芥川賞のすべて・のようなもの
第81回
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Last Update[H26]2014/6/20

青野聰
Aono So
生没年月日【注】 昭和18年/1943年7月27日~
受賞年齢 35歳11ヵ月
経歴 東京・世田谷生まれ。早稲田大学第一文学部中退。海外を放浪した後、昭和46年/1971年より創作を始める。父は文芸評論家の青野季吉。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第80回候補  一覧へ

はは けいやく
母と 子の 契約」(『文藝』昭和53年/1978年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「文藝」
巻号 第17巻 第11号  別表記11月特大号
印刷/発行年月日 発行 昭和53年/1978年11月1日
発行者等 編集者 金田太郎 発行者 佐藤晧三 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社河出書房新社(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 表紙・目次 190枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 40~105
(計66頁)
測定枚数 183
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書誌
>>『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号
>>昭和54年/1979年8月・河出書房新社刊『母と子の契約』
>>昭和56年/1981年2月・河出書房新社/河出文庫『母と子の契約』
>>平成5年/1993年2月・河出書房新社/河出文庫『母と子の契約』[新装版]
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候補者 青野聰 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男43歳
13 「中心の母親像も、それをとらえる子供自身の像も、面白さにおいて並はずれている。」「これはやはり実作者としての僕の、手さぐりの推測を出ぬが、この作者の素材の昇華のさせ方は、意識的な力をおおいにはたらかせていると思う。しかし、小説の読み手、書き手として経験の深い委員から、文章の実際に立った批判が出てくると、僕としてはその推測の根拠を示しえぬと気づく。」「しかし(引用者中略)次作への期待をいだかしめるに十分」
中村光夫
男67歳
9 「継母の描写が溌剌としすぎるせいか、彼女だけが画面一杯にひろがって、父や他の兄弟たちが影のような存在なのは、物足りませんが、これを種々の点で「蒲団」の裏返しと考えると、数世代を経る間の我国の私小説変質の跡が辿れそうです。」
安岡章太郎
男58歳
20 「荒削りながら主題の好さと、主人公の個性にひかされて、面白く読めた。一見、素朴な書き方だが、部分的にはオヤと思うほど達者であり、観察も光ったところがある。」「この主題は作者にとって掛けがえのないものであろうが、それにしては扱いが粗雑なのだ。」「日常不断の父親の生活態度のエゴイステックな面を、もう少し適確に捉えない限り、母親をいくら書きこんでも、書くだけ上滑りすることになる。」
開高健
男48歳
8 「さまざまな、いい獲物を狩りたてているのに、一歩飛躍して止メの一撃を定着するというところで躓いている。」「継母の特異さをなぞることでは成功したけれど、父をなぞることをしなかったので陰影を深められなかった。」
瀧井孝作
男84歳
7 「幼稚のようなやわらかい筆の味が活き活きして、私は今回これが一番よいと思った。」
井上靖
男71歳
0  
丸谷才一
男53歳
4 「ただ不思議な感じがしただけだつた。この小説の題材になつた家族に対しては同情する。しかしこの小説の作中人物である家族には、どのやうな共感も持てない。」
丹羽文雄
男74歳
0  
吉行淳之介
男54歳
2 「大人の視点で書いたものを読まないと、私には判定がつかない。」
遠藤周作
男55歳
10 「実にユニークな材料を扱い、ユニークな母と子どもとを描き、その才能を私は評価したが、文章であらずもがなの部分がありすぎた。これを削ればいいのにと思う箇所にぶつかるたび、残念だなと思わざるをえなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号)
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芥川賞 第81受賞  一覧へ

