芥川賞のすべて・のようなもの
第144回
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平成22年/2010年下半期
(平成23年/2011年1月17日決定発表/『文藝春秋』平成23年/2011年3月号選評掲載)
選考委員  島田雅彦
男49歳
高樹のぶ子
女64歳
川上弘美
女52歳
池澤夏樹
男65歳
石原慎太郎
男78歳
小川洋子
女48歳
山田詠美
女51歳
黒井千次
男78歳
村上龍
男58歳
宮本輝
男63歳
選評総行数  119 83 96 104 62 87 87 84 69 99
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
朝吹真理子 「きことわ」
150
女26歳
31 39 23 104 14 25 17 32 41 31
西村賢太 「苦役列車」
148
男43歳
22 18 8 0 41 9 15 23 37 26
小谷野敦 「母子寮前」
244
男48歳
24 0 11 0 0 20 17 10 0 15
田中慎弥 「第三紀層の魚」
96
男38歳
15 26 39 0 0 20 19 14 0 20
穂田川洋山 「あぶらびれ」
156
男36歳
12 0 11 0 0 13 19 5 0 10
                   
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年3月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員
島田雅彦男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
はじめてのおつかい 総行数119 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
31 「彼女の文章表現は五官の全てによく連動してもいる。この作品はその技術、才能の紛れもない証拠ではあるけれども、まだ彼女自身が真に書くべき素材、とらえどころのない夢を生け捕りにしたり、忘れられそうな歴史と格闘する困難には出会っていない、と「美女に優しく、野郎に厳しい」と思われがちな私はいいたい。」
西村賢太
男43歳
22 「古い器を磨き、そこに悪酔いする酒を注いだような作品だ。」「社会や政治を呪うことさえできず、何事も身近な他人のせいにするその駄目っぷりだが、随所に自己戯画化が施してあり、笑える。」
小谷野敦
男48歳
24 「駄目男の母恋というテーマには、父への違和と自分の心の病が横糸に絡んでくるので、作中で交錯する感情はかなり複雑なのだが、その綾を書き込めば、象徴的な父殺しと自分殺しが重なるファミリーロマンスの傑作になっていたかもしれない。そんなベタな小説はごめんだから、ドキュメンタリーに逃げたのかもしれないが、結果的にはありがちな看病記になってしまったのは惜しかった。」
田中慎弥
男38歳
15 「あえて低く設定したハードルを綺麗に飛んだという印象を受けてしまった。」「様々な小説的仕掛けを持っている人なので、それをしっかり悪用もしくは善用する従来の作風で、大きなチヌを釣り上げるべきである。」
穂田川洋山
男36歳
12 「川魚の交雑を巡る騒動記として、面白おかしく読めるのだが、いかんせん、同好会の酒の話題の外に広がってゆかない。」
  「芥川賞も基本、保守である。だが、保守こそ「わかりやすくて目新しいもの」を求めるのも事実だ。マイナーチェンジを繰り返さないと、保守は目立たず、忘れられてしまうから。」
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他の選考委員
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
高樹のぶ子女64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「五感の冴え」 総行数83 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
39 「触覚、味覚、聴覚、嗅覚、そして視覚を、間断なく刺激する作品、この受感の鋭さは天性の資質だ。」「身体の実感を言語化するとき、ともすれば自分流儀な表現に陥りがちだが、具体的な物や事象に置き換える、つまり客観性を与えて提示できる力がある。」「さらに言えば、文章に韻律というかリズムがあり、これも計算されたというより、作者の体内から出てくるもののように感じた。」
西村賢太
男43歳
18 「人間の卑しさ浅ましさをとことん自虐的に、私小説風に描き、読者を辟易させることに成功している。これほどまでに呪詛的な愚行のエネルギーを溜めた人間であれば、自傷か他傷か、神か悪魔の発見か、何か起きそうなものだと期待したけれど、卑しさと浅ましさがひたすら連続するだけで、物足りなかった。」
小谷野敦
男48歳
0  
田中慎弥
男38歳
