芥川賞のすべて・のようなもの
第81回
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Last Update[H26]2014/7/5

重兼芳子
Shigekane Yoshiko
生没年月日【注】 昭和2年/1927年3月7日~平成5年/1993年8月22日
受賞年齢 52歳4ヵ月
経歴 旧姓=植木。北海道空知郡上砂川町生まれ。福岡県立田川高等女学校(現・西田川高校)卒。昭和21年/1946年プロテスタントの洗礼を受け、昭和22年/1947年結婚。昭和44年/1969年より作歌を始め、昭和51年/1976年から朝日カルチャーセンターで小説創作を学ぶ。同人誌『まくた』に参加。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第79回芥川賞(昭和53年/1978年上期)「ベビーフード」
  • |候補| 第80回芥川賞(昭和53年/1978年下期)「髪(かみ)
  • 第81回芥川賞(昭和54年/1979年上期)「やまあいの煙」
備考
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芥川賞 第79回候補  一覧へ
「ベビーフード」(『まくた』3号[昭和53年/1978年3月])
媒体・作品情報
測定媒体 昭和54年/1979年8月・新潮社刊『透けた耳朶』
形態 四六判 上製
総ページ数 245 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×20行
×1段
本文ページ 51~92
(計42頁)
測定枚数 77
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書誌
>>昭和54年/1979年8月・新潮社刊『透けた耳朶』所収
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候補者 重兼芳子 女51歳
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄
男73歳
0  
中村光夫
男67歳
3 「自分の世界を持つ作品というだけで、当選は未だしというほかありません。」
大江健三郎
男43歳
0  
開高健
男47歳
0  
安岡章太郎
男58歳
0  
吉行淳之介
男54歳
2 「将来有望とおもった。」
丸谷才一
男52歳
0  
瀧井孝作
男84歳
0  
遠藤周作
男55歳
0  
井上靖
男71歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和53年/1978年9月号)
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芥川賞 第80回候補  一覧へ

かみ
(かみ)」(『まくた』昭和53年/1978年9月号)
媒体・作品情報
測定媒体 『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号
作品名 別表記 「髪」
総ページ数 512 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×26行
×2段
本文ページ 394~424
(計31頁)
測定枚数 99
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書誌
>>『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号
>>昭和54年/1979年8月・新潮社刊『透けた耳朶』所収「髪」
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候補者 重兼芳子 女51歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男43歳
16 「短篇としてよくプロットをつくりあげ、その一環の「わたし」の仮構にも、語り口にも工夫する。(引用者中略)この手続きをよくふんでいるが、それゆえに作る手つきはすけて見える。あざとく通俗的に感じられるところもあろう。したがって僕は、この作者がおなじ工夫の短篇をさらに重ねて、一冊の小説集にまとめ広い読者をえることを考えて、むしろ直木賞にふさわしいと思う。」「しかし(引用者中略)次作への期待をいだかしめるに十分」
中村光夫
男67歳
16 「稀れに見る感受性の持主です。」「小説全体にも作者の狙った効果は充分にでているのですが、問題はその狙いがどこにあるかです。」「僕としてはここにむしろ現代のタルチュフを認めます。」「ここまで人間の悪をいわば純粋に培養したら、作者は結末の責任をとらねばなりません。そこが紋切型のアイマイな態度で終っているのは致命的な欠点といえます。」
安岡章太郎
男58歳
5 「感受性という面からは最も優れたものがあるが、妙に作り過ぎたところが作品としては弱い。もっと小さな、身辺の断片でもいいから、それだけを克明に追求すれば、この感受性は生かされるのではないか。」
開高健
男48歳
9 「辛酸をなめぬいた、したたかな女が、したたかさにもかかわらずその汚泥のさなかであてどない愛についついひきこまれ、まきこまれていく姿を書くことに憑かれている。今回の作は随所にしたたか女の眼が光っていていいリアリティーを確保しているのだが、最後の詰めで投げだしてしまっているのが致命傷である。」
瀧井孝作
男84歳
3 「十日ほど前に読んで一月十九日の銓衡会のときは「髪」は何が書いてあったか思出せなかった。印象が淡くて忘れてしまったのだ。」
井上靖
男71歳
4 「テーマを打ち出すために物語を作って行く才能は、なかなか優れていると思ったが、しかし、(引用者中略)読後の印象は、はっきりしたものとしては、こちらに伝わって来なかった。」
丸谷才一
男53歳
7 「ひどく達者な小説だが、どうも感じが悪い。」「おそらく、小説とは何なのかといふとらへ方が低いせゐで、こんなことになるのである。残念な話だ。たとへば爪切りのくだりなど、なかなかいいところを見てゐるのに。」
丹羽文雄
男74歳
0  
吉行淳之介
男54歳
16 「感覚・感性については抜群で、そういう資質がつくり出すディテールが魅力的であった。」「私はこの作品を推したが、票が割れてしまったこともあって、最後には「授賞作ナシ」にくみした。」「せっかくのディテールの下の配線が行きとどいていなくて、ランプが点燈しなかったり、光りすぎたりする。」「もっと、自分の十分に掴んでいることだけを、むしろ作文風に書いてみたらよいのではあるまいか。」
遠藤周作
男55歳
9 「うまい作家だ。小説のツボを知っている。どんな材料でもこなせる危険がある。この「髪」も読ませるがしかし教会の人をあまりに薄っぺらに描きすぎている。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号)
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芥川賞 第81受賞  一覧へ

