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第74回
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昭和50年/1975年下半期
(昭和51年/1976年1月14日決定発表/『オール讀物』昭和51年/1976年4月号選評掲載)
選考委員  水上勉
男56歳
源氏鶏太
男63歳
司馬遼太郎
男52歳
柴田錬三郎
男58歳
石坂洋次郎
男75歳
村上元三
男65歳
川口松太郎
男76歳
今日出海
男72歳
松本清張
男66歳
選評総行数  55 51 56 52 54 55 47 50 57
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
佐木隆三 『復讐するは我にあり』
801
男38歳
35 12 30 38 12 30 11 19 37
有明夏夫 「夜明け」
211
男39歳
0 6 0 0 5 9 7 5 0
片岡義男 「スローなブギにしてくれ」
89
男35歳
0 6 0 0 8 3 0 0 0
白石一郎 「幻島記」
84
男44歳
13 9 0 0 7 6 11 6 7
沼田陽一 『コメディアン犬舎の友情』
362
男49歳
0 6 0 0 8 3 0 0 0
田中光二 『大いなる逃亡』
474
男34歳
17 7 20 14 10 7 15 7 13
醍醐麻沙夫 「夜の標的」
139
男41歳
0 5 0 0 8 3 0 0 0
            欠席
書面回答
   
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和51年/1976年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
水上勉男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
辛苦の試みが成功 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
35 「もっとも勝れていた。」「調書を手がかりに、傍証また傍証、執拗な眼と、足の延びに感歎したと同時に、読み終えて、これが現代小説の新しい試みに成功していることを思い、敬意をもった。」「手法の新しさといったのは、主題に迫る簡潔な文体が、ひとりよがりの心理描写を排除した点にこそあると思う。」
有明夏夫
男39歳
0  
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
13 「印象にのこった。」「もう少し簡潔に整理されていたら、手硬い好短篇になったのではないか。」
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
17 「印象にのこった。」「私には、田中さんの文章の気取りのようなものが気にかかってしかたなかった。筆力もある人なので、もう一作を待つという側に廻った。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
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他の選考委員
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
源氏鶏太男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文句なしの面白さ 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
12 「仕事が終始丁寧で、犯行当時の事件の経緯を見事に再現し、そこからある程度の犯人像を浮かび上らせている。しかも、読んでいて面白いのだから文句のつけようがなかった。」
有明夏夫
男39歳
6 「大変な努力作であるが、散漫に流れ過ぎている。したがって、迫力がすくなかった。もっと、人物をしぼった方がよかったのではなかろうか。」
片岡義男
男35歳
6 「いかにも新しい作品のようで、登場人物が結局、作者のロボットに終っていると感じさせるところに難点があった。」
白石一郎
男44歳
9 「地味であるが、テーマがよく、好きな作品であった。」「ただ、最も比較の対象になる佐木氏の作品にくらべると、重量感に欠けているとの感じをまぬがれ得なかった。」
沼田陽一
男49歳
6 「私が犬嫌いのせいもあってか、なじめなかった。ただの読み物で、それほど調子の高い作品とは思われなかった。」
田中光二
男34歳
7 「私には、部分的な冴えに感心しながらも、読み終った後に、あるむなしさが残ってどうにもならなかった。せっかくの才能なのに、と思った。」
醍醐麻沙夫
男41歳
5 「話を複雑にしてよくつくってあるが、通りいっぺんの面白さである。部分的に劇画を感じさせるところがあった。」
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他の選考委員
水上勉
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
司馬遼太郎男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
あたらしい方法 総行数56 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
30 「娯楽で読む人はすくないにちがいない。」「人間の形をした「空白」をのぞきこんだとき、ごく一般的な作法によるなまなかな饒舌よりも人間のぶきみさについて、はるかに内容の深い何事かを感じさせる。」
有明夏夫
男39歳
0  
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
0  
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