ぐしゃ
愚者の 夜」(『文學界』昭和54年/1979年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第33巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 昭和54年/1979年6月1日
発行者等 編集兼発行人 豊田健次 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 328 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 18~85
(計68頁)
測定枚数 204
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書誌
>>昭和54年/1979年8月・文藝春秋刊『愚者の夜』
>>『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号
>>昭和55年/1980年4月・講談社刊『文学1980』所収
>>昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第12巻』所収
>>昭和58年/1983年2月・文藝春秋/文春文庫『愚者の夜』所収
>>昭和63年/1988年12月・小学館刊『昭和文学全集 第31巻 澁澤龍彦・中井英夫・中野孝次・三木卓・色川武大・田中小実昌・金井美恵子・三田誠広・青野聰・立松和平・村上龍』所収
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候補者 青野聰 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男72歳
12 「書こうとしていることがはっきりしており、それに正面から取り組んでいるところはみごとである。」「多少ごたごたしたところもないではないが、まあ、難しい主題をよくこなしていると言っていいだろう。最後もいやみなく書けて、作品のいいしめくくりになっている。」
開高健
男48歳
15 「いかにもこなれのわるい、欠点だらけの作品であるが、にもかかわらずという一点がある。好感が抱けるのである。キズを承知で買いたくなるのである。根のないまま異国を漂うヒリヒルするような恐怖。または、西洋女のしんどさがもっとしぶとくねっとりと書きこまれてその脂肪が鼻さきに迫ってくる。この二つの要素のうちどちらかが止メの一撃として書きこまれてあれば、この作品だけで受賞できただろうと思うのだが、その点、残念である。」
丹羽文雄
男74歳
14 「読んだ直後の印象は混沌として、何とも捉えようのない小説であった。外人の女といういちばんむつかしい題材と取組んでいた。それが成功したとは思わないが、その取組み方に作者の力量と作家としての将来性に期待させるものがあった。」「日が経つについれて青野君の小説の印象が消えていくどころか、記憶にうかび上るようになった。」「強力な鮮明な記憶というのではないが、しぶとく生きつづけている。」
丸谷才一
男53歳
7 「前回にくらべて急に腕をあげました。この調子で進めばかなりのところまでゆくかもしれないといふ気持になつて、つい点が甘くなります。しかし、(引用者中略)総じて言へば、体力は申し分ないが運動神経はあまりない運動選手を見てゐるやうな感じでした。」
安岡章太郎
男59歳
17 「欠点を上げれば数限りもないであろう。第一、長すぎるし、構成もシッカリしているとはいえない。」「要するに、ヘンな外人を女房にした男の曲りくねったノロケ話といえば、それにつきるであろう。にもかかわらず私がこの作品を推したのは、とにもかくにもここには外人の女が一個の肉体をそなえたかたちで文章にあらわされているからだ。」
瀧井孝作
男85歳
9 「若い夫婦仲のゆがみがテーマにて、充実した中篇小説だ。私は、前回の芥川賞候補作、この青野君の『母と子の契約』という継母とまま子とを描いた中篇が宜かったが、惜しくも当選せず、今回は前回と二作つづいた秀作で、入賞は当然であった。」
中村光夫
男68歳
17 「量から云って、またある意味で質から見ても、ここで第一にあげるべき作品でしょう。」「メスの切れ味が冴えません。自分を見る眼にも、他人に対する視線にも、かなり厚い抒情の霞がかかっています。」「しかしこの退屈の底に、ある思いがけない魅力が湧きあがってくるのも事実です。それは作者自身も気付かなかった純潔な善良性というべきもので、父の遺産として氏の血のなかにあるものでしょう。」
吉行淳之介
男55歳
7 「作者の狙いがなにか分らないので、その厚ぼったいようなヘンな文章にも惹かれて、もう一度丁寧に読んだが、よく分らない。」「どこか未知数の魅力がないとはいえない。しかし、もう一作、読んでみたかった。」
遠藤周作
男56歳
9 「私があえて授賞作とするならばと思ったのは青野聰氏の「愚者の夜」だった。」「村上氏にくらべて青野氏の作品は無骨、不器用だが、氏はこれからの新しい作家がどうしても通過せねばならぬ大問題にぶつかり、そして不器用な解答しかしていない。私はこの結末はかわないし、また結末が簡単にできるとは思わないが、氏の懸命な姿に好意を持った一人である。」
大江健三郎
男44歳
15 「この主題は、長篇として書きこむか、短篇としてスケッチするか、そのどちらかでなければ作品として成功させえぬ種類のものだ。この中篇でのそれとしての結末のつけ方がおざなりであるのはその形式上の理由によろう。」「これだけ表現をもとめるものを内部にたくわえている若い作者が、やがてそれにふさわしい小説の技術をかちとることはありえるはずだと思う。やはり欠陥を認めた上で、授賞に賛成した理由である。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号)
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