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昭和51年/1976年上半期
(昭和51年/1976年7月5日決定発表/『オール讀物』昭和51年/1976年9月号選評掲載)
選考委員  司馬遼太郎
男52歳
川口松太郎
男76歳
源氏鶏太
男64歳
水上勉
男57歳
村上元三
男66歳
柴田錬三郎
男59歳
石坂洋次郎
男76歳
今日出海
男72歳
松本清張
男66歳
選評総行数  66 61 50 61 52 50 49 47 54
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
小田原金一 『北辺の嵐』
898
男58歳
13 12 5 24 16 6 14 12 21
栗山良八郎 「山桜」
157
男(47歳)
18 18 9 24 6 4 15 13 5
谷克二 「追うもの」等
200
男35歳
5 0 6 0 4 4 2 0 4
藤本泉 『呪いの聖域』
605
女53歳
5 0 7 0 6 0 14 0 5
西村寿行 「咆哮は消えた」
85
男45歳
5 16 4 7 7 5 2 5 5
岩川隆 『神を信ぜず』
456
男43歳
14 0 5 0 4 6 17 8 8
壱岐光生 「かもめ亭日乗」
123
男54歳
3 0 5 0 5 0 1 0 5
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和51年/1976年9月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
司馬遼太郎男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
人間の希薄さ 総行数66 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
13 「なぜこのような郷土史的な力作をわざわざ小説仕立てにしなければならなかったかと思い、惜しまざるをえない。」「郷土史的な事柄が膨満してしまって主人公の存在が小説とはいえないほどに稀薄になってしまっている。」
栗山良八郎
男(47歳)
18 「「山桜」だけが、読者としておもしろかった。」「しかし読みおわると、作者によって巧妙に記号化された人間や事柄のみごとな数式を示されたような感じで、感銘は残らない。」
谷克二
男35歳
5 「人間の筋肉的な行為がふんだんに出ているわりには人間に対する作者の課題が小さすぎる。」
藤本泉
女53歳
5 「作者は筋や設定に熱中するあまり人間への関心が薄くなってしまっているのではないかと思ったりした。」
西村寿行
男45歳
5 「せっかくの作品にひとことで片づけるような言葉を使いたくないが陳腐な感じがした。」
岩川隆
男43歳
14 「ノン・フィクションのものとしては、これはこれで活字にするに足るものであろう。しかし小説としての評価の場に出された場合、被告たちの人間や人間関係がもっと濃密に書かれているべきだということが当然要求される。」
壱岐光生
男54歳
3 「古びた風俗小説を読まされるよう」
  「このように不作の季節に出くわすと、気が滅入ってしまう。」
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他の選考委員
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
川口松太郎男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
取り柄はあるが 総行数61 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
12 「「北辺の嵐」というような長大作を読まされて、それが受賞に値しない場合の委員の落胆ぶりを考えて見給え。作品を読むということがどれほど辛く苦しい仕事か。」「読む相手に苦痛を与える作品は一種の罪悪とさえいえる。」
栗山良八郎
男(47歳)
18 「些か期待するところがあった。(引用者中略)それだけに今回の「山桜」を期待したのだが、正直にいって「山桜」より「短剣」の方が遥かによかった。」「栗山君の筆力は信頼に足ると思うし、「山桜」の欠点を冷静に反省して更に努力を重ね、是非直木賞を取って欲しく、次回作を大いに期待する。」
谷克二
男35歳
0  
藤本泉
女53歳
0  
西村寿行
男45歳
16 「途中で底の割れてしまうような書き方は、小説の初歩だ。途中でラストの判ってしまう底の浅さでは、読者を感動させる事はもちろん、受賞なぞ到底おぼつかない。」
岩川隆
男43歳
0  
壱岐光生
男54歳
0  
  「近年の直木賞候補作品で今回ほど佳作の乏しい年はなかった。」
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司馬遼太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
源氏鶏太男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