26 「もっとも心地よく素直に読めた」「ただ、子供の視点で描かれた小説は、原則二割引になる。(引用者中略)この作品に即して言えば、曾祖父の人生は少年の目からはこれで充分なのだが、大人の目で彼を見れば、もっと様々な屈折が浮かんでこなくては充分とはならない。」
穂田川洋山
男36歳
0  
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他の選考委員
島田雅彦
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
川上弘美女52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
こころみ 総行数96 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
23 「読む快楽を十分に感じながら読みつつ、わたしはいくつかの表現に首をかしげました。(引用者中略)この小説のように、一つ一つの言葉の粒だちによって何かを表現しようとする場合には、「意匠としての言葉のゆらぎ」にあらざる「単なる表現の揺れ」は、ごくオーソドックスな小説よりも遥かに大きな疵となってしまうのではないかと思うのです。」
西村賢太
男43歳
8 「すでに自分の「型」を見つけています。その「型」を、どのように磨いてゆくのか。または壊してゆくのか。読者を裏切ることを恐れずに、これから先も何かをこころみて下さることを、期待します。」
小谷野敦
男48歳
11 「引きこまれました。(引用者中略)この作者の描こうとする自身の中の虚無に引きこまれたのです。その虚無を表すのに、作者は偽悪的な書きようをしています。それが、なによりよかった。」
田中慎弥
男38歳
39 「この作品ではじめて、作者は語ろうとしていることと視座との幸福な一致を得たのではないかと、読みながら思いました。」「三回、わたしはこの小説を読みました。読むたびに、好きになりました。最初に読んだ時には素通りしてしまった魅力的な言葉、表現が、読むたびにあらわれるのです。この作品を、わたしは一番に力をこめて推しました。」
穂田川洋山
男36歳
11 「つげ義春の作品を連想しました。」「楽しみながら読みましたが、やはり(引用者注:つげ作品の)「ゲンセンカン」の方に迫力を感じてしまうところが、この小説の弱さではないでしょうか。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
池澤夏樹男65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
時間をめぐる離れ業 総行数104 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
104 「時間というテーマを中心に据えた作品である。抽象的なものを具体的に語るのが小説だとすれば、これは希有な成功例と言うことができる。」「いくつもの時や光景や感情がアニメのセルのような透明な素材に描かれ、それを何枚も重ねて透かし見るような、しかもその何枚もの間に適切な間隔がおかれて空気遠近法の効果があるような、見事な構成。」「更に、この凝った構成を支える力としてエピソードと場面の創造力がある。」
西村賢太
男43歳
0  
小谷野敦
男48歳
0  
田中慎弥
男38歳
0  
穂田川洋山
男36歳
0  
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
石原慎太郎男78歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
現代のピカレスク 総行数62 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
14 「読みながらすぐにプルーストを想起したが、人間の意識に身体性がないとはいわないが、プルーストやジョイスが苦手な私にはいささか冗漫、退屈の感が否めなかった。ある時点での意識を表象するディテイルの描写にもむらがあるような気がする。」
西村賢太
男43歳
41 「この作者の「どうせ俺は――」といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジュニュインなるものを感じさせてくれる。」「この豊穣な甘えた時代にあって、彼の反逆的な一種のピカレスクは極めて新鮮である。昔、(引用者中略)池田得太郎の「家畜小屋」という作品を褒めた誰かが、「色の黒いの七難隠す」といっていたが、この作家の特性もそれに繋がるものと思う。」
小谷野敦
男48歳
0  
田中慎弥
男38歳
0  
穂田川洋山
男36歳
0  
  「読む者にとっての小説の魅力はさまざまあろうが、私にとってのそれはあくまでその作品の身体性だ。いい換えれば作品の肉感ともいえようが、それとて感じ方は人によってさまざま異なろう。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
