですが。」「少し推しました。」
水原涼
男21歳
7 「何かを鮮明に描こうとして、描ききれなかったのではないか、という印象を持ちました。とても明確なふうに書いているのに、どこかに靄がかかっている。」
本谷有希子
女32歳
11 「向伊が気になります。この男の、どこがそんなに魅力的なのだろう。それさえわかれば、もっとこの小説の中まで入りこめたかもしれません。」「この作者の新しい何かをかいま見た気は、したのです。」
山崎ナオコーラ
女32歳
11 「読ませる小説だ、という印象を、まずもちました。」「けれど、何かがひっかかる。登場人物たちは、描かれていないところで、何をしているのだろう。もしかすると、そのことが、ひどく気になってしまったのかもしれません。」
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他の選考委員
小川洋子
山田詠美
石原慎太郎
黒井千次
宮本輝
高樹のぶ子
池澤夏樹
島田雅彦
村上龍
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候補者・作品
石田千女43歳×各選考委員 
「あめりかむら」
短篇 106
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
15 「(引用者注:「ぴんぞろ」のルリ婆さんと共に)きんたろうさん(引用者中略)は、忘れ難い存在感を放っていた。」「戸田君の描写になるとなぜ急に頑なになるのか。」「違和感が残った。」
山田詠美
女52歳
15 「全体的に、うすーい感じ。このうすさが、主人公の背後にある死の気配をしんと落ち着かせるためには効を奏し、けれども、知人の男の自殺と彼女をつなげるためには、信憑性をいちじるしく奪う。」
石原慎太郎
男78歳
0  
黒井千次
男79歳
6 「病を抱えた三十代女性の不機嫌はわかっても、話の展開が唐突であり、大阪への旅が作品の芯にうまくつながらぬのは弱点ではないか。」
宮本輝
男64歳
9 「生きようとしている主人公の心はよく伝わってくるが、これも最後が甘い。作者の精神的スタミナが途切れたことで、小説の結末もスタミナ切れとなったように感じた。」
高樹のぶ子
女65歳
10 「若者の孤立感とそれを抱きとめる大阪の人情が心地良く読め、タイトルの意味はピンと来なくても寄り添えた。」「(引用者注:「ぴんぞろ」と共に)私の中では得点が高かった。」
池澤夏樹
男66歳
0  
島田雅彦
男50歳
7 「(引用者注:水原涼と共に)それぞれ自身が獲得したスキルのバージョンアップを図り、描く対象への感情的踏み込みと批評的突き放しのヒット・アンド・アウェイを徹底させれば、吉。」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
14 「飲み屋に入ってからの細部に、魅力を感じました。」「最後の三行が、この小説の白眉なのだと思うのですが、そこにいたるまでの前半に、いくつかの「説明」になってしまうような表現を重ねてしまった。惜しいです。」
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他の候補作
戌井昭人
「ぴんぞろ」
円城塔
「これはペンです」
水原涼
「甘露」
本谷有希子
「ぬるい毒」
山崎ナオコーラ
「ニキの屈辱」
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候補者・作品
戌井昭人男39歳×各選考委員 
「ぴんぞろ」
短篇 132
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
12 「(引用者注:「あめりかむら」のきんたろうさんと共に)ルリ婆さんは、忘れ難い存在感を放っていた。」「なぜあそこで座間は死ななければならなかったのか。違和感が残った。」
山田詠美
女52歳
13 「的確な言葉を丁寧に選んで、好きでたまらない人間を真面目に描けば、おのずと場所も物語も付いて来るという小説の当り前に、久々に出会った気がする。この作者の小説世界の住人とならやって行けそうだなーという、今回は、そのシンパシー故に票を投じた次第。」
石原慎太郎
男78歳
11 「主人公の男と田舎の場末のストリップ小屋の踊り手のリッちゃんの間のアフェクションは何だったのかよくわからない。それを書き込めば作品は平凡に堕すのか、それとも別の活路もあったのか知れないが。」
黒井千次
男79歳
