芥川賞のすべて・のようなもの
第81回
芥川賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
マップ

ページの最後へ
Last Update[H26]2014/6/20

81   一覧へ 80前の回へ 後の回へ82
昭和54年/1979年上半期
(昭和54年/1979年7月18日決定発表/『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号選評掲載)
選考委員  井上靖
男72歳
開高健
男48歳
丹羽文雄
男74歳
丸谷才一
男53歳
安岡章太郎
男59歳
瀧井孝作
男85歳
中村光夫
男68歳
吉行淳之介
男55歳
遠藤周作
男56歳
大江健三郎
男44歳
選評総行数  19 33 25 30 29 27 32 30 30 31
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
重兼芳子 「やまあいの煙」
82
女52歳
14 16 13 12 12 4 9 12 11 12
青野聰 「愚者の夜」
204
男35歳
12 15 14 7 17 9 17 7 9 15
立松和平 「閉じる家」
190
男31歳
0 0 0 0 0 6 0 0 0 0
村上春樹 「風の歌を聴け」
189
男30歳
0 0 0 5 0 7 0 7 12 0
北澤三保 「逆立ち犬」
104
男33歳
0 0 0 4 0 0 0 0 0 0
増田みず子 「ふたつの春」
108
女30歳
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
玉貫寛 「蘭の跡」
80
男63歳
0 0 0 0 0 0 4 0 0 0
吉川良 「八月の光を受けよ」
123
男42歳
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
          欠席
書面回答
欠席
書面回答
     
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
井上靖男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
佳作二篇 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
14 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「前半が実にいいが、後半が作品の調子をこわして、弱くなっている。」「しかし、そうした欠点はあるにしても、主題にひたむきにくい下がっているところは、何と言っても強い。こうなると、作品のよしあしでなく、作者の作品への対かい方ということになる。」
青野聰
男35歳
12 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「多少ごたごたしたところもないではないが、まあ、難しい主題をよくこなしていると言っていいだろう。最後もいやみなく書けて、作品のいいしめくくりになっている。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
開高健男48歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
止メの一撃を 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
16 「これまでにこの人の作品をいくつか読んできたが、どの作品にも通ずる一つの方程式があるという印象であった。」「しかし、この作品では妄執がふいに消えて晴朗が登場した。」「晴朗はこの時代では暗黒よりもはるかにむつかしいテーマであるから作者の大胆さを買いたいところである。ただ、それがあちらこちらで手ごたえを失い、稀薄になっているという恨みがある。」
青野聰
男35歳
15 「いかにもこなれのわるい、欠点だらけの作品であるが、にもかかわらずという一点がある。好感が抱けるのである。キズを承知で買いたくなるのである。根のないまま異国を漂うヒリヒルするような恐怖。または、西洋女のしんどさがもっとしぶとくねっとりと書きこまれてその脂肪が鼻さきに迫ってくる。この二つの要素のうちどちらかが止メの一撃として書きこまれてあれば、この作品だけで受賞できただろうと思うのだが、その点、残念である。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
丹羽文雄男74歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
13 「とかく小説をつくりすぎるきらいがある。」「前半は、すばらしい出来であった。何故後半に母子相姦という、しかも説明不十分な追加をしたのか、残念である。この種の才能はとかく小説作りが上手になるだけである。作者の人間性というものが大切なことに気がつけば、小説なんか片手間に書けるなどといううぬぼれは叩きつぶされるであろう。」
青野聰
男35歳
14 「読んだ直後の印象は混沌として、何とも捉えようのない小説であった。外人の女といういちばんむつかしい題材と取組んでいた。それが成功したとは思わないが、その取組み方に作者の力量と作家としての将来性に期待させるものがあった。」「日が経つについれて青野君の小説の印象が消えていくどころか、記憶にうかび上るようになった。」「強力な鮮明な記憶というのではないが、しぶとく生きつづけている。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
丸谷才一男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