小川洋子女48歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数87 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
25 「『きことわ』の人物たちにはまるで質量がないかのようだ。」「古生代から現代まで、葉山の坂の上からマリアナ海溝まで、時は自由自在に移動するが、ふと気づくと、結局は小さな淀みの中をひととき漂っていただけなのかもしれない、という不思議な感触が残る。」
西村賢太
男43歳
9 「存在感の濃さで言えば、『苦役列車』の貫多も(引用者注:『母子寮前』の「父親」に)負けてはいない。」「肉体はむせるほどの汗と酒のにおいを発し、彼自身そのおざましさを持て余している。」
小谷野敦
男48歳
20 「『母子寮前』に登場する父親。彼のことが今も頭を離れない。」「主人公は決して自分の内面へ深く降りてゆこうとしない。彼の苦悩は、田宮虎彦や師匠の母親の死との比較によって語られる。母より父を先に亡くした人を、彼はうらやましいと思う。息子にそう思わせる父親は、やはり異界にしか居場所がない。」
田中慎弥
男38歳
20 「タイトルの果てしなさとは裏腹に、大人しくまとまっていた。」「これだけの素材がそろえば、田中さんならもっとすさまじい世界を描くことができただろう。しかし今回、そうはしなかった。そう書かなかった意味が、何かしらあったのだと思う。」
穂田川洋山
男36歳
13 「出てくる人々は皆ピントがずれている。そのずれ方が独特だ。各々交わり合う中で、少しずつかみ合わせが妙になってゆくのではなく、最初から最後まで、皆が自分勝手にピント外れなのである。どんなに微細にランディングネットの製作過程を描写しても、ネットはネット以外のものになり得ないのと等しく、望月さんは望月さんのままだ。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
山田詠美
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
山田詠美女51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「選評」 総行数87 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
17 「小説を書くということは、茫漠としたかたまりに、それしかない言葉を与え続けて埋め尽くすことなんだなー、と久々に思い出したような気がする。ここには作者の選び抜いた言葉だけが揚げられていて、読み手の無責任な口出しを許さない。」「後ろ髪を引かれる事柄について書かれた小説は数多くあれど、後ろ髪を引くものそのものを主にした小説は、私の知る限り、ほとんどない。」
西村賢太
男43歳
15 「この愛すべきろくでなしの苦役が芥川賞につながったかと思うと愉快でたまらない。私小説が、実は最高に巧妙に仕組まれたただならぬフィクションであると証明したような作品。」
小谷野敦
男48歳
17 「親の死に目を描く小説は、ちまたにはびこる「泣ける話」と紙一重になりがちだが、ここでは執念にも似た丹念さがそれを遠ざけている。大嫌いな父親の行状をあげつらえばあげつらうほど、主人公が彼に似て来るような気がして、興味深かった。」
田中慎弥
男38歳
19 「四代に渡ってつなぎ止められて来た「負け戦の勲章」が苦い魅力を付け加えている。最後に、チヌではなく大きなコチを釣って泣いてしまう少年の涙の出所がいじらしい。しかし、曾祖父の遺体に日の丸をかけるのはやり過ぎだろう。」
穂田川洋山
男36歳
19 「少しも興味が持てないアトラクションの説明書を延々と読まされているような気分でいたところ、後半に突如出現する元旅館の女将が妙に色っぽい調子で退屈に風穴を開け、ああっ、今頃、おもしろくなり始めるのか、と期待に胸を膨らませかけたら、ワンピースをたくし上げて終わっちゃった。都合の良い女を都合良く登場させるだけなんて吝嗇に過ぎるではないか。ちゃんとその後の詳細を述べなさい。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
黒井千次
村上龍
宮本輝
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選考委員
黒井千次男78歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
淡い光と濃い闇 総行数84 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
32 「何が書かれているかより、いかに書かれているかにより強い興味を引かれるような候補作は珍しい。」「緻密に計算されているかに見える場面の重ね合わせの根元にあるのは、論理的思考であるというより、むしろ精神の生理的運動の結果であるのかもしれない、と思わせるところがある。」
西村賢太
男43歳
