生没年月日【注】 | 大正15年/1926年7月29日~平成21年/2009年10月13日 | |
経歴 | 旧姓=兼崎。山口県下関市生まれ。下関高等女学校卒、樟蔭女子専門学校一年修了。昭和19年/1944年に結婚、主婦生活を送りながら、『素直』『作文』同人として活動。瀧井孝作に師事。父は俳人の兼崎地燈孫。 | |
受賞歴・候補歴 | ||
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「感情のウェイヴ――あるインテリ・マダムの話」
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誌名 | 「素直」 | ||||
巻号 | 第8集 | ||||
作品名 別表記 | 本文 「感情のウェイヴ」 | ||||
副題等 | 本文 「――あるインテリ・マダムの話――」 | ||||
印刷/発行年月日 | 印刷 昭和34年/1959年10月30日 発行 昭和34年/1959年11月1日 | ||||
発行者等 | 編集発行人 野田允太 印刷者 同和印刷株式会社 | ||||
発行所 | 素直社(東京都) | ||||
総ページ数 | 84 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
30字 ×25行 ×2段 |
本文ページ | 7~41 (計35頁) |
測定枚数 | 124枚 |
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
候補者 吉田紗美子 33歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
石川達三 | 54歳 |
● | 3 | 「作者のわがままが見える。瀧井さんは推して居られたが、私は採らない。」 |
中村光夫 | 48歳 |
■ | 4 | 「ひと通り人物が描けていますが、題名からひどく古風で稚拙な感じで、主人公の感情の波に作者自身がのりすぎているようです。」 |
佐藤春夫 | 67歳 |
□ | 17 | 「多少の興味を持てた」「文章としては一番稚拙かも知れないが、初心の愛すべきものがありハツラツたる生活感情に他のどの作品にも見られないものがある。」「強いて採ればこれであろうが、今までの賞の水準から見てどうであろうか。」「この作者は授賞してブームになったらもみくちゃになりそうで、かえって気の毒である。など余計なことを考えながらも、今度の僕の候補作品はこれより外はないと決めて会場に出た。」 |
瀧井孝作 | 65歳 |
◎ | 16 | 「一番よいと思った。」「人妻のヨロメキの小説とも見られやすいが、これは男女の色事の小説ではなく、女の目覚めがテーマだ。女の自覚をこれだけ精細に見詰めた、読み応えのある小説はそう沢山はない。文章はまだ少し硬いようだが、まともでテキパキして、風景描写も遠近が出て空気が描けて、かなりの技倆だ。」「この作がこんど当選しなかったのは、一寸ふしぎだ。」 |
川端康成 | 60歳 |
・ | 2 | 「瀧井氏が(引用者中略)やや推された」 |
丹羽文雄 | 55歳 |
■ | 4 | 「大げさに構えすぎて失敗している。もっと何気なく書きだした方がよい。漢字に対しても感覚が古風すぎる。あとになるほどよくなっている。」 |
井上靖 | 52歳 |
■ | 3 | 「克明な書き方には好感を持つが、説得調の文章が作品を古くしているように思った。」 |
永井龍男 | 55歳 |
― | 0 | |
井伏鱒二 | 61歳 |
― | 0 | |
舟橋聖一 | 55歳 |
△ | 9 | 「一番無事なのが、「感情のウェイヴ」だが、この題が、大味で鈍い感じのする如く、内容も説明的なので、今回としては点が集っているが、今までの芥川賞の水準には、遠く及ばない、と云うことで否決された。」 |
宇野浩二 | 68歳 |
■ | 5 | 「これはこれで異色はあるが、全体がごたごたし、妙な味はあるけれど、表現があまりに稚拙であり、はっきり云うと、下手である。」 |
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和35年/1960年3月号) |