芥川賞のすべて・のようなもの
第76回
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昭和51年/1976年下半期
(昭和52年/1977年1月18日決定発表/『文藝春秋』昭和52年/1977年3月号選評掲載)
選考委員  大江健三郎
男41歳
丹羽文雄
男72歳
安岡章太郎
男56歳
吉行淳之介
男52歳
中村光夫
男65歳
遠藤周作
男53歳
瀧井孝作
男82歳
井上靖
男69歳
永井龍男
男72歳
選評総行数  33 20 31 25 31 33 37 12 27
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
小久保均 「夏の刻印」
99
男46歳
0 0 0 0 0 0 1 0 6
小林信彦 「家の旗」
63
男44歳
0 11 0 0 0 0 2 0 2
中村昌義 「静かな日」
131
男(46歳)
0 0 5 3 0 0 6 0 2
寺久保友哉 「陽ざかりの道」
146
男39歳
16 0 10 8 16 15 21 4 6
小沼燦 「金魚」
69
男52歳
0 11 0 2 0 0 0 8 9
金鶴泳 「冬の光」
103
男38歳
12 0 17 8 2 17 7 4 8
神山圭介 「鴾色の武勲詩」
224
男47歳
0 0 5 2 0 0 0 0 6
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和52年/1977年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
大江健三郎男41歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
方法にかかわる限界 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
0  
寺久保友哉
男39歳
16 「僕は(引用者中略)評価した。」「筋書きの運び手である医師を、きわめてナイーブな市民性の持主にし、筋書きそのものを、結びにおいてはあざといほどに、人工的につくる。こうした方法で、小説らしさと医学的な正確さを、共存させた。展開も練達のものである。」「主題と形式の、お互いが他方を否定しあうところを、なんとか克服してゆく。そのような方法的自己訓練を希望したい。」
小沼燦
男52歳
0  
金鶴泳
男38歳
12 「僕は(引用者中略)評価した。」「場面ごとには素直な淡彩の絵と見えるものが、かさなりあって抵抗感のあるタブローをつくりだした。日本人の家庭には失われた、濃い血肉の雰囲気を呈示し、そこにかぶさる朝鮮戦争の大きい影を、着実に浮びあがらせる。」「しかし、むしろそうであるがゆえに、金氏にはこの手法で、在日朝鮮人の一子弟の戦後史を、長篇として書きあげてもらいたい。」
神山圭介
男47歳
0  
  「母国語の文学に、新しい光をあてるような作家を選びたい。しかし具体的な銓衡にあたっては、この原則から自由に、いちいちのテキストをよく読みとることを第一とする。このように考えて僕は銓衡委員会にのぞんだが、討論は、全体としてその方向にあったと思う。」
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他の選考委員
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
井上靖
永井龍男
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選考委員
丹羽文雄男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
心を捉えた二作 総行数20 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
11 「私の心を捉えた」「たれかが長篇の書出しのようだといったが、この作者の小説というものに対する構え方が私の気に入った。」「文学賞には、ある種の通弊がある。刺戟的な題材であることが、有力な条件となる。その意味では、(引用者中略)微力であった。当選を逸したが、悔いることはない作品だと思った。」
中村昌義
男(46歳)
0  
寺久保友哉
男39歳
0  
小沼燦
男52歳
11 「私の心を捉えた」「私は女性とばかり思っていた。男性と知って、評価を変えなければならなかった。たれかが幼稚だといったが、幼稚などころではない。十分に小説の構成を心得ている。」「この作品が芥川賞になったところで、すこしもおかしくはない。」「まともに向って来る読者を軽くいなしたような印象をあたえたであろう。好短篇であった。」
金鶴泳
男38歳
0  
神山圭介
男47歳
0  
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大江健三郎
安岡章太郎
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中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
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永井龍男
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選考委員
安岡章太郎男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
似たような作品 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
5 「(引用者注:「陽ざかりの道」「冬の光」と)甲乙つけ難い力量を感じさせる作品であるが、(引用者中略)主人公の兄、或いは妹との拘わりが不分明であるのは、作品をいちじるしく弱めていた。」
寺久保友哉
男39歳
10 「良かった。」「一見、素朴な語り口ながら、お膳立てがよくととのい、読んで面白く、明るい読後感をのこした。」「前作「棄小舟」と同じ作者のものとは思えぬ進境ぶりである。」「しかし、話の膳立てがよくととのい、どの人物も一応よく描けているというのは、裏返せばこの作品の弱点ということにもなるだろう。」
