芥川賞のすべて・のようなもの
第146回
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Last Update[H29]2017/5/16

円城塔
Enjo To
生没年月日【注】 昭和47年/1972年9月15日~
受賞年齢 39歳4ヶ月
経歴 北海道札幌市生まれ。東北大学理学部物理学科卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。研究員等を経て、WEBエンジニアとなる。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第7回小松左京賞(平成18年/2006年)「セルフリファレンス・エンジン」
  • 第104回文學界新人賞(平成19年/2007年)「オブ・ザ・ベースボール」
  • |候補| 第137回芥川賞(平成19年/2007年上期)「オブ・ザ・ベースボール」
  • |候補| 第28回日本SF大賞(平成19年/2007年)『Self-Reference ENGINE』
  • |候補| 第29回日本SF大賞(平成20年/2008年)『Boy's Surface』
  • |候補| 第23回三島由紀夫賞(平成21年/2009年度)『烏有此譚』
  • 第32回野間文芸新人賞(平成22年/2010年)『烏有此譚』
  • |候補| 第145回芥川賞(平成23年/2011年上期)「これはペンです」
  • 第3回早稲田大学坪内逍遙大賞[奨励賞](平成23年/2011年)『鳥有此譚』「道化師の蝶」「これはペンです」など
  • 第146回芥川賞(平成23年/2011年下期)「道化師の蝶」
  • 第30回咲くやこの花賞[文芸その他部門・小説](平成24年/2012年度)
  • 第33回日本SF大賞[特別賞](平成24年/2012年)『屍者の帝国』(伊藤計劃・共著)
  • |第10位| 第10回2013年本屋大賞(平成25年/2013年)『屍者の帝国』(伊藤計劃・共著)
  • |候補| 第6回2013大学読書人大賞(平成25年/2013年)『屍者の帝国』(伊藤計劃・共著)
  • 第44回星雲賞[日本長編部門](平成25年/2013年)『屍者の帝国』(伊藤計劃・共著)
  • Philip K.Dick Award{フィリップ・K・ディック賞/アメリカ}[特別賞](平成26年/2014年)『Self-Reference ENGINE』(Terry Gallagher訳)
  • 第43回川端康成文学賞(平成29年/2017年)「文字渦」
備考
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芥川賞 第137回候補  一覧へ
「オブ・ザ・ベースボール」(『文學界』平成19年/2007年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第61巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成19年/2007年6月1日
発行者等 編集人 舩山幹雄 発行人 白幡光明 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 36~66
(計31頁)
測定枚数 93
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書誌
>>平成20年/2008年2月・文藝春秋刊『オブ・ザ・ベースボール』所収
>>平成24年/2012年4月・文藝春秋/文春文庫『オブ・ザ・ベースボール』所収
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候補者 円城塔 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
5 「円城さんの描いた不条理な風景に、私はどうしても入り込めなかった。否応なく引きずり込まれるような怖さを感じたかった。」
川上弘美
女49歳
6 「好きな小説なのだけれど残念、作者自身の得意技から踏み出ようとする冒険心、のようなものが足りない。」
池澤夏樹
男62歳
8 「人の落下と野球的レスキュー隊というナンセンスの組合せはとてもいいのに、長すぎる。二十枚までで書いていたらユアグローかバーセルミ風のいい短篇になったのではないか。」
石原慎太郎
男74歳
9 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
高樹のぶ子
女61歳
0  
村上龍
男55歳
0  
黒井千次
男75歳
5 「発想の奇抜さに惹かれるものの、状況ではなくもう少し人間の側からの踏み込みが欲しかった。」
宮本輝
男60歳
7 「なぜ舞台を日本のいなか町にして、登場人物もすべて日本人にしなかったのであろうか。そうしたほうがはるかに豊かな展開がひらけたような気がする。」
山田詠美
女48歳
