芥川賞のすべて・のようなもの
第149回
  • =受賞者=
  • 藤野可織
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Last Update[H28]2016/1/25

藤野可織
Fujino Kaori
生没年月日【注】 昭和55年/1980年2月14日~
受賞年齢 33歳5ヵ月
経歴 京都府京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒、同大学院文学研究科美学及び芸術学専攻修士課程修了。編集プロダクション、出版社に勤める。
受賞歴・候補歴
  • 第103回文學界新人賞(平成18年/2006年)「いやしい鳥」
  • |候補| 第141回芥川賞(平成21年/2009年上期)「いけにえ」
  • |候補| 第34回野間文芸新人賞(平成24年/2012年)『パトロネ』
  • 第149回芥川賞(平成25年/2013年上期)「爪と目」
  • |候補| 第40回川端康成文学賞(平成26年/2014年)「アイデンティティ」
備考
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芥川賞 第141回候補  一覧へ
「いけにえ」(『すばる』平成21年/2009年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「すばる」  別表記奥付 「昴」併記
巻号 第31巻 第3号  別表記3月号
印刷/発行年月日 発行 平成21年/2009年3月1日
発行者等 編集者 池田千春 発行者 清水誠一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社集英社(東京都)
総ページ数 328 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×23行
×2段
本文ページ 18~59
(計42頁)
測定枚数 117
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書誌
>>平成24年/2012年3月・集英社刊『パトロネ』所収
>>平成25年/2013年10月・集英社/集英社文庫『パトロネ』所収
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候補者 藤野可織 女29歳
選考委員 評価 行数 評言
山田詠美
女50歳
10 「読んでいる内に、こちらまで美術館の片隅から動けなくなりそうな重苦しい空気に満ちている。悪魔が登場するまでが長過ぎて、その重苦しさに息が詰まりそう。」
小川洋子
女47歳
10 「久子さんは全候補作の登場人物の中で最も印象深い存在だった。」「悪魔や高野豆腐など持ち出さなくても、彼女の魅力は十分伝わったのに、と残念でならない。」
石原慎太郎
男76歳
0  
黒井千次
男77歳
4 「(引用者注:「よもぎ学園高等学校蹴球部」と共に)作者の意図が鮮明に伝わって来ない不満が残った。」
高樹のぶ子
女63歳
0  
川上弘美
女51歳
12 「「白いバラ」の扱いが、いい。そして主人公の久子の、「ふてぶてしい虚無」とも言うべき内実。書けそうで存外書くことが難しいことを表現していると思いました。」「「(引用者注:「終の住処」「まずいスープ」と共に)殊に惹かれ、」
宮本輝
男62歳
0  
村上龍
男57歳
18 「わたしは(引用者中略)推した。」「地元の薄幸な画家の常設展示室で、ある何かを待ちながらたたずむ初老の女性は、結果として現代を象徴していると思えた。」「自覚的に、また無意識のうちに、正確で抑制された情景および心理描写を武器に、ある情報を物語に織り込むことができた場合に限って、作品は結果的に現代を象徴するものとなる。」
池澤夏樹
男64歳
0  
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年9月号
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芥川賞 第149受賞  一覧へ

つめ
爪と 目」(『新潮』平成25年/2013年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「今年109年目の文芸誌」「The Shincho Monthly」併記
巻号 第110巻 第4号  別表記1299号
印刷/発行年月日 発行 平成25年/2013年4月7日 発売 平成25年/2013年3月7日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 308 表記上の枚数 表紙・背・目次 110枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 7~41
(計35頁)
測定枚数 109
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書誌
>>平成25年/2013年7月・新潮社刊『爪と目』所収
>>『文藝春秋』平成25年/2013年9月号
>>平成28年/2016年1月・新潮社/新潮文庫『爪と目』所収
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候補者 藤野可織 女33歳
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
37 「(引用者注:「すなまわり」と共に)推した。」「『爪と目』が恐ろしいのは、三歳の女の子が“あなた”について語っているという錯覚を、読み手に植えつける点である。しかも語り口が、報告書のように無表情なのだ。弱者であるはずの“わたし”は、少しずつ“あなた”を上回る不気味さで彼女を支配しはじめる。二人がラスト、“あとはだいたい、おなじ”の一行で一つに重なり合う瞬間、瑣末な日常に走る亀裂に触れたような、快感を覚えた。」
島田雅彦
男52歳
20 「成功例の少ない二人称小説としては、例外的にうまくいっている。」「語り手は成長するにつれ、愛人との関係を書き換えてゆく。ストーカーのように相手をじっと見つめるその目は、彼女のことを理解し、彼女に似てくる自分にも向けられている。これは父の愛人を介して描いた自画像でもあったのだ。これは文句なく、藤野可織の最高傑作である。」
堀江敏幸
男49歳
31 「「わたし」は「あなた」との、書かれていない「その後」の対話を通じて知らない時間を生き直し、「あなた」の半生を描くと同時に自伝をも書いているのだ。視力の弱い「あなた」の目に異物を装着する結末に吹く風は、繊細な手法とは裏腹な「平明さ」で、過去と未来を同一線上に繋いでくれる。」「「わたし」と「あなた」のあいだにある聞こえていない声の帯域に、読者としての私は深く入り込んでいた。」
高樹のぶ子
女67歳
8 「まず私は女性の内向きでネガティブな攻撃性が苦手である。冒頭の一文からつまずき、文学的評価は他の委員に譲るしかなかった。」
宮本輝
男66歳
26 「幼い女の子の「わたし」が、じつはおとなになってからの「わたし」の視点によることも深読みしなくてもわかる。」「だが、私は題にもなっている「爪と目」を使っての最後の場面が、単なるホラー趣味以外の何物でもない気がして首をかしげざるを得なかった。爪と目が、この小説の奥に置こうとしたものの暗喩になりきっていなくて、強くは推せなかった。」
川上弘美
女55歳
19 「ていねい、という言葉を、この小説を読んでいるあいだじゅう、思っていました。周到、ではなく、ていねい、です。そのていねいさは、小説というものに対する情愛からくるのだと思います。」「(引用者注:「想像ラジオ」とともに)少しずつ推しました。二作とも、足りないものがある。けれど足りないものを越えるものを、ちゃんとふくんでいる。そう思ったのです。」
山田詠美
女54歳
10 「どうせなら、もっとサイコホラー寄りに徹して、小説にしか出来ない技を駆使して展開させていたら、映画を連想させることなどない、言葉による、そこはかとない恐怖に覆われた魅力が出たと思う。」
村上龍
男61歳
15 「(引用者注:「想像ラジオ」「砂漠ダンス」と共に)表現方法にそれぞれ意匠を凝らした作品」「意匠を凝らすというのは、リアリズムからの意図的な逸脱ということだ。(引用者中略)程度の差はあるが、読む側は戸惑いと負荷を覚える。」
奥泉光
男57歳
22 「主人公を「あなた」の二人称に設定することで、その後の母娘の長い時間にわたる関係の濃密さを予感させ、小説世界に奥行きを与えることに成功している。筋だてにやや分かりにくい部分があり、ことにラストのイメージが不鮮明であるなどの疵はあるとは思ったけれど、方法の貫徹ぶりを評価し、受賞に推す声に賛成した。」
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年9月号
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