芥川賞のすべて・のようなもの
第39回
  • =受賞者=
  • 大江健三郎
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大江健三郎
Oe Kenzaburo
生没年月日【注】 昭和10年/1935年1月31日~
受賞年齢 23歳5ヵ月
経歴 愛媛県喜多郡大瀬村(現・内子町)生まれ。東京大学文学部仏文科卒。大学在学中に『東大新聞』に小説が入選、作家デビューする。
受賞歴・候補歴
  • 第3回「文藝」全国学生小説コンクール[佳作](昭和30年/1955年)「優しい人たち」
  • |候補| 第5回「文藝」全国学生小説コンクール[選外佳作](昭和31年/1956年)「火葬のあと」
  • 『東大新聞』五月祭賞[入選](昭和32年/1957年)「奇妙な仕事」
  • |候補| 第38回芥川賞(昭和32年/1957年下期)「死者の奢り」
  • 第39回芥川賞(昭和33年/1958年上期)「飼育」
  • |候補| 第39回芥川賞(昭和33年/1958年上期)「鳩」
  • 第11回新潮社文学賞(昭和39年/1964年)『個人的な体験』
  • 第3回谷崎潤一郎賞(昭和42年/1967年)「万延元年のフットボール」
  • |候補| 第14回新潮社文学賞(昭和42年/1967年)『万延元年のフットボール』
  • |候補| 第22回読売文学賞[評論・伝記賞](昭和45年/1970年)『壊れものとしての人間』
  • 第26回野間文芸賞(昭和48年/1973年)『洪水はわが魂に及び』
  • |候補| 第9回川端康成文学賞(昭和57年/1982年)「『雨の木(レイン・ツリー)』を聴く女たち」
  • 第34回読売文学賞[小説賞](昭和57年/1982年)『「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち』
  • 第10回大佛次郎賞(昭和58年/1983年)『新しい人よ眼ざめよ』
  • 第11回川端康成文学賞(昭和59年/1984年)「河馬に噛まれる」
  • 第1回伊藤整文学賞(平成2年/1990年)『人生の親戚』
  • |候補| 第11回日本SF大賞(平成2年/1990年)『治療塔』
  • Nobel Prize in Literature{ノーベル文学賞/スウェーデン}(平成6年/1994年)
  • 朝日賞(平成6年/1994年度)"核状況下、困難な主題を直視し、魂の救済まで描き出した真摯な創作"
個人全集 『大江健三郎全作品』第1期全6巻・第2期全6巻(昭和41年/1966年~昭和53年/1978年2月・新潮社刊)
『大江健三郎全作品』第1期全6巻・第2期全6巻(平成6年/1994年11月・新潮社刊)
芥川賞
選考委員歴
第76回~第91回、第103回~第116回(通算15年・30回)
備考
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芥川賞 第38回候補  一覧へ

ししゃ おご
死者の 奢り」(『文學界』昭和32年/1957年8月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第11巻 第8号  別表記8月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和32年/1957年7月20日 発行 昭和32年/1957年8月1日
発行者等 編集人 上林吾郎 発行人 池島信 印刷人 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 188 表記上の枚数 目次 72枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×26行
×2段
本文ページ 118~137
(計20頁)
測定枚数 74
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>『文藝春秋』昭和33年/1958年3月号
>>昭和33年/1958年3月・文藝春秋新社刊『死者の奢り』所収
>>昭和34年/1959年9月・新潮社/新潮文庫『死者の奢り・飼育』所収
>>昭和35年/1960年6月・筑摩書房/新鋭文学叢書『大江健三郎集』所収
>>昭和37年/1962年☆月・集英社刊『新日本文学全集 第11巻 開高健・大江健三郎集』所収
>>昭和38年/1963年☆月・角川書店刊『角川版昭和文学全集 第29 開高健・大江健三郎』所収
>>昭和39年/1964年☆月・河出書房新社刊『現代の文学43 大江健三郎集』所収
>>昭和40年/1965年11月・講談社刊『われらの文学18 大江健三郎』所収