7 「秀才さんが思いつく気の利いたユーモアは、なぜか冗漫に語られ失速するのが常。元飲み屋のホステスとはいえ、にこやかに合槌を打ち続けるのは不可能だった。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年9月号
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芥川賞 第145回候補  一覧へ
「これはペンです」(『新潮』平成23年/2011年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「今年107年目の文芸誌」「The Shincho Monthly」併記
巻号 第108巻 第1号  別表記1272号
印刷/発行年月日 発行 平成23年/2011年1月7日 発売 平成22年/2010年12月7日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 372 表記上の枚数 表紙・背・目次 130枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 7~49
(計43頁)
測定枚数 137
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書誌
>>平成23年/2011年9月・新潮社刊『これはペンです』所収
>>平成26年/2014年3月・新潮社/新潮文庫『これはペンです』所収
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候補者 円城塔 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女49歳
37 「私にとって最も切実な問題をはらんでいた」「人物造形やストーリー展開など無視しても、ほらこの通り小説らしきものが出来上がるのです、と証明してみせている。円城さんと一緒になってこの企みを楽しめれば、至福の読書体験が味わえるだろう。しかしそうでなければ、あくまでも叔父さんはのっぺらぼうのままで終わる。」
山田詠美
女52歳
10 「文章から理系特有の難解さを剥ぎ取ってみると、そこには、極めてシンプルなユーモアで組み立てられた物語が現れる。」「〈わたしの中の女の子について記す道具を探しはじめる〉であろう続きが読みたい。」
石原慎太郎
男78歳
10 「もしこれがまかり通って受賞となったら、小説の愛好者たちを半減させたろう。小理屈をつけてこれを持ち上げる選者もいるにはいたが、私としては文章を使ったパズルゲイムに読者として付き合う余裕はどこにもない。」
黒井千次
男79歳
12 「コンピューターの働きを土台にした作品の世界にうまくはいることが出来なかった。書かれた内容に理解は届かぬとしても、わからぬままに奇妙な面白さが伝わることはあり得るのだから、書き方にもう少し工夫があってもよかったのではないか。」
宮本輝
男64歳
8 「強く推す委員もいたが、その真反対の委員も多かった。私は、書き出しのたったの十ページを読んだだけで眠くなり、全篇読了は難行苦行だった。要するに、つまらなかったのだ。」
高樹のぶ子
女65歳
24 「小説を書くとき、イメージを創り出すことに98%のエネルギーが費やされるべきだと私は考える。イメージとは人間、場面、モノ、物語などのこと。」「けれどこの作品はそれらのイメージを一切作らず、確信犯的に理論理屈で説得しようとする。言葉の役割が違う。結果、小説的な感興は何も残らなかった。何が書いてあったのかも記憶できない。」
池澤夏樹
男66歳
90 「ふわふわとして、ユーモラスで、このゆるさは値打ちがある。「わたしの筆跡は、わたし自身が真似しやすいようにできている」という自己言及的なセンテンスのナンセンスの風味が全体に充満している。」「ぶっ飛びすぎていて読者を限定するものであることは否定できない。純文学の雑誌がこれを掲載したこと、それがこの賞の候補作となって選考の場に登場したことに(授賞はまず無理だろうと思う一方で)ぼくは小さな感動を覚えた。」
島田雅彦
男50歳
62 「テクスト生成にまつわるあらゆる可能性の研究になっている。」「各パラグラフにちりばめられたヒューモアには幾度となく微笑を誘われたので、二重丸をつけたが、私の説得工作は不調に終わり、受賞作なしという私自身の古傷まで開いてしまうような最悪の結果となり、自棄酒をあおったのだった。」
村上龍
男59歳
0  
川上弘美
女53歳
19 「好きなタイプの小説です。好きなタイプなので、強く推したかった。でも、少し、足りなかった。」「にこやかな表情でしごく落ち着きはらいながら、いりいりした切実なことを書こうとしていることは、よくわかるのですが。」「少し推しました。」
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年9月号
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芥川賞 第146受賞  一覧へ