23 「主人公の奇行、愚行が必要以上に突出せず、若さによって受容され、思春期という器に収ってしまう面があるのに注目した。また、一つ一つの行為にどこかで微妙なブレーキがかけられ、それが破滅へと進む身体をおしとどめるところにリアリティーが隠されているように思われる。」
小谷野敦
男48歳
10 「主人公の語りにいささか濃淡の差があり過ぎて、このように「私」を軸にした作品であれば当然触れられるべきと思われるような主人公の体験の幾つかが、ほとんど書かれずに過ぎている点に不満が残る。」
田中慎弥
男38歳
14 「父や母といった身近な肉親ではなく、祖母と曾祖父という年齢の離れた人物との関りの中に、日の丸の旗や勲章が登場して時代の影が映し出されている。ただ、いささか話の流れが穏やかになり過ぎてまとまりが強くなった分だけ、中から弾けるような力は弱くなったのかもしれない。」
穂田川洋山
男36歳
5 「後半に女性が登場して男女関係が出現するあたり、いわば小説らしくなったあたりから急に力を失った。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
村上龍
宮本輝
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選考委員
村上龍男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数69 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
41 「(引用者注:「苦役列車」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」
西村賢太
男43歳
37 「(引用者注:「きことわ」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」
小谷野敦
男48歳
0  
田中慎弥
男38歳
0  
穂田川洋山
男36歳
0  
  「『きことわ』が圧倒的な支持を得て早々と当選し、『苦役列車』も過半数の支持を獲得して、今回は二作受賞となった。わたしは、二作の受賞に積極的に反対はしなかったが、積極的に推したわけでもなかった。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
宮本輝
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選考委員
宮本輝男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
小説の濃淡 総行数99 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朝吹真理子
女26歳
31 「ジグソーパズルの小さなピースに精密でイメージ喚起力の強い図版が描かれてあって、そのピースを嵌め込んで完成した全体図は奇妙に曖昧模糊とした妖しい抽象画だというのが(引用者中略)「きことわ」である。」「その難易度の高い絵画的手法を小説の世界でやっておけた二十六歳の才能はたいしたものだと思う。」
西村賢太
男43歳
26 「(引用者注:以前の候補作に比べて)主人公が外の世界、たとえば荷役会社での重労働や、そこで働く多くの人間とのつながりが描かれたことで、氏の独特の私小説世界に、息づく生な世の中が加味された。それは「苦役列車」に小説として文字どおり「面白さ」をもたらしたのだ。」「基礎的な強い文章力があればこその副産物であって、出会い頭に偶然に生まれた面白さではない。」
小谷野敦
男48歳
15 「はたしてこれは小説なのか、癌と宣告された母親を看取る作者の看病記録なのか、と首をかしげてしまった。」「丁寧に書かれてあるだけになおさら、作者のはらわたの隠し方に潔の悪さを感じた。そうなると、私小説の凄さは作品から消え失せてしまう。」
田中慎弥
男38歳
20 「小学四年生の男の子の視線には、おとなの作者の目が多く介入しすぎていて、チヌを釣ることも、乱暴そうな、あらっぽい釣り人も、第三紀層の魚という題も、どれもひとつの有機体として作用していない。読後、痒いところに手が届きそうで届かないもどかしさが残った。」
穂田川洋山
男36歳
10 「書き出しの数枚を読んでいて、これは前回よりも腕を上げたなと思った。だが、途中から読みつづけるのが苦痛になってしまった。旅館の元女将と主人公が突然関係を結ぶところで、この小説は完全に壊われたといってもいい。」
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他の選考委員
島田雅彦
高樹のぶ子
川上弘美
池澤夏樹
石原慎太郎
小川洋子
山田詠美
黒井千次
村上龍
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受賞者・作品
朝吹真理子女26歳×各選考委員 
「きことわ」
中篇 150
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
