芥川賞のすべて・のようなもの
第137回
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平成19年/2007年上半期
(平成19年/2007年7月17日決定発表/『文藝春秋』平成19年/2007年9月号選評掲載)
選考委員  小川洋子
女45歳
川上弘美
女49歳
池澤夏樹
男62歳
石原慎太郎
男74歳
高樹のぶ子
女61歳
村上龍
男55歳
黒井千次
男75歳
宮本輝
男60歳
山田詠美
女48歳
選評総行数  45 52 44 66 38 62 45 51 44
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
諏訪哲史 「アサッテの人」
196
男37歳
35 13 23 44 34 9 28 12 8
円城塔 「オブ・ザ・ベースボール」
93
男34歳
5 6 8 9 0 0 5 7 7
川上未映子 「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
107
女30歳
6 12 13 10 0 0 7 8 6
柴崎友香 「主題歌」
133
女33歳
0 12 0 0 0 17 5 5 7
前田司郎 「グレート生活アドベンチャー」
110
男30歳
0 6 0 10 0 0 5 0 8
松井雪子 「アウラ アウラ」
105
女40歳
0 5 0 9 4 0 5 19 8
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年9月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
小川洋子女45歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
叔父さんの体温 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
35 「この語り手は小説に追いすがってもいないし、いじけてもいない。彼はやすやすと小説の枠を越え、ただひたすら叔父さんの発する声の響きにのみ耳を澄ませた。」「私が最も心惹かれたのは、言語の問題が、他人や社会との関わり合いの難しさを描く方向へ向かっていない点だった。」「初めての選考で『アサッテの人』に出会えたのは幸運だった。」
円城塔
男34歳
5 「円城さんの描いた不条理な風景に、私はどうしても入り込めなかった。否応なく引きずり込まれるような怖さを感じたかった。」
川上未映子
女30歳
6 「自意識から離れた瞬間の、川上さんの描写力には衝撃を受けた。」
柴崎友香
女33歳
0  
前田司郎
男30歳
0  
松井雪子
女40歳
0  
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他の選考委員
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
川上弘美女49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
切実さ 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
13 「(引用者注:「主題歌」と共に)切実さがあると私は思った。」「実は多くの人がかかえる、「生きて言葉を使って人と関係を持たねばならぬということ」の覚束なさを、ていねいに表現している。」「私は(引用者注:「アサッテの人」と「主題歌」の)両作品を推した。」
円城塔
男34歳
6 「好きな小説なのだけれど残念、作者自身の得意技から踏み出ようとする冒険心、のようなものが足りない。」
川上未映子
女30歳
12 「語り手の口から語られる言葉(すなわち作者の書いている言葉)に、作者自身がぜんぜんうっとりしていないことに、たいそう好感を持った。」「「それだけはしないくれ」と念じていた「妄想でした」という結末、残念残念残念。」
柴崎友香
女33歳
12 「(引用者注:「アサッテの人」と共に)切実さがあると私は思った。」「「普通」の「楽しい」生活の中にある、明るいような昏いような不思議な空虚さが、痛切に描かれていると思う。」「私は(引用者注:「アサッテの人」と「主題歌」の)両作品を推した。」
前田司郎
男30歳
6 「無気力な男の話なのに、やる気なし加減のべったりした感じが、足りない(でも顔ダニのところは気持ち悪くてよかった)。」
松井雪子
女40歳
5 「語り手の、「なんだかわからないものを孕んでいる体感」が、足りない。」
  「初めて臨んだ芥川賞の候補作六作は、いずれも私にとっては読みごたえがあるものだった。みんな面白かったです。まる。そう言っておしまいにしたいのだけれど、そうはゆかない。」
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他の選考委員
小川洋子
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
池澤夏樹男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
哲学的英雄譚に拍手 総行数44 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
23 「おもしろかった。これは哲学的な英雄譚である。」「甥が遺された断片的な資料と自分の記憶のみを用いてこの男の像を描こうと悪戦苦闘する過程がそのまま小説となる。大事なのはこの困難な課題を積載できるだけのしっかりした文章の力を作者が持っていることだ。」
円城塔
男34歳
8 「人の落下と野球的レスキュー隊というナンセンスの組合せはとてもいいのに、長すぎる。二十枚までで書いていたらユアグローかバーセルミ風のいい短篇になったのではないか。」
