芥川賞のすべて・のようなもの
第144回
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Last Update[H27]2015/2/11

朝吹真理子
Asabuki Mariko
生没年月日【注】 昭和59年/1984年☆月☆日~
受賞年齢 26歳
経歴 東京都生まれ。慶應義塾大学前期博士課程修了。
受賞歴・候補歴
処女作 「流跡」(『新潮』平成21年/2009年10月号)
備考
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芥川賞 第144受賞  一覧へ
「きことわ」(『新潮』平成22年/2010年9月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「今年106年目の文芸誌」「The Shincho Monthly」併記
巻号 第107巻 第9号  別表記1268号
印刷/発行年月日 発行 平成22年/2010年9月7日 発売 平成22年/2010年8月7日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 表紙・背・目次 160枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×23行
×2段
本文ページ 109~159
(計51頁)
測定枚数 150
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書誌
>>平成23年/2011年1月・新潮社刊『きことわ』
>>『文藝春秋』平成23年/2011年3月号
>>平成25年/2013年8月・新潮社/新潮文庫『きことわ』
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候補者 朝吹真理子 女26歳
選考委員 評価 行数 評言
島田雅彦
男49歳
31 「彼女の文章表現は五官の全てによく連動してもいる。この作品はその技術、才能の紛れもない証拠ではあるけれども、まだ彼女自身が真に書くべき素材、とらえどころのない夢を生け捕りにしたり、忘れられそうな歴史と格闘する困難には出会っていない、と「美女に優しく、野郎に厳しい」と思われがちな私はいいたい。」
高樹のぶ子
女64歳
39 「触覚、味覚、聴覚、嗅覚、そして視覚を、間断なく刺激する作品、この受感の鋭さは天性の資質だ。」「身体の実感を言語化するとき、ともすれば自分流儀な表現に陥りがちだが、具体的な物や事象に置き換える、つまり客観性を与えて提示できる力がある。」「さらに言えば、文章に韻律というかリズムがあり、これも計算されたというより、作者の体内から出てくるもののように感じた。」
川上弘美
女52歳
23 「読む快楽を十分に感じながら読みつつ、わたしはいくつかの表現に首をかしげました。(引用者中略)この小説のように、一つ一つの言葉の粒だちによって何かを表現しようとする場合には、「意匠としての言葉のゆらぎ」にあらざる「単なる表現の揺れ」は、ごくオーソドックスな小説よりも遥かに大きな疵となってしまうのではないかと思うのです。」
池澤夏樹
男65歳
104 「時間というテーマを中心に据えた作品である。抽象的なものを具体的に語るのが小説だとすれば、これは希有な成功例と言うことができる。」「いくつもの時や光景や感情がアニメのセルのような透明な素材に描かれ、それを何枚も重ねて透かし見るような、しかもその何枚もの間に適切な間隔がおかれて空気遠近法の効果があるような、見事な構成。」「更に、この凝った構成を支える力としてエピソードと場面の創造力がある。」
石原慎太郎
男78歳
14 「読みながらすぐにプルーストを想起したが、人間の意識に身体性がないとはいわないが、プルーストやジョイスが苦手な私にはいささか冗漫、退屈の感が否めなかった。ある時点での意識を表象するディテイルの描写にもむらがあるような気がする。」
小川洋子
女48歳
25 「『きことわ』の人物たちにはまるで質量がないかのようだ。」「古生代から現代まで、葉山の坂の上からマリアナ海溝まで、時は自由自在に移動するが、ふと気づくと、結局は小さな淀みの中をひととき漂っていただけなのかもしれない、という不思議な感触が残る。」
山田詠美
女51歳
17 「小説を書くということは、茫漠としたかたまりに、それしかない言葉を与え続けて埋め尽くすことなんだなー、と久々に思い出したような気がする。ここには作者の選び抜いた言葉だけが揚げられていて、読み手の無責任な口出しを許さない。」「後ろ髪を引かれる事柄について書かれた小説は数多くあれど、後ろ髪を引くものそのものを主にした小説は、私の知る限り、ほとんどない。」
黒井千次
男78歳
32 「何が書かれているかより、いかに書かれているかにより強い興味を引かれるような候補作は珍しい。」「緻密に計算されているかに見える場面の重ね合わせの根元にあるのは、論理的思考であるというより、むしろ精神の生理的運動の結果であるのかもしれない、と思わせるところがある。」
村上龍
男58歳
41 「(引用者注:「苦役列車」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」
宮本輝
男63歳
31 「ジグソーパズルの小さなピースに精密でイメージ喚起力の強い図版が描かれてあって、そのピースを嵌め込んで完成した全体図は奇妙に曖昧模糊とした妖しい抽象画だというのが(引用者中略)「きことわ」である。」「その難易度の高い絵画的手法を小説の世界でやっておけた二十六歳の才能はたいしたものだと思う。」
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年3月号
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