芥川賞のすべて・のようなもの
第133回
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平成17年/2005年上半期
(平成17年/2005年7月14日決定発表/『文藝春秋』平成17年/2005年9月号選評掲載)
選考委員  黒井千次
男73歳
石原慎太郎
男72歳
山田詠美
女46歳
村上龍
男53歳
河野多恵子
女79歳
宮本輝
男58歳
池澤夏樹
男60歳
高樹のぶ子
女59歳
三浦哲郎
男74歳
選評総行数  46 78 44 57 43 45 48 45  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
中村文則 「土の中の子供」
132
男27歳
24 57 6 42 10 25 16 18    
伊藤たかみ 「無花果カレーライス」
82
男34歳
8 0 10 16 8 12 7 7    
楠見朋彦 「小鳥の母」
113
男32歳
4 0 9 0 7 0 11 4    
栗田有起 「マルコの夢」
152
女33歳
3 0 5 0 8 0 0 5    
中島たい子 「この人と結婚するかも」
109
女35歳
4 0 6 0 5 0 0 0    
樋口直哉 「さよなら アメリ力」
229
男24歳
5 12 6 0 5 0 0 11    
松井雪子 「恋蜘蛛」
109
女38歳
3 0 4 0 4 0 0 0    
                欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年9月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
黒井千次男73歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
骨格のある力作 総行数46 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
24 「受賞作として推すことが出来ると思ったのは、(引用者中略)「土の中の子供」だけであった。」「〈この先にある〉何か、を懸命に追い求める男の意識が執拗に辿られている。」「ここに見られるのは原因と結果との単なる対応ではなく、より意志的な、過去の確認と現在の模索の営為ではなかろうか。それが仄かな明るみを生み出して作品が結ばれるところに共感する。」
伊藤たかみ
男34歳
8 「独得の湿り気を帯びた作ふうを持つ」「母と息子の関係より、三十近い二人の独身男のどこか薄汚れた関係が面白かった。」
楠見朋彦
男32歳
4 「死者への鎮魂と生者同士の関係に話が割れているのではないか。」
栗田有起
女33歳
3 「前半と後半に同様の不満(引用者注:「さよなら アメリカ」と同じく尻つぼまりに終っていること)を覚える。」
中島たい子
女35歳
4 「達者ではあるけれど表層を滑り、」
樋口直哉
男24歳
5 「主人公と同じ思いを持つ〈袋族〉を求めて出発した話が尻つぼまりに終っている。」
松井雪子
女38歳
3 「形に捉われて形が崩れている不満を覚える。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
石原慎太郎
山田詠美
村上龍
河野多恵子
宮本輝
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
石原慎太郎男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
人間の暗部なる芯 総行数78 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
57 「以前の二つの候補作のように、(引用者中略)象徴的でありながら現実的な物体を媒体としての暴力への傾斜という仕組みの方が、むしろ自然な物語として読めたと思う。」「(引用者注:今回の作品のように)背景に主人公の幼い頃からの被虐待という経験がもたらしたトラウマが在る、ということになると話がいかにもわかり過ぎて作品が薄くなることは否めない。」「観念としてではなしに、何か直裁なメタファを設定することでこの作者には将来、人間の暗部を探る独自の作品の造形が可能だと期待している。」
伊藤たかみ
男34歳
0  
楠見朋彦
男32歳
0  
栗田有起
女33歳
0  
中島たい子
女35歳
0  
樋口直哉
男24歳
12 「一種カフカ的な世界を作り出そうとしているが、全体の印象はあっちへいったりこっちへ来たりしていかにも散漫だ。暗喩への思い付きは面白いが、着想に力量が及ばないという印象を否めない。」
松井雪子
女38歳
0  
  「今回の候補作の水準は総じて高いものだとはいえそうにない。第一それぞれの作品の題名からしてが安易で、語るに落ちるといったものが多かった。題名は作品の心髄を表象する重要な一部だと思うが。」
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他の選考委員
黒井千次
山田詠美
村上龍
河野多恵子
宮本輝
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
山田詠美女46歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