四つの作品 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
12 「童話です。童話仕立ての小説と言つてもいい。」「さういふ性格のものとしてはいちおうまく出来てゐますが、しかし童話特有の恐しさはありません。たぶんこの作者は、前作のあと味の悪さを捨てようとした結果、苦りのきいてゐない小説を書くことになつたのでせう。そのことをわたしはいささか残念に思ひますが、しかしこの作に見られる優しさはやはり嬉しい。」
青野聰
男35歳
7 「前回にくらべて急に腕をあげました。この調子で進めばかなりのところまでゆくかもしれないといふ気持になつて、つい点が甘くなります。しかし、(引用者中略)総じて言へば、体力は申し分ないが運動神経はあまりない運動選手を見てゐるやうな感じでした。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
5 「アメリカ小説の影響を受けながら自分の個性を示さうとしてゐます。」「もしこれが単なる模倣なら、文章の流れ方がこんなふうに淀みのない調子ではゆかないでせう。それに、作品の柄がわりあひ大きいやうに思ふ。」
北澤三保
男33歳
4 「柄が大きいとは言へないけれど、感じのいい短篇小説でした。」「窓が大きくあけてある趣で、風通しがいい。文章の質もよいはうでせう。」
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
安岡章太郎男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二つの作品 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
12 「最も欠点の少い――或いは上げにくい――作品であろう。」「いわばこれは「創作民話」とでもいうべきものであろうか。しかし、いうまでもないことだが、本当の民話は個人の手でつくられたのではない。」「その点、私はこの作品には一抹の疑問がある。欠点は少いけれども、鮮烈なものが感じられないのだ。」
青野聰
男35歳
17 「欠点を上げれば数限りもないであろう。第一、長すぎるし、構成もシッカリしているとはいえない。」「要するに、ヘンな外人を女房にした男の曲りくねったノロケ話といえば、それにつきるであろう。にもかかわらず私がこの作品を推したのは、とにもかくにもここには外人の女が一個の肉体をそなえたかたちで文章にあらわされているからだ。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
瀧井孝作男85歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
青野聰氏を推す 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
4 「私は読み乍ら些か気味がわるくて、銓衡から外したが……。」
青野聰
男35歳
9 「若い夫婦仲のゆがみがテーマにて、充実した中篇小説だ。私は、前回の芥川賞候補作、この青野君の『母と子の契約』という継母とまま子とを描いた中篇が宜かったが、惜しくも当選せず、今回は前回と二作つづいた秀作で、入賞は当然であった。」
立松和平
男31歳
6 「筆は達者で一応読ませるが、この筆の達者は、省みると、わる達者かとも考えられた。作者も面白がって描いているようだが、これはよくないと私は考えた。」
村上春樹
男30歳
7 「このような架空の作りものは、作品の結晶度が高くなければ駄目だが、これはところどころ薄くて、吉野紙の漉きムラのようなうすく透いてみえるところがあった。しかし、異色のある作家のようで、私は長い眼で見たいと思った。」
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
中村光夫男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
9 「(引用者注:「蘭の跡」と共に)小粒ながらすぐれた短篇です。」「題材の要求をよくこなし、調和のとれた作品をつくりあげています。」「思い切って陰気な素材ですが、仕上げが美事なので、焼場の遺骨の堆積に、ある美と秩序が感じられます。」
青野聰
男35歳
17 「量から云って、またある意味で質から見ても、ここで第一にあげるべき作品でしょう。」「メスの切れ味が冴えません。自分を見る眼にも、他人に対する視線にも、かなり厚い抒情の霞がかかっています。」「しかしこの退屈の底に、ある思いがけない魅力が湧きあがってくるのも事実です。それは作者自身も気付かなかった純潔な善良性というべきもので、父の遺産として氏の血のなかにあるものでしょう。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
4 「(引用者注:「やまあいの煙」と共に)小粒ながらすぐれた短篇です。」「題材の要求をよくこなし、調和のとれた作品をつくりあげています。」
吉川良
男42歳
0  
  「今度の候補作には、とくに傑出したものは見当らず、甲乙のつけがたい作品が大部分でした。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
吉行淳之介
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
吉行淳之介男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
しぶしぶ 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
12 「前二回の作品を私は推したが、今回はどうも不満である。火葬場の作業員という仕事にたいして、まったく別の関係から光を当てようという試みは、これでは浅い。」「親子相姦も一つの趣向のようにみえてくる。」「この作品は気のはやりで、また以前のペースに戻ると信じたい。」