けむり
「やまあいの 煙」(『文學界』昭和54年/1979年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第33巻 第3号  別表記3月号
印刷/発行年月日 発行 昭和54年/1979年3月1日
発行者等 編集兼発行人 豊田健次 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 296 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 54~81
(計28頁)
測定枚数 82
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書誌
>>『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号
>>昭和54年/1979年9月・文藝春秋刊『やまあいの煙』所収
>>昭和55年/1980年4月・講談社刊『文学1980』所収
>>昭和57年/1982年11月・文藝春秋/文春文庫『やまあいの煙』所収
>>昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第12巻』所収
>>平成11年/1999年8月・角川書店刊『女性作家シリーズ23 現代秀作集』所収
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候補者 重兼芳子 女52歳
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
14 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「前半が実にいいが、後半が作品の調子をこわして、弱くなっている。」「しかし、そうした欠点はあるにしても、主題にひたむきにくい下がっているところは、何と言っても強い。こうなると、作品のよしあしでなく、作者の作品への対かい方ということになる。」
開高健
男48歳
16 「これまでにこの人の作品をいくつか読んできたが、どの作品にも通ずる一つの方程式があるという印象であった。」「しかし、この作品では妄執がふいに消えて晴朗が登場した。」「晴朗はこの時代では暗黒よりもはるかにむつかしいテーマであるから作者の大胆さを買いたいところである。ただ、それがあちらこちらで手ごたえを失い、稀薄になっているという恨みがある。」
丹羽文雄
男74歳
13 「とかく小説をつくりすぎるきらいがある。」「前半は、すばらしい出来であった。何故後半に母子相姦という、しかも説明不十分な追加をしたのか、残念である。この種の才能はとかく小説作りが上手になるだけである。作者の人間性というものが大切なことに気がつけば、小説なんか片手間に書けるなどといううぬぼれは叩きつぶされるであろう。」
丸谷才一
男53歳
12 「童話です。童話仕立ての小説と言つてもいい。」「さういふ性格のものとしてはいちおうまく出来てゐますが、しかし童話特有の恐しさはありません。たぶんこの作者は、前作のあと味の悪さを捨てようとした結果、苦りのきいてゐない小説を書くことになつたのでせう。そのことをわたしはいささか残念に思ひますが、しかしこの作に見られる優しさはやはり嬉しい。」
安岡章太郎
男59歳
12 「最も欠点の少い――或いは上げにくい――作品であろう。」「いわばこれは「創作民話」とでもいうべきものであろうか。しかし、いうまでもないことだが、本当の民話は個人の手でつくられたのではない。」「その点、私はこの作品には一抹の疑問がある。欠点は少いけれども、鮮烈なものが感じられないのだ。」
瀧井孝作
男85歳
4 「私は読み乍ら些か気味がわるくて、銓衡から外したが……。」
中村光夫
男68歳
9 「(引用者注:「蘭の跡」と共に)小粒ながらすぐれた短篇です。」「題材の要求をよくこなし、調和のとれた作品をつくりあげています。」「思い切って陰気な素材ですが、仕上げが美事なので、焼場の遺骨の堆積に、ある美と秩序が感じられます。」
吉行淳之介
男55歳
12 「前二回の作品を私は推したが、今回はどうも不満である。火葬場の作業員という仕事にたいして、まったく別の関係から光を当てようという試みは、これでは浅い。」「親子相姦も一つの趣向のようにみえてくる。」「この作品は気のはやりで、また以前のペースに戻ると信じたい。」
遠藤周作
男56歳
11 「他の銓衡委員も書くであろうように後半の老婆が出る場面から急に筆が急ぎすぎたため崩れた感じがある。そのためどうしても第一位に推す気持を失ったが、青野氏との授賞に反対するものではない。」
大江健三郎
男44歳
12 「これまでの作品に見られた、人物像の両義的な印象、つまり善をなすつもりで悪をなすような(あるいはその逆の)、一筋縄でゆかぬところを感じとらせる魅力は稀薄となった。むしろこれまでの作品すべてをひとまとめにして、その上での実力ということを考え、構成上の欠陥も見ぬのではないが、授賞に賛成した。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号)
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