低調!! 総行数44 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
6 「不感症の原因が死産。いかにも若い男子が考えそうなことですな。」「でも、小説を構築しようとしている作品はこれだけ。」
伊藤たかみ
男34歳
10 「〈脳髄に向けて咲き乱れる、発狂の花〉……だって。うー、気恥しいぞ。可愛気はあるけれども。」
楠見朋彦
男32歳
9 「もしかしたら作者は、同じような体験をしたのか。それでなきゃここまでの感傷全開に平然としていられる筈はない。」
栗田有起
女33歳
5 「おもしろくなるまでに枚数があり過ぎる。お縫い子テルミーは、いったいどこに?」
中島たい子
女35歳
6 「〈脱兎のごとく走り去った〉……だって。あああああ。どうして、こんなにも女性誌の記事っぽいのだろう。この人の文章はジャンルが違う。」
樋口直哉
男24歳
6 「この作品の一番の欠点は、つまんないことだ。」
松井雪子
女38歳
4 「恋と蜘蛛(の巣)の組み合わせは当り前過ぎる。幽霊と墓場みたいなもんだろう。あるいは妊娠と嘔吐とか?」
  「今回、私はひとつも丸をつけませんでした。」
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他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
村上龍
河野多恵子
宮本輝
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
村上龍男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
42 「虐待を受けた人の現実をリアルに描くのは簡単ではない。」「他人には理解しがたいものであり、本人も理解できていない場合も多い。」「『土の中の子供』は、そういう文学的な「畏れ」と「困難さ」を無視して書かれている。深刻さを単になぞったもので、痛みも怖さもない。そういう作品の受賞は、虐待やトラウマやPTSDの現実をさらにワイドショー的に陳腐化するという負の側面もあり、わたしは反対した。」
伊藤たかみ
男34歳
16 「(引用者注:子供時代の心的外傷を背景とした候補作の中では)好感を持った。」「虐待を受けた者だけが持つ「文脈」が若干垣間見られたが、全体的に未熟で受賞作として推すことはできなかった。」
楠見朋彦
男32歳
0  
栗田有起
女33歳
0  
中島たい子
女35歳
0  
樋口直哉
男24歳
0  
松井雪子
女38歳
0  
  「今回は全体的に作品の質が低かった。また子供時代の心的外傷が背景となっている作品がいくつか目についた。」
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他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
山田詠美
河野多恵子
宮本輝
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
河野多恵子女79歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数43 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
10 「今回の候補作でも暴力を、今度はネガティブの象(ルビ:かたち)で書いているが、非常に難しいことではあるにしても、人間の内部に確実に触れるには到っていない。とはいえ、物や小生物などを落下させるくだり、さらに自分を落下させた場合も想像の表現は、尋常ならぬ見事なものだ。」
伊藤たかみ
男34歳
8 「割合よく書けていたが、選考のために読んでいる意識を忘れさせてもらえるほどの出来栄えには達していない。」
楠見朋彦
男32歳
7 「主人公の主観と客観の扱い分けが大雑把である。」
栗田有起
女33歳
8 「今度も特異な題材だが、若い主人公は男性である。期待して読んだが、途中から題材が独り歩きして作品が浮いてゆく。」
中島たい子
女35歳
5 「(引用者注:「恋蜘蛛」と共に)無難な作ながら、主題に深みが感じられない。」
樋口直哉
男24歳
5 「非リアリズムを目指した作品なのに、読者の眼がリアリズムに引き戻されるようなことを時々してしまう。」
松井雪子
女38歳
4 「(引用者注:「この人と結婚するかも」と共に)無難な作ながら、主題に深みが感じられない。」
  「今回の候補作には、ぜひとも受賞作にしたいものがなくて残念だった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
山田詠美
村上龍
宮本輝
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
宮本輝男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
穴の深さ 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
25 「前作、前々作と比して(引用者中略)語彙のひろがりを感じたが、幼児期に養父母によってひどい虐待を受けつづけた過去を持つ青年の内面に筆が届いているとは思えなかった。」「リスクを負っている素材であることを中村氏がどこまで自覚しているか、私にはどうもこころもとなくて、(引用者中略)推す委員の意見に賛同しづらかったが、二十七歳という若さと今後の可能性を買うことにした。」