>>昭和40年/1965年☆月・学習研究社/ガッケン・ブックス『日本青春文学名作選22』所収
>>昭和41年/1966年6月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1』所収
>>昭和43年/1968年2月・中央公論社刊『日本の文学76 石原慎太郎・開高健・大江健三郎』所収
>>昭和44年/1969年6月・講談社刊『日本現代文学全集106 現代名作選2』所収
>>昭和44年/1969年5月・筑摩書房刊『現代日本文学大系76 石川淳・安部公房・大江健三郎集』所収
>>昭和44年/1969年7月・筑摩書房刊『新潮日本文学64 大江健三郎集』所収
>>昭和44年/1969年☆月・毎日新聞社刊『日本の短編(下)』所収
>>昭和48年/1973年☆月・中央公論社刊『日本の文学76 石原慎太郎・開高健・大江健三郎』[アイボリーバックス]所収
>>昭和51年/1976年12月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系86 開高健・大江健三郎集』所収
>>昭和55年/1980年5月・講談社刊『日本現代文学全集106 現代名作選2』[増補改訂版]所収
>>昭和56年/1981年10月・双文社出版刊『現代短篇小説集』所収
>>昭和60年/1985年2月・ほるぷ出版刊『日本の文学86 奇妙な仕事・死者の奢り』所収
>>昭和62年/1987年3月・小学館刊『昭和文学全集16 大岡昇平・埴谷雄高・野間宏・大江健三郎』所収
>>平成6年/1994年11月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1期1』所収
>>平成8年/1996年5月・新潮社刊『大江健三郎小説1 『芽むしり仔撃ち』と初期短篇1』所収
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候補者 大江健三郎 男22歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男46歳
12 「予期通り、開高氏か大江氏かということになりましたが、決定には骨が折れました。」「「死者の奢り」は若々しい才気は感じられても、作者が自分の若い嗜好に溺れたようなところがあり、氏が今後大きく伸びるにしても、氏の若書きであり、代表作にはなるまいと思われました。」
石川達三
男52歳
11 「「死者の奢り」を推した人も少くなかったが私は納得できないものがあった。死体の不気味な描写がいくら書かれても、それは小説にはならない。」「死体が(生かされ)ていない。従って作品全体が私には物足りなかった。「他人の足」は一部によく解らない所があるが、コントとしては優れた構成と香気とをもっている。しかし是だけでは授賞にはすこし足りない。」
瀧井孝作
男63歳
13 「僕は好きな作品とは云えなかった。」「「死者の奢り」は、(引用者中略)素直に描いてあるならば面白いが、この題名のように、むかむかする死体各々が何か曰くを云い相なのは、このユーモアは、若いキザで厭味ではないかしら。」「小説集もすぐに二冊出ると云われて、殆ど流行作家のようで、芥川賞などはもう必要もない人のように思われた。」
佐藤春夫
男65歳
19 「正しく読むに足る作品で作者の才気は十分見えている。しかしその衒気と匠気とは僕をして顔をそむけさせる。好んで奇異嫌悪の題材を採ったのにも何らの必然性は認めにくいから読者の好奇心を釣ろうとするかとしか見えない。「死者の奢り」という題の気取りも嫌味である。」「要するに僕はこの作者の才能を認めながらそれに多少の反感を持つのを否むことができなかった。」
川端康成
男58歳
18 「「死者の奢り」を、私は初めから推したかった。」「(引用者注:「裸の王様」とどちらを選ぶかという時も)私は「死者の奢り」を選んだ。」「異常な題材を、意識して書いているので、行き過ぎの欠点と、私たちに感じられる個所が少くないのは当然である。それでも、この二作に見る才能はあざやかである。」「開高氏と大江氏と明暗二様の気負いを見るが、これは悪いとは思わない。」
井上靖
男50歳
13 「(引用者注:「裸の王様」と共に)作風は対蹠的であるが、それぞれ特異な資質と芥川賞作品として推すにふさわしいある新しさを持っていた。」「「死者の奢り」に一票を投じた。」「本当の意味で小説の面白さというものは、(引用者注:「裸の王様」よりも)「死者の奢り」の方にあって、またその面白さの質や才能の質が上等ではないかと思ったからである。要するに私は大江氏の才能、資質の方をより珍重したわけである。」
丹羽文雄
男53歳
