芥川賞のすべて・のようなもの
第119回
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Last Update[H26]2014/6/20

花村萬月
Hanamura Mangetsu
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生没年月日【注】 昭和30年/1955年2月5日~
受賞年齢 43歳5ヵ月
経歴 本名=吉川一郎。東京都文京区生まれ。東京サレジオ学園卒。その後、全国を放浪。平成1年/1989年に小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。
受賞歴・候補歴
備考
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みなづき
皆月』(平成9年/1997年2月・講談社刊)
書誌
>>初出『小説現代』平成7年/1995年2月号~平成8年/1996年11月号
>>平成12年/2000年2月・講談社/講談社文庫『皆月』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 19受賞 一覧へ
候補者 花村萬月 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男63歳
11 「エピソードを絡めながら収斂していくさまが、とてもここちよい。それぞれの人物への目配りも確かで、小説を読む楽しさを充分に味わうことができた。男女の性のきわどい描写があっても、それが上品に映るのは、作者が読者におもねていないからだろう。」
井上ひさし
男63歳
38 「小説の三分の二までは、語り手もかねている主人公の転落のありさまが、小気味のよいテンポで、それも上質のユーモアで語られる。」「これまで、こんなに清潔で清純な性交場面を読んだことがない。」「残りの三分の一は、これからお読みになる方のたのしみのために取っておく」「愚劣で惨めな世界に微かな光を見出す作者の向日性に目をみはった。」
尾崎秀樹
男69歳
15 「強く印象にのこった。」「題名の「皆月」は能登半島の皆月にちなむようだが、同時に月日を重ねて物事を生産してゆくべき夫婦の関係の欠落と再生を象徴しているようだ。愚かしい生き物である人間への愛着を感じさせる作品である。」
野坂昭如
男67歳
33 「凡百の評言は空しい。たしかに傑作なのだ。」「どこかに、とんでもない綻びがあるのではないかと、再読三読。」「筋立てに一点の破綻もなく、幕引きがまた鮮やか、読後感がまことに快よい。全篇を通じて、あっけらかんと悲しい音楽が流れている。」
半村良
男64歳
14 「この種の作品はひと世代前にもあったような気がするし、次の時代にもそのあとの時代にもあらわれるはずの、王道を往く作品だと思う。」「自分の思うままに書いて、これほど整った作品に仕上げるとは、たいした作家だと賛辞を呈する。」
選評出典:『群像』平成10年/1998年5月号
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うつ
鬱―うつ―』(平成9年/1997年7月・双葉社刊)
書誌
>>平成12年/2000年6月・双葉社/双葉文庫『鬱―うつ―』
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他文学賞 山本周五郎賞 11回候補 一覧へ
候補者 花村萬月 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男63歳
20 4点「この作家は、登場人物がこういう状況にあったならば、まずこのぐらいのことはあって当然という人物の内なる必然性においてセックスを書いているので、過激で露骨なものでも嫌らしくない。」「小説としての姿なんか無視しちゃって、きわめて饒舌に、とにかくこれだけは言いたいということを全部、それも抑制をなくしてお書きになっている。」「構造がまずいんじゃないでしょうか。」
井上ひさし
男63歳
23 4点「キリスト教をちらつかせながら話を進めていくのですが、どうしてキリスト教なのか私にはよくわからなかった。」「作法にとらわれずに、めちゃくちゃやってみようという意欲を買って、三点に一点を足しました。」「書いていくうちに設計がかわって、最後で結論を出しそこなっているところなぞは、私のような旧人から見ると微笑ましい。」
逢坂剛
男54歳
16 3.5点「「鬱」はエンターテインメントではないんですね。自分の文学的要請を満足させるもので、多くの読者に、一字一句まで楽しんで満足してほしい、というふうには書かれていない。(引用者中略)純文学的な手法、といってもいいかもしれません。」「ちょっと目指す方向が違ってきたのかな、という感じがします。」
長部日出雄
男63歳
30 3.5点「小説について語られる小説というメタフィクションで、なかなか意欲的なわけですけれども、どうも観念が先行しているんですね。」「他者というものがまるっきり出てこない。(引用者中略)つまり、ここには一人の人間しか出てこないんですね。」「この人の筆にはなかなかの腕力がありまして、この作風に他者が登場してきた時には、どうなるだろうかという期待をもたせるんです。」