青野聰
男35歳
7 「作者の狙いがなにか分らないので、その厚ぼったいようなヘンな文章にも惹かれて、もう一度丁寧に読んだが、よく分らない。」「どこか未知数の魅力がないとはいえない。しかし、もう一作、読んでみたかった。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
7 「芥川賞というのは新人をもみくちゃにする賞で、それでもかまわないと送り出してもよいだけの力は、この作品にはない。この作品の持味は素材が十年間の醗酵の上に立っているところで、もう一作読まないと、心細い。」
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
  「今回、票を入れた作品はなかった。」「芥川賞はたかが新人賞、という言い方もあるが、現実にはこわい賞になってしまっている。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
遠藤周作
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
遠藤周作男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
受賞作家の今後に期待する 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
11 「他の銓衡委員も書くであろうように後半の老婆が出る場面から急に筆が急ぎすぎたため崩れた感じがある。そのためどうしても第一位に推す気持を失ったが、青野氏との授賞に反対するものではない。」
青野聰
男35歳
9 「私があえて授賞作とするならばと思ったのは青野聰氏の「愚者の夜」だった。」「村上氏にくらべて青野氏の作品は無骨、不器用だが、氏はこれからの新しい作家がどうしても通過せねばならぬ大問題にぶつかり、そして不器用な解答しかしていない。私はこの結末はかわないし、また結末が簡単にできるとは思わないが、氏の懸命な姿に好意を持った一人である。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
12 「憎いほど計算した小説である。しかし、この小説は反小説の小説と言うべきであろう。そして氏が小説のなかからすべての意味をとり去る現在流行の手法がうまければうまいほど私には「本当にそんなに簡単に意味をとっていいのか」という気持にならざるをえなかった。」
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
  「私の印象では今度もまた、これはどんなことがあっても推したいという作品がなく、ひょっとすると授賞作はないのではないか、という気持だった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
大江健三郎
  ページの先頭へ

選考委員
大江健三郎男44歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
実力と表現を強くもとめる主題 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
重兼芳子
女52歳
12 「これまでの作品に見られた、人物像の両義的な印象、つまり善をなすつもりで悪をなすような(あるいはその逆の)、一筋縄でゆかぬところを感じとらせる魅力は稀薄となった。むしろこれまでの作品すべてをひとまとめにして、その上での実力ということを考え、構成上の欠陥も見ぬのではないが、授賞に賛成した。」
青野聰
男35歳
15 「この主題は、長篇として書きこむか、短篇としてスケッチするか、そのどちらかでなければ作品として成功させえぬ種類のものだ。この中篇でのそれとしての結末のつけ方がおざなりであるのはその形式上の理由によろう。」「これだけ表現をもとめるものを内部にたくわえている若い作者が、やがてそれにふさわしい小説の技術をかちとることはありえるはずだと思う。やはり欠陥を認めた上で、授賞に賛成した理由である。」
立松和平
男31歳
0  
村上春樹
男30歳
0  
北澤三保
男33歳
0  
増田みず子
女30歳
0  
玉貫寛
男63歳
0  
吉川良
男42歳
0  
  「今日のアメリカ小説をたくみ模倣した作品もあったが、それが作者をかれ独自の創造に向けて訓練する、そのような方向づけにないのが、作者自身にも読み手にも無益な試みのように感じられた。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上靖
開高健
丹羽文雄
丸谷才一
安岡章太郎
瀧井孝作
中村光夫
吉行淳之介
遠藤周作
  ページの先頭へ


受賞者・作品
重兼芳子女52歳×各選考委員 
「やまあいの煙」
短篇 82
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
14 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「前半が実にいいが、後半が作品の調子をこわして、弱くなっている。」「しかし、そうした欠点はあるにしても、主題にひたむきにくい下がっているところは、何と言っても強い。こうなると、作品のよしあしでなく、作者の作品への対かい方ということになる。」
開高健
男48歳
16 「これまでにこの人の作品をいくつか読んできたが、どの作品にも通ずる一つの方程式があるという印象であった。」「しかし、この作品では妄執がふいに消えて晴朗が登場した。」「晴朗はこの時代では暗黒よりもはるかにむつかしいテーマであるから作者の大胆さを買いたいところである。ただ、それがあちらこちらで手ごたえを失い、稀薄になっているという恨みがある。」
