芥川賞のすべて・のようなもの
第82回
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昭和54年/1979年下半期
(昭和55年/1980年1月17日決定発表/『文藝春秋』昭和55年/1980年3月号選評掲載)
選考委員  中村光夫
男68歳
遠藤周作
男56歳
瀧井孝作
男85歳
大江健三郎
男44歳
吉行淳之介
男55歳
開高健
男49歳
安岡章太郎
男59歳
井上靖
男72歳
丸谷才一
男54歳
丹羽文雄
男75歳
選評総行数  30 24 30 30 31 31 34 18 30 24
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
森禮子 「モッキングバードのいる町」
134
女51歳
19 15 8 7 5 5 6 7 10 19
森瑤子 「誘惑」
173
女39歳
0 4 9 5 3 11 0 0 0 0
増田みず子 「慰霊祭まで」
133
女31歳
0 0 0 5 3 0 0 0 0 0
吉川良 「その涙ながらの日」
147
男42歳
0 0 0 7 3 0 0 0 0 0
松浦理英子 「乾く夏」
102
女21歳
0 0 0 5 2 0 0 0 0 0
立松和平 「村雨」
137
男32歳
0 0 4 5 5 0 0 0 0 0
尾辻克彦 「肌ざわり」
69
男42歳
13 5 8 5 3 0 21 5 20 2
小関智弘 「羽田浦地図」
101
男46歳
0 0 0 7 4 0 0 6 0 4
          欠席        
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
中村光夫男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「新」をもたらすもの 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
19 「始めから高点を得て、あまり波瀾なく当選ときまりましたが、作品の出来から云つて当然と思はれました。」「登場人物がすべて型通りすぎるのが欠点といへば欠点ですが、そこに却つて田舎町の退屈の厚味が感じられます。」「読者がこの小説に覚える興味は、アメリカの小都市の、平凡な市民たちの姿が、具体的に描きだされてゐることから生れます。」
森瑤子
女39歳
0  
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
13 「小品ながら、独創性に富んだ作品で、小説を読むたのしみを感じさせてくれました。父と娘の何気ない対話にも工夫がこらされてゐて、読者を飽きさせないのは凡手でないと思はれます。」「作者がひとりで思ひつきを楽しんでゐる風で、読者の感動を浅くしてゐるのは残念で、もう少し深味がほしいと思ひます。」
小関智弘
男46歳
0  
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他の選考委員
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
遠藤周作男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選衡をおえて 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
15 「推すつもりで銓衡会に出た。」「今度の作品は今までの氏の作品のなかでも一番よく、また今回の候補作品のなかでも優れているからと思ったからである。」「外国人に嫁ぎ外国に居住する日本人の女の内面は当然、孤独である。(引用者中略)それを描く時、どのように描くかが問題になる。それはむつかしい。」「私がこの作品を評価したのはそのむつかしさを森さんが兎も角も克服したことだ。」
森瑤子
女39歳
4 「なぜ、それが外地を舞台にし、外人を夫にもった日本人の女性を主人公にせねばならなかったかの理由がぼやけて残念だった。」
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
5 「私の考えでは森禮子さんにつぐ良い作品で、日常のなかのこわさをユーモアをもって書くその力はこの人がいつかは受賞作家になることを充分予想させる。」
小関智弘
男46歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
瀧井孝作男85歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「誘惑」を推す 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
8 「小説の描写は、森瑤子さんの「誘惑」の方が勝ると私は見たが、(引用者中略)八点の多数にて当選した。」
森瑤子
女39歳
9 「私はうまい小説とみて、これを推選したが、採点では三点五分の少数にて落選した。」
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
4 「作家の写生の目の働きとキチッとした筆捌きには、私はこの「村雨」も当選にしてもよいと思ったが、しかしこれも採点には三点の少数であった。」