何かが欠けていた 総行数50 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
5 「終始、誠実に、一所懸命にたくさんの資料と取っ組んでいるのだが、残念ながらそこで終ってしまっている。」
栗山良八郎
男(47歳)
9 「私の好みからいえば、「山桜」であった。一気に読ませる面白さがあったし、ちゃんとした小説になっていた。しかし、直木賞作品とするには、もっと突っ込んで欲しかったし、題材からいって主人公の性格を異常なまでに強烈にする必要があったような気がする。」
谷克二
男35歳
6 「映画を見ているような印象で、作者の描かんとした(男の曲り角)は、これまた映画によく出てくる主人公の範囲をそう多く出ていないように思った。」
藤本泉
女53歳
7 「よくもこのような複雑な筋を考え出せたものと感心したのだが、しかし、せっかくの苦労も、人間関係が複雑に過ぎて、何んとなく徒労の思いを禁じ得なかったのは、私の老いのせいだろうか。」
西村寿行
男45歳
4 「キメのこまかい力作であった。しかし、こういうテーマの扱い方に今一つの新鮮味が欠けていた。」
岩川隆
男43歳
5 「最終的には最も多くの票を得たのだが、しかし、私には直木賞とは無関係で、それなりの有意義な作品だと思った。」
壱岐光生
男54歳
5 「好感を持って読んだ。しかし、いささか技巧を弄し過ぎた感じで、それだけ全体の印象を薄くしていた。」
  「今回は候補作品を読みながら何か深く胸に迫ってくるものがなかった。」「議論は、ある程度で打ち切られて、授賞作なし、と決定した。」
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司馬遼太郎
川口松太郎
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
水上勉男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
芯がない 総行数61 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
24 「個性を示して面白かった。」「が、さて読了してみると、長編のわりに、人間的な感銘が稀薄なのはどういうことか。」「主人公の人間性の掘り下げが足りぬ。」「資料好きなぼくは面白くついていったが、面白い小説を期待する人にはついてゆけまい。むずかしいところだと思う。」
栗山良八郎
男(47歳)
24 「個性を示して面白かった。」「達者なもので、独自の話法であったが、しかしこの話法も、同じパターンでくりかえされると少し退屈。」「だれもが、作者の思うように動いていた。それで、ある種の感動といったものが湧いてこない。」
谷克二
男35歳
0  
藤本泉
女53歳
0  
西村寿行
男45歳
7 「小説づくりのタッチの早い巧妙を買ったが、しかし、授賞作としては弱く、欠点も目立った。西村さんも落ち着いて、いい材料にめぐまれれば、という気がした。」
岩川隆
男43歳
0  
壱岐光生
男54歳
0  
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
村上元三男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
面白い小説を 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
16 「資料をよく調べていながら、咀嚼が足りない。」「もっと広い観点から、蝦夷地の問題を扱うべきだと思うが、それは、小田原氏の今後の努力に待ちたい。」
栗山良八郎
男(47歳)
6 「職業作家として立って行ける実力があると思うが、こんどの「山桜」は思いつきが変っているだけで、肝腎な人間を描くことが二の次になっていた。」
谷克二
男35歳
4 「ハンターを主人公にしていながら、人間と獲物の葛藤が浮き出ていない。」
藤本泉
女53歳
6 「登場人物の続柄がややこしい。それがこの作品のねらいなのだが、いろんな道具立てを揃えながら、ラストは拍子抜けの感じであった。」
西村寿行
男45歳
7 「これはむしろ時代物で書いたほうが面白かったのではあるまいか。現実感がないし、せっかくのラストも、空々しいもので終っている。」
岩川隆
男43歳
4 「これを書いた作者の気持はよくわかるが、従来あったこの種の作品の域を越えていない。」
壱岐光生
男54歳
5 「筆が達者なだけに、テーマや題材が軽く流れてしまうおそれがある。一ぺん書いた作品を再三、推敲する努力が欲しい。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
柴田錬三郎男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
レベルは低くない 総行数50 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
6 「労作かならずしも、秀作とはならないし、視点がぼやけてしまえば、北海道史志として編まれたような退屈をともなう」