丹羽文雄
男74歳
13 「とかく小説をつくりすぎるきらいがある。」「前半は、すばらしい出来であった。何故後半に母子相姦という、しかも説明不十分な追加をしたのか、残念である。この種の才能はとかく小説作りが上手になるだけである。作者の人間性というものが大切なことに気がつけば、小説なんか片手間に書けるなどといううぬぼれは叩きつぶされるであろう。」
丸谷才一
男53歳
12 「童話です。童話仕立ての小説と言つてもいい。」「さういふ性格のものとしてはいちおうまく出来てゐますが、しかし童話特有の恐しさはありません。たぶんこの作者は、前作のあと味の悪さを捨てようとした結果、苦りのきいてゐない小説を書くことになつたのでせう。そのことをわたしはいささか残念に思ひますが、しかしこの作に見られる優しさはやはり嬉しい。」
安岡章太郎
男59歳
12 「最も欠点の少い――或いは上げにくい――作品であろう。」「いわばこれは「創作民話」とでもいうべきものであろうか。しかし、いうまでもないことだが、本当の民話は個人の手でつくられたのではない。」「その点、私はこの作品には一抹の疑問がある。欠点は少いけれども、鮮烈なものが感じられないのだ。」
瀧井孝作
男85歳
4 「私は読み乍ら些か気味がわるくて、銓衡から外したが……。」
中村光夫
男68歳
9 「(引用者注:「蘭の跡」と共に)小粒ながらすぐれた短篇です。」「題材の要求をよくこなし、調和のとれた作品をつくりあげています。」「思い切って陰気な素材ですが、仕上げが美事なので、焼場の遺骨の堆積に、ある美と秩序が感じられます。」
吉行淳之介
男55歳
12 「前二回の作品を私は推したが、今回はどうも不満である。火葬場の作業員という仕事にたいして、まったく別の関係から光を当てようという試みは、これでは浅い。」「親子相姦も一つの趣向のようにみえてくる。」「この作品は気のはやりで、また以前のペースに戻ると信じたい。」
遠藤周作
男56歳
11 「他の銓衡委員も書くであろうように後半の老婆が出る場面から急に筆が急ぎすぎたため崩れた感じがある。そのためどうしても第一位に推す気持を失ったが、青野氏との授賞に反対するものではない。」
大江健三郎
男44歳
12 「これまでの作品に見られた、人物像の両義的な印象、つまり善をなすつもりで悪をなすような(あるいはその逆の)、一筋縄でゆかぬところを感じとらせる魅力は稀薄となった。むしろこれまでの作品すべてをひとまとめにして、その上での実力ということを考え、構成上の欠陥も見ぬのではないが、授賞に賛成した。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

受賞者・作品
青野聰男35歳×各選考委員 
「愚者の夜」
中篇 204
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
12 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「多少ごたごたしたところもないではないが、まあ、難しい主題をよくこなしていると言っていいだろう。最後もいやみなく書けて、作品のいいしめくくりになっている。」
開高健
男48歳
15 「いかにもこなれのわるい、欠点だらけの作品であるが、にもかかわらずという一点がある。好感が抱けるのである。キズを承知で買いたくなるのである。根のないまま異国を漂うヒリヒルするような恐怖。または、西洋女のしんどさがもっとしぶとくねっとりと書きこまれてその脂肪が鼻さきに迫ってくる。この二つの要素のうちどちらかが止メの一撃として書きこまれてあれば、この作品だけで受賞できただろうと思うのだが、その点、残念である。」
丹羽文雄
男74歳
14 「読んだ直後の印象は混沌として、何とも捉えようのない小説であった。外人の女といういちばんむつかしい題材と取組んでいた。それが成功したとは思わないが、その取組み方に作者の力量と作家としての将来性に期待させるものがあった。」「日が経つについれて青野君の小説の印象が消えていくどころか、記憶にうかび上るようになった。」「強力な鮮明な記憶というのではないが、しぶとく生きつづけている。」
丸谷才一
男53歳
7 「前回にくらべて急に腕をあげました。この調子で進めばかなりのところまでゆくかもしれないといふ気持になつて、つい点が甘くなります。しかし、(引用者中略)総じて言へば、体力は申し分ないが運動神経はあまりない運動選手を見てゐるやうな感じでした。」
安岡章太郎
男59歳
17 「欠点を上げれば数限りもないであろう。第一、長すぎるし、構成もシッカリしているとはいえない。」「要するに、ヘンな外人を女房にした男の曲りくねったノロケ話といえば、それにつきるであろう。にもかかわらず私がこの作品を推したのは、とにもかくにもここには外人の女が一個の肉体をそなえたかたちで文章にあらわされているからだ。」
瀧井孝作
男85歳
9 「若い夫婦仲のゆがみがテーマにて、充実した中篇小説だ。私は、前回の芥川賞候補作、この青野君の『母と子の契約』という継母とまま子とを描いた中篇が宜かったが、惜しくも当選せず、今回は前回と二作つづいた秀作で、入賞は当然であった。」
中村光夫
男68歳
17 「量から云って、またある意味で質から見ても、ここで第一にあげるべき作品でしょう。」「メスの切れ味が冴えません。自分を見る眼にも、他人に対する視線にも、かなり厚い抒情の霞がかかっています。」「しかしこの退屈の底に、ある思いがけない魅力が湧きあがってくるのも事実です。それは作者自身も気付かなかった純潔な善良性というべきもので、父の遺産として氏の血のなかにあるものでしょう。」
吉行淳之介
男55歳
7 「作者の狙いがなにか分らないので、その厚ぼったいようなヘンな文章にも惹かれて、もう一度丁寧に読んだが、よく分らない。」「どこか未知数の魅力がないとはいえない。しかし、もう一作、読んでみたかった。」
