芥川賞のすべて・のようなもの
第117回
  • =受賞者=
  • 目取真 俊
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Last Update[H29]2017/9/24

目取真俊
Medoruma Shun
生没年月日【注】 昭和35年/1960年10月6日~
受賞年齢 36歳9ヵ月
経歴 本名=島袋正。沖縄県今帰仁村生まれ。琉球大学法文学部文学科卒。警備員、塾講師、高校教諭などを経て作家専業。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第117受賞  一覧へ

すいてき
水滴」(『文學界』平成9年/1997年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第51巻 第4号  別表記4月号
印刷/発行年月日 発行 平成9年/1997年4月1日
発行者等 編集人 庄野音比古 発行人 中井 勝 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×23行
×2段
本文ページ 164~184
(計21頁)
測定枚数 60
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書誌
>>『文藝春秋』平成9年/1997年9月号
>>平成9年/1997年9月・文藝春秋刊『水滴』所収
>>平成10年/1998年4月・講談社刊『文学1998』所収
>>平成12年/2000年10月・文藝春秋/文春文庫『水滴』所収
>>平成14年/2002年10月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第18巻』所収
>>平成15年/2003年5月・勉誠出版刊『沖縄文学選―日本文学のエッジからの問い』所収
>>平成19年/2007年4月・双文社出版刊『文学で考える〈日本〉とは何か』所収
>>平成23年/2011年11月・集英社刊『コレクション戦争と文学13 死者たちの語り:冥』所収
>>平成25年/2013年7月・影書房刊『目取真俊短篇小説選集2 赤い椰子の葉』所収
>>平成27年/2015年6月・講談社/講談社文芸文庫『現代小説クロニクル 1995~1999』所収
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候補者 目取真俊 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男71歳
17 「徳正の右足がふくれて踵から絶え間なく水がしたたり、さうしてゐるうちにベッドのそばに兵隊たちが立ち、そして彼らと彼との因縁、といふあたりまではなかなかよかつた。」「しかし足から出る水が毛生え薬になつて、それで儲ける段になると、想像力の動き具合が急に衰へる。」「これは小説を発想する力に恵まれてゐる人が、しかしそれを構築し展開し持続する修練を経てゐないため、惜しい結果になつたものである。」
日野啓三
男68歳
31 「問題は一九四五年だけでなく戦後五十余年に及ぶこと、被害者としてだけ戦争と自分を装ってきたこと(沖縄だけであるまい)――戦後の自己欺瞞を作者は問い直している。」「その無意識の長い罪を意識化し悔い改め救われるメデタイ話ではない」「そんな主人公のすべてを、そのエゴイズム、弱さ愚かさを、作者は“大肯定”している。倫理的、宗教的にではなく、沖縄という不思議な場の力で。」「すぐれて沖縄的で現代的な小説である。」
黒井千次
男65歳
24 「誇張をまじえた線描のようなユーモラスな描写の中に、村人達の躍動する顔が見えた。」「その風土と暮しの色が、「水滴」の世界を強く支えている。」「後半、寓意性が突出していささか空転の気味があるなど欠点は見られるものの、この重い主題を土と肌の臭いのする熱い寓話として持ち上げた作者の足腰の強靭さには、注目すべきものがある。」
田久保英夫
男69歳
21 「一つを選べば目取真俊氏の「水滴」しかない、と思ったが、しかし、抵抗も抑えがたい。」「とぼけたユーモアも漂う語り口で、寓話的な仕立てだが、(引用者中略)戦中の罪責感と哀傷が、裏打ちされている。」「最後に水が効力を失い、従兄弟が群衆に制裁をうけるに至っては、寓話性がきわめて濃厚になり、つくりが目だつ。小説は寓話ではない。寓話染みてもかまわないが、それだけ小説の力は弱まる。」
河野多恵子
女71歳
31 「この賞の選考に携わってきた十一年間で、印象に残る受賞作は複数あるけれども、最も感心した」「敬服した。」「非リアリズムによって、沖縄戦という戦争を現代に及ぶ視野で捉えている。」「硬張ったメッセージは一つもない。しかし、ウジのその言葉(引用者注:「嘘物言いして戦場の哀れ事語てぃ銭儲けしよって、今に罰被るよ」)にしても、(引用者中略)戦争体験者の体験意識の途方もない、風化ならぬ通俗化に対する痛烈な批判とも聞えるのである。」
宮本輝
男50歳
18 「また沖縄か、と苦笑する委員がいらっしゃったが、それは刮目させる作品を生み出し得ない多くの新人たちに対する苦い思いのあらわれである。」「メタファリックな小説の作りが、世迷い言の寓話と一線を画したのは、作者の目が高いからだと思う。」「ところどころに瑕瑾はあり、文章も必ずしも独自な秀逸を放ってはいないが、優れた構成と精神性に私は感心した。」
池澤夏樹
男52歳
9 「民話(寓話ではない)の形を借りて五十年前の戦争の後遺症を巧みに描く。」「他の候補作がみなどこかで文学を(人生を?)なめているのに対して、この作品だけは誠実にテーマに向き合い、しかも充分な技術があるおかげで自己満足に陥っていない。受賞に値すると判断した所以である。」
古井由吉
男59歳
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石原慎太郎
男64歳
15 「これは沖縄ならでは成り立たぬ現代の寓話だろう。あるシーンでは不思議な幻想性さえ感じさせるが、寓話仕立ての部分がそれを相殺してしまって作品の出来を損なってもいる。」「それにしても不思議な印象の出来栄えである。やはり戦争体験なるものは沖縄にとってただ遺産にとどまらず、今日もなお財産として継承されているという、沖縄の地方としての個性を明かした作品ともいえる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年9月号)
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