栗山良八郎
男(47歳)
4 「着想の面白さは、充分に買える。」
谷克二
男35歳
4 「着想の面白さは、充分に買える。」
藤本泉
女53歳
0  
西村寿行
男45歳
5 「着想の面白さは、充分に買える。」
岩川隆
男43歳
6 「前回の当選作「復讐するは我にあり」よりも、はるかに秀れていた。不運といわざるを得ない。」
壱岐光生
男54歳
0  
  「今回、該当作がなかったのは、かならずしも、候補作品のレベルがひくかったからだ、とは思わない。」「すくなくとも、今回の芥川賞の「限りなく透明に近いブルー」という、題名そのものさえ日本語になっていない、公衆便所の落書を清書(原文傍点)したような作品よりも、前述の候補作品(引用者注:「神を信ぜず」「サバンナ」「咆哮は消えた」「山桜」)の方が、質の上でも、上にある、と考えられる。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
石坂洋次郎
今日出海
松本清張
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選考委員
石坂洋次郎男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「山桜」と「神を信ぜず」 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
14 「私の故郷である青森県が舞台になっていることに気づかされた。」「しかし、(引用者中略)小説としては、そうすぐれた出来栄えでなかったことは残念であった。」
栗山良八郎
男(47歳)
15 「出来れば、どちらか(引用者注:「山桜」か「神を信ぜず」)を当選作にしたい気持だったのだが、本州の最北端に生れ育った私には、葬式を派手なものにするために、名木の山桜を伐採しようとする、関西の人達の庶民性が呑みこめず、「山桜」は結局とりあげられなかった。」
谷克二
男35歳
2  
藤本泉
女53歳
14 「私の故郷である青森県が舞台になっていることに気づかされた。」「しかし、(引用者中略)小説としては、そうすぐれた出来栄えでなかったことは残念であった。」
西村寿行
男45歳
2  
岩川隆
男43歳
17 「出来れば、どちらか(引用者注:「山桜」か「神を信ぜず」)を当選作にしたい気持だった」「人間の心理をよく追求していると思ったが、立場を逆にして、戦争中、捕虜になったアメリカ軍人を、軍国主義の熱気に燃える日本の軍人が裁いたらどんなことになるだろうと考えると、この作品をパスさせることにもためらいを感じた。」
壱岐光生
男54歳
1  
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
今日出海
松本清張
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選考委員
今日出海男72歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選後感片々 総行数47 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
12 「量的に選者を圧倒したが、作者も丹念な資料調査に、小説の主人公を随所に置き忘れたが、少なくとも影が薄くなる始末ではなかったか。」「小説の骨法が鮮明を欠いている風で惜しまれた。」
栗山良八郎
男(47歳)
13 「読み応えのある作品ではあった。」「充分筆力のある作家であり、レベルに達した作品ではあるが、緩急の自在を欠いたところに、多くの読者の共感をかち得ないのではないかと懸念されるものがある。」
谷克二
男35歳
0  
藤本泉
女53歳
0  
西村寿行
男45歳
5 「話は充分面白かったが、語り方に引きつけ方の物足りぬところ、(引用者中略)これも惜しまれる作品であった。」
岩川隆
男43歳
8 「裁判の非情杜撰を記録や足を使っての調査は綿密で、共感を呼ぶが、やはり小説として作品が生きているかどうか。これも事実の重味に作者は息を弾ませていはしないか。」
壱岐光生
男54歳
0  
  「粒がそろって、読み応えがあった。」「終に直木賞として推すものを選び得なかったのは、それだけの佳作がなかったのではなく、佳作の粒がそろって、一点に絞り得なかったという運不運の問題だと思われるのである。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
松本清張
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選考委員
松本清張男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
低調 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
小田原金一
男58歳
21 「焦点がない。あれもこれもともりこみすぎて、力点が拡散している。」「「調べたこと」のすべてを書くのが小説ではない。」「むしろ幕末の北海道開拓商人に強く絞ったほうがよかったろう。構成の失敗といえるであろう。」