尾辻克彦
男42歳
8 「しまいの場面、床屋の亭主の異常者のような感じは一寸よいと見た。」
小関智弘
男46歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
大江健三郎男44歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
メッセージと風俗 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
7 「(引用者注:「羽田浦地図」と共に)小説に表現すべきメッセージを、入念に囲みこんだ風俗のうちに、よく制禦しえていることで、(引用者中略)文学の、より狭い読み手の範囲をこえて、読むにたえる作品となっていよう。しかし、(引用者中略)つづいてどのような表現をなしとげるエネルギーをそなえているか、それが明瞭には見えない。」
森瑤子
女39歳
5 「風俗に発して小説をつくりだそうとすれば、その射程にとらえた風俗をよく把握せねばならぬのはもとよりだが、風俗から自立している書き手のありかも、確かなものでなければならない。」「その意味でもっとも弱く、」
増田みず子
女31歳
5 「小説に表現するものを、個人的な歪みのつよい思いこみ(引用者中略)から、一般性にまでどうきたえるか。その仕組みは素質として固有の鋭さを持つ人ほど、よく考えねばなるまい。」
吉川良
男42歳
7 「風俗と書き手の間の距離が混乱する。雑駁な風俗として書いてあるはずのものが、書き手の文学的雑駁さをあらわしてしまったりもする。」
松浦理英子
女21歳
5 「小説に表現するものを、個人的な歪みのつよい思いこみ(引用者中略)から、一般性にまでどうきたえるか。その仕組みは素質として固有の鋭さを持つ人ほど、よく考えねばなるまい。」
立松和平
男32歳
5 「書き手は、いやこの風俗と見える世界は自分がつくり出したのだと反撥するであろう。しかし、みずからつくり出した風俗になれしたしむようになれば、その実力は認められて久しい書き手として、方向を新しくもとめるべきではないか?」
尾辻克彦
男42歳
5 「候補作中きわだった芸術家の気質を、そのよくつくられた文体によって相対化しえている。」
小関智弘
男46歳
7 「(引用者注:「モッキングバードのいる町」と共に)小説に表現すべきメッセージを、入念に囲みこんだ風俗のうちに、よく制禦しえていることで、(引用者中略)文学の、より狭い読み手の範囲をこえて、読むにたえる作品となっていよう。しかし、(引用者中略)つづいてどのような表現をなしとげるエネルギーをそなえているか、それが明瞭には見えない。」
  「積極的に(つまりは孤立して)、僕は授賞作ナシを主張した。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
吉行淳之介男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
5 「大きな箱に入れられて終点に持ってゆかれる人生、というような息の詰まる気分をチラチラ感じさせる力がある。しかし、話に即した文章はあるが、文体がない。私は消極的賛成であった。」
森瑤子
女39歳
3 「この題材をこの力量で書くには、女主人公の一元描写でなくてはムリで、その点、無思慮というべきか。」
増田みず子
女31歳
3 「この人の前三作より、ずっと良くなっている。しかし、全体としての力と魅力に乏しい。」
吉川良
男42歳
3 「前作よりいいのだが、隙間を塗り潰すような書き方は感心できない。刈り込んで、短くできないものか。」
松浦理英子
女21歳
2 「天才少女のつもりはやめて、前作にあったひたむきさに戻ってほしい。」
立松和平
男32歳
5 「(引用者注:後半は)エネルギーが詰まってきて、リアリズムの描写に良い意味でメリメリとヒビが入り、かなり面白かった。しかし、義務の読書でなくては、前半でやめていたろう。」
尾辻克彦
男42歳
3 「資質が抜群で、ほっと息がつける。しかし、作品自体となると諸氏の欠点指摘を受け入れざるを得ない。」
小関智弘
男46歳
4 「面白い題材だし、好感のもてる作品だが、読了してハテなにが書いてあったか、と分らなくなり、もう一度読んだ。あれもこれもと詰めこみ過ぎたのと、構成が悪いせいである。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
開高健男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
残念ナガラ…… 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
5 「美点がいくつか数えられるのだけれど、素材が素材のままで投げだされていて未処理である。つまり、作品ではなくて、作文で終ってしまっている。」
森瑤子
女39歳
11 「しぶとくて達者でしたたかな作品である。細部のところどころに上質のリアリティーが確保されている。」「欠陥は多いけれど、少くとも固有なるものが定着されていて、読んでいて手ごたえがある。」「末尾近くになってふいに軽くなり、浅くなり、それが読者の予感通りだという質のものなので、流産であった。」
