芥川賞のすべて・のようなもの
第105回
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Last Update[H26]2014/6/20

荻野アンナ
Ogino Anna
生没年月日【注】 昭和31年/1956年11月7日~
受賞年齢 34歳8ヵ月
経歴 本名=荻野安奈、旧名=アンナ・ガイヤール。神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒、同大学大学院博士課程修了。在学中よりパリに留学し、パリ第四大学にて文学博士号取得。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第101回芥川賞(平成1年/1989年上期)「うちのお母んがお茶を飲む」
  • |候補| 第102回芥川賞(平成1年/1989年下期)「ドアを閉めるな」
  • |候補| 第3回三島由紀夫賞(平成1年/1989年度)「ドアを閉めるな」
  • |候補| 第103回芥川賞(平成2年/1990年上期)「スペインの城」
  • 第105回芥川賞(平成3年/1991年上期)「背負い水」
  • |候補| 第13回野間文芸新人賞(平成3年/1991年)『ブリューゲル、飛んだ』
  • |候補| 第22回平林たい子文学賞[小説部門](平成6年/1994年)『桃物語』
  • |候補| 第33回女流文学賞(平成6年/1994年)『桃物語』
  • 第53回読売文学賞[小説賞](平成13年/2001年)『ホラ吹きアンリの冒険』
  • 第19回伊藤整文学賞[小説部門](平成20年/2008年)『蟹と彼と私』
備考
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芥川賞 第101回候補  一覧へ

ちゃ
「うちのお 母んがお 茶を 飲む」(『文學界』平成1年/1989年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋」併記
巻号 第43巻 第6号  別表記6月号
作品名 別表記 目次・本文 ルビ有り「か」
印刷/発行年月日 発行 平成1年/1989年6月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 阿部達児 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 108~130
(計23頁)
測定枚数 69
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書誌
>>平成2年/1990年11月・文藝春秋刊『遊機体』所収
>>平成10年/1998年2月・角川書店刊『女性作家シリーズ22 中沢けい・多和田葉子・荻野アンナ・小川洋子』所収
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候補者 荻野アンナ 女32歳
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男65歳
6 「はっきりした才気が感じられ、いろいろのジャンルの仕事のできそうな人である。しかし、この小説では、その才気の使い方をあやまったとおもった。」
日野啓三
男60歳
3 「文章力は強い。才気がある。断片的構成もわかる。だが何かが足らないという感じを否定できなかった。それとも余分か。」
河野多恵子
女63歳
21 「私はためらいなく押した。」「軽妙な運びで、読む者に人間の愉快な不可解さを分ってゆく。」「視覚で聞く方言に仕立て切った、周到さと繊細な文章感覚にも感心した。なかなかの才気の持主なのに、才気のある作家の順調な成長がとかくそのために妨げられる、人間と文学を侮る態度がないのもよい。ただ、才気が末端で時に空廻りする。」
黒井千次
男57歳
4 「語り口と特異な作風に注目した。しかし、小説における時間と構成が、作者の内部でどう把握されているかについて、いささかの不安を覚えた。」
古井由吉
男51歳
0  
田久保英夫
男61歳
0  
開高健
男58歳
0  
大庭みな子
女58歳
2 「達者で、詩才もある。どんどん書ける人であろう。」
三浦哲郎
男58歳
13 「今回の候補作のうちでは最良の作と見た。」「これといった筋もない、けれどもその代わり才気に満ちた小気味のいい文章がすこぶる印象的な作品で、私は散文詩のように楽しんで読んだ。」「ただ、この作品の底には授賞作として強く推すのをためらわせるなにかが潜んでいる。」「豊かな才気が表面に出すぎて厭味になっていることもその一つだろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成1年/1989年9月号)
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芥川賞 第102回候補  一覧へ

「ドアを 閉めるな」(『文學界』平成1年/1989年12月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第43巻 第12号  別表記12月号
印刷/発行年月日 発行 平成1年/1989年12月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 阿部達児 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 408 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 192~238
(計47頁)
測定枚数 139
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書誌
>>平成2年/1990年11月・文藝春秋刊『遊機体』所収
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候補者 荻野アンナ 女33歳
選考委員 評価 行数 評言
古井由吉
男52歳
15 「(引用者注:「ネコババのいる町で」の他の)もう一席を(引用者中略・注「表層生活」と)争うかたちになった。」「私にとって読んでいてひどくわびしい小説だった。」「実際に選者の多くが作品の才を認めた。私の読み取ったかぎりでは、この才の正体は、表現が小児退行の難所にかかるたびに、自身を外へ振りぎみに、それ自体少々稚く、何といってもやはり甲高く舵を切る、そのハンドルさばきにあるように思われる。」
大庭みな子
女59歳
1 「(引用者注:小川洋子と共に)才のある人たちだ。」
日野啓三
男60歳
0  
三浦哲郎
男58歳
6 「懸河の才筆だが、作者の関心の多彩さが却って作品全体の印象をいささか散漫なものにしているのが惜しまれる。」
河野多恵子
女63歳
8 「私は(引用者中略)推した。」「前回の時から一段と成長している。」「留学時代が、未来を含む主人公の人生の紛れもない一時期として伝わってくる。過去が現在にあり、確かに未来へ転じてゆきそうな手応えと光りが全編に満ちており、標題の〈ドアを開(原文ママ)めるな〉も絶妙!」
田久保英夫
男61歳
13 「私は(引用者中略)結局大岡氏と荻野さんの作品に絞った。」「かなりの才筆だが、何よりこの作品の魅力は、フランス人の男と旅行する情景のような女性らしい濃い感覚と、果敢な言葉の駆動力だろう。」
吉行淳之介
男65歳
4 「文章の彫りが深く、そして才筆である。才気十分で、ときには、それがこちらに窮屈な気分を起させる。」
黒井千次
男57歳
17 「注目した。」「速度のある知的文体は力強く(時にはやや空転もするが)、去り行く若き日々ともう若くはない現在の日常とに立つ主人公のコントラストが鮮やかである。終始この作品を推したが、残った三編を二編に絞りこむ段階で多数の支持を得られず、残念だった。」「三作(引用者注:「ドアを閉めるな」「ネコババのいる町で」「表層生活」)は僅差で並び、どれが受賞してもおかしくはなかったと思う。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年3月号)
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芥川賞 第103回候補  一覧へ