遠藤周作
男56歳
9 「私があえて授賞作とするならばと思ったのは青野聰氏の「愚者の夜」だった。」「村上氏にくらべて青野氏の作品は無骨、不器用だが、氏はこれからの新しい作家がどうしても通過せねばならぬ大問題にぶつかり、そして不器用な解答しかしていない。私はこの結末はかわないし、また結末が簡単にできるとは思わないが、氏の懸命な姿に好意を持った一人である。」
大江健三郎
男44歳
15 「この主題は、長篇として書きこむか、短篇としてスケッチするか、そのどちらかでなければ作品として成功させえぬ種類のものだ。この中篇でのそれとしての結末のつけ方がおざなりであるのはその形式上の理由によろう。」「これだけ表現をもとめるものを内部にたくわえている若い作者が、やがてそれにふさわしい小説の技術をかちとることはありえるはずだと思う。やはり欠陥を認めた上で、授賞に賛成した理由である。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
立松和平男31歳×各選考委員 
「閉じる家」
中篇 190
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
6 「筆は達者で一応読ませるが、この筆の達者は、省みると、わる達者かとも考えられた。作者も面白がって描いているようだが、これはよくないと私は考えた。」
中村光夫
男68歳
0  
吉行淳之介
男55歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
村上春樹男30歳×各選考委員 
「風の歌を聴け」
中篇 189
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
5 「アメリカ小説の影響を受けながら自分の個性を示さうとしてゐます。」「もしこれが単なる模倣なら、文章の流れ方がこんなふうに淀みのない調子ではゆかないでせう。それに、作品の柄がわりあひ大きいやうに思ふ。」
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
7 「このような架空の作りものは、作品の結晶度が高くなければ駄目だが、これはところどころ薄くて、吉野紙の漉きムラのようなうすく透いてみえるところがあった。しかし、異色のある作家のようで、私は長い眼で見たいと思った。」
中村光夫
男68歳
0  
吉行淳之介
男55歳
7 「芥川賞というのは新人をもみくちゃにする賞で、それでもかまわないと送り出してもよいだけの力は、この作品にはない。この作品の持味は素材が十年間の醗酵の上に立っているところで、もう一作読まないと、心細い。」
遠藤周作
男56歳
12 「憎いほど計算した小説である。しかし、この小説は反小説の小説と言うべきであろう。そして氏が小説のなかからすべての意味をとり去る現在流行の手法がうまければうまいほど私には「本当にそんなに簡単に意味をとっていいのか」という気持にならざるをえなかった。」
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
北澤三保男33歳×各選考委員 
「逆立ち犬」
短篇 104
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
4 「柄が大きいとは言へないけれど、感じのいい短篇小説でした。」「窓が大きくあけてある趣で、風通しがいい。文章の質もよいはうでせう。」
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
中村光夫
男68歳
0  
吉行淳之介
男55歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
増田みず子女30歳×各選考委員 
「ふたつの春」
短篇 108
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
中村光夫
男68歳
0  
吉行淳之介
男55歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
玉貫寛
「蘭の跡」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
玉貫寛男63歳×各選考委員 
「蘭の跡」
短篇 80
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
中村光夫
男68歳
4 「(引用者注:「やまあいの煙」と共に)小粒ながらすぐれた短篇です。」「題材の要求をよくこなし、調和のとれた作品をつくりあげています。」
吉行淳之介
男55歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
吉川良
「八月の光を受けよ」
  ページの先頭へ

候補者・作品
吉川良男42歳×各選考委員 
「八月の光を受けよ」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
0  
開高健
男48歳
0  
丹羽文雄
男74歳
0  
丸谷才一
男53歳
0  
安岡章太郎
男59歳
0  
瀧井孝作
男85歳
0  
中村光夫
男68歳
0  
吉行淳之介
男55歳
0  
遠藤周作
男56歳
0  
大江健三郎
男44歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
重兼芳子
「やまあいの煙」
青野聰
「愚者の夜」
立松和平
「閉じる家」
村上春樹
「風の歌を聴け」
北澤三保
「逆立ち犬」
増田みず子
「ふたつの春」
玉貫寛
「蘭の跡」
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像マップ