芥川賞のすべて・のようなもの
第70回
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Last Update[H26]2014/7/5

金鶴泳
Kin Kakuei
生没年月日【注】 昭和13年/1938年9月14日~昭和60年/1985年1月4日
経歴 本名=金廣正(キム・クァンジョン)。別読み=キム・ハギョン。群馬県生まれ。東京大学大学院化学系研究科博士課程中退。在日朝鮮人二世。昭和41年/1966年、文藝賞を受賞し作家デビュー。昭和60年/1985年自殺。
受賞歴・候補歴
  • 第4回文芸賞(昭和41年/1966年)「凍える口」
  • |候補| 第70回芥川賞(昭和48年/1973年下期)「石の道」
  • |候補| 第2回平林たい子文学賞[小説部門](昭和49年/1974年)「石の道」
  • |候補| 第71回芥川賞(昭和49年/1974年上期)「夏の亀裂」
  • |候補| 第76回芥川賞(昭和51年/1976年下期)「冬の光」
  • |候補| 第79回芥川賞(昭和53年/1978年上期)「鑿(のみ)
備考 作家名の読み方について、当サイトでは「キム・ハギョン」を採用していました。
しかし作家本人のエッセイ「一匹の羊」(昭和47年/1972年7月・河出書房新社刊『新鋭作家叢書 金鶴泳』所収)に以下のような記述があります。
「私は、自分の名前に読み仮名をふさねばならないとき、「きんかくえい」とふることにしている。(中略)「金鶴泳」は、朝鮮語では「キムハギョン」と発音するのだが、私が敢えて「きんかくえい」と仮名をふるのは、朝鮮式の姓名を、そのように日本式に読むのが何か自分という人間の、内実を象徴しているようでふさわしいと思うからである。」
また、当サイトでは極力、候補時の情報を活かしたいと考えています。
当時の著書に付された著者略歴では「きん・かくえい」と読みが振られていることも考えて、
読みを修正しました。ここにお断りしておきます。
(2012.11.4記)
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いし みち
石の 道」(『季刊藝術』27号[昭和48年/1973年10月])
媒体・作品情報
誌名 「季刊藝術」
巻号 通巻 第27号/第7巻 第4号  別表記1973秋
印刷/発行年月日 発行 昭和48年/1973年10月1日
発行者等 編輯人 古山高麗雄 発行人 遠山一行 印刷所 豐國印刷株式会社(活版)、株式会社光村原色印刷所(平版)
発行所 季刊藝術出版株式会社(東京都) 発売元 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 242 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
33字
×25行
×2段
本文ページ 176~205
(計30頁)
測定枚数 111
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書誌
>>昭和49年/1974年5月・講談社刊『文学1974』所収
>>昭和49年/1974年12月・河出書房新社刊『石の道』所収
>>昭和61年/1986年1月・作品社刊『金鶴泳作品集成』所収
>>平成13年/2001年1月・群馬県立土屋文明記念文学館刊『群馬文学全集 第19巻 現代作家集』所収
>>平成16年/2004年7月・クレイン刊『凍える口―金鶴泳作品集』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第6巻 金鶴泳』所収
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候補者 金鶴泳 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
大岡昇平
男64歳
8 「感心した。」「土地が、多分故郷との対比において、重要な役割を果し、「石の道」は象徴的な重みを感じさせる。しかし女主人公の回想が少し無造作に、継続的に取り出されること、結末の幻想的な処理に、私は朝鮮文学を感じてしまう。」「この辺は何となく軽い感じになった。」
瀧井孝作
男79歳
5 「筆の初いういしいのが佳かった。日本語に馴れずに初心に書いたものと見た。」
井上靖
男66歳
0  
中村光夫
男62歳
0  
永井龍男
男69歳
0  
丹羽文雄
男69歳
0  
吉行淳之介
男49歳
3 「八年ほど前その長篇にたいして消極的な評をしたことがあるが、(引用者中略)おどろくほどの進歩で、欠点はあるにしても日野・野呂に劣るとはいえない。」
安岡章太郎
男53歳
3 「(引用者注:「此岸の家」「月山」「石の道」「草のつるぎ」などは)過去数回の授賞作と並べて劣らざるものであり、どれが授賞しても異存ないようなものであった。」
舟橋聖一
男69歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和49年/1974年3月号)
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なつ きれつ
夏の 亀裂」(『文學界』昭和49年/1974年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第28巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 昭和49年/1974年6月1日
発行者等 編集兼発行人 西永達夫 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 264 表記上の枚数 目次 170枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 32~88
(計57頁)
測定枚数 172
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書誌
>>昭和49年/1974年12月・河出書房新社刊『石の道』所収
>>平成16年/2004年7月・クレイン刊『凍える口―金鶴泳作品集』所収
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候補者 金鶴泳 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
大岡昇平
男65歳
0  
丹羽文雄
男69歳
0  
中村光夫
男63歳
0  
井上靖
男67歳
6 「真面目に主題に取り組んでいて、正面から書いているところには好感が持てたが、もともと短篇の材料ではないと思った。」
永井龍男
男70歳
3 「清潔な作品である。」「読書会の輪講やそのメンバーに筆が及ぶと、これだけでは到底書き足りないと思った。」
吉行淳之介
男50歳
4 「生マジメすぎた。」「(引用者注:マジメでなく)生マジメとなると、作品から味とふくらみが失われやすい。」
舟橋聖一
男69歳
9 「平板なところもあるが、真剣味にあふれている。終りの部分で、ナルシシズムとも違う自己尊敬という新しい語彙が出てくるのは、注目していい。」「(引用者注:「浮ぶ部屋」と共に)何かを書こうとする主題が感じられて、書き足りないところはあっても、読む者に訴えてくる誠実さと迫力がある。」