山田太一
男63歳
32 3.5点「花村さんはエンターテインメントの賞で批評されることは不本意なんじゃないでしょうか。」「未整理の青臭さ、恥ずかしさ、ナイーブさ、不自由さに、若い頃の文学青年のリアリティを感じはしましたが、どうも素材を読まされているという印象です。」「この作品についてはどうも狙いが分かりませんし、共感もできませんでした。」
選評出典:『小説新潮』平成10年/1998年7月号
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芥川賞 第119受賞  一覧へ

よる
「ゲルマニウムの 夜」(『文學界』平成10年/1998年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第52巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成10年/1998年6月1日
発行者等 編集人 庄野音比古 発行人 阿部達児 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 30~79
(計50頁)
測定枚数 156
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書誌
>>『文藝春秋』平成10年/1998年9月号
>>平成10年/1998年9月・文藝春秋刊『ゲルマニウムの夜』
>>平成13年/2001年11月・文藝春秋/文春文庫『王国記1 ゲルマニウムの夜』所収
>>平成14年/2002年10月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第18巻』所収
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候補者 花村萬月 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
石原慎太郎
男65歳
7 「私は一番面白く読んだ。まさに冒涜の快感を謳った作品で、(引用者中略)主人公の徹底した、インモラルではなしに、ノンモラルは逆にある生産性をさえ感じさせる。文学こそが既存の価値の本質的破壊者であるという原理をこの作品は証そうとしている。」
田久保英夫
男70歳
11 「私は(引用者中略)強烈な衝迫力にひかれたが、しかし、これは危険な小説である。」「だが、カトリック修道院の付属農場にいる青年を通して、神と悪徳の狭間に籠めた問いには、わが国にはめずらしい追求の情熱を感じる。人物や場面の輪郭も、鮮明である。」
黒井千次
男66歳
10 「宗教という重いテーマに取り組む意欲とストーリーを運ぶ力量は充分に感じられるが、時に力み過ぎた文章が硬直を起し、対象を精確に捉えかねる点が気にかかった。また、全編のテーマである神の問題を引き受ける筈の告解をめぐる部分が、ほとんど会話のみで描かれていることにも不満を覚えた。」
池澤夏樹
男53歳
21 「推すことはできなかった。派手な場面を次々に駆動してゆく力はすごいが、それを背後で支えている論理的骨格は細い。主人公一人が動いて、その他の人物は人形のよう。」「テーマが結論に至らぬまま次々変わってゆくのもおちつかない。」「傑作『笑う山崎』を書いた実力者を正当に評価できる作品と舞台ではなかったように思う。」
河野多恵子
女72歳
12 「確かな手応えを感じた。」「閉塞的な世界であるにも拘らず陰湿性がなく、(引用者中略)広がりを見せる。宗教への問いかけ、擦り寄り方には、主人公の〈悪あがき〉自体にある真摯さに深い説得力があって、いたく引き込まれた。」
三浦哲郎
男67歳
10 「筆力という点でぬきんでていた。文章もしなやかで、どの場面の描写も力強くめりはりが利いていて印象的であった。」「行間から激しい主張と怨念のようなものが脈々と伝わってくる。ただ、部分的にはともかく、全体として見れば粗く強引にすぎて納得しかねる面があったことを指摘しておかねばならない。」
古井由吉
男60歳
15 「この作品を読みすすむうちに、いや、待てよ、童貞者たちは辱められ、みずから辱めさせたが、(引用者中略)その「犯されきり」はそのまま、神の存在の証しにならぬとは、かぎらないのではないか、と無信者に「危惧」させるところに、この作品の本性はあるのではないか。ほんものの冒涜者はしょせん無力であり、無力であるかぎり、心ならずも、「敬虔」たらざるを得ないのではないか、と。」
宮本輝
男51歳
8 「(引用者注:票の割れた「ゲルマニウムの夜」と「ブエノスアイレス午前零時」の)どちらかを選べと言われると、私は花村氏の作品のほうが広がりがあるような気がした。」「ある種の爆発力のようなものを、花村氏に感じたが、もう一作読んでみたいという気持もぬぐい切れなかった。」
日野啓三
男69歳
3 「自然発生的に雑な感じで、私としてはもう少し精緻な表現の焼きを加えてほしいと思うが、想念にある種の腕力はあるだろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年9月号)
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