中野孝次（なかのこうじ）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

第78回

＝受賞者＝
宮本　輝
高城修三

Last Update●[H28]2016/4/28

	Nakano Koji
	生没年月日【注】	大正14年/1925年1月1日～平成16年/2004年7月16日
	経歴	千葉県市川市出身。東京大学文学部独文科卒。國學院大學教授を務めるかたわら執筆活動を行う。
	受賞歴・候補歴	第24回日本エッセイスト・クラブ賞（昭和51年/1976年）『ブリューゲルへの旅』 \|候補\| 第78回芥川賞（昭和52年/1977年下期）「鳥屋の日々」 \|候補\| 第79回芥川賞（昭和53年/1978年上期）「雪ふる年よ」第7回平林たい子文学賞［小説部門］（昭和54年/1979年）『麦熟るる日に』第7回新田次郎文学賞（昭和63年/1988年）『ハラスのいた日々』第46回神奈川文化賞［文学］（平成9年/1997年）第50回芸術選奨文部大臣賞［文学部門］（平成11年/1999年度）『暗殺者』第60回日本藝術院賞［＋恩賜賞］［文芸］（平成15年/2003年度）『風の良寛』『中野孝次作品（全十巻）』『ローマの哲人セネカの言葉』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全7件同人雑誌評の記録▼全1件

第78回候補

「鳥屋(とや)の日々(ひび)」（『文藝』昭和52年/1977年9月号）

媒体・作品情報

誌名	「文藝」
巻号	第16巻第9号
作品名別表記	目次・本文ルビ有り「とや」
印刷/発行年月日	発行昭和52年/1977年9月1日
発行者等	編集者金田太郎　発行者佐藤晧三　印刷者北島義俊　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社河出書房新社（東京都）
総ページ数	264	表記上の枚数	表紙・目次 130枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	28～72 （計45頁）	測定枚数	131枚

書誌

昭和53年/1978年9月・河出書房新社刊『麦熟るる日に』所収

昭和57年/1982年4月・河出書房新社／河出文庫『麦熟るる日に』所収

平成1年/1989年10月・埼玉福祉会／大活字本シリーズ『麦熟るる日に(上)』所収

平成5年/1993年8月・河出書房新社／河出文庫『麦熟るる日に』[新装版]所収

平成6年/1994年11月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館　第13巻　千葉』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　中野孝次　53歳
選考委員		評価	行数	評言
丹羽文雄	73歳	―	0
大江健三郎	42歳	□	8	「平明に書かれているが、その文章の奥には、ドイツ現代文学の翻訳者として経験深い人らしい、層の複雑さが見える。ただ主題の展開についていえば、大工である父親とおなじ生涯へ踏みだしていた少年に、別の生き方がひらける、その転換のところまで書かなくては、前段階も生きてこない。」「そのような留保の気持があって、僕は（引用者中略）充分には弁護できなかったのである。」
中村光夫	66歳	△	3	「最後まで残った三篇は、票数もまったく同じで、甲乙をつけ難かった」「強硬な否定的意見があったため、結局落ち、」
安岡章太郎	57歳	―	0
吉行淳之介	53歳	■	5	「沈着冷静な筆致に好感がもてた。ただ、主人公がどういう経緯で大学に進学することになったかというところまでは、読みたかった。」
瀧井孝作	83歳	―	0
井上靖	70歳	◎	9	「上位に置いた。」「小説的配慮はなされていないが、それだけに少年の心と姿はよく描かれていて、刻みつけてゆくような多少強引な書き方の中に、ある迫力を感じた。」
遠藤周作	54歳	○	15	「私の好意を持った（引用者中略）作品」「一人の職人の家庭に生れた少年のいわば成長小説ともいうべき作品で、おそらく今後も作者は続篇を書かれるだろうと思う。」「少年が父と違った生き方を選ぶそのクライマックスは今回の作品だけでは足りないと思った。」「だが私にとってはこの続篇を期待させるほど、手がたい、好ましい作品であったことを報告しておく。」
選評出典：『芥川賞全集　第十一巻』昭和57年/1982年12月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和53年/1978年3月号）

第79回候補

「雪(ゆき)ふる年(とし)よ」（『文藝』昭和53年/1978年3月号）