小沼燦
男52歳
0  
金鶴泳
男38歳
17 「良かった。」「目立たぬながら確実に進境を示しているように思われた。」「この作品のなかに「日本人」という言葉は一度も出てこないのであるが、かえってそのために、家庭にあっては暴力的な支配者である父親を本当に支配している者が誰であるかが、よくわかる。ただ、惜しむべきは、こうした自己抑制が文体には充分に反映せず、同じ詠嘆調の文章の後半になると何度も繰り返されるようになることだ。」
神山圭介
男47歳
5 「(引用者注:「陽ざかりの道」「冬の光」と)甲乙つけ難い力量を感じさせる作品であるが、(引用者中略)主人公の兄、或いは妹との拘わりが不分明であるのは、作品をいちじるしく弱めていた。」
  「こんどは何と似たような作品ばかりが集ったことだろう。」
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大江健三郎
丹羽文雄
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
井上靖
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選考委員
吉行淳之介男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
不作でもない 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
3 「筆をおさえて「花」の出ている部分はとてもいいのだが、不要の登場人物もあり、整理不足である。」
寺久保友哉
男39歳
8 「「陽ざかりの道」「冬の光」の二作が最後に残り、かなりの時間意見がかわされたが、結局授賞作なしにきまった。」「この作者に才能があることははっきりした。その才能のかたちが私には掴み切れない。いわゆるストーリー・テラーとしての流行作家になれる形のものかどうか、」
小沼燦
男52歳
2 「票は少なかったがうまい短篇」
金鶴泳
男38歳
8 「「陽ざかりの道」「冬の光」の二作が最後に残り、かなりの時間意見がかわされたが、結局授賞作なしにきまった。」「どちらかに票を入れなくてはならないとすれば、「冬の光」のほうだが……、と私は考えていた。」「氏の地味で生まじめな努力が実って、今度の作品は悪くない。」
神山圭介
男47歳
2 「大もとの計算を謬った。力のある失敗作だから、次作を期待したい。」
  「全部の作品に、私は票を半分ずつ入れた。こういうことは私としては初めてで、自分の気持としては「授賞作なし」なのだが、どの作品にもそれぞれ面白いところがあるので、あとは大勢にしたがうつもりだった。」
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大江健三郎
丹羽文雄
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中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
井上靖
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選考委員
中村光夫男65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「陽ざかりの道」 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
0  
寺久保友哉
男39歳
16 「最高の得票でしたが、いろいろに論議しているうちに長所より欠点の方が明かになって、今回は見送ろうということになりました。僕としては当選作にしてもよいぐらいの気持はあったので、少し残念でした。」「氏はたしかに人間の手で小説を書いているので、(引用者中略)厚い肉がつきゆたかな血が通っている感じです。」「しかしここにこの作にたいする僕らの物足りなさも胚胎します。」
小沼燦
男52歳
0  
金鶴泳
男38歳
2  
神山圭介
男47歳
0  
  「今度の候補作は七篇とも出来栄えが平均していて、どれも相当な錬度である代りに、これという傑出した作品がなく、なかから一篇を選ぶのはむずかしく思われました。」
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他の選考委員
大江健三郎
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
遠藤周作
瀧井孝作
井上靖
永井龍男
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選考委員
遠藤周作男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
はじめての芥川賞選考会に出て 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
0  
寺久保友哉
男39歳
15 「この作品を読んで私がどうしても納得できなかったのは、二人の患者の治療が結末において、あまりに上手に医者に希望を持たす運び方(原文傍点)である。希望を持たすのが悪いのではなく、その運び方がすじ書通りの点である。」
小沼燦
男52歳
0  
金鶴泳
男38歳
17 「「陽ざかりの道」と「冬の光」が話題になったが、私は個人として「冬の光」のほうにやや良いような気がして点をつけた。と言ってもこの小説を芥川賞として奨す自信もない。それはこの力作の主人公の描き方には、少しこれでもか、これでもかというふうに家庭的な不幸を並べ、そしてその結末を「家なき子」と「国なき子」に持っていく傾向があり、それが残念だったのである。」
神山圭介
男47歳
0  
  「芥川賞銓衡は始めてなので、どこに水準をおいて考えるべきかに困った。」「いずれにしろ、今回の銓衡会に出て私にも芥川賞の水準がかなりきびしいことがわかったと御報告しておく。」