36 「(引用者注:主人公の「おれ」が後半に)出会う人もやはり浅草に縁のある老女であり、親のいない孫娘ともども温泉場の劇場で働く人達の人物像がふっくらと描き出され総じて人間が生きているといった体温が伝わってくる。」「ただ、受賞作として押し出すには何かが足りない。話の運びにどこかゆとりがあり過ぎるのだろうか。」
宮本輝
男64歳
8 「登場人物それぞれの水底に最も近づいていたが、話をおもしろくしようとして滑稽譚になってしまった。最後の五枚に戌井さんの作家として依って立つ何物かが刻印されていたらと惜しまれる。」
高樹のぶ子
女65歳
16 「アクの強い人物たちが繰り広げる下町や温泉場での出来事を描いて、飽きさせずに読ませる力量があるけれど、どことなく既視感もあり、何より「サイコロの目には意味がある……宇宙に繋がっている」という哲学的なテーマが、作品中で充分な説得力を持たなかったのが残念だ。」「(引用者注:「あめりかむら」と共に)私の中では得点が高かった。」
池澤夏樹
男66歳
0  
島田雅彦
男50歳
13 「獲得票は高かったものの、○はわずかに一つ。」「以前に似たような話を読んだことがあるという印象を受けてしまう。エンターテイメントを目指すなら、別にそれでいいのかもしれないが……。」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
18 「魅力的な小説でした。」「いくらでも極端に書くことはできるだろうに、腰のすわらない書きようで登場人物や風俗を描写した、その腰のすわらなさが、この小説のよさだと思ったのです。」「「強く推す」と「少し推す」の半ばほどの力で推しました。」
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他の候補作
石田千
「あめりかむら」
円城塔
「これはペンです」
水原涼
「甘露」
本谷有希子
「ぬるい毒」
山崎ナオコーラ
「ニキの屈辱」
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候補者・作品
円城塔男38歳×各選考委員 
「これはペンです」
短篇 137
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
37 「私にとって最も切実な問題をはらんでいた」「人物造形やストーリー展開など無視しても、ほらこの通り小説らしきものが出来上がるのです、と証明してみせている。円城さんと一緒になってこの企みを楽しめれば、至福の読書体験が味わえるだろう。しかしそうでなければ、あくまでも叔父さんはのっぺらぼうのままで終わる。」
山田詠美
女52歳
10 「文章から理系特有の難解さを剥ぎ取ってみると、そこには、極めてシンプルなユーモアで組み立てられた物語が現れる。」「〈わたしの中の女の子について記す道具を探しはじめる〉であろう続きが読みたい。」
石原慎太郎
男78歳
10 「もしこれがまかり通って受賞となったら、小説の愛好者たちを半減させたろう。小理屈をつけてこれを持ち上げる選者もいるにはいたが、私としては文章を使ったパズルゲイムに読者として付き合う余裕はどこにもない。」
黒井千次
男79歳
12 「コンピューターの働きを土台にした作品の世界にうまくはいることが出来なかった。書かれた内容に理解は届かぬとしても、わからぬままに奇妙な面白さが伝わることはあり得るのだから、書き方にもう少し工夫があってもよかったのではないか。」
宮本輝
男64歳
8 「強く推す委員もいたが、その真反対の委員も多かった。私は、書き出しのたったの十ページを読んだだけで眠くなり、全篇読了は難行苦行だった。要するに、つまらなかったのだ。」
高樹のぶ子
女65歳
24 「小説を書くとき、イメージを創り出すことに98%のエネルギーが費やされるべきだと私は考える。イメージとは人間、場面、モノ、物語などのこと。」「けれどこの作品はそれらのイメージを一切作らず、確信犯的に理論理屈で説得しようとする。言葉の役割が違う。結果、小説的な感興は何も残らなかった。何が書いてあったのかも記憶できない。」
池澤夏樹
男66歳
90 「ふわふわとして、ユーモラスで、このゆるさは値打ちがある。「わたしの筆跡は、わたし自身が真似しやすいようにできている」という自己言及的なセンテンスのナンセンスの風味が全体に充満している。」「ぶっ飛びすぎていて読者を限定するものであることは否定できない。純文学の雑誌がこれを掲載したこと、それがこの賞の候補作となって選考の場に登場したことに(授賞はまず無理だろうと思う一方で)ぼくは小さな感動を覚えた。」
島田雅彦
男50歳