川上未映子
女30歳
13 「この饒舌、この沈黙恐怖のようなしゃべくりは朗読してみると実に快い。ナンセンスな内容はそれにふさわしい。だからだろうか、後半に至って現実の青木とその女が出てくるところで急に話が弛緩してしまう。相手が一人ならばともかく二人では現実感がありすぎる。」
柴崎友香
女33歳
0  
前田司郎
男30歳
0  
松井雪子
女40歳
0  
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
石原慎太郎男74歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文学の、言葉の不毛 総行数66 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
44 「私の懸念?の通り多くの選者の支持を得て当選となった。」「この作品に関する限り、作者の持って回った技法は私には不明晰でわずらわしいものでしかなかった。」「文中に出てくる『声の暴発』なるものを活字の四倍大の黒い四角で示すとか、最後に『読者への便宜を図るため』として『叔父の肉筆によるオリジナルな平面図』なるものを付記しているのは、作者の持つ言葉の限界を逆に露呈しているとしかいいようない。」
円城塔
男34歳
9 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
川上未映子
女30歳
10 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
柴崎友香
女33歳
0  
前田司郎
男30歳
10 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
松井雪子
女40歳
9 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
  「今回の候補作の大方は読者の代表の一人たる私にとっては何とも退屈、あるいは不可解なものでしかなかった。」「大体、作品の表題がいい加減で、内容を集約表現しているとも思えない。自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
高樹のぶ子女61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「重量」 総行数38 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
34 「候補作中最も重量を感じさせた作品だった。この一作に込めたエネルギーの大きさにまず圧倒され、いろいろ欠点を指摘するのは簡単だが、ほかの選考委員が推すなら賛成するつもりだった。」「エッシャーの騙し絵のように、ブリューゲルの風刺画のように、巧妙な入れ子構造になっていて、ときどき入れ子の隙間から作者が顔を出す。その顔が「壊す人」とは思えないほどカワイイ。従来からの小説に恨みを持ってない無垢な顔だ。これぞクセモノ。」
円城塔
男34歳
0  
川上未映子
女30歳
0  
柴崎友香
女33歳
0  
前田司郎
男30歳
0  
松井雪子
女40歳
4 「ケータイを通じて響き合う女同士の孤独な善意が、妙に美しい。」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
村上龍
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
村上龍男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
芥川賞選評 総行数62 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
9 「わたしは推さなかった。退屈な小説だったからだ。」「装飾を引き剥がすと「コミュニケーション不全」と「生きにくさ」だけが露わになる。」
円城塔
男34歳
0  
川上未映子
女30歳
0  
柴崎友香
女33歳
17 「比較的面白く読んだ。」「少女趣味ではなく、わたしは男性性への絶望が底にあるように思った。」「物語の中盤あたりで、主人公がアジア料理の店に一人で入り食事するシーンがあり、そこでの人物と料理の描写にわたしは小説の核となりうるような「偏愛」を感じたのである。」
前田司郎
男30歳
0  
松井雪子
女40歳
0  
  「今回は全体的に低調で候補作を読むのが辛かった。」「女性作家は、男の作家が持ち得ないものを最初から持っている。」「男性作家との違いは明確で、それは女には妊娠・出産が可能だということだ。」「そういった生物学的な普遍性と社会との接点を描けば、それは優れて現代的なモチーフになりうる。」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
黒井千次
宮本輝
山田詠美
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選考委員
黒井千次男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
今日とアサッテ 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
28 「いささか入り組んだ構成は、しかしそうでもしなければ捉えることの不可能な「アサッテの方角」にあるものを掴む上での必然であったと思われる。」「日常性との緊張関係がこの特異な作品世界を終始しっかりと支えている。可笑しく、寂しく、仄温かに湿ったこの秀作の受賞を喜びたい。」
円城塔
男34歳
5 「発想の奇抜さに惹かれるものの、状況ではなくもう少し人間の側からの踏み込みが欲しかった。」
川上未映子
女30歳