6 「作品の出来ばえからいえば、(引用者中略・注:「裸の王様」より)「他人の足」の方がはるかに巧緻な短篇であった。」「「死者の奢り」は、最後まで落すに惜しい作品であったが、大江の二篇はいわばもっとも今日的な作品であった。」
舟橋聖一
男53歳
36 「「死者の奢り」は、頭抜けている」「大江には、いい意味のデカダンスがあり、それが人生派の抵抗になったろうが、この程度のデカダンスなしには、新しいエネルギッシュな小説のスタイルは、進歩しない。」「三島由紀夫の云う「頽廃とエネルギーの結合」は大江にも当てはまり、そしてこの程度の病的感覚をもつエネルギーこそ、やや飽和状態にある近代文学の頂点を、更にもう一つ知的な頂点へ前進させるための推進力となることを、私はこの際、述べておきたい。」
宇野浩二
男66歳
16 「話は、死体処理室の管理人と女子学生とをうまく使って、異様のように作られている所は、なかなか人を喰った様な所もあるけれど、人間と言うものが殆んど書かれていない。それに、この小説の欠点は、抽象的であることだ。しかしこの作品は、こんどの候補作品の中では、よかれあしかれ、妙に迫力のようなものもある、けれど……。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年3月号)
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芥川賞 第38回参考作品  一覧へ

たにん あし
他人の 足」(『新潮』昭和32年/1957年8月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「THE SHINCHO」併記
巻号 第54巻 第8号  別表記8月号/628号
印刷/発行年月日 発行 昭和32年/1957年8月1日
発行者等 編輯者発行者 齋藤十一 印刷者 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 252 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 204~215
(計12頁)
測定枚数 36
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候補者 大江健三郎 男22歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男46歳
12 「予期通り、開高氏か大江氏かということになりましたが、決定には骨が折れました。」「「死者の奢り」は若々しい才気は感じられても、作者が自分の若い嗜好に溺れたようなところがあり、氏が今後大きく伸びるにしても、氏の若書きであり、代表作にはなるまいと思われました。」
石川達三
男52歳
11 「「死者の奢り」を推した人も少くなかったが私は納得できないものがあった。死体の不気味な描写がいくら書かれても、それは小説にはならない。」「死体が(生かされ)ていない。従って作品全体が私には物足りなかった。「他人の足」は一部によく解らない所があるが、コントとしては優れた構成と香気とをもっている。しかし是だけでは授賞にはすこし足りない。」
瀧井孝作
男63歳
13 「僕は好きな作品とは云えなかった。」「「死者の奢り」は、(引用者中略)素直に描いてあるならば面白いが、この題名のように、むかむかする死体各々が何か曰くを云い相なのは、このユーモアは、若いキザで厭味ではないかしら。」「小説集もすぐに二冊出ると云われて、殆ど流行作家のようで、芥川賞などはもう必要もない人のように思われた。」
佐藤春夫
男65歳
19 「正しく読むに足る作品で作者の才気は十分見えている。しかしその衒気と匠気とは僕をして顔をそむけさせる。好んで奇異嫌悪の題材を採ったのにも何らの必然性は認めにくいから読者の好奇心を釣ろうとするかとしか見えない。「死者の奢り」という題の気取りも嫌味である。」「要するに僕はこの作者の才能を認めながらそれに多少の反感を持つのを否むことができなかった。」
川端康成
男58歳
18 「「死者の奢り」を、私は初めから推したかった。」「(引用者注:「裸の王様」とどちらを選ぶかという時も)私は「死者の奢り」を選んだ。」「異常な題材を、意識して書いているので、行き過ぎの欠点と、私たちに感じられる個所が少くないのは当然である。それでも、この二作に見る才能はあざやかである。」「開高氏と大江氏と明暗二様の気負いを見るが、これは悪いとは思わない。」
井上靖
男50歳