62 「テクスト生成にまつわるあらゆる可能性の研究になっている。」「各パラグラフにちりばめられたヒューモアには幾度となく微笑を誘われたので、二重丸をつけたが、私の説得工作は不調に終わり、受賞作なしという私自身の古傷まで開いてしまうような最悪の結果となり、自棄酒をあおったのだった。」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
19 「好きなタイプの小説です。好きなタイプなので、強く推したかった。でも、少し、足りなかった。」「にこやかな表情でしごく落ち着きはらいながら、いりいりした切実なことを書こうとしていることは、よくわかるのですが。」「少し推しました。」
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他の候補作
石田千
「あめりかむら」
戌井昭人
「ぴんぞろ」
水原涼
「甘露」
本谷有希子
「ぬるい毒」
山崎ナオコーラ
「ニキの屈辱」
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候補者・作品
水原涼男21歳×各選考委員 
「甘露」
短篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
9 「もっとおぞましい小説であってほしかった。二度とこんな小説、読みたくないと思わせるほどのおぞましさが必要だった。」
山田詠美
女52歳
17 「どうにもこうにも擁護しようのない理解不能の比喩や描写が続出。これだけグロテスクなエピソードを扱うなら、もっと文章力を身に付けないと。あなたが純文学らしいと思っているものは、おおいなる錯覚。」
石原慎太郎
男78歳
8 「田舎の平凡で古い家での父親と心に障害を持つ姉との近親相姦を描いているが、古い家でのこうした深刻な閉ざされた劇の、主人公を含めて周囲の家族への余波が全く感じられないのはどういうことか。」
黒井千次
男79歳
7 「近親相姦の問題に足をすくわれて小説が崩れている。」
宮本輝
男64歳
5 「父子相姦というものを単なる小道具として使っていて、書き手の魂胆に不潔なものを感じた。」
高樹のぶ子
女65歳
10 「描かれる家族とその関係に、いまひとつ陰影が無く、こういう素材は妖しく湿潤な文体が必要だが、比喩表現において持って回った言い方ばかりが目立ち、匂いや色を伝えてこなかった。」
池澤夏樹
男66歳
0  
島田雅彦
男50歳
7 「(引用者注:石田千と共に)それぞれ自身が獲得したスキルのバージョンアップを図り、描く対象への感情的踏み込みと批評的突き放しのヒット・アンド・アウェイを徹底させれば、吉。」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
7 「何かを鮮明に描こうとして、描ききれなかったのではないか、という印象を持ちました。とても明確なふうに書いているのに、どこかに靄がかかっている。」
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他の候補作
石田千
「あめりかむら」
戌井昭人
「ぴんぞろ」
円城塔
「これはペンです」
本谷有希子
「ぬるい毒」
山崎ナオコーラ
「ニキの屈辱」
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候補者・作品
本谷有希子女32歳×各選考委員 
「ぬるい毒」
中篇 191
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
13 「“私”の狂気のスケールは、向伊を大きく上回っていた。肩を怪我した男をただあいまいに登場させるだけで、彼女の抱える問題をすり抜けてしまうのは、あまりにも惜しい。」
山田詠美
女52歳
17 「〈想像よりもずっと、魅力の塊のような男だった〉……へえ? その塊の内訳を述べてみたまえ。」「万人とは違う自意識をここまで持て余す主人公は、良くも悪くも強い印象を与える筈。ところが、この小説に生息するのは、ただのいっちゃってるお姉ちゃん。つき合いきれない。」
石原慎太郎
男78歳
0  
黒井千次
男79歳
11 「正体の定かならぬ男の構えの中に女が次第に吸い寄せられていく理由といきさつがうまく伝わって来ない。濁った水の中に何かがありそうなのに、影のみゆらめくのを見るような不満を覚える。」
宮本輝
男64歳
11 「女を食い物にしようとする三人の若い男たちに、顕在化しない狂気を感じて、私はいちばん高い点をつけたが、受賞作として強く推すまでには至らなかったし、他の委員の賛同もなかった。男たちと縁を切る女主人公の心に、もう一歩深く入って行ってほしかったと思う。」