瀧井孝作
男80歳
0  
安岡章太郎
男54歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和49年/1974年9月号)
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ふゆ ひかり
冬の 光」(『文藝』昭和51年/1976年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「文藝」
巻号 第15巻 第11号  別表記11月号
印刷/発行年月日 発行 昭和51年/1976年11月1日
発行者等 編集者 寺田 博 発行者 佐藤晧三 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社河出書房新社(東京都)
総ページ数 264 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 104~138
(計35頁)
測定枚数 103
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書誌
>>昭和53年/1978年9月・文藝春秋刊『鑿』所収
>>昭和61年/1986年1月・作品社刊『金鶴泳作品集成』所収
>>平成16年/2004年7月・クレイン刊『凍える口―金鶴泳作品集』所収
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候補者 金鶴泳 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男41歳
12 「僕は(引用者中略)評価した。」「場面ごとには素直な淡彩の絵と見えるものが、かさなりあって抵抗感のあるタブローをつくりだした。日本人の家庭には失われた、濃い血肉の雰囲気を呈示し、そこにかぶさる朝鮮戦争の大きい影を、着実に浮びあがらせる。」「しかし、むしろそうであるがゆえに、金氏にはこの手法で、在日朝鮮人の一子弟の戦後史を、長篇として書きあげてもらいたい。」
丹羽文雄
男72歳
0  
安岡章太郎
男56歳
17 「良かった。」「目立たぬながら確実に進境を示しているように思われた。」「この作品のなかに「日本人」という言葉は一度も出てこないのであるが、かえってそのために、家庭にあっては暴力的な支配者である父親を本当に支配している者が誰であるかが、よくわかる。ただ、惜しむべきは、こうした自己抑制が文体には充分に反映せず、同じ詠嘆調の文章の後半になると何度も繰り返されるようになることだ。」
吉行淳之介
男52歳
8 「「陽ざかりの道」「冬の光」の二作が最後に残り、かなりの時間意見がかわされたが、結局授賞作なしにきまった。」「どちらかに票を入れなくてはならないとすれば、「冬の光」のほうだが……、と私は考えていた。」「氏の地味で生まじめな努力が実って、今度の作品は悪くない。」
中村光夫
男65歳
2  
遠藤周作
男53歳
17 「「陽ざかりの道」と「冬の光」が話題になったが、私は個人として「冬の光」のほうにやや良いような気がして点をつけた。と言ってもこの小説を芥川賞として奨す自信もない。それはこの力作の主人公の描き方には、少しこれでもか、これでもかというふうに家庭的な不幸を並べ、そしてその結末を「家なき子」と「国なき子」に持っていく傾向があり、それが残念だったのである。」
瀧井孝作
男82歳
7 「しまいの方で、父親は只忿懣の癇癪持にて、これは朝鮮人の父親が異国住居の違和感に忿懣が暴発して異常になることがわかって、私は読んで暗澹としたものを感じた。」
井上靖
男69歳
4 「そつなく書いていて、一応成功作と言えるものであった。が、ただ芥川賞作品として強く推すだけの清新な魅力はなかった。」
永井龍男
男72歳
8 「短篇としては「金魚」と「冬の光」がすぐれ、(引用者中略)文章は鮮明で心地よかった。」「授賞作とするには(引用者中略)もう一作読んで見たいという気がした。」
選評出典:『芥川賞全集 第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和52年/1977年3月号)
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のみ
(のみ)」(『文學界』昭和53年/1978年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第32巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 昭和53年/1978年6月1日
発行者等 編集兼発行人 豊田健次 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 328 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 169~197
(計29頁)
測定枚数 87
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書誌
>>昭和53年/1978年9月・文藝春秋刊『鑿』所収
>>昭和61年/1986年1月・作品社刊『金鶴泳作品集成』所収
>>平成16年/2004年7月・クレイン刊『凍える口―金鶴泳作品集』所収
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第6巻 金鶴泳』所収
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候補者 金鶴泳 男39歳
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄
男73歳
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中村光夫
男67歳
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大江健三郎
男43歳
9 「(引用者注:「雪ふる年よ」と共に)前作の世界をさらに深めている。文章も充分な力をそなえているし、(引用者中略)主題をになう人物たちも、その社会、時代との関わりともども、入念に表現されている。」「僕が(引用者中略)積極的に票を投じなかったのは、ただこれらが、独立した短篇であるよりも、大きい長篇、あるいは連作としてまとまった時にこそ力を発揮すると考えるからであり、そのほかではない。」
開高健
男47歳
0  
安岡章太郎
男58歳
10 「印象に残った。それは朝鮮人の母親が、十八歳で単身日本へ渡ってくるとき、さまざまの苦労をかさねながら、それでも貧しい朝鮮にいるよりはという気持で、不安よりも期待に胸をふくらますことが書かれているためだ。」
吉行淳之介
男54歳
0  
丸谷才一
男52歳
0  
瀧井孝作
男84歳
0  
遠藤周作
男55歳
0  
井上靖
男71歳
3 「(引用者注:「雪ふる年よ」)」と共に)候補作の七篇の中で、作者がどうしても書かなければならぬ主題と取り組んでいる」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和53年/1978年9月号)
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