13 「(引用者注:「裸の王様」と共に)作風は対蹠的であるが、それぞれ特異な資質と芥川賞作品として推すにふさわしいある新しさを持っていた。」「「死者の奢り」に一票を投じた。」「本当の意味で小説の面白さというものは、(引用者注:「裸の王様」よりも)「死者の奢り」の方にあって、またその面白さの質や才能の質が上等ではないかと思ったからである。要するに私は大江氏の才能、資質の方をより珍重したわけである。」
丹羽文雄
男53歳
6 「作品の出来ばえからいえば、(引用者中略・注:「裸の王様」より)「他人の足」の方がはるかに巧緻な短篇であった。」「「死者の奢り」は、最後まで落すに惜しい作品であったが、大江の二篇はいわばもっとも今日的な作品であった。」
舟橋聖一
男53歳
36 「「死者の奢り」は、頭抜けている」「大江には、いい意味のデカダンスがあり、それが人生派の抵抗になったろうが、この程度のデカダンスなしには、新しいエネルギッシュな小説のスタイルは、進歩しない。」「三島由紀夫の云う「頽廃とエネルギーの結合」は大江にも当てはまり、そしてこの程度の病的感覚をもつエネルギーこそ、やや飽和状態にある近代文学の頂点を、更にもう一つ知的な頂点へ前進させるための推進力となることを、私はこの際、述べておきたい。」
宇野浩二
男66歳
16 「話は、死体処理室の管理人と女子学生とをうまく使って、異様のように作られている所は、なかなか人を喰った様な所もあるけれど、人間と言うものが殆んど書かれていない。それに、この小説の欠点は、抽象的であることだ。しかしこの作品は、こんどの候補作品の中では、よかれあしかれ、妙に迫力のようなものもある、けれど……。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年3月号)
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芥川賞 第39受賞  一覧へ

しいく
飼育」(『文學界』昭和33年/1958年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第12巻 第1号  別表記新年特別号
作品名 別表記 育」
印刷/発行年月日 印刷 昭和32年/1957年12月20日 発行 昭和33年/1958年1月1日
発行者等 編集人 上林吾郎 発行人 池島信 印刷人 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 212 表記上の枚数 目次 110枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×27行
×2段
本文ページ 27~51
(計25頁)
測定枚数 99
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>『文藝春秋』昭和33年/1958年9月号
>>昭和33年/1958年3月・文藝春秋新社刊『死者の奢り』所収
>>昭和34年/1959年9月・新潮社/新潮文庫『死者の奢り・飼育』所収
>>昭和35年/1960年11月・筑摩書房刊『新選現代日本文学全集33 戦後小説集2』所収
>>昭和35年/1960年6月・筑摩書房/新鋭文学叢書『大江健三郎集』所収
>>昭和38年/1963年☆月・角川書店刊『角川版昭和文学全集 第29 開高健・大江健三郎』所収
>>昭和40年/1965年5月・集英社刊『昭和戦争文学全集 第11 戦時下のハイティーン』所収
>>昭和40年/1965年11月・講談社刊『われらの文学18 大江健三郎』所収
>>昭和40年/1965年1月・新潮社刊『日本文学全集72 名作集第4 昭和篇(下)』所収
>>昭和41年/1966年6月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1』所収
>>昭和51年/1976年12月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系86 開高健・大江健三郎集』所収
>>昭和51年/1976年5月・家の光協会刊『土とふるさとの文学全集2 土の哀歓』所収
>>昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第5巻』所収
>>昭和60年/1985年2月・ほるぷ出版刊『日本の文学86 奇妙な仕事・死者の奢り』所収
>>昭和62年/1987年3月・小学館刊『昭和文学全集16 大岡昇平・埴谷雄高・野間宏・大江健三郎』所収
>>平成6年/1994年11月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1期1』所収
>>平成8年/1996年5月・新潮社刊『大江健三郎小説1 『芽むしり仔撃ち』と初期短篇1』所収