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他の選考委員
大江健三郎
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
中村光夫
瀧井孝作
井上靖
永井龍男
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選考委員
瀧井孝作男82歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
寺久保氏と金鶴泳氏と 総行数37 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
1 「広島の原爆のこと。」
小林信彦
男44歳
2 「菓子店のむかしからの屋号の問題。」
中村昌義
男(46歳)
6 「兄と妹との愛情に敗戦当時のつらい思出。」「一応読ませるが、文章が歌って居るような、弱い他愛ない感じがして、読後一週間ほどしたら印象がぼやけて、何を書いてあったかなとわからなかった。」
寺久保友哉
男39歳
21 「前回よりもうまくなったと思った。」「私は精神病のことは全くわからぬが、この作者は医者だからもう少し病気の方のことも書いてあればよいと思った。また、しまいの方に出る宝石商という娘の父親の気持もよくはわからなかった。」
小沼燦
男52歳
0  
金鶴泳
男38歳
7 「しまいの方で、父親は只忿懣の癇癪持にて、これは朝鮮人の父親が異国住居の違和感に忿懣が暴発して異常になることがわかって、私は読んで暗澹としたものを感じた。」
神山圭介
男47歳
0  
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他の選考委員
大江健三郎
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
井上靖
永井龍男
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選考委員
井上靖男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
一応の成功作 総行数12 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
0  
小林信彦
男44歳
0  
中村昌義
男(46歳)
0  
寺久保友哉
男39歳
4 「そつなく書いていて、一応成功作と言えるものであった。が、ただ芥川賞作品として強く推すだけの清新な魅力はなかった。」
小沼燦
男52歳
8 「一番短篇小説らしい構成を持ったものとして、(引用者中略)面白く読んだ。」「が、後半多少達者になりすぎているところがあって、そのためか、読後の印象は作りものの感じだった。」
金鶴泳
男38歳
4 「そつなく書いていて、一応成功作と言えるものであった。が、ただ芥川賞作品として強く推すだけの清新な魅力はなかった。」
神山圭介
男47歳
0  
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他の選考委員
大江健三郎
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
永井龍男
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選考委員
永井龍男男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
次作に期待 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小久保均
男46歳
6 「「夏の刻印」の真摯さに、私は他の作品に劣らぬ好意を感じた。」
小林信彦
男44歳
2 「長篇の第一章という印象をうけ、」
中村昌義
男(46歳)
2 「主題である兄妹の関係に終始曖昧な感じを拭い切れず、」
寺久保友哉
男39歳
6 「七篇中もっとも小説的な作品だった。」「母を殺害した精神異常者の甦生の経過の中で、何一つそれについて触れない点が不審であった。」
小沼燦
男52歳
9 「短篇としては「金魚」と「冬の光」がすぐれ、(引用者中略)「作りもの」という評もあったが、作りものといわれるところが私には面白く、この作品の異色さと思われた。こういう短篇がもっと出てきてもよいのである。」
金鶴泳
男38歳
8 「短篇としては「金魚」と「冬の光」がすぐれ、(引用者中略)文章は鮮明で心地よかった。」「授賞作とするには(引用者中略)もう一作読んで見たいという気がした。」
神山圭介
男47歳
6 「敗戦時の特攻隊の転変について記述が過剰ではなかったか。点の入らぬラグビー試合を観戦しているような棘立ちをおぼえ、終章にいたって一息した。」
  「今回の候補作七篇は、一応粒が揃い、野心ばかり眼に立つという種類の作品はなかった。」
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他の選考委員
大江健三郎
丹羽文雄
安岡章太郎
吉行淳之介
中村光夫
遠藤周作
瀧井孝作
井上靖
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候補者・作品
小久保均男46歳×各選考委員 
「夏の刻印」
短篇 99
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
0  
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
0  
吉行淳之介
男52歳
0  
中村光夫
男65歳
0  
遠藤周作
男53歳
0  
瀧井孝作
男82歳
1 「広島の原爆のこと。」
井上靖
男69歳
0  
永井龍男
男72歳
6 「「夏の刻印」の真摯さに、私は他の作品に劣らぬ好意を感じた。」
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他の候補作
小林信彦
「家の旗」
中村昌義
「静かな日」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