20 「読者としては、田中光二氏「大いなる逃亡」がおもしろかった。頭から大うその世界へ入ってゆける楽しみは大げさにいえば心が躍るようである。」「が、私だけが面白がっていることが賞になるのかということになると、疑問を感じてしまう。」「受賞しないということも、ある意味ではこの種の娯楽性の高い作品にとって一つの名誉であるとも思った。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
  「こういう選考というのは私には苦手で、経験を経るに従って迷いの振幅が大きくなってくる。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
柴田錬三郎男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
小説のリアリティ 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
38 「私は、(引用者中略)買わない。」「ノンフィクション・ノベル、という奇妙なジャンルがあるらしいが、私には、そんなジャンルをみとめることのばかばかしさが、先立つ。」「丹念に、犯行のありさまと逃亡経過を、辿ったところで、それは、小説のリアリティとはならない。」
有明夏夫
男39歳
0  
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
0  
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
14 「リアリティがない、という批判があったが、この作品は、はじめから、嘘っぱちなのである。嘘の面白さを、私は、受賞作よりも、高く買った。」「このSF作家は、将来、リアリティ(原文傍点)のある作品も書ける才能をそなえている、と私は期待する。亡父の才能より秀れているような気もしている。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
石坂洋次郎男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
はじめから最高点 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
12 「ハンサムで頭のいい異質の犯罪者・榎津巌(最後は死刑になる)の行動がよく描かれており、私はこの作品にはじめから最高点をつけていたし、選考委員の多くもそうだったようで、まずは佐木隆三君おめでとう、と、いうところだ。」
有明夏夫
男39歳
5 「よく調べて書いてあるわりに、これも現実性が不足だった。」
片岡義男
男35歳
8 「高校生男女二人のアナーキーで感覚的な生活が描かれていて面白いと思ったが、作品としてシンが薄いのか支持者が少かった。」
白石一郎
男44歳
7 「当時の史実にこだわりすぎて現実性が乏しい。」
沼田陽一
男49歳
8 「犬舎に飼われている犬を中心に三つの物語が述べられてあり、私はそれぞれに面白いと思ったが、共鳴者が得られず、残念だった。」
田中光二
男34歳
10 「面白いが、着想も文章も奔放すぎて、実感がうすい。」
醍醐麻沙夫
男41歳
8 「若い革命家達が、リオデジャネイロで、音符をモールス符号に転用したりして奔放な生活を送っている話で、これもレアリテーに欠けていた。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
村上元三男65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
どすんと手ごたえ 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
30 「一ばん面白かったし、文学経歴も古い人だろう、と思った。」「読んでいて少しも疲れなかった。」「数多い登場人物をよく描き分けてあるし、文章もしっかりしている上に、会話がうまい。」
有明夏夫
男39歳
9 「資料の咀嚼が足りない。主人公と思われる宮五郎を中心に、もっと自由な書きかたをしてほしかった。」
片岡義男
男35歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
白石一郎
男44歳
6 「笠春兆を中心にした前半と、瓜生島の研究についての後半と、むしろ二部に分け、それぞれ独立した作品にすべきではなかったろうか。」
沼田陽一
男49歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
田中光二
男34歳
7 「わたしがスパイ小説の読みすぎのせいか、作者があとがきに書いている創作姿勢ほどには、この作品に新しさも面白さも感じられなかった。」
醍醐麻沙夫
男41歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員
川口松太郎男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
大いにたのもしい 総行数47 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
11 「一ばん読みごたえがあった。内容も充実して筆力も確かだし信頼出来た。心せねばならぬ事はこの種のドキュメント作品は報道的記述の多くなる危険だ。」「今後の佐木君がどんな傾向の作品を書くか注目したいところだ。」
有明夏夫
男39歳
7 「よく勉強し研究していて読後のあと味はよかった。集めた材料を残らず盛り込もうとして枝葉が多すぎて肝心の中心がぼやけている。」
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
11 「直木賞候補作家としてお馴染の顔ぶれだがどうも決定打がない。ずばりとつけ抜ける強さに欠ける。今回にしてもケレンのない描写には好意が持てても瓜生島伝説だけでは物足らない。」
