芥川賞のすべて・のようなもの
第123回
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Last Update[H27]2015/5/10

松浦寿輝
Matsuura Hisaki
生没年月日【注】 昭和29年/1954年3月18日~
受賞年齢 46歳3ヵ月
経歴 東京都文京区生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス分科卒、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。大学教授のかたわら、詩人・評論家としても活動。
受賞歴・候補歴
  • 第18回高見順賞(昭和63年/1988年)『冬の本』《詩集》
  • 第5回吉田秀和賞(平成7年/1995年)『エッフェル塔試論』《評論》
  • 第9回三島由紀夫賞(平成7年/1995年度)『折口信夫論』
  • 第13回渋沢・クローデル賞平山郁夫特別賞(平成8年/1996年)『平面論――1880年代西欧』《評論》
  • |候補| 第121回芥川賞(平成11年/1999年上期)「幽(かすか)
  • |候補| 第19回野間文芸新人賞(平成9年/1997年)『もののたはむれ』
  • |候補| 第53回毎日出版文化賞[第2部門(人文・社会)](平成11年/1999年)『知の庭園』
  • 第50回芸術選奨文部大臣賞[評論その他部門](平成11年/1999年度)『知の庭園』
  • |候補| 第26回川端康成文学賞(平成12年/2000年)「ふるえる水滴の奏でるカデンツァ」
  • 第123回芥川賞(平成12年/2000年上期)「花腐し」
  • |候補| 第27回川端康成文学賞(平成13年/2001年)「逢引」
  • 第9回木山捷平文学賞(平成17年/2005年)『あやめ 鰈 ひかがみ』
  • 第56回読売文学賞[小説賞](平成16年/2004年)『半島』
  • 第17回萩原朔太郎賞(平成21年/2009年)『吃水都市』《詩集》
  • 第5回鮎川信夫賞[詩集部門](平成25年/2013年度)『afterward』《詩集》
  • |候補| 第5回鮎川信夫賞[詩論集部門](平成25年/2013年度)『詩の波 詩の岸辺』《詩論集》
  • 第56回毎日芸術賞[特別賞](平成26年/2014年度)『明治の表象空間』
  • |候補| 第41回川端康成文学賞(平成27年/2015年)「手摺りを伝って」
備考
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芥川賞 第121回候補  一覧へ

かすか
(かすか)」(『群像』平成11年/1999年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」  別表記表紙 「GUNZO」併記
巻号 第54巻 第3号  別表記3月号
作品名 別表記  「幽」
印刷/発行年月日 印刷 平成11年/1999年2月5日 発行 平成11年/1999年3月1日
発行者等 編集人 籠島雅雄 発行人 宮田昭宏 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 388 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 6~52
(計47頁)
測定枚数 129
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書誌
>>『文藝春秋』平成11年/1999年9月号「幽 かすか」
>>平成11年/1999年7月・講談社刊『幽』所収
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候補者 松浦寿輝 男45歳
選考委員 評価 行数 評言
日野啓三
男70歳
18 「△印をつけた。」「万一、強く推す委員が半数を越えればそれもいいだろう、と思っていた。」「日常現実と非現実の境界線上というふしぎなエネルギー場を描こうとした野心的な作品で、(引用者中略)私は小説表現上の経験主義者ではないが、境界線上の意識への、向こう側からの風圧は、もっと黒々と不気味だ。境界線上で作品が静止している、という印象を持った。」
三浦哲郎
男68歳
17 「感心した。なによりも文章がいい。」「ちかごろの新しい人で、この作者のように自分の文体をしっかりと身につけているのは稀有なことではないかと思う。文章ばかりではなく、作品の結構も緻密でほとんど破綻が見当らない。」「私は、選考会でこの作品を推したが、残念ながらわずかに及ばなかった。」
石原慎太郎
男66歳
5 「ある味わいを感じさせるが文章の区切り方がまちまちだし同じ言葉の重用が多く作品全体の印象を阻害している。」
黒井千次
男67歳
10 「優れた場面は(引用者注:現実にも心象にも)いずれにも傾かぬ均衡の上で静かに揺れる面白さがあるのに対し、冗長な部分には作者の手つきの透けて見える恨みが残る。好感を抱きつつも、更なる凝縮が欲しいと思った。」
池澤夏樹
男54歳
12 「欠点は多々ある。文体がゆるい。」「プロットのとどこおりもあるし、もっと短い話に向いたアイディアを無理に伸ばした感は拭えない。」「しかし、隠遁者の暮らしという日本文学古来のテーマは見事に再利用されているし、事件らしい事件もないままに読ませる吉田健一風の展開も悪くない。」「ここで賞を出してもいいのではないかと思ったが、多数意見にはならなかった。」
田久保英夫
男71歳
20 「四十半ばの病後の男を設定しながら、作者の生命の水位は高いと感じた。」「ここでは眼の前に現象する世界と、他界との微妙なあわいが、粘りづよい筆致で捉えられている。」「これはネガティブな作品のようだが、実はこの生の世界の短さ小ささに反して、背後の見えない世界の遥かな大きさを感じさせるという意味で、先鋭な作品だ。私はこの一作を推した。」
宮本輝
男52歳
16 「論議の対象として最後まで残った」「一見うまい。」「けれども、どこかに失礼な言い方をすれば、いんちき臭さを感じる。」「この作者は、たしかに頭のいい人なのだろう。」「高見から書いたという臭さは、いかんともしがたく「幽(かすか)」の底に漂っている。」「私はこの小説のあちこちに、なにかしら傲慢なものを感じて、一票を投じることができなかった。」
古井由吉
男61歳
32 「幽明の境を伝える言葉をわれわれ現代人は持たない、とまず断念すべきなのだろう。」「現実であり、きわめて脱れがたく実際であるものが、人の魂とは言わず生命の消長の――何が長であり、何が消であるか、わからないのだが――その加減により、幻想のはたらきもいらず、さながら幽になり得る。それがわれわれにとって、かろうじて人に伝えられる幽明の境なのではないか。死者の手引きによってその住まいに移った、と早くから読者に思わせるのは、得策ではなかろう。」
河野多恵子
女73歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年9月号)
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芥川賞 第123受賞  一覧へ