小沼燦
「金魚」
金鶴泳
「冬の光」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
小林信彦男44歳×各選考委員 
「家の旗」
短篇 63
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
0  
丹羽文雄
男72歳
11 「私の心を捉えた」「たれかが長篇の書出しのようだといったが、この作者の小説というものに対する構え方が私の気に入った。」「文学賞には、ある種の通弊がある。刺戟的な題材であることが、有力な条件となる。その意味では、(引用者中略)微力であった。当選を逸したが、悔いることはない作品だと思った。」
安岡章太郎
男56歳
0  
吉行淳之介
男52歳
0  
中村光夫
男65歳
0  
遠藤周作
男53歳
0  
瀧井孝作
男82歳
2 「菓子店のむかしからの屋号の問題。」
井上靖
男69歳
0  
永井龍男
男72歳
2 「長篇の第一章という印象をうけ、」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
中村昌義
「静かな日」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
小沼燦
「金魚」
金鶴泳
「冬の光」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
中村昌義男(46歳)×各選考委員 
「静かな日」
短篇 131
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
0  
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
5 「(引用者注:「陽ざかりの道」「冬の光」と)甲乙つけ難い力量を感じさせる作品であるが、(引用者中略)主人公の兄、或いは妹との拘わりが不分明であるのは、作品をいちじるしく弱めていた。」
吉行淳之介
男52歳
3 「筆をおさえて「花」の出ている部分はとてもいいのだが、不要の登場人物もあり、整理不足である。」
中村光夫
男65歳
0  
遠藤周作
男53歳
0  
瀧井孝作
男82歳
6 「兄と妹との愛情に敗戦当時のつらい思出。」「一応読ませるが、文章が歌って居るような、弱い他愛ない感じがして、読後一週間ほどしたら印象がぼやけて、何を書いてあったかなとわからなかった。」
井上靖
男69歳
0  
永井龍男
男72歳
2 「主題である兄妹の関係に終始曖昧な感じを拭い切れず、」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
小林信彦
「家の旗」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
小沼燦
「金魚」
金鶴泳
「冬の光」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
寺久保友哉男39歳×各選考委員 
「陽ざかりの道」
中篇 146
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
16 「僕は(引用者中略)評価した。」「筋書きの運び手である医師を、きわめてナイーブな市民性の持主にし、筋書きそのものを、結びにおいてはあざといほどに、人工的につくる。こうした方法で、小説らしさと医学的な正確さを、共存させた。展開も練達のものである。」「主題と形式の、お互いが他方を否定しあうところを、なんとか克服してゆく。そのような方法的自己訓練を希望したい。」
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
10 「良かった。」「一見、素朴な語り口ながら、お膳立てがよくととのい、読んで面白く、明るい読後感をのこした。」「前作「棄小舟」と同じ作者のものとは思えぬ進境ぶりである。」「しかし、話の膳立てがよくととのい、どの人物も一応よく描けているというのは、裏返せばこの作品の弱点ということにもなるだろう。」
吉行淳之介
男52歳
8 「「陽ざかりの道」「冬の光」の二作が最後に残り、かなりの時間意見がかわされたが、結局授賞作なしにきまった。」「この作者に才能があることははっきりした。その才能のかたちが私には掴み切れない。いわゆるストーリー・テラーとしての流行作家になれる形のものかどうか、」
中村光夫
男65歳
16 「最高の得票でしたが、いろいろに論議しているうちに長所より欠点の方が明かになって、今回は見送ろうということになりました。僕としては当選作にしてもよいぐらいの気持はあったので、少し残念でした。」「氏はたしかに人間の手で小説を書いているので、(引用者中略)厚い肉がつきゆたかな血が通っている感じです。」「しかしここにこの作にたいする僕らの物足りなさも胚胎します。」
遠藤周作
男53歳
15 「この作品を読んで私がどうしても納得できなかったのは、二人の患者の治療が結末において、あまりに上手に医者に希望を持たす運び方(原文傍点)である。希望を持たすのが悪いのではなく、その運び方がすじ書通りの点である。」
瀧井孝作
男82歳
21 「前回よりもうまくなったと思った。」「私は精神病のことは全くわからぬが、この作者は医者だからもう少し病気の方のことも書いてあればよいと思った。また、しまいの方に出る宝石商という娘の父親の気持もよくはわからなかった。」
井上靖
男69歳
4 「そつなく書いていて、一応成功作と言えるものであった。が、ただ芥川賞作品として強く推すだけの清新な魅力はなかった。」
永井龍男
男72歳
6 「七篇中もっとも小説的な作品だった。」「母を殺害した精神異常者の甦生の経過の中で、何一つそれについて触れない点が不審であった。」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
小林信彦
「家の旗」
中村昌義
「静かな日」
小沼燦
「金魚」
金鶴泳
「冬の光」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
