芥川賞のすべて・のようなもの
第148回
  • =受賞者=
  • 黒田夏子
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Last Update[H27]2015/7/13

黒田夏子
Kuroda Natsuko
生没年月日【注】 昭和12年/1937年☆月☆日~
受賞年齢 75歳
経歴 東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。教員、事務員、校正者などを経て平成24年/2012年に早稲田文学新人賞を受賞。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第148受賞  一覧へ

エービー
abさんご」(『早稲田文学』5号[平成24年/2012年9月])
媒体・作品情報
誌名 「早稲田文学」  別表記表紙 「WASEDA bungaku」併記
巻号 第5号  別表記(5)(丸付き数字)
印刷/発行年月日 印刷 平成24年/2012年9月5日(初版第1刷) 発行 平成24年/2012年9月15日(初版第1刷)
発行者等 発行者 浦野正樹 印刷所 株式会社平河工業社(東京都)
発行所 発行所・発売所 早稲田文学会(東京都)
総ページ数 427 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
32字
×26行
×1段(横組み)
本文ページ 380~428
(計49頁)
測定枚数 94
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書誌
>>平成25年/2013年1月・文藝春秋刊『abさんご』所収
>>『文藝春秋』平成25年/2013年3月号
>>平成27年/2015年7月・文藝春秋/文春文庫『abさんご・感受体のおどり』所収
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候補者 黒田夏子 女75歳
選考委員 評価 行数 評言
高樹のぶ子
女66歳
62 「苦労して読み終えたとき、a=1、b=2という等価な意味交換ではなく、a=アバウト1、b=アバウト2、という、従来からの価値観では曖昧さと誤解を生むとして否定されてきた授受が、逆に日本語の豊穣さに繋がることを発見させてもくれる。」「これはテーマと冒険心と、長年にわたる大和言葉の研鑽が作り出した奇蹟の一作」
小川洋子
女50歳
27 「身についた言葉を一旦忘れて、あるいは忘れた振りをして書く、とは何と不思議な試みだろうか。たとえ語られる意味は平凡でも、言葉の連なり方や音の響きだけで小説は成り立ってしまうと、『abさんご』は証明している。この小説を読むことは、私にとって死者の語りに身を委ねるのに等しかった。」
宮本輝
男65歳
37 「物言わぬ家と長い時間が、心を持つ生き物と化して、淡く静かに人々の営みを照らしている。それが、観念的にではなく、夢のなかの確かな皮膚感覚として心のどこかで長くたゆたうのだ。」「強固な文学観を土台とした稀に見る特異な才能だと思い、私は受賞作として推した。」
山田詠美
女53歳
21 「正直、私には、ぴんと来ない作品で、何かジャンル違いのような印象は否めなかったし、漂うひとりうっとり感も気になった。選考の途中、前衛という言葉が出たが、その言葉を使うなら、私には昔の前衛に思える。洗練という言葉も出たが、私には、むしろ「トッポい」感じ。」
川上弘美
女54歳
19 「この家庭に入りこんでくるいやらしい女に対して、あまりに元々の家の住み手が無批判すぎません? などと思う自分は、卑俗なのかなあと不安になったりもしつつ、やはりここにある日本語はほんとうに美しいなあと、うっとりしたことでした。」「(引用者注:「獅子渡り鼻」とともに)○をつけました。」
奥泉光
男56歳
52 「横書きが用いられ、通常は漢字やカタカナで表記されるべき言葉がひらがなで表記されるなど、一見して特異な書法で書かれている。」「黒田氏の工夫はただ一つ、小説を読者にゆっくりした速度で読ませることにある。」「横書きされたひらがなの放つふてぶてしさのようなものが感得されて、このふてぶてしさは、物語をただ消費すればよいとする風潮への、幽かに悪意の匂いのする批評につながっているとも感じられた。」
堀江敏幸
男49歳
37 「質のよい磨りガラス越しに世界を見ている印象だ。」「もってまわった言い方で一般的な言葉遣いを回避しようとする文体上の屈折には、蚊帳の内と外を見極める洗練の力と同等のあやうさがある。しかし、このあやうさがなかったら、つまり書法・書記法への意識がなかったら、何十年かの時間を凝縮してなお瑞々しい声は聞こえてこなかっただろう。」
村上龍
男60歳
54 「推さなかった。ただし、作品の質が低いという理由ではない。これほど高度に洗練された作品が、はたして新人文学賞にふさわしいのだろうかという違和感のためである。」「その作品の受賞に反対し、かつその作品の受賞を喜ぶという体験は、おそらくこれが最初で最後ではないだろうか。」
島田雅彦
男51歳
32 「ひらがなを多用した横書きは読み進める速度を落とさせ、手ずから編み込んだコトバの綾の鑑賞を強いるようになっている。」「素材としてのコトバをレンズのように磨き上げ、思い出の背後に潜んでいる無意識を透視しようともしている。」
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年3月号
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