7 「言葉のエネルギーが小説に必要な他の要素を上まわった感がある。しかし次作への期待を抱かせる力量を備えている。」
柴崎友香
女33歳
5 「(引用者注:「グレート生活アドベンチャー」「アウラ アウラ」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
前田司郎
男30歳
5 「(引用者注:「主題歌」「アウラ アウラ」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
松井雪子
女40歳
5 「(引用者注:「主題歌」「グレート生活アドベンチャー」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
宮本輝
山田詠美
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選考委員
宮本輝男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
言語の観念化 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
12 「言語についてのある種の哲学的論考が、私には所詮観念にすぎない思考の遊びに思えて受賞作として推せなかったが、それをよしとする委員が大勢を占めた。」
円城塔
男34歳
7 「なぜ舞台を日本のいなか町にして、登場人物もすべて日本人にしなかったのであろうか。そうしたほうがはるかに豊かな展開がひらけたような気がする。」
川上未映子
女30歳
8 「川上氏の言語感覚は瞬間芸には向いていそうだが、ある長さを必要とする小説では、そこのところがかえって災いとなる。」
柴崎友香
女33歳
5 「いつもの柴崎さんの小説であって、それはすでにパターン化しつつある。老婆心ながら、惜しいことだと思う。」
前田司郎
男30歳
0  
松井雪子
女40歳
19 「最も高い点をつけた」「さりとて受賞作として強く支持するには何かが足りない。」「扱われている素材はまことに切ないものであるのに、主人公の真の哀しみに筆が届いていないのだ。」「しかし、松井氏は以前の作品と比べると、地に足がついてきた。」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
山田詠美
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選考委員
山田詠美女48歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数44 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史
男37歳
8 「選考委員になって以来、初めて候補作を読んで吹き出した。それも何度も。愉快で、馬鹿馬鹿しく、やがて哀しいゲームに身を投じた気持。」
円城塔
男34歳
7 「秀才さんが思いつく気の利いたユーモアは、なぜか冗漫に語られ失速するのが常。元飲み屋のホステスとはいえ、にこやかに合槌を打ち続けるのは不可能だった。」
川上未映子
女30歳
6 「言葉の扱いとスピード感が、とってもチャーミングなので、こんな題名ではったりかますことはない。いじめに持って行くラストは疑問。」
柴崎友香
女33歳
7 「かわいい物語だが、ちっともかわいくないやさぐれた読み手(おれ)には、あまり伝わるものがなかった。」
前田司郎
男30歳
8 「主人公が十代だったら、ラジオ体操からやり直さんかい、と叱咤したいところだが、三十代なので、良い感じのトホホ感が漂っている。でもやっぱりラジオ体操はした方が良いと思う。」
松井雪子
女40歳
8 「大仰な言いまわしが多過ぎる。想像妊娠って、そんなに御大層なものなの?」
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他の選考委員
小川洋子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
高樹のぶ子
村上龍
黒井千次
宮本輝
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受賞者・作品
諏訪哲史男37歳×各選考委員 
「アサッテの人」
中篇 196
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
35 「この語り手は小説に追いすがってもいないし、いじけてもいない。彼はやすやすと小説の枠を越え、ただひたすら叔父さんの発する声の響きにのみ耳を澄ませた。」「私が最も心惹かれたのは、言語の問題が、他人や社会との関わり合いの難しさを描く方向へ向かっていない点だった。」「初めての選考で『アサッテの人』に出会えたのは幸運だった。」
川上弘美
女49歳
13 「(引用者注:「主題歌」と共に)切実さがあると私は思った。」「実は多くの人がかかえる、「生きて言葉を使って人と関係を持たねばならぬということ」の覚束なさを、ていねいに表現している。」「私は(引用者注:「アサッテの人」と「主題歌」の)両作品を推した。」
池澤夏樹
男62歳
23 「おもしろかった。これは哲学的な英雄譚である。」「甥が遺された断片的な資料と自分の記憶のみを用いてこの男の像を描こうと悪戦苦闘する過程がそのまま小説となる。大事なのはこの困難な課題を積載できるだけのしっかりした文章の力を作者が持っていることだ。」
石原慎太郎
男74歳
44 「私の懸念?の通り多くの選者の支持を得て当選となった。」「この作品に関する限り、作者の持って回った技法は私には不明晰でわずらわしいものでしかなかった。」「文中に出てくる『声の暴発』なるものを活字の四倍大の黒い四角で示すとか、最後に『読者への便宜を図るため』として『叔父の肉筆によるオリジナルな平面図』なるものを付記しているのは、作者の持つ言葉の限界を逆に露呈しているとしかいいようない。」