小沼燦男52歳×各選考委員 
「金魚」
短篇 69
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
0  
丹羽文雄
男72歳
11 「私の心を捉えた」「私は女性とばかり思っていた。男性と知って、評価を変えなければならなかった。たれかが幼稚だといったが、幼稚などころではない。十分に小説の構成を心得ている。」「この作品が芥川賞になったところで、すこしもおかしくはない。」「まともに向って来る読者を軽くいなしたような印象をあたえたであろう。好短篇であった。」
安岡章太郎
男56歳
0  
吉行淳之介
男52歳
2 「票は少なかったがうまい短篇」
中村光夫
男65歳
0  
遠藤周作
男53歳
0  
瀧井孝作
男82歳
0  
井上靖
男69歳
8 「一番短篇小説らしい構成を持ったものとして、(引用者中略)面白く読んだ。」「が、後半多少達者になりすぎているところがあって、そのためか、読後の印象は作りものの感じだった。」
永井龍男
男72歳
9 「短篇としては「金魚」と「冬の光」がすぐれ、(引用者中略)「作りもの」という評もあったが、作りものといわれるところが私には面白く、この作品の異色さと思われた。こういう短篇がもっと出てきてもよいのである。」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
小林信彦
「家の旗」
中村昌義
「静かな日」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
金鶴泳
「冬の光」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
金鶴泳男38歳×各選考委員 
「冬の光」
短篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
12 「僕は(引用者中略)評価した。」「場面ごとには素直な淡彩の絵と見えるものが、かさなりあって抵抗感のあるタブローをつくりだした。日本人の家庭には失われた、濃い血肉の雰囲気を呈示し、そこにかぶさる朝鮮戦争の大きい影を、着実に浮びあがらせる。」「しかし、むしろそうであるがゆえに、金氏にはこの手法で、在日朝鮮人の一子弟の戦後史を、長篇として書きあげてもらいたい。」
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
17 「良かった。」「目立たぬながら確実に進境を示しているように思われた。」「この作品のなかに「日本人」という言葉は一度も出てこないのであるが、かえってそのために、家庭にあっては暴力的な支配者である父親を本当に支配している者が誰であるかが、よくわかる。ただ、惜しむべきは、こうした自己抑制が文体には充分に反映せず、同じ詠嘆調の文章の後半になると何度も繰り返されるようになることだ。」
吉行淳之介
男52歳
8 「「陽ざかりの道」「冬の光」の二作が最後に残り、かなりの時間意見がかわされたが、結局授賞作なしにきまった。」「どちらかに票を入れなくてはならないとすれば、「冬の光」のほうだが……、と私は考えていた。」「氏の地味で生まじめな努力が実って、今度の作品は悪くない。」
中村光夫
男65歳
2  
遠藤周作
男53歳
17 「「陽ざかりの道」と「冬の光」が話題になったが、私は個人として「冬の光」のほうにやや良いような気がして点をつけた。と言ってもこの小説を芥川賞として奨す自信もない。それはこの力作の主人公の描き方には、少しこれでもか、これでもかというふうに家庭的な不幸を並べ、そしてその結末を「家なき子」と「国なき子」に持っていく傾向があり、それが残念だったのである。」
瀧井孝作
男82歳
7 「しまいの方で、父親は只忿懣の癇癪持にて、これは朝鮮人の父親が異国住居の違和感に忿懣が暴発して異常になることがわかって、私は読んで暗澹としたものを感じた。」
井上靖
男69歳
4 「そつなく書いていて、一応成功作と言えるものであった。が、ただ芥川賞作品として強く推すだけの清新な魅力はなかった。」
永井龍男
男72歳
8 「短篇としては「金魚」と「冬の光」がすぐれ、(引用者中略)文章は鮮明で心地よかった。」「授賞作とするには(引用者中略)もう一作読んで見たいという気がした。」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
小林信彦
「家の旗」
中村昌義
「静かな日」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
小沼燦
「金魚」
神山圭介
「鴾色の武勲詩」
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候補者・作品
神山圭介男47歳×各選考委員 
「鴾色の武勲詩」
中篇 224
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
0  
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
5 「(引用者注:「陽ざかりの道」「冬の光」と)甲乙つけ難い力量を感じさせる作品であるが、(引用者中略)主人公の兄、或いは妹との拘わりが不分明であるのは、作品をいちじるしく弱めていた。」
吉行淳之介
男52歳
2 「大もとの計算を謬った。力のある失敗作だから、次作を期待したい。」
中村光夫
男65歳
0  
遠藤周作
男53歳
0  
瀧井孝作
男82歳
0  
井上靖
男69歳
0  
永井龍男
男72歳
6 「敗戦時の特攻隊の転変について記述が過剰ではなかったか。点の入らぬラグビー試合を観戦しているような棘立ちをおぼえ、終章にいたって一息した。」
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他の候補作
小久保均
「夏の刻印」
小林信彦
「家の旗」
中村昌義
「静かな日」
寺久保友哉
「陽ざかりの道」
小沼燦
「金魚」
金鶴泳
「冬の光」
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