31 「彼女の文章表現は五官の全てによく連動してもいる。この作品はその技術、才能の紛れもない証拠ではあるけれども、まだ彼女自身が真に書くべき素材、とらえどころのない夢を生け捕りにしたり、忘れられそうな歴史と格闘する困難には出会っていない、と「美女に優しく、野郎に厳しい」と思われがちな私はいいたい。」
高樹のぶ子
女64歳
39 「触覚、味覚、聴覚、嗅覚、そして視覚を、間断なく刺激する作品、この受感の鋭さは天性の資質だ。」「身体の実感を言語化するとき、ともすれば自分流儀な表現に陥りがちだが、具体的な物や事象に置き換える、つまり客観性を与えて提示できる力がある。」「さらに言えば、文章に韻律というかリズムがあり、これも計算されたというより、作者の体内から出てくるもののように感じた。」
川上弘美
女52歳
23 「読む快楽を十分に感じながら読みつつ、わたしはいくつかの表現に首をかしげました。(引用者中略)この小説のように、一つ一つの言葉の粒だちによって何かを表現しようとする場合には、「意匠としての言葉のゆらぎ」にあらざる「単なる表現の揺れ」は、ごくオーソドックスな小説よりも遥かに大きな疵となってしまうのではないかと思うのです。」
池澤夏樹
男65歳
104 「時間というテーマを中心に据えた作品である。抽象的なものを具体的に語るのが小説だとすれば、これは希有な成功例と言うことができる。」「いくつもの時や光景や感情がアニメのセルのような透明な素材に描かれ、それを何枚も重ねて透かし見るような、しかもその何枚もの間に適切な間隔がおかれて空気遠近法の効果があるような、見事な構成。」「更に、この凝った構成を支える力としてエピソードと場面の創造力がある。」
石原慎太郎
男78歳
14 「読みながらすぐにプルーストを想起したが、人間の意識に身体性がないとはいわないが、プルーストやジョイスが苦手な私にはいささか冗漫、退屈の感が否めなかった。ある時点での意識を表象するディテイルの描写にもむらがあるような気がする。」
小川洋子
女48歳
25 「『きことわ』の人物たちにはまるで質量がないかのようだ。」「古生代から現代まで、葉山の坂の上からマリアナ海溝まで、時は自由自在に移動するが、ふと気づくと、結局は小さな淀みの中をひととき漂っていただけなのかもしれない、という不思議な感触が残る。」
山田詠美
女51歳
17 「小説を書くということは、茫漠としたかたまりに、それしかない言葉を与え続けて埋め尽くすことなんだなー、と久々に思い出したような気がする。ここには作者の選び抜いた言葉だけが揚げられていて、読み手の無責任な口出しを許さない。」「後ろ髪を引かれる事柄について書かれた小説は数多くあれど、後ろ髪を引くものそのものを主にした小説は、私の知る限り、ほとんどない。」
黒井千次
男78歳
32 「何が書かれているかより、いかに書かれているかにより強い興味を引かれるような候補作は珍しい。」「緻密に計算されているかに見える場面の重ね合わせの根元にあるのは、論理的思考であるというより、むしろ精神の生理的運動の結果であるのかもしれない、と思わせるところがある。」
村上龍
男58歳
41 「(引用者注:「苦役列車」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」
宮本輝
男63歳
31 「ジグソーパズルの小さなピースに精密でイメージ喚起力の強い図版が描かれてあって、そのピースを嵌め込んで完成した全体図は奇妙に曖昧模糊とした妖しい抽象画だというのが(引用者中略)「きことわ」である。」「その難易度の高い絵画的手法を小説の世界でやっておけた二十六歳の才能はたいしたものだと思う。」
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他の候補作
西村賢太
「苦役列車」
小谷野敦
「母子寮前」
田中慎弥
「第三紀層の魚」
穂田川洋山
「あぶらびれ」
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受賞者・作品
西村賢太男43歳×各選考委員 
「苦役列車」
中篇 148
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
22 「古い器を磨き、そこに悪酔いする酒を注いだような作品だ。」「社会や政治を呪うことさえできず、何事も身近な他人のせいにするその駄目っぷりだが、随所に自己戯画化が施してあり、笑える。」
高樹のぶ子
女64歳
18 「人間の卑しさ浅ましさをとことん自虐的に、私小説風に描き、読者を辟易させることに成功している。これほどまでに呪詛的な愚行のエネルギーを溜めた人間であれば、自傷か他傷か、神か悪魔の発見か、何か起きそうなものだと期待したけれど、卑しさと浅ましさがひたすら連続するだけで、物足りなかった。」
川上弘美
女52歳
8 「すでに自分の「型」を見つけています。その「型」を、どのように磨いてゆくのか。または壊してゆくのか。読者を裏切ることを恐れずに、これから先も何かをこころみて下さることを、期待します。」
池澤夏樹
男65歳
0  
石原慎太郎
男78歳