栗山良八郎
男(47歳)
5 「今回の候補作ではもっとも「小説的な」短篇であった。寺と葬儀屋の関係が面白いが、これも人物が型どおりにすぎて強さがなかった。」
谷克二
男35歳
4 「道楽の狩猟(鉄砲)の話をそのまま趣味で書いたような読み物。」
藤本泉
女53歳
5 「民俗学的な背景が話から浮き上って、アクションつきの因果ばなしにもなっていない失敗作。題名の大げさも一考を要しよう。」
西村寿行
男45歳
5 「筋は陳腐で、明治期の出来事のようでもある時代不明の話。」
岩川隆
男43歳
8 「記録ものとしては一般的にすぎて弱く、小説とするには魅力に欠く。それは個々の人間についての掘り下げが足らず、独自性の強さがないからであろう。文章もこの種のものとしては通俗にすぎた。」
壱岐光生
男54歳
5 「「うらぶれた人生のふき溜り」的な設定は他に多い。多いだけに類型を脱する独自性がないと凡作になる。」
  「今期は低調。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
川口松太郎
源氏鶏太
水上勉
村上元三
柴田錬三郎
石坂洋次郎
今日出海
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候補者・作品
小田原金一男58歳×各選考委員 
『北辺の嵐』
長篇 898
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
13 「なぜこのような郷土史的な力作をわざわざ小説仕立てにしなければならなかったかと思い、惜しまざるをえない。」「郷土史的な事柄が膨満してしまって主人公の存在が小説とはいえないほどに稀薄になってしまっている。」
川口松太郎
男76歳
12 「「北辺の嵐」というような長大作を読まされて、それが受賞に値しない場合の委員の落胆ぶりを考えて見給え。作品を読むということがどれほど辛く苦しい仕事か。」「読む相手に苦痛を与える作品は一種の罪悪とさえいえる。」
源氏鶏太
男64歳
5 「終始、誠実に、一所懸命にたくさんの資料と取っ組んでいるのだが、残念ながらそこで終ってしまっている。」
水上勉
男57歳
24 「個性を示して面白かった。」「が、さて読了してみると、長編のわりに、人間的な感銘が稀薄なのはどういうことか。」「主人公の人間性の掘り下げが足りぬ。」「資料好きなぼくは面白くついていったが、面白い小説を期待する人にはついてゆけまい。むずかしいところだと思う。」
村上元三
男66歳
16 「資料をよく調べていながら、咀嚼が足りない。」「もっと広い観点から、蝦夷地の問題を扱うべきだと思うが、それは、小田原氏の今後の努力に待ちたい。」
柴田錬三郎
男59歳
6 「労作かならずしも、秀作とはならないし、視点がぼやけてしまえば、北海道史志として編まれたような退屈をともなう」
石坂洋次郎
男76歳
14 「私の故郷である青森県が舞台になっていることに気づかされた。」「しかし、(引用者中略)小説としては、そうすぐれた出来栄えでなかったことは残念であった。」
今日出海
男72歳
12 「量的に選者を圧倒したが、作者も丹念な資料調査に、小説の主人公を随所に置き忘れたが、少なくとも影が薄くなる始末ではなかったか。」「小説の骨法が鮮明を欠いている風で惜しまれた。」
松本清張
男66歳
21 「焦点がない。あれもこれもともりこみすぎて、力点が拡散している。」「「調べたこと」のすべてを書くのが小説ではない。」「むしろ幕末の北海道開拓商人に強く絞ったほうがよかったろう。構成の失敗といえるであろう。」
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他の候補作
栗山良八郎
「山桜」
谷克二
「追うもの」等
藤本泉
『呪いの聖域』
西村寿行
「咆哮は消えた」
岩川隆
『神を信ぜず』
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
栗山良八郎男(47歳)×各選考委員 
「山桜」
中篇 157
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
18 「「山桜」だけが、読者としておもしろかった。」「しかし読みおわると、作者によって巧妙に記号化された人間や事柄のみごとな数式を示されたような感じで、感銘は残らない。」
川口松太郎
男76歳
18 「些か期待するところがあった。(引用者中略)それだけに今回の「山桜」を期待したのだが、正直にいって「山桜」より「短剣」の方が遥かによかった。」「栗山君の筆力は信頼に足ると思うし、「山桜」の欠点を冷静に反省して更に努力を重ね、是非直木賞を取って欲しく、次回作を大いに期待する。」
源氏鶏太
男64歳
9 「私の好みからいえば、「山桜」であった。一気に読ませる面白さがあったし、ちゃんとした小説になっていた。しかし、直木賞作品とするには、もっと突っ込んで欲しかったし、題材からいって主人公の性格を異常なまでに強烈にする必要があったような気がする。」
水上勉
男57歳