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
15 「面白かった。読み終ってやや莫迦莫迦しくもあったが、然し笑ってすごせない感情もあった。」「「大いなる逃亡」の科学兵器は現実化する可能性を持っているのか、単なる空想にすぎないのか。作品の外の興味もある。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
  「直木賞候補作の水準が目に見えて上って来ている。これは文学のためにも慶賀すべき事で大いにたのもしい。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員
今日出海男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
今回は粒揃い 総行数50 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
19 「このような推理小説の構造上の類例が世界にあるのかどうか、私は寡聞にして知らないが、一つの新しい形式だとも思って面白く読んだ。」「第二作を期待出来る有能な作家であることは確かである。」
有明夏夫
男39歳
5 「登場人物それぞれが面白いが、どれも分明に書き足りていないのが惜しまれた。」
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
6 「その着想に興味をそそられたが、いま一つ描写、叙述に鮮明を欠くものがある。今後の精進によって意外に進歩する素質を持っている人のようにも思われる。」
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
7 「若々しい筆致で、新しい題材に取り組んでいることは興味深いが、才筆は時に小説の安定感を失うことがある。作者も時に自分の才に不安を抱かぬだろうか。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
  「今回の直木賞候補作品は粒が揃っていた。が、その中でどれか一作が頭抜けているというのも見出せなかった。私は考えあぐねて受賞作なしと結論した。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
松本清張
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選考委員
松本清張男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文章がうまい 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐木隆三
男38歳
37 「前から好評を聞いていたが、読了して二つの感想をもった。文章がうまい。会話が地の文につづく変化とリズム感、改行の少いのも記録的なものの効果をあげている。」「しかし、その一面、犯行の詳細を外側から書いて積みあげ、犯人の人間像を彫りくぼめるという意図がかならずしも成功しているとは思えない。」
有明夏夫
男39歳
0  
片岡義男
男35歳
0  
白石一郎
男44歳
7 「これまでのなかで、もっとも出色な着想の作品だった。最後の呟きをもりあげるためには、他を省筆し、もう少し短い、きりっとしたものに仕上げるべきではなかったろうか。」
沼田陽一
男49歳
0  
田中光二
男34歳
13 「「謀略」をテーマにしたSF小説だが、宇宙人が現われる話よりも、はるかに将来の可能性をおぼえさせる。」「会話が翻訳小説のように気どりすぎて浮き上っている。活劇の連続も悪くはないが、少しドタバタすぎる。」「しかし、文章がうまく、田中光二君は有望な新人と思った。」
醍醐麻沙夫
男41歳
0  
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
今日出海
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受賞者・作品
佐木隆三男38歳×各選考委員 
『復讐するは我にあり』
長篇 801
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
35 「もっとも勝れていた。」「調書を手がかりに、傍証また傍証、執拗な眼と、足の延びに感歎したと同時に、読み終えて、これが現代小説の新しい試みに成功していることを思い、敬意をもった。」「手法の新しさといったのは、主題に迫る簡潔な文体が、ひとりよがりの心理描写を排除した点にこそあると思う。」
源氏鶏太
男63歳
12 「仕事が終始丁寧で、犯行当時の事件の経緯を見事に再現し、そこからある程度の犯人像を浮かび上らせている。しかも、読んでいて面白いのだから文句のつけようがなかった。」
司馬遼太郎
男52歳
30 「娯楽で読む人はすくないにちがいない。」「人間の形をした「空白」をのぞきこんだとき、ごく一般的な作法によるなまなかな饒舌よりも人間のぶきみさについて、はるかに内容の深い何事かを感じさせる。」
柴田錬三郎
男58歳
38 「私は、(引用者中略)買わない。」「ノンフィクション・ノベル、という奇妙なジャンルがあるらしいが、私には、そんなジャンルをみとめることのばかばかしさが、先立つ。」「丹念に、犯行のありさまと逃亡経過を、辿ったところで、それは、小説のリアリティとはならない。」
石坂洋次郎
男75歳
12 「ハンサムで頭のいい異質の犯罪者・榎津巌(最後は死刑になる)の行動がよく描かれており、私はこの作品にはじめから最高点をつけていたし、選考委員の多くもそうだったようで、まずは佐木隆三君おめでとう、と、いうところだ。」
村上元三
男65歳
30 「一ばん面白かったし、文学経歴も古い人だろう、と思った。」「読んでいて少しも疲れなかった。」「数多い登場人物をよく描き分けてあるし、文章もしっかりしている上に、会話がうまい。」