伊藤たかみ
男34歳
12 「無花果ジャムをカレーに混ぜると味がまろやかになるという一種のキーワードが、小説に何の意味ももたらしていない。」
楠見朋彦
男32歳
0  
栗田有起
女33歳
0  
中島たい子
女35歳
0  
樋口直哉
男24歳
0  
松井雪子
女38歳
0  
  「今回は候補作七篇、どれも決め手がなく、選考は難航した。」「七作のうち五作は、いわば論外として早々に賞の対象から外れ、残った二作(引用者注:「土の中の子供」と「無花果カレーライス」)から受賞作を出すかどうかに論議が絞られた形となった。」
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他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
山田詠美
村上龍
河野多恵子
池澤夏樹
高樹のぶ子
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選考委員
池澤夏樹男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
他者について 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
16 「前二作に比して小説としての体裁がずっとよくなったとは思った。ただ、この作も骨格は要するに自問自答なのだ。対話があるとすれば相手は過去の自分であり、その周辺にエピソードが並べられるという構図で、ここには真の他者がいない。」
伊藤たかみ
男34歳
7 「たしかに母という他者を書いている。不器用な点が少なくないので今回は授賞には至らなかったけれど、(引用者注:「土の中の子供」よりも)こちらの方が小説の王道だろうか。」
楠見朋彦
男32歳
11 「家が崩壊して母を失うという中心になる事件が大きすぎる。作品全体がこれを支えることに終始している。」「ぼくは前に候補作になった「零歳の詩人」や「マルコ・ポーロと私」のような奔放な話の方が好きだった。」
栗田有起
女33歳
0  
中島たい子
女35歳
0  
樋口直哉
男24歳
0  
松井雪子
女38歳
0  
  「最近、芥川賞の選考会の議論がおもしろいと思うようになった。」「そこで他の委員たちの意見を聞くのが楽しい。今回ならば中村文則さんの「土の中の子供」についての盟友村上龍の意見は瞠目に値した」
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他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
山田詠美
村上龍
河野多恵子
宮本輝
高樹のぶ子
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選考委員
高樹のぶ子女59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
ならばこの先にも 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則
男27歳
18 「運命的で理不尽な暴力の被害者が、暴力で応報せず、自らの恐怖の感覚を克服することで生きのびようとする観念小説だ。」「地表があちこちで動いているとき、深い岩盤にまで人間探求の杭を打ち込もうとする試みは、その重さと不自由さゆえ反時代的に見える。しかしそのような小説はちょっと前にも、その昔にも、さらにその昔にもあった。ならばこの先にもあり得るはずだ。」
伊藤たかみ
男34歳
7 「いくつかの印象的な場面に短篇の才能を感じる。とりわけ最後の無言電話を放置した中で母親と和解する終り方は秀逸だ。」
楠見朋彦
男32歳
4 「一定のリズムで刻み込んでいくモノローグの口調に、力強さと安定感がある。」
栗田有起
女33歳
5 「キノコのいきいきとして獰猛な生命感が印象的だが、人間について何が書かれているのかと問うと少々心もとない。」
中島たい子
女35歳
0  
樋口直哉
男24歳
11 「理屈ではなく情景で伝えようとする姿勢に、期待が持てる。ただ今回、その情景のいくつかに(引用者中略)、どこかで読んだ既視感がつきまとった。」
松井雪子
女38歳
0  
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他の選考委員
黒井千次
石原慎太郎
山田詠美
村上龍
河野多恵子
宮本輝
池澤夏樹
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受賞者・作品
中村文則男27歳×各選考委員 
「土の中の子供」
短篇 132
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
24 「受賞作として推すことが出来ると思ったのは、(引用者中略)「土の中の子供」だけであった。」「〈この先にある〉何か、を懸命に追い求める男の意識が執拗に辿られている。」「ここに見られるのは原因と結果との単なる対応ではなく、より意志的な、過去の確認と現在の模索の営為ではなかろうか。それが仄かな明るみを生み出して作品が結ばれるところに共感する。」
石原慎太郎
男72歳