41 「この作者の「どうせ俺は――」といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジュニュインなるものを感じさせてくれる。」「この豊穣な甘えた時代にあって、彼の反逆的な一種のピカレスクは極めて新鮮である。昔、(引用者中略)池田得太郎の「家畜小屋」という作品を褒めた誰かが、「色の黒いの七難隠す」といっていたが、この作家の特性もそれに繋がるものと思う。」
小川洋子
女48歳
9 「存在感の濃さで言えば、『苦役列車』の貫多も(引用者注:『母子寮前』の「父親」に)負けてはいない。」「肉体はむせるほどの汗と酒のにおいを発し、彼自身そのおざましさを持て余している。」
山田詠美
女51歳
15 「この愛すべきろくでなしの苦役が芥川賞につながったかと思うと愉快でたまらない。私小説が、実は最高に巧妙に仕組まれたただならぬフィクションであると証明したような作品。」
黒井千次
男78歳
23 「主人公の奇行、愚行が必要以上に突出せず、若さによって受容され、思春期という器に収ってしまう面があるのに注目した。また、一つ一つの行為にどこかで微妙なブレーキがかけられ、それが破滅へと進む身体をおしとどめるところにリアリティーが隠されているように思われる。」
村上龍
男58歳
37 「(引用者注:「きことわ」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」
宮本輝
男63歳
26 「(引用者注:以前の候補作に比べて)主人公が外の世界、たとえば荷役会社での重労働や、そこで働く多くの人間とのつながりが描かれたことで、氏の独特の私小説世界に、息づく生な世の中が加味された。それは「苦役列車」に小説として文字どおり「面白さ」をもたらしたのだ。」「基礎的な強い文章力があればこその副産物であって、出会い頭に偶然に生まれた面白さではない。」
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他の候補作
朝吹真理子
「きことわ」
小谷野敦
「母子寮前」
田中慎弥
「第三紀層の魚」
穂田川洋山
「あぶらびれ」
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候補者・作品
小谷野敦男48歳×各選考委員 
「母子寮前」
中篇 244
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
24 「駄目男の母恋というテーマには、父への違和と自分の心の病が横糸に絡んでくるので、作中で交錯する感情はかなり複雑なのだが、その綾を書き込めば、象徴的な父殺しと自分殺しが重なるファミリーロマンスの傑作になっていたかもしれない。そんなベタな小説はごめんだから、ドキュメンタリーに逃げたのかもしれないが、結果的にはありがちな看病記になってしまったのは惜しかった。」
高樹のぶ子
女64歳
0  
川上弘美
女52歳
11 「引きこまれました。(引用者中略)この作者の描こうとする自身の中の虚無に引きこまれたのです。その虚無を表すのに、作者は偽悪的な書きようをしています。それが、なによりよかった。」
池澤夏樹
男65歳
0  
石原慎太郎
男78歳
0  
小川洋子
女48歳
20 「『母子寮前』に登場する父親。彼のことが今も頭を離れない。」「主人公は決して自分の内面へ深く降りてゆこうとしない。彼の苦悩は、田宮虎彦や師匠の母親の死との比較によって語られる。母より父を先に亡くした人を、彼はうらやましいと思う。息子にそう思わせる父親は、やはり異界にしか居場所がない。」
山田詠美
女51歳
17 「親の死に目を描く小説は、ちまたにはびこる「泣ける話」と紙一重になりがちだが、ここでは執念にも似た丹念さがそれを遠ざけている。大嫌いな父親の行状をあげつらえばあげつらうほど、主人公が彼に似て来るような気がして、興味深かった。」
黒井千次
男78歳
10 「主人公の語りにいささか濃淡の差があり過ぎて、このように「私」を軸にした作品であれば当然触れられるべきと思われるような主人公の体験の幾つかが、ほとんど書かれずに過ぎている点に不満が残る。」
村上龍
男58歳
0  
宮本輝
男63歳
15 「はたしてこれは小説なのか、癌と宣告された母親を看取る作者の看病記録なのか、と首をかしげてしまった。」「丁寧に書かれてあるだけになおさら、作者のはらわたの隠し方に潔の悪さを感じた。そうなると、私小説の凄さは作品から消え失せてしまう。」
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他の候補作
朝吹真理子
「きことわ」
西村賢太
「苦役列車」
田中慎弥
「第三紀層の魚」
穂田川洋山
「あぶらびれ」
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候補者・作品
田中慎弥男38歳×各選考委員 
「第三紀層の魚」
短篇 96
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