川口松太郎
男76歳
11 「一ばん読みごたえがあった。内容も充実して筆力も確かだし信頼出来た。心せねばならぬ事はこの種のドキュメント作品は報道的記述の多くなる危険だ。」「今後の佐木君がどんな傾向の作品を書くか注目したいところだ。」
今日出海
男72歳
19 「このような推理小説の構造上の類例が世界にあるのかどうか、私は寡聞にして知らないが、一つの新しい形式だとも思って面白く読んだ。」「第二作を期待出来る有能な作家であることは確かである。」
松本清張
男66歳
37 「前から好評を聞いていたが、読了して二つの感想をもった。文章がうまい。会話が地の文につづく変化とリズム感、改行の少いのも記録的なものの効果をあげている。」「しかし、その一面、犯行の詳細を外側から書いて積みあげ、犯人の人間像を彫りくぼめるという意図がかならずしも成功しているとは思えない。」
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他の候補作
有明夏夫
「夜明け」
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
白石一郎
「幻島記」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
田中光二
『大いなる逃亡』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
有明夏夫男39歳×各選考委員 
「夜明け」
中篇 211
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
0  
源氏鶏太
男63歳
6 「大変な努力作であるが、散漫に流れ過ぎている。したがって、迫力がすくなかった。もっと、人物をしぼった方がよかったのではなかろうか。」
司馬遼太郎
男52歳
0  
柴田錬三郎
男58歳
0  
石坂洋次郎
男75歳
5 「よく調べて書いてあるわりに、これも現実性が不足だった。」
村上元三
男65歳
9 「資料の咀嚼が足りない。主人公と思われる宮五郎を中心に、もっと自由な書きかたをしてほしかった。」
川口松太郎
男76歳
7 「よく勉強し研究していて読後のあと味はよかった。集めた材料を残らず盛り込もうとして枝葉が多すぎて肝心の中心がぼやけている。」
今日出海
男72歳
5 「登場人物それぞれが面白いが、どれも分明に書き足りていないのが惜しまれた。」
松本清張
男66歳
0  
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
白石一郎
「幻島記」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
田中光二
『大いなる逃亡』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
片岡義男男35歳×各選考委員 
「スローなブギにしてくれ」
短篇 89
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
0  
源氏鶏太
男63歳
6 「いかにも新しい作品のようで、登場人物が結局、作者のロボットに終っていると感じさせるところに難点があった。」
司馬遼太郎
男52歳
0  
柴田錬三郎
男58歳
0  
石坂洋次郎
男75歳
8 「高校生男女二人のアナーキーで感覚的な生活が描かれていて面白いと思ったが、作品としてシンが薄いのか支持者が少かった。」
村上元三
男65歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
川口松太郎
男76歳
0  
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
0  
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
有明夏夫
「夜明け」
白石一郎
「幻島記」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
田中光二
『大いなる逃亡』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
白石一郎男44歳×各選考委員 
「幻島記」
短篇 84
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
13 「印象にのこった。」「もう少し簡潔に整理されていたら、手硬い好短篇になったのではないか。」
源氏鶏太
男63歳
9 「地味であるが、テーマがよく、好きな作品であった。」「ただ、最も比較の対象になる佐木氏の作品にくらべると、重量感に欠けているとの感じをまぬがれ得なかった。」
司馬遼太郎
男52歳
0  
柴田錬三郎
男58歳
0  
石坂洋次郎
男75歳
7 「当時の史実にこだわりすぎて現実性が乏しい。」
村上元三
男65歳
6 「笠春兆を中心にした前半と、瓜生島の研究についての後半と、むしろ二部に分け、それぞれ独立した作品にすべきではなかったろうか。」
川口松太郎
男76歳
11 「直木賞候補作家としてお馴染の顔ぶれだがどうも決定打がない。ずばりとつけ抜ける強さに欠ける。今回にしてもケレンのない描写には好意が持てても瓜生島伝説だけでは物足らない。」
今日出海
男72歳
6 「その着想に興味をそそられたが、いま一つ描写、叙述に鮮明を欠くものがある。今後の精進によって意外に進歩する素質を持っている人のようにも思われる。」
松本清張
男66歳
7 「これまでのなかで、もっとも出色な着想の作品だった。最後の呟きをもりあげるためには、他を省筆し、もう少し短い、きりっとしたものに仕上げるべきではなかったろうか。」
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
有明夏夫
「夜明け」