しろ
「スペインの 城」(『文學界』平成2年/1990年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第44巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成2年/1990年6月1日
発行者等 編集人 湯川 豊 発行人 阿部達児 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 70~110
(計41頁)
測定枚数 122
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書誌
>>平成2年/1990年11月・文藝春秋刊『遊機体』所収
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候補者 荻野アンナ 女33歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男55歳
3 「知的にも感情的にも骨格が確かだが、むしろ意識したおおざっぱさの細部が索然とさせる。」
三浦哲郎
男59歳
0  
日野啓三
男61歳
0  
丸谷才一
男64歳
0  
古井由吉
男52歳
0  
河野多恵子
女64歳
5 「私は最も強く推した。」「作者の才能と実力をあらためて感じたが、票は少かった。」
田久保英夫
男62歳
0  
大庭みな子
女59歳
0  
黒井千次
男58歳
4 「男と女が同類の存在に感じられて力が弱く、作品そのものが「スペインの城」のように危うげである。」
吉行淳之介
男66歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年9月号)
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芥川賞 第105受賞  一覧へ

せお みず
背負い 水」(『文學界』平成3年/1991年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第45巻 第7号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成3年/1991年6月1日
発行者等 編集人 重松 卓 発行人 阿部達児 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 54~96
(計43頁)
測定枚数 126
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書誌
>>平成3年/1991年8月・文藝春秋刊『背負い水』所収
>>『文藝春秋』平成3年/1991年9月号
>>平成6年/1994年8月・文藝春秋/文春文庫『背負い水』所収
>>平成14年/2002年4月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第15巻』所収
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候補者 荻野アンナ 女34歳
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男67歳
8 「主人公の華やかさがしだいに侘しさに移行し、この主人公への作者の投影がその侘しさを増幅させ、とくに末尾が辛い。こういう角度から読んでみると、かえって味わいが出てきた。」「この作品での才気煥発には余分なところが多く、とくに地の文でのウィットは不発で、すこし抑えたほうがいいだろう。」
大庭みな子
女60歳
7 「この作品では、あふれてこぼれ落ちるものに、あるわびしさの漂う文学のなつかしさがある。」
三浦哲郎
男60歳
5 「私は、この人はアウトサイダーとして自分の才能を最大限に発揮できる人だと思っているから、ちとお気の毒という気がしないでもない。芥川賞に囚われぬことを祈ります。」
丸谷才一
男65歳
8 「わたしには解しかねる作品であつた。登場人物間の関係が、表面的なことはよくわかるけれど、ちよつと深い層になると見当もつかない。どうやら、ユーモアのつもりのものが魂を描くことの邪魔をし、新しさを狙つたものが真実に迫ることを妨げてゐるらしい。」
河野多恵子
女65歳
18 「第一回の候補の時から多くの選者が才能は認めておりながら、毎回見送りとなった。何よりも才気の空まわりが目立ったからだが、受賞作ではそういう弱点が多分に消え、作家としての成長を示している。欠点はあるけれども……。」「この作品の男女の描き方は全く新しい。」「作者は男女を描くのに、常にまず人間として見ることを経て男あるいは女を描いている。」
日野啓三
男62歳
5 「これまでの候補作のなかで最もまとまっているように思えた。」
黒井千次
男59歳
12 「いわば精神の居場所を探し出せぬ女性イラストレーターの恋愛乃至は男関係を、スピードのある饒舌体で捉えようとした作品である。」「彷徨する意識の劇画調風俗画とでもいえそうな小説であり、時に空転する嫌いがあるにしても、この才気と筆力には注目すべきものがある。」
古井由吉
男53歳
11 「口の達者な作品である。作品がつらいところへさしかかると、機智がはじける。むしろ頓知頓才というべきか。」「しかし、読んでいるとつらくなる、とそんな感想をもらした選者がいた。いたましいようで、というふくみである。泣きの変形だと私も感じた。」「人を疲れさせ、しまいには同情をひいてしまうというのは、やはり作者の考慮すべきところだろう。」
田久保英夫
男63歳
13 「以前の候補作「ドアを閉めるな」の方がいい、と思った。」「「嘘」と「実」の変転は、うまく女の生きる像に一つの焦点を結んでこない。私たちの「背負い水」は生命維持に不可欠なものだが、「わたし」にとってジュリーとの間がそうであるにしては、裕さんに興味を持ったり、カンノと性的関係を持ったりしすぎる。」
大江健三郎
男56歳
19 「これまでの候補作に、荻野アンナ氏の書き方の苦しい危うさは、才能の質ともどもくっきり見られた。」「ところが『背負い水』にいたって、作者はそうした個性をたわめることをせず、しかもしっかりジャストミートした。それはまず主人公の娘の性格付けが、作者自身から距離を正確にとってなされているからだ。」「娘は当世風の新しい生活をしているものの、それと矛盾しない古さのみじめな心の傷も積みかさねる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年9月号)
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