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候補者 大江健三郎 男23歳
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男53歳
33 「晦渋な表現が少くない。わざと解りにくく書いているような気もする。しかし新しい才能として推薦するのが妥当であろう。私は、「死者の奢り」よりもこの方(引用者注:「飼育」)を採る。」「大江君はこの半年のあいだに流行作家のようになっているのだから、授賞すればそれがその例になって、新人賞の意味がぼやけてくる。授賞しない方がよろしい。……こういう解釈で、私は反対した。」「大江君は一見流行作家のようではあるが、現に大学生でもあり、作品経歴も極めて薄い。作品も新鮮である。私は改めて今回の授賞に賛成することにした。」
川端康成
男59歳
36 「今回の大江氏授賞には率先して賛成である。」「大江氏の「飼育」を佐藤氏(大江氏は授賞資格を超えるとして読まれなかった。)以外の全委員が推賞し、大江氏の他の候補を支持する委員が一人もないのに、大江氏を落して、該当作なしとするには、理由がよほど明確強固でなければなるまい。」「世評は大江氏の才能に眩惑され気味でも、確認を与えているかどうか。この二十三歳の学生作家がもう芥川賞に及ばないとは、私には考えられなかった。」
中村光夫
男47歳
17 「「飼育」が予選通過作品のなかで抜群の出来であるのは、ほとんど誰も異存のなかった」「僕は芥川賞はすでに名をなした新人顕彰より、むしろ無名の新人発見を使命とすべきだという考えから、氏の受賞には反対でした。」「しかし授賞ときまれば、それもまたよいという気がするのは、大江氏の才能の性格によるのでしょうか。」
丹羽文雄
男53歳
7 「「飼育」には文句はない。私は作者のジャーナリズムにおける位置を考慮に入れず、いちばんよい作品というので最初から推した。しかし、作品の構成では「鳩」の方が秀れている。」「「鳩」をよんでいると、この作者には何か病的なところがあるのではないかと心配になったが、それも若い作者の気質ではないかと考え直した。」
瀧井孝作
男64歳
7 「(引用者注:候補作中)一番佳い方だと思った。」「描写には、若い情熱のムンムンしたものがあった。大江健三郎氏は、本も何冊か出て、もう有名な流行作家のようで、芥川賞の必要もないわけだが。今回は賞無しというのも少し淋しいかと思って、この心持から当選の方に僕は敢て賛成した。」
佐藤春夫
男66歳
29 「大江健三郎が今更、芥川賞候補予選に入っているのは新人の短篇に授与するタテマエから見て妥当であるか否かを先ず検討してもらった。実のところ僕自身は妥当ならずとしてその作品は読んで来ていなかった。」「席上にいた振興会の佐佐木理事長が賞の制定の当時と今日とはジャナリズムの情勢に急激な変化もあり半年間ぐらいで新人が中堅作家として時めくような異例の現象も起るが名声は安定したものではなく、この程度はまだ新人と認めようという意見であった。芥川賞は今日以後新人の登竜門ではなく、新進の地位を安定させる底荷のような賞と合点した。」
井伏鱒二
男60歳
18 「才能の感じられる新鮮な作品という意味で大江健三郎氏の二作を推しました。」「発足するにおいて托する主人公の優秀な五感をはっきり六根に擬装させ、これでもって陳腐へ左様ならしながらまともな作者の影を写していると思いました。自己満足癖を否定している点にも新鮮味を感じました。こんなのは流行だと感じるのはこちらが古いんだと知れと秘かに頷きました。」
舟橋聖一
男53歳
48 「前回に落ちた大江の「死者の奢り」に対する反対委員の鑑賞には、僕は依然として、疑問をもつ。」「委員のうちからは、半年の間に、大江が偉くなったから、今さら授賞の必要はないと強く主張する人もあったが、(引用者中略)この位の仕事をすれば、多少は社会的なあつかいが上がるのは、当り前だろう。」「「文学を通して、政治に関与する」という彼の考え方も、(引用者中略)具体的には、ピッケル一つ提示されてはいないのだが、体当りにぶつかっていく彼の真面目さと熱中を、僕は衒気とも匠気とも見ない。」「僕が今日の会の最初に、大江に投票するのを躊躇したのは、「飼育」より、「死者の奢り」のほうに感銘が強かったから」
永井龍男
男54歳
20 「「飼育」に感心した。「鳩」も、同じ作者の個性が一層強く出ていた。」「授賞するには「飼育」より他にないと思った。」「世評を恐れて授賞をためらうのは、却って銓衡の純粋さを失う結果にならないとも限らない。」「縦横に網を張り根を張った最近のジャーナリズムでは、芥川賞の幅もおのずとこの辺までひろがってくるのではないか。」「「大江健三郎は未完成な新人だ」という意味の、一委員の発言が私にはぴたりと来た。」
井上靖
男51歳