高樹のぶ子
女61歳
34 「候補作中最も重量を感じさせた作品だった。この一作に込めたエネルギーの大きさにまず圧倒され、いろいろ欠点を指摘するのは簡単だが、ほかの選考委員が推すなら賛成するつもりだった。」「エッシャーの騙し絵のように、ブリューゲルの風刺画のように、巧妙な入れ子構造になっていて、ときどき入れ子の隙間から作者が顔を出す。その顔が「壊す人」とは思えないほどカワイイ。従来からの小説に恨みを持ってない無垢な顔だ。これぞクセモノ。」
村上龍
男55歳
9 「わたしは推さなかった。退屈な小説だったからだ。」「装飾を引き剥がすと「コミュニケーション不全」と「生きにくさ」だけが露わになる。」
黒井千次
男75歳
28 「いささか入り組んだ構成は、しかしそうでもしなければ捉えることの不可能な「アサッテの方角」にあるものを掴む上での必然であったと思われる。」「日常性との緊張関係がこの特異な作品世界を終始しっかりと支えている。可笑しく、寂しく、仄温かに湿ったこの秀作の受賞を喜びたい。」
宮本輝
男60歳
12 「言語についてのある種の哲学的論考が、私には所詮観念にすぎない思考の遊びに思えて受賞作として推せなかったが、それをよしとする委員が大勢を占めた。」
山田詠美
女48歳
8 「選考委員になって以来、初めて候補作を読んで吹き出した。それも何度も。愉快で、馬鹿馬鹿しく、やがて哀しいゲームに身を投じた気持。」
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他の候補作
円城塔
「オブ・ザ・ベースボール」
川上未映子
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
柴崎友香
「主題歌」
前田司郎
「グレート生活アドベンチャー」
松井雪子
「アウラ アウラ」
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候補者・作品
円城塔男34歳×各選考委員 
「オブ・ザ・ベースボール」
短篇 93
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
5 「円城さんの描いた不条理な風景に、私はどうしても入り込めなかった。否応なく引きずり込まれるような怖さを感じたかった。」
川上弘美
女49歳
6 「好きな小説なのだけれど残念、作者自身の得意技から踏み出ようとする冒険心、のようなものが足りない。」
池澤夏樹
男62歳
8 「人の落下と野球的レスキュー隊というナンセンスの組合せはとてもいいのに、長すぎる。二十枚までで書いていたらユアグローかバーセルミ風のいい短篇になったのではないか。」
石原慎太郎
男74歳
9 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
高樹のぶ子
女61歳
0  
村上龍
男55歳
0  
黒井千次
男75歳
5 「発想の奇抜さに惹かれるものの、状況ではなくもう少し人間の側からの踏み込みが欲しかった。」
宮本輝
男60歳
7 「なぜ舞台を日本のいなか町にして、登場人物もすべて日本人にしなかったのであろうか。そうしたほうがはるかに豊かな展開がひらけたような気がする。」
山田詠美
女48歳
7 「秀才さんが思いつく気の利いたユーモアは、なぜか冗漫に語られ失速するのが常。元飲み屋のホステスとはいえ、にこやかに合槌を打ち続けるのは不可能だった。」
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他の候補作
諏訪哲史
「アサッテの人」
川上未映子
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
柴崎友香
「主題歌」
前田司郎
「グレート生活アドベンチャー」
松井雪子
「アウラ アウラ」
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候補者・作品
川上未映子女30歳×各選考委員 
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
短篇 107
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
6 「自意識から離れた瞬間の、川上さんの描写力には衝撃を受けた。」
川上弘美
女49歳
12 「語り手の口から語られる言葉(すなわち作者の書いている言葉)に、作者自身がぜんぜんうっとりしていないことに、たいそう好感を持った。」「「それだけはしないくれ」と念じていた「妄想でした」という結末、残念残念残念。」
池澤夏樹
男62歳
13 「この饒舌、この沈黙恐怖のようなしゃべくりは朗読してみると実に快い。ナンセンスな内容はそれにふさわしい。だからだろうか、後半に至って現実の青木とその女が出てくるところで急に話が弛緩してしまう。相手が一人ならばともかく二人では現実感がありすぎる。」
石原慎太郎
男74歳
10 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
高樹のぶ子
女61歳
0  
村上龍
男55歳
0  
黒井千次
男75歳
7 「言葉のエネルギーが小説に必要な他の要素を上まわった感がある。しかし次作への期待を抱かせる力量を備えている。」
宮本輝
男60歳
8 「川上氏の言語感覚は瞬間芸には向いていそうだが、ある長さを必要とする小説では、そこのところがかえって災いとなる。」
山田詠美
女48歳
6 「言葉の扱いとスピード感が、とってもチャーミングなので、こんな題名ではったりかますことはない。いじめに持って行くラストは疑問。」
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他の候補作
諏訪哲史