57 「以前の二つの候補作のように、(引用者中略)象徴的でありながら現実的な物体を媒体としての暴力への傾斜という仕組みの方が、むしろ自然な物語として読めたと思う。」「(引用者注:今回の作品のように)背景に主人公の幼い頃からの被虐待という経験がもたらしたトラウマが在る、ということになると話がいかにもわかり過ぎて作品が薄くなることは否めない。」「観念としてではなしに、何か直裁なメタファを設定することでこの作者には将来、人間の暗部を探る独自の作品の造形が可能だと期待している。」
山田詠美
女46歳
6 「不感症の原因が死産。いかにも若い男子が考えそうなことですな。」「でも、小説を構築しようとしている作品はこれだけ。」
村上龍
男53歳
42 「虐待を受けた人の現実をリアルに描くのは簡単ではない。」「他人には理解しがたいものであり、本人も理解できていない場合も多い。」「『土の中の子供』は、そういう文学的な「畏れ」と「困難さ」を無視して書かれている。深刻さを単になぞったもので、痛みも怖さもない。そういう作品の受賞は、虐待やトラウマやPTSDの現実をさらにワイドショー的に陳腐化するという負の側面もあり、わたしは反対した。」
河野多恵子
女79歳
10 「今回の候補作でも暴力を、今度はネガティブの象(ルビ:かたち)で書いているが、非常に難しいことではあるにしても、人間の内部に確実に触れるには到っていない。とはいえ、物や小生物などを落下させるくだり、さらに自分を落下させた場合も想像の表現は、尋常ならぬ見事なものだ。」
宮本輝
男58歳
25 「前作、前々作と比して(引用者中略)語彙のひろがりを感じたが、幼児期に養父母によってひどい虐待を受けつづけた過去を持つ青年の内面に筆が届いているとは思えなかった。」「リスクを負っている素材であることを中村氏がどこまで自覚しているか、私にはどうもこころもとなくて、(引用者中略)推す委員の意見に賛同しづらかったが、二十七歳という若さと今後の可能性を買うことにした。」
池澤夏樹
男60歳
16 「前二作に比して小説としての体裁がずっとよくなったとは思った。ただ、この作も骨格は要するに自問自答なのだ。対話があるとすれば相手は過去の自分であり、その周辺にエピソードが並べられるという構図で、ここには真の他者がいない。」
高樹のぶ子
女59歳
18 「運命的で理不尽な暴力の被害者が、暴力で応報せず、自らの恐怖の感覚を克服することで生きのびようとする観念小説だ。」「地表があちこちで動いているとき、深い岩盤にまで人間探求の杭を打ち込もうとする試みは、その重さと不自由さゆえ反時代的に見える。しかしそのような小説はちょっと前にも、その昔にも、さらにその昔にもあった。ならばこの先にもあり得るはずだ。」
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他の候補作
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
楠見朋彦
「小鳥の母」
栗田有起
「マルコの夢」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
伊藤たかみ男34歳×各選考委員 
「無花果カレーライス」
短篇 82
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
8 「独得の湿り気を帯びた作ふうを持つ」「母と息子の関係より、三十近い二人の独身男のどこか薄汚れた関係が面白かった。」
石原慎太郎
男72歳
0  
山田詠美
女46歳
10 「〈脳髄に向けて咲き乱れる、発狂の花〉……だって。うー、気恥しいぞ。可愛気はあるけれども。」
村上龍
男53歳
16 「(引用者注:子供時代の心的外傷を背景とした候補作の中では)好感を持った。」「虐待を受けた者だけが持つ「文脈」が若干垣間見られたが、全体的に未熟で受賞作として推すことはできなかった。」
河野多恵子
女79歳
8 「割合よく書けていたが、選考のために読んでいる意識を忘れさせてもらえるほどの出来栄えには達していない。」
宮本輝
男58歳
12 「無花果ジャムをカレーに混ぜると味がまろやかになるという一種のキーワードが、小説に何の意味ももたらしていない。」
池澤夏樹
男60歳
7 「たしかに母という他者を書いている。不器用な点が少なくないので今回は授賞には至らなかったけれど、(引用者注:「土の中の子供」よりも)こちらの方が小説の王道だろうか。」
高樹のぶ子
女59歳
7 「いくつかの印象的な場面に短篇の才能を感じる。とりわけ最後の無言電話を放置した中で母親と和解する終り方は秀逸だ。」
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
楠見朋彦
「小鳥の母」
栗田有起
「マルコの夢」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
楠見朋彦男32歳×各選考委員 
「小鳥の母」
短篇 113
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
4 「死者への鎮魂と生者同士の関係に話が割れているのではないか。」
石原慎太郎
男72歳
0  
山田詠美
女46歳
9 「もしかしたら作者は、同じような体験をしたのか。それでなきゃここまでの感傷全開に平然としていられる筈はない。」
村上龍
男53歳
0  
河野多恵子
女79歳
7 「主人公の主観と客観の扱い分けが大雑把である。」
宮本輝
男58歳
0  
池澤夏樹
男60歳