はなくた
花腐し」(『群像』平成12年/2000年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」  別表記表紙 「GUNZO」併記
巻号 第55巻 第5号  別表記5月号
作品名 別表記 目次・本文 ルビ有り「くた」
印刷/発行年月日 印刷 平成12年/2000年4月5日 発行 平成12年/2000年5月1日
発行者等 編集人 籠島雅雄 発行人 宮田昭宏 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 388 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 6~50
(計45頁)
測定枚数 123
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書誌
>>平成12年/2000年8月・講談社刊『花腐し』所収
>>『文藝春秋』平成12年/2000年9月号
>>平成14年/2002年12月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第19巻』所収
>>平成17年/2005年6月・講談社/講談社文庫『花腐し』所収
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候補者 松浦寿輝 男46歳
選考委員 評価 行数 評言
石原慎太郎
男67歳
0  
池澤夏樹
男55歳
8 「前候補作「幽(かすか)」に比べて一段劣ると思われた。」「伊関という相手を設定したのに、この相手との会話がまことに陳腐。打つ手がどれも後手に回ってしまうというか、どうも駆動力が不足して話が息切れしている。」
古井由吉
男62歳
19 「「幽(ルビ:かすか)」で甘い腐臭に覆われているが、(引用者中略)すでに猛烈な腐臭の切迫に内外から脅かされている。内も外もない。時代の腐臭である。旺盛のようでも、すでに死んでいるものとも見られるのだ。」
田久保英夫
男72歳
14 「私は(引用者中略)一番あたまに置いていたが、これさえ欠点がないわけではない。」「物語の組み立てにやや無理があり、そのために後半、観念が露わになってしまった。しかし、いつもながらこの作家の都会空間への精妙な感覚と描法は、並のものではない。」「私はこの二作(引用者注:「花腐し」と「きれぎれ」)が同時受賞か否か、ぎりぎりの選択の時、受賞賛成に投じた。」
河野多恵子
女74歳
10 「前回の候補作同様に、古風で、精気のない作品だった。主人公と伊関との長ったらしい話にしても、現代の問題を論じているかに見えて、私には昔のの立った文学青年の面影が感じられた。文章は前回よりは少しは改良されたものの、それも本質的には変っていない。」
村上龍
男48歳
5 「候補作の中でもっともよくまとまっていると思ったが、わたしは受賞作の水準を故中上健次の『岬』に定めていたので、推薦はしなかった。」
三浦哲郎
男69歳
9 「前作の「幽(かすか)」に比べると欲張りすぎで、都合よく作りすぎた個所が目立ち、かならずしも作者の最良の作品とは思えないのだが、最終的には、文体の魅力と、どんなに詰め込んでも綻びの不安を感じさせない才能の大きさと安定感に、一票を投じた。」
黒井千次
男68歳
11 「時代と精神の関りは捉えられているが、別れた後に死んでしまった女に対する感情と、絶望の上にあぐらをかいたかのような奇妙な男とのやりとりとの間に、うまく繋り切れぬものが残っている。」
宮本輝
男53歳
10 「前回の「幽(かすか)」から感じた鼻持ちならない部分は消えて、案外この人は無器用な小説家かもしれないと考えを改めさせられたが、それでも受賞作として推すことはできなかった。」「得体の知れない男の部屋で知り合った女と主人公が関係を結ぶところで見事なほどに破綻してしまっている。」
日野啓三
男71歳
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選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年9月号)
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