24 「個性を示して面白かった。」「達者なもので、独自の話法であったが、しかしこの話法も、同じパターンでくりかえされると少し退屈。」「だれもが、作者の思うように動いていた。それで、ある種の感動といったものが湧いてこない。」
村上元三
男66歳
6 「職業作家として立って行ける実力があると思うが、こんどの「山桜」は思いつきが変っているだけで、肝腎な人間を描くことが二の次になっていた。」
柴田錬三郎
男59歳
4 「着想の面白さは、充分に買える。」
石坂洋次郎
男76歳
15 「出来れば、どちらか(引用者注:「山桜」か「神を信ぜず」)を当選作にしたい気持だったのだが、本州の最北端に生れ育った私には、葬式を派手なものにするために、名木の山桜を伐採しようとする、関西の人達の庶民性が呑みこめず、「山桜」は結局とりあげられなかった。」
今日出海
男72歳
13 「読み応えのある作品ではあった。」「充分筆力のある作家であり、レベルに達した作品ではあるが、緩急の自在を欠いたところに、多くの読者の共感をかち得ないのではないかと懸念されるものがある。」
松本清張
男66歳
5 「今回の候補作ではもっとも「小説的な」短篇であった。寺と葬儀屋の関係が面白いが、これも人物が型どおりにすぎて強さがなかった。」
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他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
谷克二
「追うもの」等
藤本泉
『呪いの聖域』
西村寿行
「咆哮は消えた」
岩川隆
『神を信ぜず』
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
谷克二男35歳×各選考委員 
「追うもの」等
短篇集(一部)2篇 200
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
5 「人間の筋肉的な行為がふんだんに出ているわりには人間に対する作者の課題が小さすぎる。」
川口松太郎
男76歳
0  
源氏鶏太
男64歳
6 「映画を見ているような印象で、作者の描かんとした(男の曲り角)は、これまた映画によく出てくる主人公の範囲をそう多く出ていないように思った。」
水上勉
男57歳
0  
村上元三
男66歳
4 「ハンターを主人公にしていながら、人間と獲物の葛藤が浮き出ていない。」
柴田錬三郎
男59歳
4 「着想の面白さは、充分に買える。」
石坂洋次郎
男76歳
2  
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
4 「道楽の狩猟(鉄砲)の話をそのまま趣味で書いたような読み物。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
栗山良八郎
「山桜」
藤本泉
『呪いの聖域』
西村寿行
「咆哮は消えた」
岩川隆
『神を信ぜず』
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
藤本泉女53歳×各選考委員 
『呪いの聖域』
長篇 605
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
5 「作者は筋や設定に熱中するあまり人間への関心が薄くなってしまっているのではないかと思ったりした。」
川口松太郎
男76歳
0  
源氏鶏太
男64歳
7 「よくもこのような複雑な筋を考え出せたものと感心したのだが、しかし、せっかくの苦労も、人間関係が複雑に過ぎて、何んとなく徒労の思いを禁じ得なかったのは、私の老いのせいだろうか。」
水上勉
男57歳
0  
村上元三
男66歳
6 「登場人物の続柄がややこしい。それがこの作品のねらいなのだが、いろんな道具立てを揃えながら、ラストは拍子抜けの感じであった。」
柴田錬三郎
男59歳
0  
石坂洋次郎
男76歳
14 「私の故郷である青森県が舞台になっていることに気づかされた。」「しかし、(引用者中略)小説としては、そうすぐれた出来栄えでなかったことは残念であった。」
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
5 「民俗学的な背景が話から浮き上って、アクションつきの因果ばなしにもなっていない失敗作。題名の大げさも一考を要しよう。」
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他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
栗山良八郎
「山桜」
谷克二
「追うもの」等
西村寿行
「咆哮は消えた」
岩川隆
『神を信ぜず』
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
西村寿行男45歳×各選考委員 
「咆哮は消えた」
短篇 85
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
5 「せっかくの作品にひとことで片づけるような言葉を使いたくないが陳腐な感じがした。」