どうけし ちょう
道化師の 蝶」(『群像』平成23年/2011年7月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」  別表記表紙 「GUNZO」併記
巻号 第66巻 第7号
印刷/発行年月日 印刷 平成23年/2011年6月5日 発行 平成23年/2011年7月1日
発行者等 編集人 松沢賢二 発行人 市田厚志 印刷人 金子眞吾 印刷所 凸版印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 40~75
(計36頁)
測定枚数 112
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書誌
>>平成24年/2012年1月・講談社刊『道化師の蝶』
>>『文藝春秋』平成24年/2012年3月号
>>平成27年/2015年1月・講談社/講談社文庫『道化師の蝶』所収
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候補者 円城塔 男39歳
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男79歳
41 「作品の中にはいって行くのが誠に難しい作品だった。」「うまく読むことが難しい作品であり、素手でこれを扱うのは危険だという警戒心が働く。しかしこのわからなさの先に何かあるのではないか、と考えさせる風が終始作品の奥から吹き寄せて来るのは間違いがない。したがって、支持するのは困難だが、全否定するのは更に難しい、といった状況に立たされる。」「注文をつけるとすれば、読む者に対して不必要な苦労をかけぬような努力は常に払われねばなるまい。」
川上弘美
女53歳
73 「「この世界」には、生きている猫もいれば、死んでいる猫もいます。それらあまたの猫を、小説家は描いてきました。ところが「道化師の蝶」は、生きている猫と死んでいる猫だけでなく、死んでいるのと同時に生きていもする猫、をも描こうとした小説なのだと、私は思ったのです。」「作者が過去に書いた小説を、幾篇か読んできました。(引用者中略)今回の「道化師の蝶」で初めて私は、「死んでいてかつ生きている猫」が、閉じられた青酸発生装置入りの箱の中で、にゃあ、と鳴いている、その声を聞いたように思ったのです。」
高樹のぶ子
女65歳
51 「一見いや一読したぐらいでは何も確定させないぞ、という意思を、文学的な志だと受け取るには、私の体質は違い過ぎる。それが「位相」の企みであると判ってはいるが、このような努力と工夫の上に何を伝えたいのかが、私には解らない。」「にも拘わらず最後に受賞に一票を投じたのは、この候補作を支持する委員を、とりあえず信じたからだ。決して断じて、この作品を理解したからではない。」
山田詠美
女52歳
9 「この小説の向こうに、知的好奇心を刺激する興味深い世界が広がっているのが、はっきりと解る。それなのに、この文章にブロックされてしまい、それは容易に公開されない。〈着想を捕える網〉をもっと読者に安売りして欲しい。」
小川洋子
女49歳
35 「小片たちがつなぎ合わされ、一枚のパッチワークが縫い上がり、さてどんな模様が浮き出してきたかと楽しみに見つめてみれば、そこには模様など何も現れていなかった。」「もし自分の使っている言葉が、世界中で自分一人にしか通じないとしても、私はやはり小説を書くだろうか。結局、私に見えてきた模様とは、この一つの重大な自問であった。」
島田雅彦
男50歳
58 「それ自体が言語論であり、フィクション論であり、発想というアクションそのものをテーマにした小説だ。」「この作品は夢で得たヒントのようにはかなく忘れられてゆく無数の発想へのレクイエムといってもいい。」「こういう「やり過ぎ」を歓迎する度量がなければ、日本文学には身辺雑記とエンタメしか残らない。いや、この作品だって、コストパフォーマンスの高いエンタメに仕上がっている。二回読んで、二回とも眠くなるなら、睡眠薬の代わりにもなる。」
宮本輝
男64歳
41 「賛否がこれほど大きく割れた候補作は珍しい。」「私はその中間の立場にいて、私には読み取れない何かがあるとしたら、受賞に強く賛成する委員の意見に耳を傾けたいと思っていた。」「最近の若い作家の眼の低さを思えば、たとえ手は低くても、その冒険や試みは買わなければならないと思い、私は受賞に賛成する側に廻った。フィクションになりそこねた言語論としてあらためて読むと、妙にフィクションとして成り立ってくる。」
石原慎太郎
男79歳
12 「最後は半ば強引に当選作とされた観が否めないが、こうした言葉の綾とりみたいなできの悪いゲームに付き合わされる読者は気の毒というよりない。こんな一人よがりの作品がどれほどの読者に小説なる読みものとしてまかり通るかははなはだ疑がわしい。」
選評出典:『文藝春秋』平成24年/2012年3月号
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