「アサッテの人」
円城塔
「オブ・ザ・ベースボール」
柴崎友香
「主題歌」
前田司郎
「グレート生活アドベンチャー」
松井雪子
「アウラ アウラ」
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候補者・作品
柴崎友香女33歳×各選考委員 
「主題歌」
短篇 133
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
0  
川上弘美
女49歳
12 「(引用者注:「アサッテの人」と共に)切実さがあると私は思った。」「「普通」の「楽しい」生活の中にある、明るいような昏いような不思議な空虚さが、痛切に描かれていると思う。」「私は(引用者注:「アサッテの人」と「主題歌」の)両作品を推した。」
池澤夏樹
男62歳
0  
石原慎太郎
男74歳
0  
高樹のぶ子
女61歳
0  
村上龍
男55歳
17 「比較的面白く読んだ。」「少女趣味ではなく、わたしは男性性への絶望が底にあるように思った。」「物語の中盤あたりで、主人公がアジア料理の店に一人で入り食事するシーンがあり、そこでの人物と料理の描写にわたしは小説の核となりうるような「偏愛」を感じたのである。」
黒井千次
男75歳
5 「(引用者注:「グレート生活アドベンチャー」「アウラ アウラ」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
宮本輝
男60歳
5 「いつもの柴崎さんの小説であって、それはすでにパターン化しつつある。老婆心ながら、惜しいことだと思う。」
山田詠美
女48歳
7 「かわいい物語だが、ちっともかわいくないやさぐれた読み手(おれ)には、あまり伝わるものがなかった。」
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他の候補作
諏訪哲史
「アサッテの人」
円城塔
「オブ・ザ・ベースボール」
川上未映子
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
前田司郎
「グレート生活アドベンチャー」
松井雪子
「アウラ アウラ」
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候補者・作品
前田司郎男30歳×各選考委員 
「グレート生活アドベンチャー」
短篇 110
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
0  
川上弘美
女49歳
6 「無気力な男の話なのに、やる気なし加減のべったりした感じが、足りない(でも顔ダニのところは気持ち悪くてよかった)。」
池澤夏樹
男62歳
0  
石原慎太郎
男74歳
10 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
高樹のぶ子
女61歳
0  
村上龍
男55歳
0  
黒井千次
男75歳
5 「(引用者注:「主題歌」「アウラ アウラ」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
宮本輝
男60歳
0  
山田詠美
女48歳
8 「主人公が十代だったら、ラジオ体操からやり直さんかい、と叱咤したいところだが、三十代なので、良い感じのトホホ感が漂っている。でもやっぱりラジオ体操はした方が良いと思う。」
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他の候補作
諏訪哲史
「アサッテの人」
円城塔
「オブ・ザ・ベースボール」
川上未映子
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
柴崎友香
「主題歌」
松井雪子
「アウラ アウラ」
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候補者・作品
松井雪子女40歳×各選考委員 
「アウラ アウラ」
短篇 105
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女45歳
0  
川上弘美
女49歳
5 「語り手の、「なんだかわからないものを孕んでいる体感」が、足りない。」
池澤夏樹
男62歳
0  
石原慎太郎
男74歳
9 「自分が苦労?して書いた作品を表象する題名も付けられぬ者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。」
高樹のぶ子
女61歳
4 「ケータイを通じて響き合う女同士の孤独な善意が、妙に美しい。」
村上龍
男55歳
0  
黒井千次
男75歳
5 「(引用者注:「主題歌」「グレート生活アドベンチャー」と共に)それぞれのモチーフは窺われても、結局は自閉の環から外へ身を乗り出さぬ物足りなさが残った。」
宮本輝
男60歳
19 「最も高い点をつけた」「さりとて受賞作として強く支持するには何かが足りない。」「扱われている素材はまことに切ないものであるのに、主人公の真の哀しみに筆が届いていないのだ。」「しかし、松井氏は以前の作品と比べると、地に足がついてきた。」
山田詠美
女48歳
8 「大仰な言いまわしが多過ぎる。想像妊娠って、そんなに御大層なものなの?」
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他の候補作
諏訪哲史
「アサッテの人」
円城塔
「オブ・ザ・ベースボール」
川上未映子
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
柴崎友香
「主題歌」
前田司郎
「グレート生活アドベンチャー」
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