川口松太郎
男76歳
16 「途中で底の割れてしまうような書き方は、小説の初歩だ。途中でラストの判ってしまう底の浅さでは、読者を感動させる事はもちろん、受賞なぞ到底おぼつかない。」
源氏鶏太
男64歳
4 「キメのこまかい力作であった。しかし、こういうテーマの扱い方に今一つの新鮮味が欠けていた。」
水上勉
男57歳
7 「小説づくりのタッチの早い巧妙を買ったが、しかし、授賞作としては弱く、欠点も目立った。西村さんも落ち着いて、いい材料にめぐまれれば、という気がした。」
村上元三
男66歳
7 「これはむしろ時代物で書いたほうが面白かったのではあるまいか。現実感がないし、せっかくのラストも、空々しいもので終っている。」
柴田錬三郎
男59歳
5 「着想の面白さは、充分に買える。」
石坂洋次郎
男76歳
2  
今日出海
男72歳
5 「話は充分面白かったが、語り方に引きつけ方の物足りぬところ、(引用者中略)これも惜しまれる作品であった。」
松本清張
男66歳
5 「筋は陳腐で、明治期の出来事のようでもある時代不明の話。」
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他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
栗山良八郎
「山桜」
谷克二
「追うもの」等
藤本泉
『呪いの聖域』
岩川隆
『神を信ぜず』
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
岩川隆男43歳×各選考委員 
『神を信ぜず』
連作3篇 456
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
14 「ノン・フィクションのものとしては、これはこれで活字にするに足るものであろう。しかし小説としての評価の場に出された場合、被告たちの人間や人間関係がもっと濃密に書かれているべきだということが当然要求される。」
川口松太郎
男76歳
0  
源氏鶏太
男64歳
5 「最終的には最も多くの票を得たのだが、しかし、私には直木賞とは無関係で、それなりの有意義な作品だと思った。」
水上勉
男57歳
0  
村上元三
男66歳
4 「これを書いた作者の気持はよくわかるが、従来あったこの種の作品の域を越えていない。」
柴田錬三郎
男59歳
6 「前回の当選作「復讐するは我にあり」よりも、はるかに秀れていた。不運といわざるを得ない。」
石坂洋次郎
男76歳
17 「出来れば、どちらか(引用者注:「山桜」か「神を信ぜず」)を当選作にしたい気持だった」「人間の心理をよく追求していると思ったが、立場を逆にして、戦争中、捕虜になったアメリカ軍人を、軍国主義の熱気に燃える日本の軍人が裁いたらどんなことになるだろうと考えると、この作品をパスさせることにもためらいを感じた。」
今日出海
男72歳
8 「裁判の非情杜撰を記録や足を使っての調査は綿密で、共感を呼ぶが、やはり小説として作品が生きているかどうか。これも事実の重味に作者は息を弾ませていはしないか。」
松本清張
男66歳
8 「記録ものとしては一般的にすぎて弱く、小説とするには魅力に欠く。それは個々の人間についての掘り下げが足らず、独自性の強さがないからであろう。文章もこの種のものとしては通俗にすぎた。」
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他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
栗山良八郎
「山桜」
谷克二
「追うもの」等
藤本泉
『呪いの聖域』
西村寿行
「咆哮は消えた」
壱岐光生
「かもめ亭日乗」
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候補者・作品
壱岐光生男54歳×各選考委員 
「かもめ亭日乗」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎
男52歳
3 「古びた風俗小説を読まされるよう」
川口松太郎
男76歳
0  
源氏鶏太
男64歳
5 「好感を持って読んだ。しかし、いささか技巧を弄し過ぎた感じで、それだけ全体の印象を薄くしていた。」
水上勉
男57歳
0  
村上元三
男66歳
5 「筆が達者なだけに、テーマや題材が軽く流れてしまうおそれがある。一ぺん書いた作品を再三、推敲する努力が欲しい。」
柴田錬三郎
男59歳
0  
石坂洋次郎
男76歳
1  
今日出海
男72歳
0  
松本清張
男66歳
5 「「うらぶれた人生のふき溜り」的な設定は他に多い。多いだけに類型を脱する独自性がないと凡作になる。」
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他の候補作
小田原金一
『北辺の嵐』
栗山良八郎
「山桜」
谷克二
「追うもの」等
藤本泉
『呪いの聖域』
西村寿行
「咆哮は消えた」
岩川隆
『神を信ぜず』
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