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
0  
小関智弘
男46歳
0  
  「とどけられた候補作は八作。(引用者中略)しばらくぶりの日本語なので、砂漠で水にありついたようにとびかかったわけだが、結果は、残念ナガラ……と口ごもらずにはいられなかった。またしても、やっぱり、あいかわらず、一言半句に出会えない。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
安岡章太郎男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文体喪失の時代 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
6 「文章は平板ながら、イヤ味なところはない。戦争花嫁(?)をつうじて、孤独な存在感は描けており、その限りでは面白く読めた。しかし、この作者には、文体を持てとは言わないまでも、まずもう少し血の通った文章を書くことにつとめて貰いたい。」
森瑤子
女39歳
0  
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
21 「とにもかくにも一個の文体らしいものを感じさせる作品だった。私は、それだけでこの作品を当選にしてもいいように思った。」「気にかかったのは、この作家の文体がホンモノかどうかということである。そう思って読むと、(引用者中略)思わせ振りな書き出しは、思わせ振りが一つのスタイルであるとしても、何か作家と文体の自己撞着というようなものが感じられて、だんだんイヤになってきた。それに父と娘の会話が感心しない。」
小関智弘
男46歳
0  
  「いわゆる“第一次戦後派”の諸氏が登場したとき、そろって悪文家ばかりであるといわれたものだが、いまや彼等が悪文家であるとは、誰も言わない。現在では、“悪文”というに足るだけの文章もなくなってしまったのであろう。あるのは何とかカルチュアー・センター式の、平板な、紋切り型の文章ばかりだ。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
井上靖
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
井上靖男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
佳作三篇 総行数18 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
7 「独自な文体といったものは持っていないが、なかなかの筆力である。長篇が書ける筆である。最後のインディアンの祭の場面も、難しいところだが、あっさりと書いて、この作品の締めくくりとしては成功していると思った。」
森瑤子
女39歳
0  
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
5 「いい短篇である。はっきりと自分のものを自分の文体で綴っているという意味では、この作品がただ一つのものであった。こうした短篇をもう何作か見せて貰いたいと思う。」
小関智弘
男46歳
6 「いいと思った。」「丁寧に、書くべきことはみんな書いてあるが、多少ごたごたして、読後の感銘というものは薄かった。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
丸谷才一
丹羽文雄
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選考委員
丸谷才一男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
対照的な二作 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
10 「いちおう無難に出来てゐるソツのない小説なのだらうが、わたしには印象の薄い作品であつた。在来の日本の小説の書き方を大人しく習ひ覚えて、ちよつと変つた題材に当てはめただけといふ気がして仕方がない。」「殊にいけないのは文体に冴えがないことで、素人としては上手な部類にはいるのかもしれないが、小説家の文章ではない。」
森瑤子
女39歳
0  
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
20 「何と言つても文章が光つてゐる。言葉づかひが生き生きしてゐて、いちいち小気味がいい。この感受性の新鮮さは抜群のものだ。が、残念なことに、話の中身が他愛ない。」「もうすこし好意的な見方をすれば、(引用者中略)主人公の妻であり娘の母である女はなぜおこにゐないのかといふことが、この小説にはわざと書いてなくて、(引用者中略)これはおもしろい趣向なのだが、しかしさう弁護するにしても、作者はあまりにも筆を惜しみすぎた。」
小関智弘
男46歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
丹羽文雄男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