11 「家が崩壊して母を失うという中心になる事件が大きすぎる。作品全体がこれを支えることに終始している。」「ぼくは前に候補作になった「零歳の詩人」や「マルコ・ポーロと私」のような奔放な話の方が好きだった。」
高樹のぶ子
女59歳
4 「一定のリズムで刻み込んでいくモノローグの口調に、力強さと安定感がある。」
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
栗田有起
「マルコの夢」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
栗田有起女33歳×各選考委員 
「マルコの夢」
中篇 152
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
3 「前半と後半に同様の不満(引用者注:「さよなら アメリカ」と同じく尻つぼまりに終っていること)を覚える。」
石原慎太郎
男72歳
0  
山田詠美
女46歳
5 「おもしろくなるまでに枚数があり過ぎる。お縫い子テルミーは、いったいどこに?」
村上龍
男53歳
0  
河野多恵子
女79歳
8 「今度も特異な題材だが、若い主人公は男性である。期待して読んだが、途中から題材が独り歩きして作品が浮いてゆく。」
宮本輝
男58歳
0  
池澤夏樹
男60歳
0  
高樹のぶ子
女59歳
5 「キノコのいきいきとして獰猛な生命感が印象的だが、人間について何が書かれているのかと問うと少々心もとない。」
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
楠見朋彦
「小鳥の母」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
中島たい子女35歳×各選考委員 
「この人と結婚するかも」
短篇 109
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
4 「達者ではあるけれど表層を滑り、」
石原慎太郎
男72歳
0  
山田詠美
女46歳
6 「〈脱兎のごとく走り去った〉……だって。あああああ。どうして、こんなにも女性誌の記事っぽいのだろう。この人の文章はジャンルが違う。」
村上龍
男53歳
0  
河野多恵子
女79歳
5 「(引用者注:「恋蜘蛛」と共に)無難な作ながら、主題に深みが感じられない。」
宮本輝
男58歳
0  
池澤夏樹
男60歳
0  
高樹のぶ子
女59歳
0  
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
楠見朋彦
「小鳥の母」
栗田有起
「マルコの夢」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
樋口直哉男24歳×各選考委員 
「さよなら アメリ力」
中篇 229
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
5 「主人公と同じ思いを持つ〈袋族〉を求めて出発した話が尻つぼまりに終っている。」
石原慎太郎
男72歳
12 「一種カフカ的な世界を作り出そうとしているが、全体の印象はあっちへいったりこっちへ来たりしていかにも散漫だ。暗喩への思い付きは面白いが、着想に力量が及ばないという印象を否めない。」
山田詠美
女46歳
6 「この作品の一番の欠点は、つまんないことだ。」
村上龍
男53歳
0  
河野多恵子
女79歳
5 「非リアリズムを目指した作品なのに、読者の眼がリアリズムに引き戻されるようなことを時々してしまう。」
宮本輝
男58歳
0  
池澤夏樹
男60歳
0  
高樹のぶ子
女59歳
11 「理屈ではなく情景で伝えようとする姿勢に、期待が持てる。ただ今回、その情景のいくつかに(引用者中略)、どこかで読んだ既視感がつきまとった。」
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
楠見朋彦
「小鳥の母」
栗田有起
「マルコの夢」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
松井雪子
「恋蜘蛛」
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候補者・作品
松井雪子女38歳×各選考委員 
「恋蜘蛛」
短篇 109
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
3 「形に捉われて形が崩れている不満を覚える。」
石原慎太郎
男72歳
0  
山田詠美
女46歳
4 「恋と蜘蛛(の巣)の組み合わせは当り前過ぎる。幽霊と墓場みたいなもんだろう。あるいは妊娠と嘔吐とか?」
村上龍
男53歳
0  
河野多恵子
女79歳
4 「(引用者注:「この人と結婚するかも」と共に)無難な作ながら、主題に深みが感じられない。」
宮本輝
男58歳
0  
池澤夏樹
男60歳
0  
高樹のぶ子
女59歳
0  
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他の候補作
中村文則
「土の中の子供」
伊藤たかみ
「無花果カレーライス」
楠見朋彦
「小鳥の母」
栗田有起
「マルコの夢」
中島たい子
「この人と結婚するかも」
樋口直哉
「さよなら アメリ力」
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