高樹のぶ子
女65歳
17 「モデルにもなれそうなカワイイ女性が、ここまで男性に不信感を持ち、駆け引きで考えるのはなぜか。結局そうした構図で作品を創るためではないのかと思えて、残念だった。この世のすべてを敵に回す本物の悪意であれば、もっと純な起爆力があるはずだ。」
池澤夏樹
男66歳
0  
島田雅彦
男50歳
12 「地方出身の自意識過剰ガールを中心に逆巻くネガティブ・キャラクター群像を描くのを得意とする本谷有希子は今回の『ぬるい毒』で、従来の一人称語りにマイナーチェンジを加えてきた。その自意識を分裂させ、結婚詐欺野郎との煮え切らない関係を赤裸々に描き出していた」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
11 「向伊が気になります。この男の、どこがそんなに魅力的なのだろう。それさえわかれば、もっとこの小説の中まで入りこめたかもしれません。」「この作者の新しい何かをかいま見た気は、したのです。」
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他の候補作
石田千
「あめりかむら」
戌井昭人
「ぴんぞろ」
円城塔
「これはペンです」
水原涼
「甘露」
山崎ナオコーラ
「ニキの屈辱」
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候補者・作品
山崎ナオコーラ女32歳×各選考委員 
「ニキの屈辱」
中篇 192
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
14 「書き上げた山崎さんの力量には敬服する。加賀美に振られたからといって、ニキはどうして写真家をやめる必要があるだろう。二人のこの未熟な恋愛を、読者として応援できるかどうかが、分かれ道だったと思う。」
山田詠美
女52歳
14 「男と女の距離が縮まって行く時に生じる他愛もないやり取りや会話が、いじらしくて可愛らしい。しかしながら、それらに写真家魂のようなものが滲むと、途端にあらが見えて、可愛らしさを通り越してつたなく、ちゃちになる。写真家って、こんなもん?」
石原慎太郎
男78歳
8 「結末はありきたりで、それにしても題名が他愛なく説明的で、これでは何のために長々読者を引き回したのかと思われる。」
黒井千次
男79歳
18 「雇い主と使用人の関係が少しずつ別のものへと変り始める経緯に注目した。仕事中心とは異る姿に二人が近づく遅々とした運びは面白いが、それが別れへと進むあたりの書き方には物足りなさが残る。」「「屈辱」の中身がいささか密度に欠ける恨みが残る。」
宮本輝
男64歳
6 「(引用者注:候補作のなかで)最も気持良く読ませていくが、読み手が予想したとおりに進んで、最後はただのメロドラマとなった。」
高樹のぶ子
女65歳
14 「行動の因果が破綻なく説明されている。自分の中で小さく人物を造形すると、こうしたことが起きる。成長し、男女の優位性が逆転するビルドングスロマンでもあるけれど、それはどこにでも在る話で、タイトルも大袈裟な気がした。」
池澤夏樹
男66歳
0  
島田雅彦
男50歳
7 「『春琴抄』の当世写真業界版のように読めたので、推したけれども、女性選考委員の猛烈な反発の前ではホビットのように小さくなるしかなかった。」
村上龍
男59歳
35 「四人の女性選考委員たちは、「ニキの屈辱」という作品に批判的だった。」「「好きな男にふられて写真家であることを辞めようとする」というストーリーの脆弱さ、安易さを、四人がそろって否定したのは当然かも知れないと思った。」「「女性の表現者が男に振られたせいで表現を辞める」というモチーフの作品があってもいいと思う。だが、その作品は、表現を続けている人をも納得させ、逆に圧倒するような、「強さと美しさ」が不可欠だ。」
川上弘美
女53歳
11 「読ませる小説だ、という印象を、まずもちました。」「けれど、何かがひっかかる。登場人物たちは、描かれていないところで、何をしているのだろう。もしかすると、そのことが、ひどく気になってしまったのかもしれません。」
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他の候補作
石田千
「あめりかむら」
戌井昭人
「ぴんぞろ」
円城塔
「これはペンです」
水原涼
「甘露」
本谷有希子
「ぬるい毒」
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