15 「あえて低く設定したハードルを綺麗に飛んだという印象を受けてしまった。」「様々な小説的仕掛けを持っている人なので、それをしっかり悪用もしくは善用する従来の作風で、大きなチヌを釣り上げるべきである。」
高樹のぶ子
女64歳
26 「もっとも心地よく素直に読めた」「ただ、子供の視点で描かれた小説は、原則二割引になる。(引用者中略)この作品に即して言えば、曾祖父の人生は少年の目からはこれで充分なのだが、大人の目で彼を見れば、もっと様々な屈折が浮かんでこなくては充分とはならない。」
川上弘美
女52歳
39 「この作品ではじめて、作者は語ろうとしていることと視座との幸福な一致を得たのではないかと、読みながら思いました。」「三回、わたしはこの小説を読みました。読むたびに、好きになりました。最初に読んだ時には素通りしてしまった魅力的な言葉、表現が、読むたびにあらわれるのです。この作品を、わたしは一番に力をこめて推しました。」
池澤夏樹
男65歳
0  
石原慎太郎
男78歳
0  
小川洋子
女48歳
20 「タイトルの果てしなさとは裏腹に、大人しくまとまっていた。」「これだけの素材がそろえば、田中さんならもっとすさまじい世界を描くことができただろう。しかし今回、そうはしなかった。そう書かなかった意味が、何かしらあったのだと思う。」
山田詠美
女51歳
19 「四代に渡ってつなぎ止められて来た「負け戦の勲章」が苦い魅力を付け加えている。最後に、チヌではなく大きなコチを釣って泣いてしまう少年の涙の出所がいじらしい。しかし、曾祖父の遺体に日の丸をかけるのはやり過ぎだろう。」
黒井千次
男78歳
14 「父や母といった身近な肉親ではなく、祖母と曾祖父という年齢の離れた人物との関りの中に、日の丸の旗や勲章が登場して時代の影が映し出されている。ただ、いささか話の流れが穏やかになり過ぎてまとまりが強くなった分だけ、中から弾けるような力は弱くなったのかもしれない。」
村上龍
男58歳
0  
宮本輝
男63歳
20 「小学四年生の男の子の視線には、おとなの作者の目が多く介入しすぎていて、チヌを釣ることも、乱暴そうな、あらっぽい釣り人も、第三紀層の魚という題も、どれもひとつの有機体として作用していない。読後、痒いところに手が届きそうで届かないもどかしさが残った。」
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他の候補作
朝吹真理子
「きことわ」
西村賢太
「苦役列車」
小谷野敦
「母子寮前」
穂田川洋山
「あぶらびれ」
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候補者・作品
穂田川洋山男36歳×各選考委員 
「あぶらびれ」
中篇 156
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
12 「川魚の交雑を巡る騒動記として、面白おかしく読めるのだが、いかんせん、同好会の酒の話題の外に広がってゆかない。」
高樹のぶ子
女64歳
0  
川上弘美
女52歳
11 「つげ義春の作品を連想しました。」「楽しみながら読みましたが、やはり(引用者注:つげ作品の)「ゲンセンカン」の方に迫力を感じてしまうところが、この小説の弱さではないでしょうか。」
池澤夏樹
男65歳
0  
石原慎太郎
男78歳
0  
小川洋子
女48歳
13 「出てくる人々は皆ピントがずれている。そのずれ方が独特だ。各々交わり合う中で、少しずつかみ合わせが妙になってゆくのではなく、最初から最後まで、皆が自分勝手にピント外れなのである。どんなに微細にランディングネットの製作過程を描写しても、ネットはネット以外のものになり得ないのと等しく、望月さんは望月さんのままだ。」
山田詠美
女51歳
19 「少しも興味が持てないアトラクションの説明書を延々と読まされているような気分でいたところ、後半に突如出現する元旅館の女将が妙に色っぽい調子で退屈に風穴を開け、ああっ、今頃、おもしろくなり始めるのか、と期待に胸を膨らませかけたら、ワンピースをたくし上げて終わっちゃった。都合の良い女を都合良く登場させるだけなんて吝嗇に過ぎるではないか。ちゃんとその後の詳細を述べなさい。」
黒井千次
男78歳
5 「後半に女性が登場して男女関係が出現するあたり、いわば小説らしくなったあたりから急に力を失った。」
村上龍
男58歳
0  
宮本輝
男63歳
10 「書き出しの数枚を読んでいて、これは前回よりも腕を上げたなと思った。だが、途中から読みつづけるのが苦痛になってしまった。旅館の元女将と主人公が突然関係を結ぶところで、この小説は完全に壊われたといってもいい。」
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他の候補作
朝吹真理子
「きことわ」
西村賢太
「苦役列車」
小谷野敦
「母子寮前」
田中慎弥
「第三紀層の魚」
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