待望の小説 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
森禮子
女51歳
19 「いつかはこういう小説にめぐり会えると、私は長いこと待っていた。」「待望の小説に出会えて、私は感動した。」「この当選作の持つ歴史的な事実の重みは、他の候補作品を圧していた。諷刺的でなく、すなおに日本人妻の生き方ととり組んでいる。」「銓衡の席上では、文学的な香気にとぼしいという評もあったが、私はむしろ作者の成熟さを力強くおぼえた。」
森瑤子
女39歳
0  
増田みず子
女31歳
0  
吉川良
男42歳
0  
松浦理英子
女21歳
0  
立松和平
男32歳
0  
尾辻克彦
男42歳
2 「印象に残った。」
小関智弘
男46歳
4 「印象に残った。」「いまひとつ工夫がされたなら、気の利いた、よい作品が生れたろうと残念に思ったほどであった。」
  「概して女性作家には、ナルシシズムに陥る危険があるが、今度の候補作品にもそういう例があった。」
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他の選考委員
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
大江健三郎
吉行淳之介
開高健
安岡章太郎
井上靖
丸谷才一
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受賞者・作品
森禮子女51歳×各選考委員 
「モッキングバードのいる町」
短篇 134
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
19 「始めから高点を得て、あまり波瀾なく当選ときまりましたが、作品の出来から云つて当然と思はれました。」「登場人物がすべて型通りすぎるのが欠点といへば欠点ですが、そこに却つて田舎町の退屈の厚味が感じられます。」「読者がこの小説に覚える興味は、アメリカの小都市の、平凡な市民たちの姿が、具体的に描きだされてゐることから生れます。」
遠藤周作
男56歳
15 「推すつもりで銓衡会に出た。」「今度の作品は今までの氏の作品のなかでも一番よく、また今回の候補作品のなかでも優れているからと思ったからである。」「外国人に嫁ぎ外国に居住する日本人の女の内面は当然、孤独である。(引用者中略)それを描く時、どのように描くかが問題になる。それはむつかしい。」「私がこの作品を評価したのはそのむつかしさを森さんが兎も角も克服したことだ。」
瀧井孝作
男85歳
8 「小説の描写は、森瑤子さんの「誘惑」の方が勝ると私は見たが、(引用者中略)八点の多数にて当選した。」
大江健三郎
男44歳
7 「(引用者注:「羽田浦地図」と共に)小説に表現すべきメッセージを、入念に囲みこんだ風俗のうちに、よく制禦しえていることで、(引用者中略)文学の、より狭い読み手の範囲をこえて、読むにたえる作品となっていよう。しかし、(引用者中略)つづいてどのような表現をなしとげるエネルギーをそなえているか、それが明瞭には見えない。」
吉行淳之介
男55歳
5 「大きな箱に入れられて終点に持ってゆかれる人生、というような息の詰まる気分をチラチラ感じさせる力がある。しかし、話に即した文章はあるが、文体がない。私は消極的賛成であった。」
開高健
男49歳
5 「美点がいくつか数えられるのだけれど、素材が素材のままで投げだされていて未処理である。つまり、作品ではなくて、作文で終ってしまっている。」
安岡章太郎
男59歳
6 「文章は平板ながら、イヤ味なところはない。戦争花嫁(?)をつうじて、孤独な存在感は描けており、その限りでは面白く読めた。しかし、この作者には、文体を持てとは言わないまでも、まずもう少し血の通った文章を書くことにつとめて貰いたい。」
井上靖
男72歳
7 「独自な文体といったものは持っていないが、なかなかの筆力である。長篇が書ける筆である。最後のインディアンの祭の場面も、難しいところだが、あっさりと書いて、この作品の締めくくりとしては成功していると思った。」
丸谷才一
男54歳
10 「いちおう無難に出来てゐるソツのない小説なのだらうが、わたしには印象の薄い作品であつた。在来の日本の小説の書き方を大人しく習ひ覚えて、ちよつと変つた題材に当てはめただけといふ気がして仕方がない。」「殊にいけないのは文体に冴えがないことで、素人としては上手な部類にはいるのかもしれないが、小説家の文章ではない。」
丹羽文雄
男75歳
19 「いつかはこういう小説にめぐり会えると、私は長いこと待っていた。」「待望の小説に出会えて、私は感動した。」「この当選作の持つ歴史的な事実の重みは、他の候補作品を圧していた。諷刺的でなく、すなおに日本人妻の生き方ととり組んでいる。」「銓衡の席上では、文学的な香気にとぼしいという評もあったが、私はむしろ作者の成熟さを力強くおぼえた。」
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他の候補作
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
森瑤子女39歳×各選考委員 
「誘惑」