16 「候補作品の中では(引用者中略)抜群であり、作家としての資質才能も際立っていた。」「私は大江氏が処女作を発表してから幾許も経っておらず、まだ学生ではあるし、有名とは言え、新人の初々しさをいっぱい身につけているので、芥川賞授賞の対象になり得ると考えた。」「「飼育」は(引用者中略)発想は明確であるし、イメージを書いて行く力も非凡で、作全体に、若々しいエネルギーが漲っていて、佳作の名に恥じないと思う。「鳩」の方は作者の感覚が少しずれて、「飼育」よりは大分落ちる。」
宇野浩二
男66歳
21 「「今さら芥川賞には、……」と反対した。」「十人の委員のうち、(欠席の井伏を入れると、十一人の委員のうち、)多数決で、(七対四、)『飼育』を今度の芥川賞に推すことになったのである、但し、私はあくまで「反対」である。」「私も『飼育』はみとめるが、この作者が、今までの幾つかの作品に見えるような、気どりと、無理に見える病的なところがなくなれば、よいのではないか、と思うけれど、それらがなくなれば、この作者の小説の特徴がなくなるかもしれない。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年9月号)
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芥川賞 第39回候補  一覧へ

はと
鳩」(『文學界』昭和33年/1958年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第12巻 第3号  別表記3月特別号
印刷/発行年月日 印刷 昭和33年/1958年2月20日 発行 昭和33年/1958年3月1日
発行者等 編集人 上林吾郎 発行人 池島信 印刷人 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 248 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×27行
×2段
本文ページ 93~109
(計17頁)
測定枚数 66
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書誌
>>昭和33年/1958年3月・文藝春秋新社刊『死者の奢り』所収
>>昭和41年/1966年6月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1』所収
>>昭和43年/1968年2月・学芸書林刊『全集・現代文学の発見 第9巻 性の追求』所収
>>昭和49年/1974年☆月・新潮社/新潮文庫『見るまえに跳べ』所収
>>昭和51年/1976年12月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系86 開高健・大江健三郎集』所収
>>平成6年/1994年11月・新潮社刊『大江健三郎全作品 第1期1』所収
>>平成8年/1996年5月・新潮社刊『大江健三郎小説1 『芽むしり仔撃ち』と初期短篇1』所収
>>平成12年/2000年12月・新潮社/新潮文庫『見るまえに跳べ』[改版]所収
>>平成16年/2004年2月・学芸書林刊『全集現代文学の発見 第9巻 性の追求』[新装版]所収
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候補者 大江健三郎 男23歳
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男53歳
33 「晦渋な表現が少くない。わざと解りにくく書いているような気もする。しかし新しい才能として推薦するのが妥当であろう。私は、「死者の奢り」よりもこの方(引用者注:「飼育」)を採る。」「大江君はこの半年のあいだに流行作家のようになっているのだから、授賞すればそれがその例になって、新人賞の意味がぼやけてくる。授賞しない方がよろしい。……こういう解釈で、私は反対した。」「大江君は一見流行作家のようではあるが、現に大学生でもあり、作品経歴も極めて薄い。作品も新鮮である。私は改めて今回の授賞に賛成することにした。」
川端康成
男59歳
36 「今回の大江氏授賞には率先して賛成である。」「大江氏の「飼育」を佐藤氏(大江氏は授賞資格を超えるとして読まれなかった。)以外の全委員が推賞し、大江氏の他の候補を支持する委員が一人もないのに、大江氏を落して、該当作なしとするには、理由がよほど明確強固でなければなるまい。」「世評は大江氏の才能に眩惑され気味でも、確認を与えているかどうか。この二十三歳の学生作家がもう芥川賞に及ばないとは、私には考えられなかった。」
中村光夫
男47歳