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
田中光二
『大いなる逃亡』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
沼田陽一男49歳×各選考委員 
『コメディアン犬舎の友情』
連作6篇 362
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
0  
源氏鶏太
男63歳
6 「私が犬嫌いのせいもあってか、なじめなかった。ただの読み物で、それほど調子の高い作品とは思われなかった。」
司馬遼太郎
男52歳
0  
柴田錬三郎
男58歳
0  
石坂洋次郎
男75歳
8 「犬舎に飼われている犬を中心に三つの物語が述べられてあり、私はそれぞれに面白いと思ったが、共鳴者が得られず、残念だった。」
村上元三
男65歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
川口松太郎
男76歳
0  
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
0  
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
有明夏夫
「夜明け」
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
白石一郎
「幻島記」
田中光二
『大いなる逃亡』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
田中光二男34歳×各選考委員 
『大いなる逃亡』
長篇 474
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
17 「印象にのこった。」「私には、田中さんの文章の気取りのようなものが気にかかってしかたなかった。筆力もある人なので、もう一作を待つという側に廻った。」
源氏鶏太
男63歳
7 「私には、部分的な冴えに感心しながらも、読み終った後に、あるむなしさが残ってどうにもならなかった。せっかくの才能なのに、と思った。」
司馬遼太郎
男52歳
20 「読者としては、田中光二氏「大いなる逃亡」がおもしろかった。頭から大うその世界へ入ってゆける楽しみは大げさにいえば心が躍るようである。」「が、私だけが面白がっていることが賞になるのかということになると、疑問を感じてしまう。」「受賞しないということも、ある意味ではこの種の娯楽性の高い作品にとって一つの名誉であるとも思った。」
柴田錬三郎
男58歳
14 「リアリティがない、という批判があったが、この作品は、はじめから、嘘っぱちなのである。嘘の面白さを、私は、受賞作よりも、高く買った。」「このSF作家は、将来、リアリティ(原文傍点)のある作品も書ける才能をそなえている、と私は期待する。亡父の才能より秀れているような気もしている。」
石坂洋次郎
男75歳
10 「面白いが、着想も文章も奔放すぎて、実感がうすい。」
村上元三
男65歳
7 「わたしがスパイ小説の読みすぎのせいか、作者があとがきに書いている創作姿勢ほどには、この作品に新しさも面白さも感じられなかった。」
川口松太郎
男76歳
15 「面白かった。読み終ってやや莫迦莫迦しくもあったが、然し笑ってすごせない感情もあった。」「「大いなる逃亡」の科学兵器は現実化する可能性を持っているのか、単なる空想にすぎないのか。作品の外の興味もある。」
今日出海
男72歳
7 「若々しい筆致で、新しい題材に取り組んでいることは興味深いが、才筆は時に小説の安定感を失うことがある。作者も時に自分の才に不安を抱かぬだろうか。」
松本清張
男66歳
13 「「謀略」をテーマにしたSF小説だが、宇宙人が現われる話よりも、はるかに将来の可能性をおぼえさせる。」「会話が翻訳小説のように気どりすぎて浮き上っている。活劇の連続も悪くはないが、少しドタバタすぎる。」「しかし、文章がうまく、田中光二君は有望な新人と思った。」
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
有明夏夫
「夜明け」
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
白石一郎
「幻島記」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
醍醐麻沙夫
「夜の標的」
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候補者・作品
醍醐麻沙夫男41歳×各選考委員 
「夜の標的」
短篇 139
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉
男56歳
0  
源氏鶏太
男63歳
5 「話を複雑にしてよくつくってあるが、通りいっぺんの面白さである。部分的に劇画を感じさせるところがあった。」
司馬遼太郎
男52歳
0  
柴田錬三郎
男58歳
0  
石坂洋次郎
男75歳
8 「若い革命家達が、リオデジャネイロで、音符をモールス符号に転用したりして奔放な生活を送っている話で、これもレアリテーに欠けていた。」
村上元三
男65歳
3 「直木賞の対象としては、軽すぎた。」
川口松太郎
男76歳
0  
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
0  
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他の候補作
佐木隆三
『復讐するは我にあり』
有明夏夫
「夜明け」
片岡義男
「スローなブギにしてくれ」
白石一郎
「幻島記」
沼田陽一
『コメディアン犬舎の友情』
田中光二
『大いなる逃亡』
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