中篇 173
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
4 「なぜ、それが外地を舞台にし、外人を夫にもった日本人の女性を主人公にせねばならなかったかの理由がぼやけて残念だった。」
瀧井孝作
男85歳
9 「私はうまい小説とみて、これを推選したが、採点では三点五分の少数にて落選した。」
大江健三郎
男44歳
5 「風俗に発して小説をつくりだそうとすれば、その射程にとらえた風俗をよく把握せねばならぬのはもとよりだが、風俗から自立している書き手のありかも、確かなものでなければならない。」「その意味でもっとも弱く、」
吉行淳之介
男55歳
3 「この題材をこの力量で書くには、女主人公の一元描写でなくてはムリで、その点、無思慮というべきか。」
開高健
男49歳
11 「しぶとくて達者でしたたかな作品である。細部のところどころに上質のリアリティーが確保されている。」「欠陥は多いけれど、少くとも固有なるものが定着されていて、読んでいて手ごたえがある。」「末尾近くになってふいに軽くなり、浅くなり、それが読者の予感通りだという質のものなので、流産であった。」
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
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丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
0  
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
増田みず子女31歳×各選考委員 
「慰霊祭まで」
短篇 133
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
大江健三郎
男44歳
5 「小説に表現するものを、個人的な歪みのつよい思いこみ(引用者中略)から、一般性にまでどうきたえるか。その仕組みは素質として固有の鋭さを持つ人ほど、よく考えねばなるまい。」
吉行淳之介
男55歳
3 「この人の前三作より、ずっと良くなっている。しかし、全体としての力と魅力に乏しい。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
0  
丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
0  
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
吉川良男42歳×各選考委員 
「その涙ながらの日」
中篇 147
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
大江健三郎
男44歳
7 「風俗と書き手の間の距離が混乱する。雑駁な風俗として書いてあるはずのものが、書き手の文学的雑駁さをあらわしてしまったりもする。」
吉行淳之介
男55歳
3 「前作よりいいのだが、隙間を塗り潰すような書き方は感心できない。刈り込んで、短くできないものか。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
0  
丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
0  
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
  ページの先頭へ

候補者・作品
松浦理英子女21歳×各選考委員 
「乾く夏」
短篇 102
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
大江健三郎
男44歳
5 「小説に表現するものを、個人的な歪みのつよい思いこみ(引用者中略)から、一般性にまでどうきたえるか。その仕組みは素質として固有の鋭さを持つ人ほど、よく考えねばなるまい。」
吉行淳之介
男55歳
2 「天才少女のつもりはやめて、前作にあったひたむきさに戻ってほしい。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
0  
丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
0  
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
立松和平男32歳×各選考委員 
「村雨」
短篇 137
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
瀧井孝作
男85歳
4 「作家の写生の目の働きとキチッとした筆捌きには、私はこの「村雨」も当選にしてもよいと思ったが、しかしこれも採点には三点の少数であった。」
大江健三郎
男44歳
5 「書き手は、いやこの風俗と見える世界は自分がつくり出したのだと反撥するであろう。しかし、みずからつくり出した風俗になれしたしむようになれば、その実力は認められて久しい書き手として、方向を新しくもとめるべきではないか?」
吉行淳之介
男55歳