17 「「飼育」が予選通過作品のなかで抜群の出来であるのは、ほとんど誰も異存のなかった」「僕は芥川賞はすでに名をなした新人顕彰より、むしろ無名の新人発見を使命とすべきだという考えから、氏の受賞には反対でした。」「しかし授賞ときまれば、それもまたよいという気がするのは、大江氏の才能の性格によるのでしょうか。」
丹羽文雄
男53歳
7 「「飼育」には文句はない。私は作者のジャーナリズムにおける位置を考慮に入れず、いちばんよい作品というので最初から推した。しかし、作品の構成では「鳩」の方が秀れている。」「「鳩」をよんでいると、この作者には何か病的なところがあるのではないかと心配になったが、それも若い作者の気質ではないかと考え直した。」
瀧井孝作
男64歳
7 「(引用者注:候補作中)一番佳い方だと思った。」「描写には、若い情熱のムンムンしたものがあった。大江健三郎氏は、本も何冊か出て、もう有名な流行作家のようで、芥川賞の必要もないわけだが。今回は賞無しというのも少し淋しいかと思って、この心持から当選の方に僕は敢て賛成した。」
佐藤春夫
男66歳
29 「大江健三郎が今更、芥川賞候補予選に入っているのは新人の短篇に授与するタテマエから見て妥当であるか否かを先ず検討してもらった。実のところ僕自身は妥当ならずとしてその作品は読んで来ていなかった。」「席上にいた振興会の佐佐木理事長が賞の制定の当時と今日とはジャナリズムの情勢に急激な変化もあり半年間ぐらいで新人が中堅作家として時めくような異例の現象も起るが名声は安定したものではなく、この程度はまだ新人と認めようという意見であった。芥川賞は今日以後新人の登竜門ではなく、新進の地位を安定させる底荷のような賞と合点した。」
井伏鱒二
男60歳
18 「才能の感じられる新鮮な作品という意味で大江健三郎氏の二作を推しました。」「発足するにおいて托する主人公の優秀な五感をはっきり六根に擬装させ、これでもって陳腐へ左様ならしながらまともな作者の影を写していると思いました。自己満足癖を否定している点にも新鮮味を感じました。こんなのは流行だと感じるのはこちらが古いんだと知れと秘かに頷きました。」
舟橋聖一
男53歳
48 「前回に落ちた大江の「死者の奢り」に対する反対委員の鑑賞には、僕は依然として、疑問をもつ。」「委員のうちからは、半年の間に、大江が偉くなったから、今さら授賞の必要はないと強く主張する人もあったが、(引用者中略)この位の仕事をすれば、多少は社会的なあつかいが上がるのは、当り前だろう。」「「文学を通して、政治に関与する」という彼の考え方も、(引用者中略)具体的には、ピッケル一つ提示されてはいないのだが、体当りにぶつかっていく彼の真面目さと熱中を、僕は衒気とも匠気とも見ない。」「僕が今日の会の最初に、大江に投票するのを躊躇したのは、「飼育」より、「死者の奢り」のほうに感銘が強かったから」
永井龍男
男54歳
20 「「飼育」に感心した。「鳩」も、同じ作者の個性が一層強く出ていた。」「授賞するには「飼育」より他にないと思った。」「世評を恐れて授賞をためらうのは、却って銓衡の純粋さを失う結果にならないとも限らない。」「縦横に網を張り根を張った最近のジャーナリズムでは、芥川賞の幅もおのずとこの辺までひろがってくるのではないか。」「「大江健三郎は未完成な新人だ」という意味の、一委員の発言が私にはぴたりと来た。」
井上靖
男51歳
16 「候補作品の中では(引用者中略)抜群であり、作家としての資質才能も際立っていた。」「私は大江氏が処女作を発表してから幾許も経っておらず、まだ学生ではあるし、有名とは言え、新人の初々しさをいっぱい身につけているので、芥川賞授賞の対象になり得ると考えた。」「「飼育」は(引用者中略)発想は明確であるし、イメージを書いて行く力も非凡で、作全体に、若々しいエネルギーが漲っていて、佳作の名に恥じないと思う。「鳩」の方は作者の感覚が少しずれて、「飼育」よりは大分落ちる。」
宇野浩二
男66歳
21 「「今さら芥川賞には、……」と反対した。」「十人の委員のうち、(欠席の井伏を入れると、十一人の委員のうち、)多数決で、(七対四、)『飼育』を今度の芥川賞に推すことになったのである、但し、私はあくまで「反対」である。」「私も『飼育』はみとめるが、この作者が、今までの幾つかの作品に見えるような、気どりと、無理に見える病的なところがなくなれば、よいのではないか、と思うけれど、それらがなくなれば、この作者の小説の特徴がなくなるかもしれない。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年9月号)
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