5 「(引用者注:後半は)エネルギーが詰まってきて、リアリズムの描写に良い意味でメリメリとヒビが入り、かなり面白かった。しかし、義務の読書でなくては、前半でやめていたろう。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
0  
丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
0  
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
尾辻克彦
「肌ざわり」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
尾辻克彦男42歳×各選考委員 
「肌ざわり」
短篇 69
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
13 「小品ながら、独創性に富んだ作品で、小説を読むたのしみを感じさせてくれました。父と娘の何気ない対話にも工夫がこらされてゐて、読者を飽きさせないのは凡手でないと思はれます。」「作者がひとりで思ひつきを楽しんでゐる風で、読者の感動を浅くしてゐるのは残念で、もう少し深味がほしいと思ひます。」
遠藤周作
男56歳
5 「私の考えでは森禮子さんにつぐ良い作品で、日常のなかのこわさをユーモアをもって書くその力はこの人がいつかは受賞作家になることを充分予想させる。」
瀧井孝作
男85歳
8 「しまいの場面、床屋の亭主の異常者のような感じは一寸よいと見た。」
大江健三郎
男44歳
5 「候補作中きわだった芸術家の気質を、そのよくつくられた文体によって相対化しえている。」
吉行淳之介
男55歳
3 「資質が抜群で、ほっと息がつける。しかし、作品自体となると諸氏の欠点指摘を受け入れざるを得ない。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
21 「とにもかくにも一個の文体らしいものを感じさせる作品だった。私は、それだけでこの作品を当選にしてもいいように思った。」「気にかかったのは、この作家の文体がホンモノかどうかということである。そう思って読むと、(引用者中略)思わせ振りな書き出しは、思わせ振りが一つのスタイルであるとしても、何か作家と文体の自己撞着というようなものが感じられて、だんだんイヤになってきた。それに父と娘の会話が感心しない。」
井上靖
男72歳
5 「いい短篇である。はっきりと自分のものを自分の文体で綴っているという意味では、この作品がただ一つのものであった。こうした短篇をもう何作か見せて貰いたいと思う。」
丸谷才一
男54歳
20 「何と言つても文章が光つてゐる。言葉づかひが生き生きしてゐて、いちいち小気味がいい。この感受性の新鮮さは抜群のものだ。が、残念なことに、話の中身が他愛ない。」「もうすこし好意的な見方をすれば、(引用者中略)主人公の妻であり娘の母である女はなぜおこにゐないのかといふことが、この小説にはわざと書いてなくて、(引用者中略)これはおもしろい趣向なのだが、しかしさう弁護するにしても、作者はあまりにも筆を惜しみすぎた。」
丹羽文雄
男75歳
2 「印象に残った。」
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
小関智弘
「羽田浦地図」
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候補者・作品
小関智弘男46歳×各選考委員 
「羽田浦地図」
短篇 101
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
大江健三郎
男44歳
7 「(引用者注:「モッキングバードのいる町」と共に)小説に表現すべきメッセージを、入念に囲みこんだ風俗のうちに、よく制禦しえていることで、(引用者中略)文学の、より狭い読み手の範囲をこえて、読むにたえる作品となっていよう。しかし、(引用者中略)つづいてどのような表現をなしとげるエネルギーをそなえているか、それが明瞭には見えない。」
吉行淳之介
男55歳
4 「面白い題材だし、好感のもてる作品だが、読了してハテなにが書いてあったか、と分らなくなり、もう一度読んだ。あれもこれもと詰めこみ過ぎたのと、構成が悪いせいである。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
井上靖
男72歳
6 「いいと思った。」「丁寧に、書くべきことはみんな書いてあるが、多少ごたごたして、読後の感銘というものは薄かった。」
丸谷才一
男54歳
0  
丹羽文雄
男75歳
4 「印象に残った。」「いまひとつ工夫がされたなら、気の利いた、よい作品が生れたろうと残念に思ったほどであった。」
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他の候補作
森禮子
「モッキングバードのいる町」
森瑤子
「誘惑」
増田みず子
「慰霊祭まで」
吉川良
「その涙ながらの日」
松浦理英子
「乾く夏」
立松和平
「村雨」
尾辻克彦
「肌ざわり」
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